資金調達とは?11個の方法とメリット・デメリット

資金調達とは?11個の方法とメリット・デメリット 更新日:2020.01.12 公開日:2020.01.06起業のための資金調達 – 起業前に実施しておくべき準備
資金調達とは?11個の方法とメリット・デメリット

自分に合った資金調達はどれ?

「いいアイデアが浮かんだので起業したいけど資金が足りない」 そういった経験はありませんか?
せっかくのアイデアも急がないと他の人に先を越されてしまうかもしれません。
そのためには早めに資金調達をする必要があります。
今回は投資、融資(借入)など事業者が利用できる資金調達手段11個のメリットとデメリットを解説していきます。

資金調達手段によって、発生するリスクや注意点などおさえておきたポイントが異なるので、判断材料になれば幸いです。

1.資金調達とは?

資金調達とは、事業に必要な資金を様々な手段で調達することです。

事業を経営していくうえで、資金調達が必要になるタイミングは次のような場合が考えられます。

  • 新規事業での設備導入
  • 店舗の内装工事
  • 商品や材料の仕入れ
  • 人件費など

手元資金でまかなえればよいのですが、どうしても資金が足りない場合には何らかの方法で資金調達しなければなりません。

しかし、資金調達といっても様々な方法があり、個人事業主やベンチャー企業、中小企業など、会社の形態や状況によって有効な方法はまるで違います。

基本的に資金調達はデメリットも大きく気軽にできるものではありませんが、必要な時にはしっかり計画を立てて資金調達を行うことが大切になってきます。 

2.資金調達の方法 メリットとデメリット

資金調達にはたとえば、三つの手法があります。

資産を売ることで資金調達する方法、投資家に投資してもらい資金調達する方法、お金を借りて資金を調達する方法、の三つです。

それぞれに大きなメリットと軽くないデメリットがあるため、自分の状況と相談しながら最適な資金調達をしていく必要があります。

ここからは具体的な資金調達方法三つを、その方法ごとのメリットとデメリットを交えて解説していきます。

(1)資産を売って資金調達をする

資産を売る方法の中でも、細かく分けると以下の3つの方法があります。

  • ①単純な売却
  • ②リースバック
  • ③資産を担保に融資をしてもらう
①不動産や車などを売却する

最初の一つは資産を資金に変える方法、簡単に言ってしまえば資産を売ることで資金を得る方法です。実際には売却だけでなく、資産を担保にしての融資も含む場合があり、これらはひとまとめにして「アセットファイナンス」と呼ばれています。

資金調達の方法としては非常に簡単な点はメリットですが、売るものにはそれなりの数や価値がある必要はあります。不動産や車、商品の在庫といったものを売却するのがいいでしょう。

簡単なものでも数が多くなればそれなりの額にはなるので、メルカリなどのフリマアプリで少しでも高く売るようにすると意外と資金調達の役に立つこともあります。

総じて小規模な事業の方が向いている方法と言え、個人で起業を考えている方は利用を検討してみてください。

②リースバックで資産を手元に残す

完全に売ってしまう以外にも場合によっては「リースバック」という方法もあります。

リースバックというのは資金調達のために売却したものを、リース料を払って借りることで、資金調達しながらそのまま手元に置いた資産を利用し続けることができる方法です。

これならまとまった資金を得つつ、車や不動産といった資産を利用し続けることができます。資金に余裕ができれば買い戻すことも可能なので、一時的に資金が欲しいもののある程度見通しが明るい場合に利用しやすいでしょう。

とはいえリース料が払えなければ当然資産を利用することができません。また、リース料が必要な関係上、得られる実質的な資金が減ってしまうことも問題です。

比較的リスクは低く、小規模な事業でも比較的運用しやすい方法と言えるでしょう。

③資産を担保にして融資をしてもらう

リースバックと運用自体は似ている方法として、資産を担保にして融資を頼むものもあります。こちらは銀行などの金融機関が相手で、担保にした資産を運用しつつ資金を得ることが可能です。比較的高額の融資を引き出しやすいものの、返済できなかった場合のリスクは非常に高いものとなっています。

担保にした資産を失ってしまうだけでなく、その時点で担保の価値が下がっていたりした場合、大きな借金も背負う可能性があります。

他にあてがある場合は個人企業ともにあまりおすすめとは言えない方法です。

全体的に手持ちの資産が少なかったり、安かったりしていると目標の資金には届かない場合も多く、金額が安定しにくいのは大きなデメリットと言えるでしょう。

■資産売却

メリット

  • 非常に簡単
  • リスクは低い

デメリット

  • 得られる金額が安定しない

■リースバック

メリット

  • 売った資産を手元に残せる

デメリット

  • リース料がかかるので実質資金が減る

■担保融資

メリット

  • 融資金額が高くなりやすい

デメリット

  • リスクが非常に大きい

(2)投資家に投資してもらい資金調達する方法

2つ目は、投資家に投資をしてもらうことで資金調達をする方法です。こちらも大きく分けで4つの手法があります。

  • ①ベンチャーキャピタルに出資してもらう
  • ②エンジェル投資家に出資してもらう
  • ③クラウドファンディングで出資者を募る
  • ④新株を発行する

これらは「エクイティ・ファイナンス」と呼ばれる手法で、資金調達時によく利用されます。「エクイティ」とは「株式資本」を指す言葉で、基本的に株式を利用するためこう呼ばれています。

①ベンチャーキャピタルに出資してもらう

いわゆる投資ファンドの一種である「ベンチャーキャピタル」に出資してもらう方法です。

億単位のかなりまとまった資金調達ができる上に、出資してもらった資金は借りているわけではないので返済不要。また、出資してもらった金額は自己資本扱いにできる点もメリットと言えるでしょう。

ベンチャーキャピタルが狙うのはベンチャー企業やスタートアップ企業と呼ばれる高い成長が見込まれるタイプの企業なので、これらの会社を設立するなら出資を狙うチャンスがあります。

ただし、出資する金額が大きいだけにベンチャーキャピタルも審査には慎重なので、ベンチャーキャピタルに出資してもらうことを狙うなら、しっかりと成長戦略と実現性の高いプランを考えていきましょう。

②エンジェル投資家に出資してもらう

こちらはエンジェル投資家と呼ばれる個人の投資家に出資してもらう方法です。

金銭面以外にも、投資家に投資してもらえた、という時点で投資家からは将来性があると評価されたことにもなるため、後々銀行などからも融資が受けやすくなるようアピールができます。他にも株主となった投資家が経営に噛むことで投資家の人脈や経験などを利用させてもらえることもあり、企業側にもメリットがある関係を築くことができる可能性もあります。

半面、株式の配当政策を考え、株主である出資者に供給する必要が出てきます。出資してくれる以上エンジェル投資家にも利益が出るようなリターンをしっかり考える必要があります。

こちらもベンチャーキャピタル同様、成長性のあるまだ若い企業がターゲットになることが多くいため、エンジェル投資家からの融資を狙うなら起業時点から戦略的に狙っていくといいでしょう。

③クラウドファンディングで出資者を募る

3つめはクラウドファンディングで出資者を募る方法です。

クラウドファンディングとは、事業計画を公表し、それに対して出資してくれる人を広く募集する資金調達法です。

広く浅く資金を集める方法のため、一般の方も気軽に出資してくれやすい一方、クラウドファンディングをやっていること自体を知ってもらう努力や、人をひきつけやすいエンターテイメント性、独自性など、他の資金調達法とは一風変わった広報活動が必要となります。

また、比較的気軽に募集をかけられるため、自信があるなら小規模な企業や個人でもチャレンジできる点は魅力的です。

デメリットとしては、クラウドファンディング開始時点からリターンを提示しておく必要があることと、出資者全員にリターンを提供する必要があること。また、クラウドファンディング会社に大きな手数料を取られてしまうことです。

また、事業計画を公開してしまう性質上アイデアを盗まれてしまう可能性がある、ということもリスクとして頭に入れておく必要があるでしょう。

④新株を発行して株を買ってもらう

新株を発行し、株券を買ってもらうことで資金を調達します。

方法としては株式会社では一般的でシンプルな方法と言えます。

とはいえデメリットはあり、株式をあまり発行しすぎても外部の株主比率が高くなり、株主が経営にどんどん口を出してくるようになってしまうため経営の意思決定がしにくくなってしまいます。

それだけならまだしも、株を買い集められたりすれば買収や合併をされてしまうという大きなリスクも負うことになります。

■ベンチャーキャピタルに出資してもらう

メリット

  • 一度にかなりまとまった額が手に入る
  • 返済不要で自己資金が増加する
  • 経営もアドバイスをしてくれる

デメリット

  • 審査を通るまでが非常に厳しい
  • 将来的には株式会社の形態が必須

■エンジェル投資家に出資してもらう

メリット

  • 審査がなく出資までが早い
  • 返済不要で自己資金が増加する
  • 金銭面以外にも投資家と協力できる

デメリット

  • 出資者へのアフターケアが必須
  • 金額は比較的抑え目

■クラウドファンディング

メリット

  • 一般の人からも比較的手軽に資金を集められる
  • 返済不要で自己資金が増加する
  • クラウドファンディング自体を広告代わりに使える

デメリット

  • 出資者へのリターン品を用意する必要がある
  • 広報活動をしないと出資者を集めにくい
  • アイデアをマネされる可能性がある
  • クラウドファンディング会社に高い手数料を払う必要がある

■新株を発行して株を売る

メリット

  • コストがほとんどいらない
  • 返済不要で自己資金が増加する
  • 比較的手軽にできる

デメリット

  • 株主に配当を用意する必要がある
  • 買収、合併の危険性が高まる
  • そもそも株式会社でないとできない

(3)お金を借りて資金を調達する方法

3つめはお金を借りて資金を調達する方法です。これは先ほどのエクイティ・ファイナンスと対になっていて「デット・ファイナンス」と呼ばれます。「デット」とは「負債」の意味で、資金を借入れることからこう呼ばれています。

ある意味で最も身近な資金調達方法であり、比較的手軽と言えば手軽な資金調達方法でもありますが、借りるということは当然利息を含めた返済義務がありますので、しっかり期日内に返済する計画が必須となります。

こちらも細かくはいくつかの種類に分けることができます。

  • ①家族や知人からお金を借りる
  • ②銀行から融資を受ける
  • ③自治体の制度融資を利用する
  • ④日本政策金融公庫から融資を受ける

全体的にエクイティ・ファイナンスと違って株主の配当政策や経営への介入を考慮する必要がないので、会社の経営自体は自分の思った通りにできます。

ただしあくまでお金を借入れる方法のため、返済計画や成長戦略がしっかりしていないとそもそも審査時点で落ちてしまいお金を借りることができなかいほか、借りることには成功しても返済できずに大きな借金が自分に降りかかってしまうこともあります。

①家族や知人からお金を借りる

まずは比較的簡単な方法として、家族や友人からお金を借りる方法が挙げられます。

メリットとしてはその手軽さ。やはり関係が近い、さらに個人ということで、すぐにお願いしやすい、というのが最大のメリットです。

半面融資金額としては低くなりやすく、資金面では手助け程度にしかならないことも多いのがネックです。

また、知人や家族から借りた場合、しっかり返さないと人間関係に大きなダメージを残す場合もあります。企業には人脈も大きな財産であるため、そこにダメージが残るのは非常によくありません。

総じて、個人事業主や中小企業と言った小規模な企業向けの方法です。

②銀行から融資を受ける

2つ目は銀行から融資を受ける方法です。

銀行からの融資は比較的金額が高くなりやすく、融資を受けることができれば事業へのプラスは大きいものとなります。また、他の金融機関に比べて審査スピードが速いという点もメリットになります。

しかし、銀行からの融資は基本的に創業から三期以上経っていないと審査を通過できず、審査を受けることができないため、創業時や創業直後ではあてにできません。また、三期を過ぎても融資の審査自体が非常に厳しく、返済の見込みが大きい、と判断してくれないとなかなか融資をしてくれません。また、金利も高い為なかなか返済が厳しくなってしまうこともあります。

総じて比較的大きな企業でないとそもそも融資してくれる可能性が低かったり、返済がきつかったりといったデメリットが目立ちやすくなってしまうため、基本的には他の融資を狙う方がいいかもしれません。

③自治体の制度融資を利用する

自治体の制度融資は第一に非常に金利が安いというメリットがあります。また、貸してくれる先が自治体なので非常に安心できるということや、創業自体を手助けする融資制度のため、銀行のように企業実績を重視しないという点もうれしい点です。

半面、審査機関が長く、融資までには早くても2カ月程度の時間が必要で、自治体が直接融資する関係上自治体によっては融資を受けられる金額がかなり限られてしまいます。

また、審査自体にも信用保証協会、という団体に信用保証を頼まなければならないという問題があります。信用保証自体は返済ができなくなった場合、一時的に代理で返済してくれる、というありがたいものなのですが、利用する対価として信用保証料という費用が掛かってしまうので、こちらも難しい問題となるでしょう。

④日本政策金融公庫から融資を受ける

最後は日本政策金融公庫を利用する方法です。

日本政策金融公庫は国が100%出資している会社で、日本経済の成長や発展を後押しする役目を負っている機関です。

銀行と比較して審査が緩く創業二期以内でも利用が可能、担保や保証人が必要なく、金利も2%程度と低金利、返済期間も緩め、とかなり起業者にとって有利な条件が揃っています。

創業時にも融資してくれるため、スタートアップの資金調達なら日本政策金融公庫の創業融資制度を利用するのがいいでしょう。

以上のようにメリットが大きいとはいえ審査があり、事業計画書や面接がしっかりしていないと融資が受けられない可能性もありますし、融資までの時間も1か月半程度かかってしまいます。

そこで「認定支援機関」に書類作成や面談などのサポートを頼むことで、融資を受ける確率を大きく上げることができるほか、融資までの時間を短縮、よりランクの高い融資制度を受けられる可能性も上がります。

日本政策金融公庫に融資を頼む場合はぜひ利用するといいでしょう。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLaboは、融資のサポート実績が4,500件を超える認定支援機関です。日本政策金融公庫の融資に関して質問や不安がある人は、まずはお気軽に当社にお問い合わせください。

日本政策金融公庫から融資を受けられる?
無料診断

電話で無料相談
【受付】平日9:00~19:00

■家族や友人からお金を借りる

メリット

  • 個人でも資金調達しやすい
  • お金を借りるまでの時間が非常に短い

デメリット

  • キッチリした返済計画が必須
  • 返済が上手くいかないと人間関係にも亀裂が入る
  • 大きな金額は借りるハードルが高め

■銀行から融資を受ける

メリット

  • 借りられる金額が大きい
  • 融資が下りるまでの時間が短め

デメリット

  • 返済できなかった時のリスクが大きい
  • 審査が非常に厳しいため融資確率が低い

■自治体の制度融資を利用する

メリット

  • 企業実績が少なくても融資してもらいやすい
  • 金利が低い

デメリット

  • 大きな金額は借りにくい
  • 融資までにかかる時間が長い
  • 信用保証料がかかる

■日本政策金融公庫から融資を受ける

メリット

  • 創業時でも融資を受けやすい
  • 無保証低金利で利用可能
  • 国が経営しているので安心
  • 比較的大きな金額も借りられる
  • 返済期間期限が長い

デメリット

  • 銀行などに比べると融資に時間がかかる
  • 大きな金額は借りるハードルが高め

まとめ

個人や小さな会社、スタートアップ時点でもある程度大きな額の資金調達がしやすい、という点で言えば日本政策金融公庫からの新創業融資制度を利用するのをおすすめします。

事業計画書や面接など、不安がある場合でも「認定支援機関」を利用すれば手厚くサポートしてくれますので、融資を受けられる確率がぐっと上がります。

また、すでに事業が軌道に乗っており安定した売上があるのであれば民間の銀行などから融資を受けられる可能性もあるでしょう。

資金調達方法にはそれぞれメリット、デメリットがありますので、自分に合った方法を選ぶことが大切です。

資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

融資支援実績 6,000件超独立・開業・事業用資金の資金調達を
ソラボがサポートします。

  • 独立するための資金調達をしたい
  • 金融機関から開業資金の融資を受けたい
  • 手元資金が足りず資金繰りに困っている

中小企業庁の認定を受けた認定支援機関である株式会社SoLabo(ソラボ)が、
あなたの資金調達をサポートします。

ソラボのできること

新規創業・開業の相談受付・融資支援業務、既存事業者の融資支援業務(金融機関のご提案・提出書類作成支援・面談に向けたアドバイス・スケジュール調整等)

今すぐ融資の無料診断