女性活躍推進助成金の行動計画の立て方とは
女性労働者の活躍できる環境を整備することでもらえる、女性活躍推進助成金。助成金をもらうには、自社の女性の活躍状況を分析して、自社の課題解決のための行動計画をたてる」必要があります。
今回の記事では、女性活躍推進助成金の行動計画の立て方をどのように行えばよいか、ご紹介していきます。
1.女性活躍推進法のこと
女性活躍推進助成金の背景について、少しだけ触れたいと思います。この助成金の背景には、平成27年8月に国会で成立した「女性活躍推進法」があります。この法律の正確な名称は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、という長いものです。働く場所で女性が輝けるように、十分にその個性と能力を発揮できるようにとの目的で制定されました。
この法律では、女性の活躍推進に向けて数値目標を盛り込む行動計画を立てるように常時労働者が300人を超える事業主に義務付けをしています。(常時労働者が300人以下の事業主においては努力義務です。)
この法律の制定前には、同系列の法律として1999年の男女共同参画社会基本法がありました。基本法では、主に国の政策の基本方針を示しているため、女性活躍推進法のような義務は盛り込まれていません。
女性の労働の重要性が1999年時点よりももっと必然的になったため、「できたらやろうね」という緩い法律ではなく「絶対やってね」という義務が盛り込まれているのがこの法律のポイントです。
2.自社の女性の活躍状況の分析
では、具体的に女性活躍推進助成金をもらうためのアクションをみていきましょう。まず、以下4項目の把握をします。
採用者に占める女性比率
直近の事業年度の女性採用者数÷直近の事業年度の採用者数×100%
勤続年数の男女差
5年以上経過している労働者の男女差
労働時間の状況
各月ごとの労働者の平均残業時間数等の労働時間の状況
管理職に占める女性比率
女性の管理職÷管理職者数×100%
これらを把握する方法は、過去のデータを引っ張り出しエクセルで集計してグラフ化します。そのエクセルのフォーマットを一から作るのが面倒な事業主のために、便利な入力支援ツール(一般事業主行動計画策定 入力支援ツール)がこちらからダウンロードできます。
「行動計画策定支援ツール」をご活用下さい!
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
ツールは、正社員と非正社員に分けて入力するようになっています。
図のように、まず正社員STEP1のタブに入力したら、次は正社員STEP2のタブを入力する、というように順に数値を入力していきます。
このエクセルを入力するには、以下の数値を前もって調べておく必要があります。
- 直近事業年度の女性の採用者数
- 直近事業年度の採用者数
- 女性の平均継続勤務年数
- 男性の平均継続勤務年数
- 女性の管理職数
- 管理職数
- 各月の対象労働者の「法定時間外労働+法定休日労働」の総時間数の合計
- 対象労働者数
次に、エクセルの「正社員 STEP1」タブをみていきましょう。「全体」と書かれているオレンジ色のセル(実際のフォーマットでは黄色)に数値を入力すると、自動的に「判定」と書かれたセル上で〇か×か判定される仕組みです。判定結果を元に、自社の弱みを見つけ行動計画をたてることができます。
ここでは、区分①~区分⑩までが区分けされていますが、区分ごとの名称は自社で入力します。例えば、自社に総合職がある場合、区分①の欄の下のオレンジ色の所に「総合職」と入力しましょう。
3.自社の課題解決のための行動計画をたてる
さて、現状把握をしたあとで、行動計画をたてましょう。行動計画には、(1)計画期間(2)数値目標(3)取組内容(4)取組の実施期間を盛り込みます。
行動計画のフォーマットも、厚生労働省のホームページからダウンロードできます。
計画期間は、平成28年度から平成37年度までの10年間中で行います。例えば、前項の数値で女性の採用率が低かった場合は、「2018年から2020年までの間に女性採用率を20%アップする」というような内容にします。
そして、取組内容は女性が応募しやすいように、「育児休暇制度を改正する」や「女性の採用を増やすために、社内の業務を細分化する」などの具体的な行動を記します。さらに、取組の実施期間を盛り組めばOKです。
行動計画は外部へ公表すること
策定した行動計画は、外部へ公表しなければなりません。自社ホームページへ公表するか、または厚生労働省が運営する「女性活躍・両立支援総合サイト」へ登録することでも公表できます。
以上の事は、「一般事業主行動計画を策定しましょう!!」という厚生労働省より提供されているパンフレットにより詳しく記載されています。
まとめ
女性活躍推進助成金の行動計画についてご紹介しました。数値目標、行動計画、というと難解なイメージがありますが、厚生労働省のホームページよりフォーマットをダウンロードできますので、比較的取り組みやすい助成金なのではないでしょうか。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
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2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
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