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美容室の開業に必要な資格を解説

美容室を開業したい人の中には、開業時に必要となる資格が知りたい人もいますよね。また、必要となる資格の概要が知りたい人もいるでしょう。

当記事では、美容室の開業に必要な資格を解説します。美容に関する検定も紹介するため、美容室を開業したい人は参考にしてみてください。

美容業務を行う人は美容師免許が必要

美容室を開業する場合、美容業務を行う人は国家資格の「美容師免許」が必要です。美容師法の定めにより、美容を業として行うときは厚生労働省が管轄する美容師免許が必要となるため、美容師免許を持たない人は美容に伴う業務を行うことはできません。

【美容師免許が必要となる業務の例】

カット パーマ
染毛 結髪
洗髪 まつ毛エクステンション

美容師法では、「『美容』とは、パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と定められています。「カット」「パーマ」「染毛」「結髪」「洗髪」「マツエク」などの施術は美容師免許を有している人しか行えません。

また、美容師免許を有していない人の業務は施術以外の業務に限られます。美容師免許を持たずとも美容室を開業することは可能ですが、その場合は美容師免許を有する従業員を雇用し、その従業員に施術を行ってもらう必要があります。

なお、美容室を開業する場合、美容師免許の原本を保健所に提示することになります。美容業務を行う人の全員分の美容師免許を保健所に提示することになるため、美容室を開業予定の人はその点を念頭に置いておきましょう。

美容室の届出に関する情報が知りたい人は「美容室の開業に必要な届出を解説」を参考にしてみてください。

美容師免許を持たない人が施術を行った場合は罰則が科される

美容師免許を持たない人が施術を行った場合は罰則が科されます。美容師法により、美容師免許を有していない人が施術を行った場合は罰則が科されるため、美容師免許を持たず、無免許の人が美容室を開業したいときは注意しましょう。

美容師法第6条では、「美容師でなければ、美容を業としてはならない」と定められています。美容の定義は「パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」とされ、美容室における施術全般を指しています。

また、美容師法第18条では、規定に違反した者に対し、「30万円以下の罰金に処する」と定められています。美容師免許を有していない人の施術は法律により禁止され、無免許の人が美容業務を行ったときは30万円以下の罰金を科されます。

なお、美容師法第3条の定めにより、美容室免許を持たない人が施術を行った場合は今後美容師免許を与えられないおそれもあります。美容師として働くことができなくなるおそれもあるため、美容室を開業したい人は予備知識として覚えておきましょう。

美容室の条件次第となる資格もある

美容室を開業する場合、想定している美容室の条件次第となる資格もあります。「美容師の数」や「美容室の収容人数」など、想定している美容室の条件次第となる資格となるため、美容室を開業予定の人は条件次第となる資格を押さえておきましょう。

【条件次第となる資格の例】

  • 管理美容師
  • 防火管理者

美容室の条件次第となる資格は「管理美容師」と「防火管理者」です。資格の要否を把握しておかなければ、スケジュール通りに美容室を開業できないおそれもあるため、美容室を開業予定の人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

管理美容師

美容室の条件次第となる資格のひとつは「管理美容師」です。美容師が2人以上いる美容室の場合は衛生管理責任者として管理美容師の在籍が必要となるため、店舗に勤める美容師が2人以上になるときは管理美容師の資格の取得をしなければなりません。

【管理美容師の概要】

項目 概要
要否条件 美容師が2人以上いる美容室
取得条件 日本での実務経験が3年以上ある人
取得方法 管理美容師資格認定講習会を受講すること

管理美容師の資格を取得する方法は、公益財団法人理容師美容師試験研修センターや都道府県が実施する「管理美容師資格認定講習会」を受講することです。その際、資格を取得できるのは日本における美容師としての実務経験が3年以上ある人に限られます。

また、管理美容師の資格を取得するときは、郵送またはオンラインから講習会を申し込みしたのち、受講票を受け取る流れになります。その後は3日間の管理美容師資格認定講習会を受講し、修了証書の交付を受けることにより、管理美容師の資格を取得できます。

なお、管理美容師資格認定講習会の規定は都道府県ごとに異なります。受講条件や申込方法が都道府県ごとに異なる可能性があるため、管理美容師の資格を取得したい人は開業予定地を管轄する都道府県の公式サイトを確認することを検討してみましょう。

防火管理者

美容室の条件次第となる資格のひとつは「防火管理者」です。建物の収容人数が消防法の規定にあたる場合は防火管理責任者として防火管理者の選任が必要となるため、建物の収容人数が消防法の規定にあたるときは防火管理者の資格を取得しなければなりません。

【防火管理者の概要】

項目 概要
要否条件 建物の収容人数が消防法の規定にあたる美容室
選任条件 管理的地位や監督的地位にある人
取得方法 ・防火管理講習を受講して効果測定試験に合格すること
・一定の学識経験があること……など

防火管理者の資格を取得する方法には、都道府県や市町村など、各自治体が実施する「防火管理講習」を受講する方法が挙げられます。その際、防火管理者になれるのは、防火管理業務を適切に遂行できる管理的地位や監督的地位にある人に限られます。

また、防火管理者の資格を取得するときは、消防署の窓口や自治体の公式サイトから講習会を申し込みしたのち、受講票を受け取る流れになります。その後は1日~2日間の防火管理講習を受講し、効果測定試験に合格すれば、防火管理者の資格を取得できます。

なお、所定の条件により、防火管理者の資格は「甲種」と「乙種」に分けられます。資格区分は建物の面積によるため、防火管理者に関する情報が知りたい人は開業予定地を管轄する消防署の担当者に確認することを検討してみましょう。

必要な資格を確認した人は美容に関する検定も押さえておく

美容に関する検定を有するということは、美容に関する専門知識を有するということです。美容に関する検定を持たずとも美容室を開業できますが、開業後の経営に役立つ可能性もあるため、美容室を開業したい人は美容に関する検定も押さえておきましょう。

【美容に関する検定の例】

項目 具体例
ヘッドスパ ・ヘッドスパ検定
・ヘッドセラピスト検定
・ヘッドリンパケアセラピスト
アイラッシュ ・プロアイリスト検定
・JECAまつ毛エクステンション技能検定
メイク ・日本メイクアップ技術検定
・日本化粧品検定
・メイクセラピー検定
ネイル ・JNAジェルネイル技能検定
・JNECネイリスト技能検定
・ネイルスペシャリスト技能検定
カラーコーディネート ・色彩検定
・カラーコーディネーター検定
・パーソナルカラリスト検定

美容に関する検定は「ヘッドスパ」「アイラッシュ」「メイク」「ネイル」「カラーコーディネート」に分類できます。今回紹介する検定は一例ですが、開業後の経営に役立つ可能性もあるため、美容室を開業したい人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

ヘッドスパ

美容に関する検定の中には、ヘッドスパに関する検定があります。ヘッドスパに関する検定を取得することにより、施術メニューに活かせる可能性もあるため、美容室を開業したい人はヘッドスパに関する検定を確認してみましょう。

【ヘッドスパに関する検定の例】

具体例 主催
ヘッドスパ検定 一般社団法人日本ヘッドスパ協会
ヘッドセラピスト検定 日本ヘッドセラピスト協会
ヘッドリンパケアセラピスト 一般財団法人日本能力開発推進協会

ヘッドスパに関する検定として挙げられるのは「ヘッドスパ検定」です。「ストレスが髪や頭皮に与える影響」や「スタンディングでのシャンプー技術」など、ヘッドスパに関する知識や技術を学べるため、顧客満足度の向上に役立つ可能性があります。

また、ヘッドスパに関する検定として挙げられるのは「ヘッドリンパケアセラピスト」です。「精油の効能に関する知識」や「ヘッドリンパトリートメントの技術」など、ヘッドスパに関する知識や技術を学べるため、競合店との差別化に役立つ可能性があります。

なお、洗髪を伴うヘッドスパは美容師免許を持った人しか施術できません。美容師免許に加え、ヘッドスパの知識や技術を持つことにより、施術メニューに活かせる可能性もあるため、美容室を開業したい人はヘッドスパに関する検定の取得も検討してみましょう。

アイラッシュ

美容に関する検定の中には、アイラッシュに関する検定があります。アイラッシュに関する検定を取得することにより、施術メニューに活かせる可能性もあるため、美容室を開業したい人はアイラッシュに関する検定を確認してみましょう。

【アイラッシュに関する検定の例】

具体例 主催
プロアイリスト検定 NEA日本まつげエクステ協会
JECAまつ毛エクステンション技能検定 一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構

アイラッシュに関する検定として挙げられるのは「プロアイリスト検定」です。「施術における安全衛生の知識」や「繊細さを追求した技術力」など、アイラッシュに関する知識や技術を学べるため、顧客満足度の向上に役立つ可能性があります。

また、アイラッシュに関する検定として挙げられるのは「JECAまつ毛エクステンション技能検定」です。「装着のバランス」や「正確かつ安定した技術力」など、アイラッシュに関する知識や技術を学べるため、競合店との差別化に役立つ可能性があります。

なお、アイラッシュは美容師免許を持った人しか施術ができません。美容師免許に加え、アイラッシュの知識や技術を持つことにより、施術メニューに活かせる可能性もあるため、美容室を開業したい人はアイラッシュに関する検定の取得も検討してみましょう。

メイクアップ

美容に関する検定の中には、メイクアップに関する検定があります。メイクアップに関する検定を取得することにより、施術メニューに活かせる可能性もあるため、美容室を開業したい人はメイクアップに関する検定を確認してみましょう。

【メイクアップに関する検定の例】

具体例 主催
日本メイクアップ技術検定 一般社団法人JMA
日本化粧品検定 一般社団法人日本化粧品検定協会
メイクセラピー検定 一般社団法人メイクセラピストジャパン

メイクアップに関する検定として挙げられるのは「日本化粧品検定」です。「化粧品の効能と効果に関する知識」や「化粧品と肌トラブルとの関係性」など、メイクアップに関する知識や技術を学べるため、顧客満足度の向上に役立つ可能性があります。

また、メイクアップに関する検定として挙げられるのは「メイクセラピー検定」です。「色彩学に関する知識」や「心理カウンセリングの手法を取り入れた技法」など、メイクアップに関する知識や技術を学べるため、競合店との差別化に役立つ可能性があります。

なお、メイクアップは美容師免許を持った人しか施術ができません。美容師免許に加え、メイクアップの知識や技術を持つことにより、施術メニューに活かせる可能性もあるため、美容室を開業したい人はメイクアップに関する検定の取得も検討してみましょう。

ネイル

美容に関する検定の中には、ネイルに関する検定があります。ネイルに関する検定を取得することにより、施術メニューに活かせる可能性もあるため、美容室を開業したい人はネイルに関する検定を確認してみましょう。

【ネイルに関する検定の例】

具体例 主催
JNAジェルネイル技能検定 NPO法人日本ネイリスト協会
JNECネイリスト技能検定 公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター
ネイルスペシャリスト技能検定 NPO法人インターナショナルネイルアソシエーション

ネイルに関する検定として挙げられるのは「JNAジェルネイル技能検定」です。「ジェルネイルに必要な知識」や「サロンワークに必要な技術」など、ネイルに関する知識や技術を学べるため、顧客満足度の向上に役立つ可能性があります。

また、ネイルに関する検定として挙げられるのは「ネイルスペシャリスト技能検定」です。「ネイルケアに関する知識」や「カラーリングに関する技術」など、ネイルに関する知識や技術を学べるため、競合店との差別化に役立つ可能性があります。

なお、ネイルは美容師免許を有していない人でも施術できます。ネイルに関する知識や技術を持つことにより、施術メニューに活かせる可能性もあるため、美容室を開業したい人はネイルに関する検定の取得も検討してみましょう。

カラーコーディネート

美容に関する検定の中には、カラーコーディネートに関する検定があります。カラーコーディネートの検定を取得することにより、施術メニューに活かせる可能性もあるため、美容室を開業したい人はカラーコーディネートに関する検定を確認してみましょう。

【カラーコーディネートに関する検定の例】

具体例 主催
色彩検定 公益社団法人色彩検定協会
カラーコーディネーター検定 東京商工会議所
パーソナルカラリスト検定 一般社団法人日本カラリスト協会

カラーコーディネートに関する検定として挙げられるのは「色彩検定」です。「ファッションビジネスに関する知識」や「色相環を意識した配色」など、カラーコーディネートに関する知識や技術を学べるため、顧客満足度の向上に役立つ可能性があります。

また、カラーコーディネートに関する検定として挙げられるのは「パーソナルカラリスト検定」です。「色の組み合わせ」や「色彩と配色を用いた技法」など、カラーコーディネートに関する知識や技術を学べるため、競合店との差別化に役立つ可能性があります。

なお、カラーコーディネートに関する知識や技術は施術以外にも活かせる可能性があります。店舗内に設置する家具や雑貨など、インテリアの配色に活かすこともできるため、美容室を開業したい人はカラーコーディネートに関する検定の取得も検討してみましょう。

まとめ

美容室を開業する場合、美容業務を行う人は国家資格の「美容師免許」が必要です。美容師法の定めにより、美容を業として行うときは厚生労働省が管轄する美容師免許が必要とされているため、美容師免許を持たない人は美容に伴う業務を行うことはできません。

また、美容室の条件次第となる資格は「管理美容師」と「防火管理者」です。「美容師の数」や「美容室の収容人数」など、想定している美容室の条件次第となる資格となるため、美容室を開業予定の人は条件次第となる資格も押さえておきましょう。

なお、美容に関する検定を取得することにより、美容室の経営に活かせる可能性もあります。検定を持たずとも美容室を開業できますが、開業後の経営に役立つ可能性もあるため、美容室を開業したい人は美容に関する検定の取得も検討してみてください。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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