資金調達について調べているあなたなら、「シリーズ」という言葉を目にしたこともあるかもしれません。
この言葉は、最近流行りの急成長のビジネスでベンチャーとして起業する企業(=スタートアップ企業)に関係のある言葉のようです。
特に、資金調達の段階を示すシリーズA、シリーズB、シリーズCという言葉と共によく使われています。
今回の記事では、この資金調達に関係する「シリーズ」という言葉についてお話してみたいと思います。
1.元々はIT産業が成熟するシリコンバレーが発端となった言葉
シリーズは、元を辿るとIT産業がひしめくシリコンバレーで発端となった言葉です。シリコンバレーはご存じの通り、IT産業が盛んですよね。アップル社もマイクロソフト本社もシリコンバレーにあります。また、最近流行りのAI(エーアイ)を駆使したベンチャー企業はシリコバレーに数多くあります。
IT産業はスピードが命。あのAmazonがスマホ「Fire Phone」を470億円かけて開発をして失敗したのは、開発スピードの遅さであったともささやかれています。(高い割に、スペックが大したことない)
このように、スピード感が最重要なIT企業の中でも、特に他社とのしがらみがなくも勢いもあるIT系ベンチャー企業は、「スタートアップ企業」と呼ばれ資金調達の面でも優遇されています。
例えば、シリコンバレーの才能あるエンジニアらが起業する場合、資金調達はベンチャーキャピタルという投資会社が行います。ベンチャーキャピタルとは、ハイリターンを狙って多額の資金を投入する投資会社です。銀行のように政府とつながりはなく独立しています。
そのため、投資への意思決定がとても早く、成長スピードの速いIT系スタートアップ企業にとっても理想的な相手なのです。
2.ベンチャーキャピタルが投資を段階的に行うこと=シリーズシード
ベンチャーキャピタルは将来性のある企業に投資をし、最終的には何倍にも利益が膨らみように計画をしています。日本では事業主が事業に必要な資金を金融機関から借りるというスタンスですが、ベンチャーキャピタルでは投資先のベンチャー企業へ、まるで花に肥料を与えるように、段階的に投資します。
創業する際にまず10万ドルを投資する。次の段階で20万ドル。次の段階で30万ドルといったように、企業側が「お金がないから貸して」と言ってくるのを待つのではなく、初期に投資段階をA~Cの3段階に分け、必要な額を投入する計画を立てます。
この段階的な資金の投入(=投資)をシリーズシード(Series Seed)と言います。Seedは種。段階的に、シリーズA、シリーズB、シリーズCと呼びます。
3.シリーズAとは?
どのような製品/サービスを作るのか、誰と作るのか、どれぐらいの期間で作るのか、といったビジネスモデルが出来上がっている段階です。製品を売るための市場調査や広告費、そして設備費として多額の資金を必要とします。
4. シリーズBとは?
製品やサービスをローンチ(=公開)したあとの段階です。売上が見込めるため、新規の開発費や人件費が新たに必要となります。また、事業拡大として別法人をたてる場合もあります。
5.シリーズCとは?
事業が安定化し、同時に利益も安定している状態です。事業における急成長もストップし、既にベンチャー企業とはいえません。この時点で、ベンチャーキャピタルは多額の利益を得て、次の狙いのベンチャー企業を探すことでしょう。
まとめ
資金調達でのシリーズは、投資会社による資金投入の時期をA、B、Cと3段階で表した言葉です。IT企業はこれ以外でも普通に、ローンチ(公開)、フェーズ(時期)など英語を社内で使いますよね。この流れで、ネット内の資金調達系の用語ではこの言葉がヒットしているようですね。
しかし、実際にこのシリーズという言葉に本当に関係のある人はごく一握りのようです。
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平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
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