会社設立完全ガイド!会社設立の疑問や不安をすべて解決します

会社設立完全ガイド!会社設立の疑問や不安をすべて解決します 起業のための資金調達 – 起業前に実施しておくべき準備
会社設立完全ガイド!会社設立の疑問や不安をすべて解決

会社を設立したい。でも何から手をつけていいのかわからない。
そんな悩みをお持ちではありませんか?

会社を設立するにあたって、決めなくてはならないことがたくさんあります。
しかし、どれも特別難しいことではありません。
自分が会社を立ち上げて何をしたいのか、しっかりと目的を持っていれば、すべて手順に沿って進められます。
これから起業しようと考えている方は、会社設立に関する必要な情報をまとめましたので、不安や疑問を解消しビジネスを大きく成長させていきましょう。

1.まずはどのような会社を設立するのか決めましょう

ご自身の現在の状況や目的と照らし合わせて、まずはどのような会社にするのか、次の基本情報を決めていきます。

2.会社設立にはどのくらいの期間が必要?費用はいくらかかるの?

最初に、会社設立にかかる期間と費用を押さえておきましょう。

すべての手続きを自分で対応する場合と、専門家に依頼する場合とでは費用が変わってきます。

(1)会社設立にかかる期間は?

自分で手続きをする場合は平均してのべ80時間かかる

おそらくほとんどの方が会社設立手続きを行うのは初めてでしょう。

わからないことをひとつひとつ調べながら対応したり、自ら登記に赴いたり、と手続きそのものに時間がとられてしまいます。

そのため、個人差はありますが、手続きのための作業に80時間ほど費やすことになるでしょう。

(2)専門家に依頼すると最短で1日

起業するからには、本来のビジネスにかける時間を確保したいですよね。

自分自身で決めておくべき会社名や本店の住所、資本金など必要なところをしっかり決めて必要書類を準備しておき、実際の手続きや届け出は会社設立やお金のプロである専門家に依頼した方が、時間的なメリットが大きいです。

1~2時間程度の面談により簡単なヒアリングが済めば、後の手続きはすべて専門家が対応してくれます。

会社印や発起人の印鑑、印鑑証明、資本金振込通帳のコピーは自分で用意する必要がありますが、必要書類を準備しておくことで最短1日での会社設立が可能です。


(3)会社設立にかかる費用は?

①自分で設立する場合

自分で設立する場合は、公証役場などに支払う手数料の実費や税金以外に費用は発生しません。

②専門家に依頼する場合

専門家に依頼した方が安いので驚かれた方もいるかもしれません。

その理由は、専門家に依頼すると、紙の定款ではなく電子定款で手続きを行うため、通常必要な定款印紙代や定款の認証手数料がかからなくなるからです。

専門家でなくとも電子定款の作成は可能ですが、専用の機器を用意したり、特別なソフトウェアを使ったりしなければいけないため、かえって時間やお金がかかってしまいます。

3.会社設立のために自分でやっておくべきこと

 (1)必ず自分で決めておく10項目

会社を設立するために、自分で決めておかなければいけないことは次の10個です。

これは、自分で会社設立の手続きをする場合でも、専門家に依頼して会社設立する場合でも変わりません。

①会社名の決め方

覚えてもらいやすい会社名をつけることが大切です。

難しい漢字や読み方がわからない当て字などは避けた方がよいでしょう。

覚えてもらいやすい。わかりやすい。聞き取りやすい。

この条件を満たしているかどうかが、会社名を考える上で大事なポイントです。

また、商品名やブランド名、事業内容をそのまま会社名にするのもひとつの手でしょう。

ただし一点注意が必要です。

例えばSONYやトヨタなど知名度の高い会社と同じ商号は、商標登録等の関係で認められていませんので、事前に確認しておきましょう。

あわせて事業目的と商号が同じである「類似商号」の場合、同じ住所に登録することはできませんので、気をつけてください。

②資本金の決め方

業種ごとに異なりますが、目安として半年間会社を運営していけるだけの資本金を設定しておきましょう。

資本金の相場は300万円から1,000万円です。

2006年に施行された会社法で、資本金が1円でも会社設立が可能になりましたが、1円で起業することはお勧めしていません。

資本金は会社がビジネスを円滑に進めていくために必要な、基本となる「財産」です。

会社はこの資本金をもとに、運用し、利益を上げることで社会に貢献していくのです。

資本金から会社の運営に必要な事務所や倉庫などの不動産契約、パソコンや机などの事務用品、ほかにも従業員の給料や家賃など、さまざまな費用がかかりますので、事業が軌道に乗るまでの運転資金として適切な額に決めましょう。

③事業目的の決め方

結論から言うと、どんなに多くても事業目的の数は10種以内が望ましいです。

事業目的を後から追加しようとすると登録免許税が3万円もかかりますので、後から書き直す必要がないように「いつかはやりたいな」と思う事業は何でも入れておく、という考えもあります。載せたからといって必ずその事業を行う必要はないので、間違った方法ではありません。

ただし、あまりにも盛り込みすぎて客観的に「何がしたい会社なのか?」と見られると不利です。

そんな会社に金融機関は、積極的に融資の話を進めようとは思わないでしょう。

また、事業目的が不明な場合には、不動産の賃貸借契約を断られるケースもあります。

これらを踏まえて、事業目的は10種以内に絞るようにしましょう。

④株主構成の決め方

会社の経営権を確保するために、社長本人が株式の過半数を保有しましょう。

仮に社長が50%超保有していないと、経営権を掌握できず会社を乗っ取られるリスクが出てきます。

もちろん100%の保有率がベストですが、さまざまな理由で複数の方から出資を受けることもあるかと思います。

他に発起人がいたとしても、あなた自身が大株主であれば、経営にあれこれ口出しされる心配はないでしょう。

⑤役員構成の決め方

まず最初に代表取締役を決める必要があります。会社の顔ですね。

次に会社の経営に関わって業務を行う取締役を決めます。

創業したばかりの会社は、取締役が社長1人しかいないこともよくありますが、このケースでは社長が代表取締役です。

監査役や会計参与は置かなくてもOKです。

⑥所在地の決め方

株式会社を設立する際には、「本店の所在地」を定款で定めなければなりません。

「本店」と聞くと店舗をイメージされる方も多いのではないでしょうか。実際はビジネス用語でいうところの「本社」にあたります。

会社の登記をする本店所在地については、番地や号まで記載せず最小行政区画(市区町村)まででOKです。

例)東京都千代田区五番町1-9 ⇒ 東京都千代田区

最小行政区画にしておけば、将来ビジネスが軌道に乗り、オフィスが手狭になって引っ越しする場合でも「千代田区」の範囲内であれば定款を変更せずにすみます。

⑦設立日の決め方

設立準備がすべて整えば、いつでも設定することが可能です。

 “日付にこだわりがなく出来る限り早く設立が出来る日”を選ぶ方と、誕生日や好きな数字など“ご自身の特別な思い入れのある日”に設定する方のどちらかにわかれるでしょう。

自分で好きな日を設立日にしたいと考えている方は、土日祝日は法務局の窓口が開いていないので、設立日に出来ないということを覚えておいてください。

また、設立日は一度決めると後から変更はできませんので、良く考えてから決めましょう。

⑧決算月はいつにしたら得?

決算月を上手く設定することで、消費税の免税期間を最長にできます。

1期目は原則として免税されるので、まずは1期目を最長にすることを考えましょう。

例えば、会社の設立が1月なのであれば決算月は12月にするとよいです。

次に、1期目の前半6ヵ月間の「売上」または「給与総額」のどちらかを1,000万円 以下に抑えましょう。そうすることで2期目は免税となります。

また、1,000万円以下に抑えるために、1期目をあえて短くする方法もあります。

⑨発行可能株式総数の決め方

最初に発行する株式の1株あたりの価格を決めます。

株式の価格に上限は特にありませんが、1万円または5万円に設定するのが一般的です。

 

発行可能株式総数は次の式で求めることができます。

発行可能株式総数 = 資本金 ÷ 1株当たりの株式の価格

ただし、無制限に株を発行できてしまうと、知らぬ間に経営権を握られてしまう事態も考えられますので、今後どの程度、増資する可能性があるかを基に決めていきましょう。

⑩役員の任期の決め方

取締役が1人の場合、手続きを簡素化するため、任期は最長の10年にしておくと良いでしょう。

役員の任期は2年(監査役は4年)から10年の範囲内で自由に設定が可能です。

任期満了時は、役員を続投するケースでも辞めるケースどちらであっても、法務局で手続きが必要です。

手続きにかかる費用が1回に付き1万円なので、任期が長いほど登記費用を抑えられます。

(2)自分で会社を設立する場合、さらに必要な6つの作業

自分で会社設立する場合、上記の作業も自分で行う必要があります。

「自分で設立した方が、会社設立の実感が湧くから自分でやる!」という方もなかにはいらっしゃいますが、自分で会社を設立した場合のデメリットとして、次のことが挙げられます。

・ミスが増える

・定款電子認証等の関係で40,000円程度、費用が多くかかる

・手続きに関して調べるのに時間がかかる

そのため、設立の事務作業は専門家に任せて、経営者として事業を行っていく上で遭遇するさまざまな意思決定に時間を使うことを選ぶ方が多いようです。

4.会社設立のQ&A

(1)株式会社と合同会社に関する疑問

①株式会社と合同会社はどうやって選ぶ?

実際に会社設立をした経営者の方の感想を比較すると、下記のとおりです。

将来的に会社の規模を拡大させていくことを考えている方は株式会社、とにかく安く会社設立がしたい、家族での経営を考えている方は合同会社を選ぶ傾向があるようです。

②株式会社と合同会社の主な違いとは

大きな違いとして、株式会社は社会的な信用度が高いため、その分だけ出資者を募って資金調達することに有利であったり、取引先とのやり取りもスムーズに進んだりするという点です。

一方、合同会社は、出資者間の合意があれば意思決定を行うことができるため、迅速かつ柔軟な経営を行うことが可能である点がメリットです。また、設立料金も安くすみます。

③法人口座を作りやすいなどの違いはある?

株式会社と合同会社は法人格がありますので、どちらの場合でも会社名で銀行口座を開設することや取引することが可能です。

株式会社と合同会社のどちらが有利不利ということはありません。

ちなみに銀行では個人の口座はその場でも作ってくれますが、法人の場合はそうはいきま せん。

口座開設に必要となる書類がそろうのが設立登記してから1週間、それから銀行が口座を作るまでさらに1週間から2週間はかかるのが一般的です。

しかも振込詐欺などで法人口座を悪用するケースが増えている影響で、金融機関は創業したばかりの会社の審査には慎重です。

特に都市銀行は審査が年々厳しくなっていますので、金融機関とは早めに会社として付き合いを始めておきましょう。

1ヵ所ではなく、複数の金融機関で口座を開設しておくことも大切です。

売上の入金のほかに、役員報酬を振り込んで個人の財産を管理する口座や、会社の運転資 金口座、給与振込口座など、目的別に利用します。

設立して間もない会社には、小さな会社向きのきめ細かな情報を持ってきてくれる上に、会社の事情にも臨機応援に 対応してくれる信用金庫がお勧めです。

④助成金や融資を受けやすい、受けにくいなどの違いはあるの?

助成金を受ける条件に法人であることが要件となっている場合、株式会社と合同会社は、 どちらも法人格のため、原則特に違いなく受けられます

(2)資本金に関する疑問

①資本金を決めるポイント

実際に最低でも必要とされる金額の目安が300万円です。

そのため資本金は300万円以上から設定するのがよいでしょう。

また資本金が1,000万円以上の場合、設立初年度から消費税が課税されるため1,000万円 未満に抑えた方がよいです。

だからといって、少額資本の設定もお勧めしません。

数十万円単位では、創業後すぐに債務超過になってしまうし、日本政策金融公庫などの金融機関から創業融資を受けたい場合、不利になります。

融資を検討しているのであれば、ある程度余裕を持った資本金額を設定しましょう。

(3)本店所在地に関する疑問

①自宅を本店にしてもよい?メリット、デメリットは?

すでに個人事業主で自宅兼事務所としてビジネスを行ってきて、法人化にあたり自宅を「本店」とすることは可能です。自宅の所有者がご自身で、本人さえよければ特に問題はありません。

ただし、賃貸の場合は注意が必要です。

賃貸契約上、法人には貸さないルールにしているケースもあるため、契約者の確認、仲介した不動産会社、家主さんに確認しましょう。

自宅を「本店」にすることのメリットとデメリットをまとめましたので、どちらにするかを決める際、参考にしてください。

②自宅がオフィスの場合、登記する住所を違う場所にできるのか?

レンタルオフィスやバーチャルオフィスの場合でも、会社登記の住所として使用可能なところがあります。

月数千円で借りることができ、入居条件もそれほど厳しくないので、初期投資を抑えられるという点がメリットです。

ただし、注意点もいくつかあります。

起業家支援施設として注目を集めているのが、インキュベーションオフィスです。

公益財団法人東京都中小企業振興公社など地方自治体や公的機関が運営するこれらの施設は、起業や創業を目指す入居者を支援する施設として、安価な価格で場所を貸したり、コンサルティングなど支援施策も提供したりしています。

レンタルオフィスやバーチャルオフィスなどに比べると、入居に一定の審査があったり、料金がやや高かったりするなどハードルは少し高めです。

しかし、本店の所在地を同センターに移転できたり、資金調達の支援を受けられたりとメリットもありますので、予算や今後の事業のことを考え、検討しましょう。

③会社の本店を移転する場合、登記費用はいくらかかる?

移転先が法務局管轄内と管轄外とで料金が異なります。

管轄外へ移転する場合には、移転先の新しい管轄法務局と移転前の旧管轄法務局の分で倍の費用がかかってしまいます。

(4)役員報酬・構成に関する疑問

①社長の給料はいくらにしたらよい?

自分で会社を設立した場合、社長の給与額は自分で決められます。

だからと言って、好きな金額を設定すればよいという訳ではありません。

そもそも会社は社会に貢献し、利益を創出することが目的です。

利益がまったく出ていないのに社長が高額な給料を確保して毎月赤字になるようでは、業績の悪い会社と認識され、銀行からは融資を断られ、社会的信頼を失う可能性もあります。

期が始まる時に年間の売上を算出し、一定の利益を計上した上で残り部分を社長の給料とするのがよいでしょう

ただし、社長の給料は一度決めたら一年間は途中変更ができませんので、よく考えて決めましょう。

ちなみに日本では、大企業から中小企業を含めたすべての会社社長の給与平均額は年収約700万円程度といわれています

②配偶者を従業員や役員にすると自分は得するのか?親族の場合は?

自分の配偶者や同世帯の家族を役員にした場合、節税効果が得られます

しかし、会社の法人税や個人の所得税を考慮したバランスを決めるのは、ベテランの社長でもかなり難しい作業です。

税理士など会計分野のプロに相談して決めるのが安心です。

 (5)役員報酬・構成に関する疑問

①税金面から考える社長の給料

社長に配偶者がいる場合、配偶者を役員にして、それぞれの収入を分けると節税が可能です。一世帯として見れば実質的な収入額は変わらないため、一人で給料を受け取るときと比べ、所得税と住民税が抑えられる分、節税できます。

 例えば、社長の年収1,500万円だったところを、社長900万円、社長の配偶者600万円とした場合、社長のみ(359万円)-社長+妻(154万円+74万円)=131万円の節税になります。 

・配偶者の預貯金や不動産取得等の財産を築ける

・配偶者の財産形成がされることで相続税対策になる

・配偶者の社会保険料のうち法人が負担する部分が損金になる

・配偶者が役員になることによる労災保険料の消滅

・厚生年金受給による老後生活資金の確保

 

・役員の退職金は損金になる

・退職金支給による老後の生活資金の確保

※役員の賞与は損金にできないので要注意

(6)個人事業からの法人成りに関する疑問

①会社を作ると税金ってどうなるの?法人化することで得られる税金のメリット

個人事業主の場合、事業で得た利益に対して所得税が課せられます。

所得税では所得金額が上がれば、税率も高くなっていきます。

一方、法人の場合、資本金が1億円以下で、会社の利益が800万円以下であれば、法人税は15%の一定です。800万円を超えると25.5%に上がります。

税率のメリットだけを考慮するのであれば、利益の金額によっては法人成りせず個人事業主のままがよいケースもあります。

②法人化することで被る税金のデメリット

法人化により個人の時には発生しなかった均等割りの法人住民税7万円が発生します。

この法人住民税は最低が年間7万円であり、事業規模が大きくなれば額も増えていきます。また、法人になると社会保険の強制適用事業所となり、社会保険料が発生

会社が株式会社であれば、毎年官報で公告する必要があり、その際にかかる費用約6万円の負担も増えます。この公告を怠った場合は100万円以下の過料に処せられます。

費用が発生する以外にも株主総会、役員の改選など実務的な負担もあります。

③法人化して自分の所得は増加するのか?

法人化したからといって額面的な所得はあまり変わらないかもしれません。

しかし、個人では受けられなかった手当が受けられることにより、節税で実際に手元に残る金額を増やすことが可能です。

詳しくは、後ほど節税に関する疑問で説明します。

(7)責任に関する疑問

①法人設立したら責任問題はどうなるの?

法人の責任については下記のとおりです。

例)AさんとBさんが合わせて1,000万円を出資して資本金1,000万円の株式会社を設立。

万が一、この会社が1,500万円の負債を抱えて倒産してしまった場合、

AさんとBさんの責任範囲は出資した1,000万円のみです。

当然ですが、会社が倒産したら出資した1,000万円は返ってきません。

例)AさんとBさんが合わせて1,000万円を出資。

万が一、この会社が1,500万円の借金をして倒産してしまった場合、

AさんとBさんの責任範囲は、

出資額1,000万円のみではなく、すべての債務に責任を持つ必要があります。

そのため、無限責任を認めている会社形態はほとんどありません。

(8)従業員に関する疑問

①従業員の給料と雇用形態はどう決めたら良い?

従業員の給料

最低賃金の基準をクリアしているか確認しましょう。

最低賃金法は、賃金の最低額を定め、雇用者はその金額以上の賃金を従業員に支払うこと を定めています。定められた最低賃金未満の金額で働くことを当人同士で同意しても、法 律により無効とされます。

最低賃金法は、正社員や契約社員、派遣社員、アルバイトやパートなど、雇用形態に関係なく適用されます。外国人労働者でも、労働基準法の適用がある労働者であれば、適用されます。賞与、時間外勤務手当は対象外です。

最低賃金は地域別、産業別に定められていますので、こちらのURLでご確認ください。

地域別最低賃金の全国一覧

特定最低賃金の全国一覧

地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合は、金額が高い方を適用します。

雇用形態について

これらの従業員とは雇用契約を締結し、保険の加入対象者となります

業務量や業務内容を考慮し、継続的に従業員が必要な場合は正社員、専門性は高いが期間限定といった場合は契約社員、一般派遣社員、1日数時間程度であればパートやアルバイトと検討してみるとよいでしょう。

またこれらの雇用契約とは別に、出来高に対して報酬を支払う「請負契約」もあります。完全歩合給制などが該当します。

請負契約は雇用契約ではないので、社会保険の加入対象になりません。

開業当初はいきなり従業員を雇うのではなく、請負契約で様子を見るのもよいでしょう。

ただ、いつまでも請負契約のままでは、会社も相手も不安定なままなので、業績が安定してきたら雇用契約に切り替えていくというのも一つの手段です。

②給与日はいつにしたらよいのか?

キャッシュフローから考える場合

会社経営者としてはキャッシュフロー上、会社のお金を少しでも長く手元に置いておきた いところ。取引先からの入金があり、仕入先への支払いを済ませた後に給与を支給するのがベストです

例えば毎月の締め日が末日で、月末に入金、支払いが行われる場合、給与の支払いは月末以降に行います。

業務効率から考える場合

月末月初は繁忙時期。

給与関連作業のように支払日をいつにするか調整可能なものは、初めから月末月初以外に 設定した方が効率的です。

例えば、給与の締めを末日にして、翌月10日支払いとすれば、他の業務など作業が集中することもありません。

業種ごとに月の繁忙時期は異なりますが、繁忙時期が終わる頃を締め日の目安として、締め日から10日後くらいに給与支払日を設定するとよいでしょう。

給与支払日は起業後であっても途中変更が可能ですが、就業規則の変更など手続きに多大な時間をとられます。また給料日は従業員の生活にも大きな影響を与えますので、途中で変えるとなったら会社の信頼にも関わってきます

なるべく途中で給料日を変えなくて済むように、会社に入ってくるお金と出ていくお金、業務の流れなどをよく見て、自分の会社にとっての最適な日に設定しましょう。

労働基準法(第24条)では、賃金の支払いに関する5つの原則を定めていますので、参考にしてください。

参考:賃金支払い5原則

③保険はどうするべき?どこに入ると良い?

会社を設立したことにより、次の保険への加入義務が発生します。

・社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)

・労働保険(労災保険、雇用保険)

業種や従業員の人数など、条件によって加入が必須の保険とそうでないものがあります。

社会保険

社会保険には、加入義務のある「強制適用事業所」と、加入が任意の「任意適用事業所」の2つがあります。

法人は「強制適用事業所」に該当します

仮に従業員がひとりもいない社長のみの会社であっても法人格であれば、社会保険の加入が義務づけられます。

また個人事業主の事業所だとしても5人以上の従業員がいる場合は、一部の非適用業種を除いて「強制適用事業所」です。

設立した会社で働く従業員が事業主のみの場合は、「社会保険」のみ加入すれば問題ありません。

労働保険は従業員を対象とした保険のため、事業主は加入できないからです。

社会保険には、健康保険・介護保険・厚生年金保険の3つがあります。

起業を決めたら所轄の社会保険事務所の窓口で、下記4つの用紙をもらってきましょう。 または日本年金機構の公式サイトからダウンロードできます。

この4つの書類は、会社設立日から5日以内に提出する必要があります。

またこれらの書類を出す際は、下記の書類もあわせて提出しなければなりません。

他にも会社を設立した直後には用意できない書類もありますので、いつまでに提出する必要があるのか窓口の担当者と相談しながら手続きを進めましょう。

社会保険の費用は会社が半分負担する

個人事業主の場合、従業員の社会保険料を負担する義務はありません。

一方、法人の場合は会社が半分負担することを義務づけられています

従業員を雇用していたら、「人件費」は給料に社会保険料の総額が加わります。

人件費総額は給料の1.5~1.8倍が目安です。年間の経費計画を立てる際、きちんと予算に組み込んでおきましょう。

家族が従業員の場合

法人化して自分の配偶者や子供も従業員にして給料を出す場合、それぞれに対しても健康保険料を支払う必要があります。

世帯単位で計算される国民健康保険よりも、保険料の総額が高くなる場合もあるので、手当のメリットも考慮してどちらがよいかシミュレーションしておくとよいでしょう。

労働保険

自分以外に従業員を雇用する場合は、労働保険への加入が法律上義務づけられています

一部の農林水産事業を除き、個人・法人問わず自分以外の従業員(パート、アルバイト含む) を雇用している事業主が対象です。

従業員が入社した翌日から10日以内に手続きを行う必要があります。

労働保険には次の2つがあります。

・労災保険

・雇用保険

労災保険

労災保険は会社で初めて従業員を雇い入れる時、所在地を管轄する労働基準監督署に下記の書類を提出する必要があります。

労働基準監督署で必要な書類を手渡してもらえるので、新規創業した会社で従業員を雇った旨を伝えましょう。

この他にも従業員を10人以上雇用する場合は「就業規則届」を提出する必要があります。

労災保険は会社単位で加入していれば、その後新しく従業員が入社しても自動的に加入することになるので、その後個別の届け出をする必要はありません。

雇用保険

雇用保険も労災保険同様、原則として会社に勤務する従業員は加入する必要があります。 ただし、雇用保険には加入条件があり、下記に該当する方は加入ができません。

届出の提出先は公共職業安定所(ハローワーク)です。

(9)会社を設立した後、不要な税金を払わないために押さえておくべき9つのポイント

①消費税の還付を受ける

課税売上高が1,000万円以下の免税事業者は、消費税の納税義務がなく、還付も見込めません。

ただし、今後大きな設備投資を予定しているなど、予定売上高より仕入れ等が大きくなるような場合は「消費税課税事業者選択届出書」を提出しておくことで、消費税の還付が受けられるようになります。

ここでひとつ注意しなければならないのが、この書類を提出して課税事業者になると、2年間は免税事業者に戻れませんので、予定売上高と仕入れ等にあまり差がない場合はよく検討する必要があります。

仕入れ等には次のものが含まれます。

・商品や原材料

・一般管理費などの支払い

・社用車や備品、建物や機械などの購入費

②役員給与は毎月同額に

役員の給与は、定期同額給与と退職金以外は、原則として損金になりません。

つまり夏や冬に役員に対して支払う賞与は、臨時の役員給与として損金には算入されない、ということです。

例えば、役員報酬として毎月50万円支払っている役員に対して、今年は売上がよかったからといって7月だけ100万円を支払うと、そのうちの50万円は損金扱いされません。

ただし、「事前確定届出給与」を利用することで、例外もあります。

事前確定届出給与とは、事前に確定した給与の金額を税務署に届出しておくと、その届出書に記載したとおりに臨時の役員報酬を支給すれば、その役員報酬は税務上の経費として認められるのです。

頑張ってくれた役員にボーナスを支払いたくても損金にならないため、渋ったこともある かと思います。

なお、届出は原則として、株主総会等でその旨を決議した日から1ヵ月以内か、事業年度 開始の日から4ヵ月以内のいずれか早い日です。

③印紙税を正確に記載する

契約書や領収書に消費税を区分した記載があります。

この区分を記載する理由は印紙税が関係しています。

消費税区分を区分けして記載しないと、その金額に丸々印紙税がかかってしまうのです

例えば、「請負金額1,050万円(消費税込み)」と記載すると、1,050万円に対し印紙税 20,000がかかります。

しかし、「請負金額1,050万円うち消費税額等50万円」と記載すれば1,000万円に対して印紙税がかかるだけなので10,000で済みます。

同じ金額だったとしても記載の仕方によって印紙税の金額が変わりますので、余計な費用がかからないよう、しっかりチェックしましょう。

④自動車税を節約する

自動車を新規で1台購入し、その自動車の付属品も購入しようと考えている場合、節税という観点からみると一括で購入しないという選択肢もあります

自動車には購入時に取得税がかかります。

一括で購入すると付属品も含めたすべての金額に取得税がかかってしまいますが、まず車を購入して取得税を支払い、その後追加で付属品を購入すれば取得税はかかりません。

⑤配当金の取扱い

役員の中には、上場株式や未上場の自社株などを保有しており、配当が入ってくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一般的に未上場株式については課税所得金額が900万円以下、上場株式の配当については330万円以下であれば申告した方が得です。

配当所得のある方は次のポイントをチェックしましょう。

配当を受け取る時点、上場株式で税金が源泉徴収されている

申告すると配当控除が受けられる

申告しなくてもよい制度があること

・上場株式の配当

・未上場の場合、1回に支払いを受ける金額が、「10万円×配当計算期間の月数÷12」で計算した金額以下

⑥その他節税につながる制度

経営者の方の中でもあまり知られていないのが「小規模企業共済」という制度です。

小規模企業共済は社員20名以下の会社の経営者であれば加入できます。

この制度は、個人事業主が事業を廃止した場合や会社の役員が役員を退職した際に共済金を受け取ったり、掛金の範囲内で事業資金などの融資を受けたりすることが可能です。

掛金は、「小規模企業共済等掛金控除」として課税所得金額から全額控除されるため、利益が出ているときは節税対策としても有効です

加入して掛金を支払うのはあくまで役員個人なので、給料に掛金分を上乗せして、そこから支払うことになります。

これによって役員の所得が増えるので社会保険料なども増加しますが、所得控除ができるため、会社の法人税が安くなるなど、全体で見ると節税につながります。

参考:小規模企業共済(中小機構)

⑦取引先の倒産によるリスクを防ぐ方法

連鎖倒産を未然に防ぐために設けられた「経営セーフティ共済」という制度があります。

この制度は事前に掛金を積み立てておくことによって、取引先が倒産したなど、不測の事態が起こったときに融資が受けられます。

また、掛金の全額が損金に算入されるので節税にもつながります。

加入後40ヵ月以上経過という条件はあるものの、解約しても掛金の全額が返ってくるので利益を繰り延べる決算対策として非常によい制度なのです。

掛金は5,000円~200,000円の5,000円単位で総額800万円までOK

加入後、6ヵ月以上が経ち、万が一取引先が倒産してしまい手形や売掛金の回収ができなくなった場合でも、掛金総額の10倍または回収不能となった金額のいずれか少ない方の融資を受けることが可能です。

⑧役員の交通費枠を活用した節税対策

従業員に支給する通勤手当は、一定額までは税金がかかりません。

これと同様に社長や役員にもこの非課税枠は適用されます。

よって、役員に対して役員報酬のみで通勤手当を支給していないケースでは、通勤手当部分は役員報酬とは分けて支給することで、節税につながります

電車やバスなどを利用する場合は実費となりますが、自家用車や自転車などを利用する場合は、片道の通勤距離に応じて次のように定められています。

⑨交際費に頼らない節税

交際費は、全額が費用としては認められていません。

「会社が稼いだお金を税金にもっていかれるなら、交際費ですべて使ってしまおう」という考えを止めるために制度化されたものです。

逆に言うと、交際費以外の他の費用として支出に分ける工夫が、節税対策として効果的となるでしょう

資本金1億円以下の法人において、年間の交際費のうち540万円までが損金として計上することが認められていましたが、平成25年度の税制改正により、その額が800万円に引き上げられました。

※平成25年(2013年)4月1日~平成26年(2014年)3月31日までの間に開始する事業年度において、支出した交際費等の額に適用されます

どちらにしても交際費は全額費用に認められない、ということは覚えておきましょう。

(10)法人成りで得られるメリット~給与編

①個人事業所得を給与所得へ変換することによる節税

個人事業主の場合、「所得税」が「売上-費用=個人事業所得」に対して課せられます。

個人事業者が事業所得から控除できるのは、青色申告特別控除額の最大65万円です。

例)売上-費用が1,000万円の場合

事業所得=1,000万円-65万円= 935万円

では、この個人事業を法人化すると、どうなるでしょうか。

会社で得た利益をそのまま給与にした場合、給与所得控除が受けられるため、所得を減額することができます。

例)給与収入1,000万円の場合の給与所得控除額

1,000万円×10%+ 120万円=220万円

給与所得=1,000万円-220万円=780万円

所得差額=935万円-780万円

差額155万円

所得の減額により課税対象金額を減らすことで節税が可能です。

参考:給与所得控除

②所得の分散による節税

個人事業と比べて法人の方が、家族を従業員にする際、制約を受けることなく自由に給料を支払うことが可能です。

所得税や住民税は「累進課税」が採用されているため、所得金額が増加すれば税率は高くなります。

1人で所得を多くもらうよりも、自分の家族などの従業員を含め何人かに所得を分散させることで1人あたりの税率が低くなり、結果的に税金の合計金額は少なく済みます

③所得控除

配偶者や子どもが従業員として働いていて給与を支払っている場合、法人化により所得控 除を受けられます。

個人事業の場合では配偶者控除や扶養控除は適用されませんが、法人の場合、給与の年間支払金額が103万円以下であればそのまま適用することが可能です。

控除を受けた分、税金が少なくなります。

(11)法人成りで得られるメリット~給与以外編

①役員社宅を法人で契約する

法人が直接大家と契約し、これを社宅として社長に貸付けます。

社長は家賃の半分を会社に支払うことで税務上の問題はなく、その差額である家賃の50%を会社の費用として処理できます。

一方、個人の場合、自分の住居を事業において使用していなければ、税金計算上、住居費はまったく費用になりません。

②出張手当を出せる

消費税法上の課税仕入れとして仕入税額控除が適用されます。

出張手当を受け取った従業員も手当分には税金や保険料が課されないため、双方にとって節税になります。

個人事業の場合、自分が自分に出張手当を支払う、という考えがないため、控除は適用されません。

③社員旅行の費用

旅行期間は4泊5日以内、旅行費用は1人10万円以下などの一定の条件を満たせば、法人 の福利厚生費として処理が可能です。個人の場合、こうした控除はありません。

④退職金を支給する

個人の場合、退職金はありませんが、法人の場合は退職金を自由に設定することができます。 しかも退職金は控除金額が多いので、節税効果もあります。

⑤赤字が出た場合、黒字の期と相殺できる期間が延びる

「欠損金の繰越控除」です。

この赤字を来期以降の費用として処理することができるもので、青色申告の場合、前期以 前の赤字を黒字になった期の課税所得から差し引くことができるため、法人税額を軽減す ることができます。

・青色申告個人事業者の場合は3年間

・青色申告法人の場合は9年間

繰り越せる期間が長い方が、控除を受けられる期間も長くなるので、会社の運営がやりやすくなります。

⑥消費税の免税事業者になれる

設立した会社が資本金1,000万円未満であれば、最大で約2年間、消費税の免税事業者として消費税を納付しなくてすみます

ただし、2年前の売上高が1,000万円超、あるいは前年上半期の売上高が 1,000 万円を超えている場合は、消費税の納税義務者となるので要注意です。

なお、設立第二期の場合で、前年上半期の売上高が1,000万円を超えていたとしても、前年 上半期の給与が1,000万円を超えていなければ、免税事業者のままとなります。

⑦生命保険料を経費処理できる

個人の場合は、最大12万円の所得控除しか受けられません。

法人の場合、生命保険は福利厚生の一環として、保険金の受取人や保険の種類によりますが、経費(損金)として処理することができます

⑧決算期が自由に設定できる

個人事業主の会計期間は1月1日~12月31日までの1年間と決められていますが、法人の場合は任意で設定することができます。

⑨債務に対して有限責任

個人事業主は債務に対して無限責任ですが、法人の場合は出資した資金の範囲内における有限責任となります。(ただし個人で連帯保証人になっている場合を除きます)

法人化することで実務的な手間は増えますが、さまざまな節税方法を上手く活用することで受けられるメリットもたくさんあります。

まとめ

会社設立にあたり、自分でやるべきことは「10項目について決めること」と「手続きに必要な書類、印鑑」を用意すること。これだけです。

(1)決めるべき10のこと

(2)ご自身でしか用意できない書類、印鑑

これらの内容を決めること、必要なものをそろえることは、起業される方ご自身でしかできません。

しかし、手続きの事務作業などに関しては専門家を活用する手もあります。

どのように決めたらよいか、どんな書類を用意したらよいか等の悩みがすぐに解決し、業務に集中できる時間が確保できます。

ご自身の時間と予算を考慮し、専門家の力を有効活用することもお勧めです。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。