助成金は全国対象のものと各自治体が実施しているもの、そして企業が独自に行っているものなど様々な種類があります。
今回は東京都で行っているパート社員などの非正規労働者を正規雇用することでもらえる助成金をご紹介します。
キャリアアップ助成金正社員化コースを受給し、東京都に事業所のある事業主さんは必見です!なお、厚生労働省が主催する正規雇用に関する全国的な助成金はキャリアアップ助成金があります。参照記事も併せてぜひご覧ください。
1. キャリアアップ助成金正社員化コースの支給決定を受けた事業主がもらえる助成金
キャリアアップ助成金と同様に、事業主が従業員の働きやすい労働環境を整備することでもらえる助成金です。個人事業主は対象外です。この助成金はキャリアアップ助成金の7つのコースのうち正社員化コースの支給決定を受けた事業所のみがもらえる助成金です。
考えようによっては事業主がキャリアアップ助成金と東京都の2つの助成金がもらえる、ということですよね。助成金に助成金の上乗せができるのです。まずは、この2つの助成金額と要件をチェックしていきましょう。
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助成金額 |
助成要件 |
キャリアップ助成金 正社員化コース |
※対象労働者一人当たり 28.5~57万円 (1年度1事業所当たり20名まで申請可能) |
・雇用保険適用事業所の事業主であること ・雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること ・雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること ・対象労働者に対して就業規則等に基づく正社員等への変換を行うこと(転換制度がない場合は、就業規則を変更) ・転換前と転換後での賃金総額が5%以上増額していること (賞与・諸手当含む金額) |
東京都正規雇用転換安定化支援助成金 |
※対象労働者一人の場合 20万円 ※対象労働者二人の場合 40万円 ※対象労働者3人以上 60万円 (1事業所1年度で3回まで申請可) ※退職金制度の導入で別途10万円 (1事業所1回まで) |
・キャリアップ助成金正社員化コースの支給決定を受けた事業主 ・平成29年4月1日以降に都内の事業所で正規雇用に転換していること ・3か月の指導育成計画終了時から1年間、対象労働者が正規雇用で継続勤務していること ・対象労働者に対して指導育成計画(3年間)を実施する ・対象労働者の指導育成者(メンター)の専任およびメンターによる指導を行う ・対象労働者の指導育成計画に基づく研修を実施する ・退職金制度を新たに導入する |
大まかにみると、この2つの助成金制度は非常に似ていると言えるでしょう。細かいところでは、キャリアアップ助成金では賃金の規定(5%増)がありますが、東京都正規雇用~助成金にはそれはありません。この2つの助成金を足すと、対象労働者(パートなど)一人当たり最低でも48.5万円がもらえる計算です。
【キャリアアップ助成金で20名申請したら】※有期→正規の場合
一人当たり57万円×20名=1,140万円
【東京都正規雇用転換安定化支援助成金で20名申請したら】
60万円
1,140万円+60万円=1,200万円の支給が可能!
但し、東京都正規雇用転換安定化支援助成金(長い、、)の方は退職金についての規定があります。
「助成金は欲しいけど、退職金を払うのか、、」と考える事業主の方もいるかもしれません。しかし、退職金は原則勤続年数の多い方に支払うものです。自社にそれだけ勤続年数の多い主力の方が増えれば、それだけ業績も上がることでしょう。
また、中小企業で自己都合退職をする方の場合は10年勤続で平均115万円、20年勤続で381万円程度とそれほど負担はないはずです。
2. 支給決定後、3か月以内に3年間の指導育成計画を提出しなければいけない
厚生労働省の実施するキャリアアップ助成金の方で事業主が提出しなければいけないキャリアアップ計画の実施年数は最低3年です。長いですよね。助成金の目的は厚生労働省らしく人々の働きやすい職場づくりです。3年という長い期間をキャリアアップ計画に充てることにより、抜本的な改革を勧めようという厚生労働省に意図がみえます。
東京都正規雇用転換安定化支援助成金の場合は、支援期間として3か月以内に事業主が対象労働者の指導育成計画を立て、指導育成者(メンター)の選定と指導・研修・退職金制度の整備を実施しなければいけません。忙しいですね。
また、3か月以内に3年間の対象者労働者向けの指導育成計画を提出します。助成金を申請してから考えるのでは遅いので、助成金をもらう計画を立てる段階で指導育成計画については検討しておいた方がよいでしょう。
3. 東京都正規雇用転換安定化支援助成金をもらうための流れ
この助成金は毎月のように募集されていますが、平成30年度の第六回(最終)募集は10月15日~11月1日までの申請期間となっています。
①まずキャリアアップ助成金の支給決定通知書をもらう
キャリアアップ助成金の支給決定を受けていることがこの助成金の要件の一つですので、キャリアアップ助成金支給決定通知書がないと申込はできません。
②事業実施計画書兼交付申請書提出
手引きと様式は以下のURL(東京都TOKYOはたらくネット)よりダウンロードいただけます。
正規雇用等転換安定化支援事業(東京都正規雇用等転換安定化支援助成金)
受付窓口は新宿歌舞伎町にあります。質問などもできますので、できれば事前に電話問合せや窓口で相談をしてから提出した方がよいでしょう。
【受付窓口】
東京都正規雇用化推進窓口(正規雇用等転換安定化支援助成金担当)
〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町2-42-10 5階
電話 03-6205-6730(ダイヤルイン)
【受付時間】
平日の午前8時30分から午後5時15分まで
③審査が通過したら交付決定通知が送られてくる
無事に事業実施計画書の審査が通過すれば、あなたに交付決定通知が郵送されてきます。その後3か月以内に、前述した指導育成計画(3年)の策定やメンターの選定などを速やかに行います。
④実施報告書の提出
3か月間の実施内容を規定の書式に記入し、提出します。この内容を審査され、審査が通過すれば晴れて助成金の支給決定となり助成金が振り込まれます。
まとめ
東京都正規雇用転換安定化支援助成金の募集は各回500事業所までと数量限定の助成金です。次年度はまた5月頃からの募集が予想されます。先着順で締め切っていきますので、狙っている事業主さんはお早めに行動を起こしてください。
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平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
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