資金調達の方法を真面目に比較しわかった資金調達の特徴と付き合い方

資金調達の方法を真面目に比較しわかった資金調達の特徴と付き合い方 更新日:2019.08.04 公開日:2019.07.25起業のための資金調達 – 起業前に実施しておくべき準備
資金 調達 方法 比較

あまり重要視されていない方もいますが、事業を始めるにあたりどの資金調達方法にするかを検討するのは非常に重要です。

なぜなら、身の丈に合っていない資金調達方法を選択すれば時間を無駄にしますし、最悪の場合は資金繰りに失敗して事業をたたまなくてはいけなくなるからです。

まず、資金調達にはどのような方法があるのかを理解しましょう。その上で、それぞれの資金調達法のメリットだけでなくデメリットも同時に知りましょう。「返済しなくていいから、補助金で資金調達する」なんて安易な発想は消えるはずです。

 今回の記事では、資金調達のすべての種類と特徴をご紹介します。あなたが最適な資金調達の方法を見つけられる一助となれば幸いです。。

 1.事業で資金調達する方法はざっくり4つに分けられる

個人的な借入の話はこの記事ではしません。今あなたがビジネスのために資金調達する場合、資金調達の方法は①直接金融②間接金融③それ以外④売掛金の資金調達の4つに分けることができます。

 ①直接金融(Equity Finance/ エクイティ ファイナンス)

直接金融は別名エクイティ ファイナンス(Equity Finance)とも呼ばれます。Equityは英語で株式資本という意味があります。そのため、直接金融とはあなたの事業が株式の発行や新株の予約券の発行などをすることでお金をもらえる資金調達の方法です。

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直接金融であなたの会社にお金を渡してくれる(出資する)相手は、主に以下です。

  • ①個人投資家
  • ②ベンチャーキャピタル(VC)
  • ③コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)
  • ④エンジェル投資家
  • ⑤親族・知人

 補足しますと、②のベンチャーキャピタルは個人投資家・事業会社・信託銀行などから資金を集めファンドを形成し、ファンドの資金をベンチャー企業に出資して利益を得る会社です。③のコーポレートベンチャーキャピタルも似ていますが資金の集め先は事業会社のみに特化しています。

 ⑤の親族・知人からの出資は上記の出資者の中で最も難易度の低いと思われる出資です。「お金ちょうだーい」と言って親や知人からOKさえもらえば、すぐにお金をもらえるかもしれないのですから。しかし、親や知人はしょせん個人です。①~④からの出資と比較し、最も出資額が低い(何千万円もの出資は不可能)のも親・知人です。

 直接金融は信用と将来値上がりする価値を元に取引されるため、あなたが発行する株式と債券に信用と将来性という二つの価値がある場合に有効です。 

事業者にとっての直接金融のメリット

事業者にとっての直接金融のデメリット

株や債券の発行で返済不要のお金を受け取れる

事業が成熟していない時期は使えない

自己資本比率が高まる

出資してくれたVCや個人投資家への配慮が必要

利息を支払わなくてよい

出資者に事業を乗っ取られる可能性がある

 ②間接金融(Debt Finance/ デット ファイナンス)の資金調達

間接金融とはお金が欲しい人とお金を渡したい人の間にもう一つ第三者が介入するタイプの資金調達です。銀行から融資を受ける場合、銀行からお金を直接借りているから直接金融じゃないの?と思われるかもしれませんが、銀行のお金の出どころは元々私たち預金者です。銀行が融資をする場合は、預金者と融資をしたいあなたとの間に入る仲介業者という立ち位置となります。

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間接金融であなたの会社にお金を貸してくれる相手は、主に以下です。

  • ①地方銀行
  • ②都市銀行
  • ③証券会社・信託銀行
  • ④賃金業者(アコム・アイフルなど)
  • ⑤日本政策金融公庫

 間接金融の場合は融資や借入での資金調達ですので、返済しなくてはいけない点が最もネックです。けれども、一つ目の直接金融は事業がある程度まで成功している(年商1億円程度~)ことが前提の資金調達の方法ですので、直接金融が使えない事業者の方は必然的にこちらの資金調達を選ばざるを得ないのではないでしょうか。 

事業者にとっての間接金融のメリット

事業者にとっての間接金融のデメリット

株主や投資家への配慮が必要ない

審査のために書類を揃え面談を受けなくてはいけない

自己資本比率が高まる

利息を支払わなければいけない

事業のスタート時でも利用は可能

仲介会社への手数料が発生する

 また、間接金融ではいずれも利息を支払わなければいけませんが、裏を返せば利息を支払うという対価により直接金融よりもお金を得ることの難易度は下がっています。また、上記⑤の日本政策金融公庫のように政府系の金融機関であればいま(2019年7月)融資の年率は2.3~2.5%と非常に低金利です。

 ③その他の資金調達

(1)クラウドファンディング

ネット上にあるクラウドファンディングサイトを経由し、プロジェクトに賛同する人からお金を集めるタイプの資金調達法です。事業者がプロジェクト賛同者への返済を不要とするクラウドファンディングには寄付型・購入型があり、返済を必要とするクラウドファンディングは貸付(融資)型・ファンド型・株式型があります。

事業者にとってのクラウドファンディングのメリット

事業者にとってのクラウドファンディングのデメリット

ネット上で気軽に資金調達できる(面談なし)

クラウドファンディングをやる人が非常に多いので、プロジェクトが目立つためには努力や工夫やセンスが必要

自分の趣味や個性を生かした自由な発想でプロジェクトを立てられる

プロジェクト賛同者の一人一人の出資額が低いため、多くのプロジェクト賛同者を得ないと希望の金額を資金調達できない

5つの型(寄付型~株式型)まで様々なタイプの資金調達を選べる

クラウドファンディング運営会社に高い手数料(10~20%)を支払わなければいけない

 ここ数年、ますます日本で浸透しているクラウドファンディングですが、ネックは手数料の高さです。自分一人で融資や出資をしてもらう場合とは異なり、クラウドファンディングではクラウドファンディングの運営会社(READYFOR株式会社など)がお金を出したい人を集めるサイトを作成・運営するというお膳立てを用意してくれています。いわば、他人の土壌で勝負をする訳です。他人が用意してくれた場所を使うためにお金がかかるのは必然ですね。 

(2)助成金/補助金

資金調達として外せないのは、助成金/補助金の存在です。しかし、メインの資金調達方法としてではなく、あくまでサブの資金調達方法として考えておきましょう。

 なぜなら、助成金は厚生労働省が対象事業者に対して給付していますが、主に助成金をもらえる条件は事業内の従業員の雇用を改善した場合や障がい者:高齢者・若年者などを新たに雇用した場合など雇用に特化したものがほとんどです。事業をするためのお金がない事業主は、従業員の労働条件を改善する余裕や高齢者・障がい者・若年者を積極的に雇用する余裕はないはずです。

 【助成金の名称一覧(一部)】

  • 東京都正規雇用転換安定化支援助成金
  • 両立支援等助成金
  • ボランティア休暇制度整備助成金
  • 地域雇用開発助成金 

助成金を受け取るには、あなたが雇う従業員の給与を上げたり雇用期間を延ばしたりするためお金がかかります。そのお金を助成金としてキャッシュバックされたとしても、残るお金はないので事業の運転資金として結果的には使えません。

 また、補助金についても同様の理由です。補助金の採択率は助成金よりもっと低いことで有名ですが、もし補助金の審査に受かったとしても、最初にあなたがお金を払って補助金の対象となる設備などを購入し、キャッシュバックされるのが補助金です。お金がないと、ほとんどの助成金と補助金はもらえません。(※創業融資補助金と小規模事業者持続化補助金は除く) 

事業者にとっての助成金/補助金のメリット

事業者にとっての助成金/補助金のデメリット

返済不要のお金が受け取れる

出したお金に対してのキャッシュバックだから、今お金がない事業主は利用できない

利子の支払いがない

提出書類の種類が多く、ルールを理解するのが少々難解

 

 (3)リース

リースとはコピー機など数年以上使うための固定資産をリース会社が買い上げ、事業者とリース契約することで事業者は毎月数千円~の少額を支払うことで借りる形態の資金調達です。 手元の現金を大きく失うことなく固定資産を得られるのがリース契約の最大のメリットで、飲食店や建築業などリース契約を上手に使っている事業者は多いはずです。 

事業者にとってのリースのメリット

事業者にとってのリースのデメリット

一括で多額の資金を支払う必要がない

固定資産の一括買上よりも支払い総額が高くなる

毎月少額の支払いで、大きな固定資産を得ることが可能

リース契約は途中解約できない

 資金繰りとしては効果的なリースですが、契約した機器が必要なくなっても契約期間はリースの分割代金を支払い続けなければいけないというデメリットもあります。

④売却による資金調達

(1)ファクタリング

売掛金・債券の売却をすることで資金を対価として得るのがファクタリングですので、あなたが他社へ何かを売った事実や証拠書類、他者があなたへお金を借りている事実や証拠書類がないと利用できない資金調達法です。 

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事業者にとってのファクタリングのメリット

事業者にとってのファクタリングのデメリット

資金調達のスピードが速い

売掛金や債権がない場合は使えない

保証人・担保不要

手数料が15~20%以上と高額

借入ブラックの人でも利用できる

売掛先に信用がない場合は利用できない

 ファクタリングのデメリットとしてはもう一つ、売掛先の信用がない場合は審査に落ちる可能性が高い、という点があります。例えば、あなたがAという会社に対し債権を持っているとして、会社Aの社会的信用度が低い場合は、ファクタリングに申し込んでも審査に落ちる可能性が高いのです。 

(2)資産の売却(M&A)

今あなたが持っている資産(不動産など)を売ることも、資金調達法の一つです。他の資金調達法のように審査がないのが最大のメリットですが、売る資産がない場合は利用できないのがネックです。

事業者にとっての資産売却のメリット

事業者にとっての資産売却のデメリット

仲介手数料を支払わなくていい

売却することによる税金がかかる

利子を支払わなくていい

売却に時間がかかる、売れない場合がある、タイミングで得られる金額が異なる

 2.資金調達は返済あり・なしや借りやすさで判断せず事業の成熟度で判断すべき

以上、非常に長くなりましたが、ざっと資金調達の種類と特徴とメリット・デメリットについてお話しました。お気づきかと思いますが、資金調達に種類はいくつかあっても、あなたが申込みできるものとできないものがあります。

 例えば、直接金融であれば最低でも年商1億円以上の会社でないと問題外扱いされ、助成金は事業をきちんと行えていて従業員を雇っていること、などの諸条件があるからです。そこで、資金調達を以下のように事業のステージごとに考えてはいかがでしょうか。

  •  1.事業や会社の開業時はまず自己資金で足りない分を間接金融で融資を受けてスタート
  • 2.事業が乗ってきたら直接金融に切り替え
  • 3.従業員や会社の規模が大きくなってきたら、助成金と補助金にチャレンジ
  • (※創業補助金と小規模事業者持続化補助金は1.と2.の間でも申し込みは可能です)
  • 4.事業の特色によって、ファクタリングやリースを効果的に利用し、資金繰りを上手にコントロールする

 事業がまだスタートしてもいないのに助成金を調べまくる。事業として株式を販売できるレベルでないのに直接金融の記事を読みまくる。これは知識を深める一助にはなりますが、事業には直接関係ありません。

遊びで事業をしないのであれば、まずは事業計画と自己資金を貯めて創業融資を受け、事業が軌道に乗ったら別の資金調達法を組み合わせるという方法がオススメです。

まとめ

 資金調達の方法について特徴やメリット・デメリットをお伝えしました。種類に違いはあれど、いずれのお金を得るには事業主への信用や事業の将来性などの価値があることが必須ですね。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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