エンジェル投資家とは?支援を受けるための事業計画書の書き方

エンジェル投資家とは?支援を受けるための事業計画書の書き方 起業のための資金調達 – エンジェル投資家・vcからの資金調達
エンジェル投資家とは?支援を受けるための事業計画書の書き方

「エンジェル投資家」という言葉を聞いたことはありますか?

エンジェル投資家という言葉を聞いたことはあっても実際にどんな投資家なのか、何を目的に動いているか、といった点までは知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、エンジェル投資家とはどのような投資家なのか、どんなリターンを目的としているのかといった基本的な疑問から、実際にどのようにエンジェル投資家を探したらよいのか、支援してもらうためにはどのような事業計画書を作成するとよいのか具体的な書き方を解説します。

1.エンジェル投資家とは?

(1)創業間もない会社に投資する個人の投資家のこと

エンジェル投資家とは、ベンチャー企業やスタートアップ企業と呼ばれる創業間もない会社に投資する個人の投資家のことです。元はイギリスで演劇事業に資金提供をしていた資産家をエンジェルと呼んでいたことが由来だそうです。

創業間もない企業への投資は企業が急成長する起爆剤となり得ますので、創業者からすればまさに天使のような存在と言えるでしょう。

(2)エンジェル投資家ってどんな人?

エンジェル投資家は大半が自分自身も元起業家や元経営者で、自分たちで起業して成功してきた人たちです。単純な投資事業というだけでなく、若い起業家や新しい企業を応援したい、次代を担う人材の育成をしたい、という目的を持ったエンジェル投資家も多いのだそう。 

そのため、単なる投資先としてだけでなく、自分の人脈や経験を活かして後輩起業家を支援してくれる先輩として心強い味方となってくれることもあるようです。

有名なエンジェル投資家にはこんな方がいらっしゃいます。

○青柳直樹氏

メルペイの代表取締役として有名で、エンジェル投資家としても活躍中の方です。

「誰と一緒に仕事をするか」という部分を大事にされている方で、人間関係を大切に仕事をしていきたい方との相性がいいと思います。

○家入一真氏

ベンチャーキャピタル「NOW」を設立したエンジェル投資家です。投資や経営のアドバイスだけでなく、人生相談を行うなど起業家に寄り添った支援活動を行いたい、との思いで「NOW」を立ち上げたそうです。

いじめや登校拒否といった過去の経験から、誰かの居場所を作る事業にこだわっている強い信念を持っている方です。

(3)エンジェル投資家にリターンはあるの?

もちろん、投資をしてくれるからにはエンジェル投資家自身にもメリットがあります。

基本的にエンジェル投資家はリターンとして株式をもらいます。投資した会社が成長することでその株式の価値も大きく上がり、結果としてエンジェル投資家も大きな利益を手にすることができるのです。

そのため、基本的にエンジェル投資家に出資してもらった企業は株式会社として上場することを目指していくことになります。

2.エンジェル投資家に出資してもらうメリット・デメリット

(1)エンジェル投資家に出資してもらうメリット

エンジェル投資家に出資してもらうメリットは大きく分けて三つあります。

  • 出資してもらった資金は返済の必要がない
  • 経営者の先輩として経営を助けてくれる
  • 出資してもらったことで会社の信用が増す

エンジェル投資家から出資を受ける最大のメリットは、出資してもらった資金は返済する必要がない、ということです。

銀行や日本政策金融公庫などに融資を受ける場合、利息や返済期間の差こそあれ返済していく必要があります。

しかし、エンジェル投資家からの出資は基本的に返却する必要がありません。もし事業が失敗してもエンジェル投資家に借金を負うことはない、ということです。エンジェル投資家はそのリスクも込みで出資してくれるので、利益を上げられるよう努力していきましょう。

他にもエンジェル投資家は元経営者であることが多く、経営者としての人脈や経験、実績と信頼を持っています。出資者としてエンジェル投資家が後ろ盾になってくれることで、その人脈や経験を活かしたサポートを受けられる可能性があります。

また、それだけの実績がある人間が信頼してくれている、ということで会社の信用度が増す可能性もあるなど、資金面以外でも多くのメリットがあります。

(2)エンジェル投資家に出資してもらうデメリット

エンジェル投資家から出資を受ける場合、当然メリットばかりというわけではなく次のようなデメリットもあります。

  • エンジェル投資家による経営方針への介入
  • 出資金額次第では一部控除が受けられない

最も大きいのは、株式を渡している関係上、経営方針に介入される可能性があることです。これはメリットの項にも書いた「サポートを受けられる」ことと表裏一体なのですが、エンジェル投資家が良かれと思ったアドバイスでも起業家からすると不満が出てきてしまう場合もあるようです。

とはいえ会社の経営を成功させたいのはお互いに同じなので、しっかりとコミュニケーションを取ることでお互いに納得できる運営ができるように話し合っていきましょう。

また、エンジェル投資家に限ったことではありませんが資金上の問題として、基本的に法人設立二期目までは消費税の納税義務が免除されますが、資本金の額または出資金額が1000万円をこえてしまうとこの納税免除が受けられません。

出資を受ける際はこういった税制の影響も考慮したうえで金額を決めるようにしていきましょう。

メリット、デメリットについてより詳しく知りたい方はこちら

エンジェル投資家からの資金調達!メリットとデメリットを知ろう

3.エンジェル投資家に出資してもらうには?

エンジェル投資家については上記の説明で分かっていただけたかと思います。

ではエンジェル投資家に投資してもらうためにはどうすればいいのでしょうか?

(1)エンジェル投資家を探す

エンジェル投資家の知り合いがいる人はほとんどいません。エンジェル投資家は、人数が多くないため、普通に生活しているだけではまず出会うことはできないでしょう。

そのため、自分からエンジェル投資家を探す必要があります。

一番手軽なのはエンジェル投資家とのマッチングサイトを利用することです。気になったエンジェル投資家が見つかれば、そのエンジェル投資家にアプローチをかけていくことができます。

WEB上では他にもクラウドファンディングで出資者を募集するほか、SNSで有名なエンジェル投資家に直接売り込みに行く手もあります。

ただ、近年問題になっていることが多いのがエンジェル投資家を騙った詐欺などのトラブルです。特にWEB上では相手の情報が断片的にしか入ってきません。後々問題にならないよう、取引前にしっかりと情報収集を進めておきましょう。

他にはピッチコンテストや交流会といったイベントに参加することもエンジェル投資家を見つける近道です。こういった多くの人が集まるイベントにはエンジェル投資家も多く来場していて、そこで仲良くなったり事業に興味を持ったりしてくれるエンジェル投資家が見つかればそこからアプローチしていきます。

こちらは直接顔を合わせての交渉ができることからお互いに情報を得やすいのがメリットと言えます。

詳しいエンジェル投資家の探し方はこちら

エンジェル投資家はどうやって探すの?

(2)エンジェル投資家に事業計画を伝える

出資してもらいたいエンジェル投資家が見つかったら、そのエンジェル投資家にアプローチをかけていきます。

エンジェル投資家にアプローチするための事業計画書を作成しましょう。

事業計画書のフォーマットがあるわけではありませんが、基本的には以下の五つの要素をしっかりと伝えることが大切です。

①会社概要及び経営者の略歴

ここで具体的に何をする会社なのか、そして経営者自身の経歴やスキルをアピールします。

エンジェル投資家はあくまで投資家なので、当然成功する可能性の高い計画に投資したいと思っています。自分は成功する能力がある人間だ、ということをアピールしていきましょう。

②事業の背景・目的

その事業をするに至った背景や目的を伝えます。

エンジェル投資家は個人の意思で投資してくれるため、資金投資先にも銀行やベンチャーキャピタルのようにリターンの確実性だけでなく、事業そのものの実用性、将来性や人情といった情報にも左右されます。

例えば、福祉関連の事業を行いたいとして、ただ単に「需要がありそうだからやりたい」、というよりは「祖母の足が悪かったので、同じような人を助けたいと思ったからこの事業を行いたい!」と言った方が印象はいいものとなるでしょう。

ここは自身の熱意もアピールポイントとなる、と考えておくといいかもしれません。

③事業内容(事業概要・サービス・ターゲット)

その事業の詳細な事業内容、サービス、ターゲットのペルソナなど、具体的な内容を伝えていきます。

ここでポイントとなるのはサービス内容とターゲット層の関係性。サービス内容がターゲット層に本当に求められているのか、またはこれから求められるようになるのか。

単純に今現在流行しているからこの事業をやります、といった一過性の流行に乗るだけではエンジェル投資家は投資してくれません。これからのブームを作っていくような、そんな将来性のある事業である、という内容のアピールができるようにデータを集めていきましょう。

④市場規模・競合

市場規模と競合相手をどれだけ調べているか、というのがポイントとなります。

基本的には市場規模が小さかったり、競合相手が多かったりする業界ではあまりいい印象は抱かれにくくなってしまいます。

とはいえこれらもマイナス要素ばかりというわけではなく、市場規模が小さいならこれからその業界が伸びることを予測するデータを集めればいいアピールポイントになりますし、競合相手が多くても、その競合相手たちが気付いていない革新的なアイデアを提示できればそれを強みに説得できる可能性もあります。

どちらにせよ、市場や競合相手に関する綿密なデータ収集がカギとなることは間違いありません。

⑤収支計画・資金計画

最後は数字によるデータ勝負です。

当然相手は数多くのデータを見てきた猛者なので、希望的観測の甘い数値ではすぐに見破られてしまいます。実際に業者による見積もりを取る、収支計算の根拠を書いておくなど、実現性の高い数値であることをアピールしながら勝負していきましょう。

また、自分に投資することでエンジェル投資家にどのようなリターンが提供できるのか、という点も伝えましょう。エンジェル投資家はあくまで投資家であって、慈善活動家ではありません。当然リターンが投資するリスクに見合わないと思えば投資はしてくれません。

エンジェル投資家が投資したくなるような魅力的な、しかし現実的なプランを提案しましょう。

これらに加えて、経営者本人が事業計画を実行できる人間だ、という信頼感をエンジェル投資家に与えなければなりません。デメリットの項でも書いたように、信頼できる人間同士であるとわかるようにコミュニケーションをとる必要があります。経営者は人として信頼できる人だということを真摯に伝えていきましょう。

事業計画書を作成する目的や事業計画書作成のために何が必要か、こちらの記事で詳しく説明していますので、あわせてご参照ください。

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(3)実際に出資してもらったら

実際にエンジェル投資家に出資してもらったら、計画に沿ってしっかりと運用をしていきましょう。エンジェル投資家は経営者として先輩にあたる場合も多いので、知識や人脈、経験を活かして相談に乗ってくれる場合もあります。

期待に応えられるようきっちりと資金を運用していきましょう。

まとめ

エンジェル投資家による出資は資金調達だけでなく精神的、実務的にも大きなサポートを得られるなど多くのメリットがあります。

日本ではまだあまり馴染みがありませんが、今後の企業にとって非常に大きな存在となっていくでしょう。

ただし、エンジェル投資家から出資してもらうためには事業計画書が重要です。

斬新さや将来のビジョンだけでなく、その事業を成功させるためにどうするか、今の時点でどういう努力や活動、データ収集をしているか、といった実務的な部分や事業を成功させたいという熱意、情熱も評価ポイントとなります。

投資してもらうために説得できる情報は多ければ多いほどいいので、事業計画とその裏付けのデータはしっかり集めて提示していきましょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
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【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。