融資金額を増やすための “別紙資料” 作成方法やポイント

融資金額を増やすための “別紙資料” 作成方法やポイント 起業のための資金調達 – 起業前に実施しておくべき準備
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創業計画書で書ききれなかった想いやビジョンを別紙資料として提出

融資申込の際には創業計画書を提出することになりますが、A3用紙の創業計画書に開業への思いや事業の内容、将来のビジョンなどをまとめるのは難しいものです。そのため具体的な内容を書き込んだ “別紙資料” を一緒に提出し、融資を確実なもの、融資額アップにつなげましょう。 ただ熱い想いを書いただけでは逆効果になってしまうため、ポイントを押さえながら作成していくことが重要です。今回は、別紙資料作成時のポイントやどのような資料が効果的なのか、また別紙資料を提出することの必要性について解説していきます。

1.融資申込時に "別紙資料"  を添付し融資額を上げる

融資の申込時に提出する資料の中に、開業予定の事業内容、事業者の事業経歴、開業への思い等を記入する「創業計画書」があります。創業計画書に記載する主な内容は、下記の通りです。

1.創業の動機

2.経営者の略歴

3.取扱商品・サービス

4.取引先・取引関係等

5.従業員

6.お借入れの状況

7.必要な資金と調達方法

8.事業の見通し(月平均)

9.自由記述欄

これらの項目をA3用紙1枚にまとめなければならず、全ての項目がたくさん書けるものではないため、書ききれないことやアピールしきれない点も出てきます。

融資で重要なことは、事業のことを良い面も悪い面も理解し、きちんとした計画性があり、返済能力や返済計画にも問題がないことです。そのため、創業計画書で書ききれなかったアピールや事業の発展性などを “別紙資料” としてまとめ、提出することで、融資担当者へ返済能力や事業の将来について詳しく提示することが出来、融資額を増やすことに繋がります。

 

2.融資申込時に添付する "別紙資料" の例

別紙資料と言っても、自身の開業への想いばかりを一方的にまとめたものでは「開業したいだけ」のように思われてしまい逆効果です。別紙資料としてまとめる内容は、創業計画書内で記載しきれなかった、自身のプロフィールと開業に対する想いに加え、行う事業に関連した項目を意識してまとめましょう。

〔行う事業は誰に向けた事業なのか〕〔開業場所の通行量や年齢層の調査〕〔近隣の競合店調査〕〔将来の事業の展開の仕方〕など、飲食店なのか、小売店なのか、行う事業によって融資に有効に働く内容なのかが変わってきます。

飲食店であれば、ターゲット層・開業地の立地・平日と休日の通行量の違い・競合店舗の戦略やメニュー等が主に重要な内容となります。

小売店であれば、開業場所の通行量・ターゲット層の通行量・将来の事業展開等が重要な内容となるでしょう。

用意する別紙資料によって、事業者が事業のことをどれだけ理解しているのかを見極める判断材料ともなるのです。

 

3."別紙資料" の作成方法

①プロフィール・経歴

行う事業に関わる勤務経験や、勤務時の自身の役割経験(リーダー・役職等)がある場合には、細かく記載しましょう。

【悪い例】

・2005~2012年 ○○店勤務 7年間

・2012~現在    ○○店勤務

【良い例】

・2005~2012年 ○○店勤務 7年間

   最後の3年間はホールに加え、調理も任されるようになり、

   ホール業務と調理場の作業を習得

・2012~現在      ○○店勤務

   勤務から2年目には店長として、スタッフへの支持や売上管理、

   キャンペーン企画なども担当

同じ店舗での勤務年数が長いことは、審査に有利に働きますが、アピールとしては弱くなってしまいます。勤務経験の中で、何を習得したか、何か任されたことがあるか、などの詳細をまとめて記載することが大切です。

②資格・研修実績

事業に関係する資格を取得している場合は記載しましょう。

【悪い例】

・2009年 調理師免許 取得

・2014年 メニューの開発研修 受講

・2018年 食品衛生責任者 取得

【良い例】

・2009年 調理師免許 取得

  〔調理に興味を持ち始め、ホール業務を行いつつ勉強し、調理師免許を取得〕

・2014年 メニューの開発研修 受講

  〔店長として店舗の売上を上げるために、独自でメニュー開発研修を探し、受講〕

・2018年 食品衛生責任者 取得

  〔飲食店開業への想いが強くなり、開業に必要な食品衛生責任者を取得〕

資格や研修実績を書くだけでも十分なアピールとはなるが、なぜ取得や受講までに至ったのかを書くことで、よりアピールすることができます。

特に、開業するにあたり、準備や計画を行ってきた方に対して融資を行うことを目的としている日本政策金融公庫は、資格や研修などを行い計画性のある開業を行っている方を評価します。

③創業動機

創業計画書の少ない記入欄では、創業への思いを書ききれないことが多いため、別紙で具体的に創業への思いを記載しましょう。

【悪い例】

小さいころからパスタが好きで、毎日のようにパスタを食べるようになりました。色々な種類のパスタを食べました。自身で考えたオリジナルパスタを作るようになり、その中で開業への思いが強くなりました。

【良い例】

パスタが好きで、3食パスタという日が珍しくなく、色々な店舗に行き、パスタを食べてきました。有名な店舗はもちろん、全国のパスタ屋さんを巡り、店舗ごとの特徴や人気の理由などを調べ、ノートに残してきました。各店舗の良い点を知っていくにつれて、開業を考えるようになり、自身でもオリジナルパスタを考え、友人へ振舞うなどのことをし、調理師の友人からのアドバイスをもらったこともあります。

実際に勤務をした経験はないものの、周りに調理師や経営者の友人が多いことから、開業や経営のアドバイス、食材の仕入れ先等を紹介してもらえることも知りました。自身のパスタ巡りの経験や知識、友人のサポートを受けながら話題が出るパスタ店を開業したい想いです。

趣味や興味、自分の好きなことで事業への想いをつづった内容では逆効果になることもありますが、好きだからこそ細かく調査してまとめた内容や、県外へ足を運ぶなどの内容で、融資が成功した例もあります。あくまで、経歴や事業に関わる実績があっての融資ではありますが、好きだからこそどのようなことをしてきたのか、なども評価される可能性があります。

事業の経験者なのであれば、経験をして想ったことや知っていることを記載し、そのために自身の開業ではどのようにしていきたいのか等を記載することも有効です。

④ターゲット層

開業する事業のターゲット層をどこに設定しているのか、また、そのターゲット層に向けた対策をどのようにしているのかなどを記載しましょう。

【悪い例】

・サラリーマンやOL

・子ども連れのファミリー層

【良い例】

・サラリーマンやOL

・子供連れのファミリー層

  ランチ時のサラリーマンやOLが利用しやすいようなランチメニュー、

  カウンター席の用意。

  子供がいるファミリー層向けにテーブル席を用意。

ターゲット層をただ記載するだけではアピールに欠けてしまいます。ターゲットを狙った取り組みや内装について記載することで評価されやすくなります。

⑤立地調査

開業場所の周りに何があるのか、駅から店舗までのアクセスなどを調査してまとめたものを記載しましょう。

【悪い例】

・最寄り駅 ○○駅

 駅から 徒歩5分

・近隣施設 ○○公園/○○社/○○店

【良い例】

・最寄り駅 ○○駅/1日の利用者数約○○○人

 駅から 徒歩5分/近くに○○バス停あり

・近隣施設 ○○公園/1日の利用者数○○人

      ○○社/ランチ時の人の出入り状況

      ○○店/1日の利用者数○○人

駅からのアクセス方法はもちろんですが、中には電車を利用せずに来る方もいます。そのため、バス停などの電車利用者以外の方が来るためのアクセス手段があれば記載するようにしましょう。

また、ターゲットに関連した近隣施設状況を記載すると有効です。“サラリーマンやOLをターゲットにしているため、オフィス街を選択” ”ファミリー層をターゲットにしているため、公園近郊を選択” など、開業場所に選んだ理由を記載することもアピールの1つとなります。

⑥通行量調査

出店地の通行量調査を行い、その結果を別紙に添付することで、売上のイメージが沸き、自身にとっても融資担当者にとってもどのくらいの売上が見込めるのかイメージしやすくメリットとなります。

【悪い例】

・平日ランチ時 ○○人

 ディナー時  ○○人

・休日ランチ時 ○○人

 ディナー時  ○○人

【良い例】

〔平日〕

・11:00~15:00

   20代以降男性 ○人 / 20代以降女性 ○人

・15:00~18:00

   20代以降男性 ○人 / 20代以降女性 ○人

・18:00~22:00

   20代以降男性 ○人 / 20代以降女性 ○人

〔休日〕

・11:00~15:00

   20代以降男性 ○人 / 20代以降女性 ○人

・15:00~18:00

   20代以降男性 ○人 / 20代以降女性 ○人

・18:00~22:00

   20代以降男性 ○人 / 20代以降女性 ○人

 

・○月○日の週に営業予定時間で調査

・調査の中で、自転車の数が多かったため、駐輪スペースの確保も考えている

・ランチ時は○○社から多くの方の外出が見られた

通行量だけを記載するのではなく、具体的な調査内容を記載するようにしましょう。ターゲットとする通行量はどのくらいあったのか、調査の時間は何時なのか、また、調査をしている最中に気づいたこと(競合店のことや近隣施設の様子)、などがあればメモをしておきましょう。

上記のように表にまとめても良いですが、棒グラフなどにして一目で分かるようにすると分かりやすくなるため、尚良いでしょう。融資担当者は1日に多くの方を面談するため、見やすく分かりやすい資料とすることが求められます。交通量調査についてまとめた下記記事も是非ご参考ください。

『 交通量調査を別紙にまとめて提出すると融資が受かりやすい? 』

⑦メニュー表

飲食店での開業を考えている場合は、実際に提供予定のメニューを記載、もしくは添付しましょう。

【悪い例】

・グリーンサラダ

・ピクルス

・カルボナーラ

【良い例】

・〔地元野菜を使用〕グリーンサラダ/○○○円

・〔すぐにご提供可能!〕彩りピクルス/○○○円

・〔店長おススメ〕カルボナーラ/○○○○円

メニューといっても品物名を記載しただけのメニューでは、「店舗独自のこだわりがない」「どこにでもあるメニュー」のように見られてしまい逆効果です。融資担当者は、「既に存在するものと同じことをしても、お客さんがついているお店と比べると負けてしまう、売上が見込めない」と感じてしまいます。

そのため、お店独自のメニューや特徴を取り入れて、競合店に負けないということをアピールすることが重要です。

⑧競合調査

行う事業の競合がどこにあり、どのような特徴があるのか、近郊に同業種店舗がどのくらいあるのかなどを調査し、その結果を記載しましょう。

【悪い例】

〔○○店〕

・イタリアンを提供する飲食店

・ランチとディナーを提供する店舗だった

・メニューの○○が人気のようだ

【良い点】

飲食店〔○○店〕

・イタリアンを提供し、SNSをきっかけに○○が話題のお店

・ランチメニュー数は○○、ディナーメニュー数は○○

・ランチ時のお客様数○○、ディナー時のお客様数○○

・テイクアウトはやっていないようなので、自身のお店でテイクアウトを取り入れる予定

思いついたことを箇条書にするのではなく、競合店となるため、自身の店舗とは違う点や、勝てる点を見つけることが重要です。競合店の特徴を見つけ、その特徴に勝てる自身の事業をまとめて記載すると良いでしょう。

⑨将来的なプロモーション(戦略や宣伝方法)

事業を行う上で必要な、新規のお客様、リピーターとなるお客様、常連のお客様、それぞれのお客様に向けた広告方法やキャンペーンなどを記載しましょう。

【悪い例】

・駅前でのチラシ配り

・店前の看板でキャンペーンの宣伝

【良い例】

・SNSを使用し、お店やキャンペーンの宣伝

・情報拡散をしてくれた方への次回サービス

・駅前でのチラシ配り(チラシの中にSNSのQRコードを掲載)

・雑誌などのメディアにアプローチ

開業時に行ったことをずっとやり続けても、新たにできた競合店などに負けてしまうため、売上を伸ばす、お客様を増やすうえで、プロモーションを考えることは重要なことです。プロモーションは1つに限らず、複数のメディアを合わせて戦略を立てることで、将来性を感じてもらいやすくなります。

将来的なプロモーションを考え事業を行っていくことは、融資を受けるために必要なことでもあり、将来の自身の事業のためにも必要なことなのです。

⑩損益計算書

1ヶ月の売上高、必要となる経費、大体の利益などを表にまとめ、資料として作成しましょう。

【悪い例】

売上高:約80万円

経費等:約40万円

利益:40万円

【良い例】

■収益■

・売上高

・営業等の外収益

■出費■

・売上原価

・経費

  家賃

  給与手当

  光熱費

  広告費

  交際費

  消耗品費

  その他経費

・営業外費用

■利益■

・残利益

「売上高が大体このくらいで、利益はこのくらいだろう」のように、詳細が書かれていない目安は融資担当者からしたら “甘く考えすぎている” のように思われてしまい逆効果です。まとめる際には、経費でも経費の内訳を細かく記載し、どこにどれだけお金をかけていて、お金をかけていない部分がどこなのか、などが分かるように記載しましょう。

細かく分けて記載することで、事業目標も立てやすく、実際の利益が明確になり、足りないポイント等を見つけやすくもなります。

(株)SoLaboの資金調達支援

当サイトを運営する(株)SoLaboは、日本政策金融公庫からの融資実績が2,400件に上ります。申込時の提出資料の作成支援も行います。資金調達でお困りの際はぜひご相談ください。

SoLaboのサポート内容と手数料

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4.“別紙資料” 作成時のポイント

上記で説明した内容をただ別紙資料としてまとめても、効果は薄くなってしまいます。まずは自身が行う事業に関連している項目が何かを明確にしましょう。別紙資料の役割は、創業計画書でアピールできなかった項目や、数字の具体的な説明、事業の将来設計、などを記載し、返済が可能だということを示すことです。

たとえば、創業計画書の「8.事業の見通し」では、創業当時の売上高や経費を記載する欄と、1年経過後の金額を記載する欄があります。1年後の売上高は増えていることが大事だが、どのような経緯でそうなったのか、などの将来的なプロモーションを記載する欄は限られています。そのため、戦略や事業が発展する経緯などを別紙でまとめることで、面談時にも口頭で説明しやすくなります。

売上を生み出すことが出来る事業者に対して、融資担当者も融資をしたら返ってくるという判断をします。別紙資料を作成する際には、創業計画書でまとめきれなかった具体的な数字、創業計画書で記載した数字の具体的な説明、事業発展の可能性があることのアピールなどを考えていくようにしましょう。

 

まとめ

融資申込時に別紙資料を作成することで、創業計画書でまとめきれなかった事業アピールや返済能力の可能性を提示することができ、結果的に融資額アップにつながります。

別紙資料に記載する内容は、事業に関連した項目に限り、自身の開業の想いをただ記載しただけの資料にならないようにしましょう。各項目の記載内容も、答えを書いたものではなく、口頭での説明が無くても良いように詳細を記載すると評価されやすくなります。

創業計画書だけでは説明できない内容を、別紙資料を通して融資担当者に提示するためには、具体的な数字や具体的な説明を盛り込んで作成していくことがポイントです。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup     » https://inqup.com/

【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。