起業するためにはどの準備から始めるべき?

起業するためにはどの準備から始めるべき? 起業のための資金調達 – 起業前に実施しておくべき準備
起業 準備 

起業に必要な準備とは

会社倒産の理由には、売上が悪く支払いが困難となる“販売不振”や、経営が悪化した状態で対策をしないまま悪化が積み重なってしまうことによる“既往のしわ寄せ”が挙げられます。 倒産しない会社を作るためには、起業前の「事業計画」や「資金調達」の準備が重要なのです。 今回は安定した経営を続けられる会社を作るためにも、起業前の準備でするべきことや、起業に向けた準備の準備方法などについてご紹介します。

1.起業前のチェックポイント     

起業前のチェックポイント

☐楽して稼ぎたい!と思っていませんか? ☐起業する事業内容は決まっていますか? ☐体験談を聞かずに起業しようとしていませんか? ☐退職してから初めて事業を開始しようとしていませんか? ☐副業としての収入がないうちに起業しようとしていませんか?

(1)社長になれば楽に稼ぐことができる?

楽して稼ぎたい!と思っていませんか?

楽して稼ぎたい!会社をやめたい!という気持ちからの起業は

倒産してしまう可能性が非常に高いと言えるでしょう。

起業し経営者となれば、時間やお金、行う事業などを自由にすることができるため “会社員時代よりも楽に稼ぐことができそう!” と考える方も少なくありません。また、“会社を辞めたい!” という気持ちから起業をしようと考える方もいます。

しかし実際には、経理などの事務作業を自身でやらなければならない、時間が自由なことから休みの区別をなかなか付けられない、お金のために仕事を選ぶことが難しいなど、起業したことによって会社員時代よりも大変になることも多くあります。

実際に経営悪化や資金問題から起業後5年以内で倒産してしまう会社が80%程あるとも言われています。

“会社を辞めたい” “社長になって楽をして稼ぎたい” などという考えで起業した場合、思っていた以上に会社を維持することが大変なことに気づき、倒産してしまう可能性は非常に高いと言えるでしょう。 

(2)何で起業をする?

起業する事業内容は決まっていますか?

事業内容を決めて、実現可能な事業計画がなければ、

起業後に何をするべきか分からなくなってしまいます。

起業をする際は、できるだけ多くのアイデアを出しておきましょう。いくつかのビジネスアイデアを持ち、どのように事業を進めていくのか、事業はいつ頃軌道にのるのかなどの実現可能な事業計画がなければ、起業をしても何をして良いのか分からなくなってしまいます。

また、起業してから行う事業を決めることも避けましょう。起業後は計画を立てるのではなく、起業前に計画したことを進めていく段階です。起業してから行う事業を決めたくてもなかなか決まらず、時間だけが過ぎていくという状況を作らないことが大切です。

行いたい事業を決め、その事業を成功させるための計画を立てた後に、起業することを考えましょう。

(3)実際に起業した人の話を聞く!

体験談を聞かずに起業しようとしていませんか?

起業家のセミナーに参加し、先輩の成功例だけではなく

失敗例からも起業の感覚を知っておきましょう。

起業の際は、成功例だけではなく、失敗例も含めた起業家の体験談を聞いておきましょう。成功も失敗も、様々な体験談を聞いておくことで、起業することの感覚や起業後にどのような対処をしたらいいかなども知ることができます。

また、起業家のセミナーに参加することもオススメです。どのようなセミナーに参加したらいいのか分からない場合は、下記記事を参考に探してみましょう。

起業セミナーはこう使え!効果的に起業セミナーを使う4つのコツ

(4)会社を退職する前に・・・

退職してから初めて事業を開始しようとしていませんか?

起業予定の事業を会社退職後に開始するのは

失敗した時のリスクが高くなります。

起業する場合、会社を退職して独立することを目標としている場合がほとんどでしょう。しかし、起業する事業を開始する前に会社を退職してしまうことは非常に危険です。

退職してから事業を開始した場合、顧客が思うように集まらないことや、工夫はするものの時間をかけすぎてしまい資金面で悪化してしまうなどの、失敗時のリスクが高くなってしまいます。

しかし、会社在職中にあらかじめ副業として事業を開始しておくことで、顧客へ事業の紹介をすることができたり、事業に対してどのくらいのニーズがあるのかなどの調査をすることができます。

そのため副業として事業を開始し、会社退職後に起業した場合に、ある程度の顧客を獲得した状態でスタートすることができます。たとえ失敗した場合でも、副業時に得た情報や調査でニーズに合わせた事業の対策も行うことができ、リスクも低くすることができます。

しかし、会社によっては副業が禁止されているところも少なくないため、副業を開始する場合は、最初に確認しておきましょう。

(5)副業から独立するポイントを知っておく

副業の十分な収入なしで起業しようとしていませんか?

在職中に開始した副業の収入は十分にありますか?

副業の収入のみで生活ができるようになってから起業しましょう。

在職中に副業を開始し、副業の収入がないうちに独立、起業することは非常に危険です。

通常、起業するとなれば、必要となる資金の目安として、開業費用に加え半年分の生活費と考えます。法人の場合は設立登記などにも30万円かかるなど、費用はできるだけ多く貯めておいた方がいいでしょう。

また、起業後に生活できる程度の収入まで経営を安定させるのは難しいものでもあります。起業後半年間は、売上も不安定と思っておくようにしましょう。

これらのことを考えると、もしも副業で十分な収入がない段階で起業した場合に、後々自分の首を絞めることになってしまいます。副業の収入のみで十分な生活ができるようになってから起業することを考えましょう。

 

2.起業前にするべきこと

競合調査

自身が起業したいと思う事業には競合となるライバルの存在があります。ライバルのサービス内容や価格はどのような感じなのかを前もって調べておきましょう。起業するとなった場合に、その調べた内容をもとに自身の会社が競合に勝てる強みを売り出していくきっかけにもなります。

どのように行うのか・・・

〈手順1〉競合調査の目的を明らかにする

何を目的として調査を行うのかを、下記を参考に競合調査をする目的を明らかにしましょう。

〔競合調査を行う目的の例〕

・Webサイトのデザイン作成のため

・ターゲット層が合っているかを知る

・販売して需要のある商品やサービスなのかを知る

・自社の強みとなる部分はなにか

・想定している商品やサービスの価格は正しいか  など

〈手順2〉競合調査の対象とする会社をリストアップする

販売する商品やサービスの内容や価格が似ている会社や、自身の行う事業がターゲットとする顧客が、同じ会社を選ぶことも大切です。販売する商品やサービスが違うものでも、顧客層が同じであれば競合の対象となります。

〔対象とする会社の例〕

・販売商品やサービスが同じ会社

・近年売上を伸ばしている会社

・予定している設定価格が同じ会社

・ターゲットの顧客層が同じ会社

・商品の販売方法が似ている会社

〈手順3〉調査する項目をリストアップする

〈手順1〉でも挙げた、調査をする目的により調査項目も異なりますが、多くの会社が競合調査で実際に行っている項目は以下の通りです。

〔目的別の調査項目〕

  • ビジネスモデルが目的の場合・・・

 ・事業規模がどのくらいか

 ・どのような経営方針でおこなっているか

 ・どのような商品を展開しているか

 ・ターゲットにしている顧客層はどのような感じか

 ・どのような方法で商品やサービスを販売しているか など

  • 商品やサービスが目的の場合・・・

 ・実際に商品やサービスの利用をする

 ・価格がいくらなのか

 ・利用からアフターサービスはどのような感じか など

  • Webサイトが目的の場合・・・

 ・基本となるコンテンツには何があるか

 ・Webサイトの更新頻度やSNSとの連携はあるか

 ・写真や動画、バナーの掲載はあるか

 ・商品やサービスの利用までの行きやすさはどうか など

業界の最新情報のチェック

起業したい事業についての最新情報のチェックは常にしておきましょう。業界の中で1番需要がある物は何か、顧客となるターゲットが注目していることは何か、などを常に調べておくことで、行う事業をより最新なものにすることができ、注目される点でもあります。

どのように行うのか・・・

〈チェック方法1〉GoogleやYahooの検索サイトを使う

検索サイトでは、業界の最新情報をまとめているサイトなどが存在するため、検索キーワードで「市場規模 ○○」「業界動向 ○○」などのように検索を行うことで最新情報を調べることができます。

〈チェック方法2〉TwitterなどのSNSを使う

近年はSNSの流行と言われるほど、日本国内のSNSユーザーも75%以上です。SNSではユーザーが思っていることを投稿できるため、業界についての検索を行えば、顧客となりうる人たちがどのような情報を共有していて、どう思っているのかなどをより身近に知ることができます。

〈チェック方法3〉業界雑誌や新聞を使う

業界の情報は、新聞やその業界専門の雑誌などで特集を組まれていることが多くあります。また、政府や業界の団体が行った調査による、生産量や販売額などの業界動向データなども掲載されていることが多く、起業を目指す経営者にとっては参考となる情報でしょう。

 

3.起業に向けての準備

(1)資金繰り計画を立てる

【ポイント】

顧客数や、商品ごとの売上も考慮して

現実的な資金繰り計画を立てる事が大切です。

資金繰りとは、会社の資金となる現金や預金の収支を管理し、多すぎず足りなすぎず調整することを言います。

たとえば、事業で200万円の利益があったとしても、この金額が支払われるのは1か月~2か月後となり、その間に事業を成長させるための在庫や設備に投資をしてしまい、手元の資金がマイナスとなってしまう、その結果、従業員の給与や支払いが追い付かず倒産してしまうという事態もあります。

こういった事態を防ぐためにも細かく実現可能な資金繰り計画を立てることは重要なのです。

資金繰り計画の立て方

資金繰り計画は、開始する事業による資金の流れ(営業キャッシュフロー)、設備投資や売却による資金の流れ(投資キャッシュフロー)、銀行からの借入や返済による資金の流れ(財務キャッシュフロー)の3つに分け、それぞれの資金の流れを表にまとめて作成していきましょう。

〈営業キャッシュフロー〉

営業売上

商品仕入れの支出

人件費の支出

経費の営業支出

受取利息

支払利息

その他(○○・○○)

営業キャッシュフローの合計

〈投資キャッシュフロー〉

設備投資による支出

設備売却による収入

貸付による支出

貸付金回収による収入

有価証券購入による支出

有価証券売却による収入

その他(○○・○○)

投資キャッシュフローの合計

〈財務キャッシュフロー〉

(短期)借入金額

(短期)借入金返済額

(長期)借入金額

(長期)借入金返済額

株式発行による収入

その他(○○・○○)

財務キャッシュフローの合計

上記を参考に毎月の収支予想を作成し、現実的でない場合は起業の前に再度資金計画を見直しましょう。

(2)事業計画を作成する

【ポイント】

作成した資金繰り計画を盛り込んだ事業計画を作成し、

事業の見通しと計画実行のための対策を考えましょう。

営業での売上や、融資を受けた場合の返済を考えた資金計画を作成する事はとても大切ですが、上記で作成した資金繰り計画を含めた事業計画の作成も重要です。

自身が開始する事業の目標を実現するために、従業員をいつ何名雇用するのか、事業の拡大はどの時期にするのかなど、事業開始後にどのような行動をするのかを表したものが事業計画です。融資を受ける際に、将来の事業計画まで立てられていると融資担当者からも好印象を受けるため、事業計画は起業してからの3期分は作成しておくとよいでしょう。

また、事業計画を作成する事で、開始する事業を客観的に見つめなおすことができ、改善点を探すきっかけにもなるため、融資などの借入の予定がなかったとしても作成することをおススメします。

事業計画の作成方法

事業計画には、開始する事業内容と目的、どのように販売していくかなどの戦略を書きます。文章での説明が一般的ですが、図などを取り入れることで分かりやすく、見やすくまとめることができ、融資を受ける場合は審査にも効果的です。

主に書く項目は下記を参考に作成してみてください。全てを書く必要はないので、自身にとって何が必要かを選択し、作成していきましょう。

【創業者・創業メンバーのプロフィール】

経歴や受賞歴、スキルやノウハウなどを用いて “自身(創業メンバー)なら事業を成功できる” ということを第三者が見ても思えるようにまとめましょう。

開始する事業と関係のないことを書いても、事業のことを理解していないと思われてしまい逆効果になってしまうため、事業と関係のある内容かどうかを判断したうえで書きましょう。

【事業の内容】

どのような事業を行うのかを具体的に書きます。ここでは開始する事業を第三者が知らない場合を想定し、専門用語の使用は避け、まとめましょう。

【将来のビジョン・事業を開始する目的】

事業への熱意や起業への気持ちを伝える項目です。どうして起業を考えたのか、事業を通して将来どうしていきたいのか、どのようなことを伝えたいのか、ということをまとめましょう。

【販売する商品・サービス】

開始する事業の中で提供する商品やサービスを書きます。そして各商品やサービスの価格と、各商品・サービスが全体で占める売上はどのくらいかを書きましょう。

〈計算式:各商品・サービスの売上目標÷全体の売上目標×100%=全体で占める割合〉

【自社が持つ強みや特徴】

競合がいる事業であれば、競合に勝てる自社ならではの強みや特徴を書きましょう。競合と変わらない事業を開始しても、既に顧客がいる競合より成功できる見込みは薄くなってしまいます。

競合調査で得た情報を基に、商品や使用する素材、価格やスピードなど、自社ならではの強みや特徴をまとめましょう。

【取引先との関係】

事業に関係する取引先との関係や取引金額を書きましょう。飲食業であれば食材の仕入先、製造業であれば部品の仕入先や製品の販売先などです。事業利益を出すためには仕入れ価格よりも販売価格が上回ることが基本となるため、取引金額も踏まえてまとめましょう。

【市場状況や環境】

開始する事業が市場においてどのくらいの規模があり、どのくらいの需要があるのかを書きます。“成功できる十分な市場規模・環境である” ということが表せるようにまとめましょう。

市場状況を調べる際は、アンケートを作成して街頭で配布することや、経済産業省や総務省、業界団体が行っている公表データなどを活用するといいでしょう。また、市場調査を専門で行っている専門業者を利用するのも一つの方法です。

【競合の動向】

ライバルとなる競合が提供している商品やサービス、価格、販売方法、販売戦略などをまとめましょう。競合を分析することは、自社の強みや特徴を導き出すきっかけにもなります。

【販売方法や宣伝戦略】

どのような販売方法で顧客へ提供するのか、商品やサービスをどのように宣伝していくのかを書きましょう。

提供する商品やサービスが優れていて、成功する見込みがある物でも、顧客がいなければ目標の達成もできません。どのように商品やサービスを宣伝し、提供をしていったらいいのかを考えまとめましょう。

【予想できる売上】

自社の商品やサービスの特徴、市場状況や環境、競合動向などからわかる自社の売上予想を書きましょう。見込みのある顧客数や事業の需要から実際にどのくらいの売上を確保できそうなのかをまとめます。

事業計画から読み取れる現実的な売上予想を立てることが重要となり、売上目標にならないように気を付けましょう。

【予想の損益計算書】

事業でどれだけの利益があり、どれだけの費用を使い、その結果残る利益はどのくらいなのかをまとめた損益計算書の予想を書きましょう。予想できる売上と同様に、事業を行う上でどのくらいのコストがかかるのかをしっかり把握するためにも必要となります。

【必要となる開業資金】

作成した事業計画を基に、開業資金としていくら必要になるのかを計算しましょう。

自身で事業計画を作成することもできますが、低金利で起業者向け融資を行っている日本政策金融公庫のHPには、創業計画書のフォーマットも用意されているため、その項目に沿って作成していくのも一つの方法です。

〈日本政策金融公庫HP「創業計画書PDF」〉

また、融資を考えている方は、事業計画書の作成代行を行い、国から認められている認定支援機関を利用することもおすすめです。認定支援機関からの支援を受けることで、補助金・保証料の優遇や金融機関で利用可能な融資プランなどもあるため、事業計画書でお困りの場合は1度相談してみましょう。

(3)十分な資金の確保

【ポイント】

起業のための資金と起業後の運転資金の準備をしておきましょう。

起業時の資金調達は、低金利融資を行う日本政策金融公庫からの融資がおすすめです。

これまでに作成した起業のための資金計画や事業計画を確認し、起業資金としていくら必要になるのかを計算しましょう。ここでの注意点として、起業時の資金だけ確保するのではなく、起業後の運転資金も踏まえた十分な資金確保をすることです。

起業後、すぐに黒字経営ができる会社はほとんどありません。実際に経済産業省の調べでは、起業1年後の会社生存率は30%弱というデータも出ています。多くの会社が起業後の半年間は赤字経営となるため、手元の資金を十分に確保しておくことが事業継続のためにとても重要なのです。

資金確保の目安としては、起業にかかる資金に加え、3~6か月分の運転資金の確保と思っておくといいでしょう。

資金確保の方法

① 自身で資金を貯めておく

起業を考えているのであれば、会社を退職前にコツコツ貯めておくことで、1年間に200万円前後の貯蓄ができる可能性があります。また、起業時の経営状況を考えると、不安定になることが多いため、返済がないというだけで負担も軽減されます。

もしも起業時に必要となる資金がそれほどかからないのであれば、起業を考えた段階で貯金を始め、少しずつ自己資金を貯めていくと良いでしょう。

② 親族や知人から借りる

自身で貯めた資金では足らない場合は、自身の起業を応援してくれる身近な親族や知人から借りる方法があります。その場合は親族や知人に、起業に対しての思いを話し、応援してもらうことが大切です。

利息がないことや融資などで必要な審査手続きがないことは利点ではありますが、お金が関わっているため、信頼関係が崩れたり、トラブルが起こりやすいことが欠点ではあります。

親族や知人から資金を借りた場合はしっかり返済期日を守ることや、お礼をすること、また、返済が遅れている場合はその理由をきちんと説明するということを心がけましょう。

③ 日本政策金融公庫を利用する

金融機関を利用した融資を受ける場合のオススメは、政府が運営する「日本政策金融公庫」からの融資です。

起業したばかりの会社では、将来の信用度が低いため銀行からの融資はなかなか難しいのが現状です。しかし、日本政策金融公庫では起業時の融資を積極的に実施しているので、起業時の資金調達に利用しやすいのです。

できるだけ多くの融資を受けるためには、十分な自己資金を準備しておくことが大前提とされており、自治体が行う制度融資の多くは希望融資金額の2分の1の自己資金を求めることがほとんどです。ですが、日本政策金融公庫が行っている下記の融資制度では、最低でも希望する融資金額の10分の1の自己資金を準備していることで融資が可能という要件になっています。

〈新創業融資制度〉

利用可能な方の条件

下記の1・2・3の要件を満たしている方

 

1.創業の要件

「新しく事業を始める方」「税務申告を2期終えていない方」のどちらかに該当する方。

 

2.雇用創出などの要件

「従業員を雇うことが必要な事業を始める方」「現在勤めている企業と同じ事業を始める方」「認定支援機関の支援を受けて事業を始める方か民間の金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」などのいずれかの要件に該当する方。

 

3.自己資金の要件

新しく事業を始める、もしくは税務申告を1期終えていない方は、創業資金の10分の1以上の自己資金があること。(※現在勤めている企業と同じ事業を始める方や、認定支援機関の支援を受けて事業を始める方などは、この要件を満たすものとする)

融資金額の使用用途

設備資金や運転資金

融資限度額

3000万円(うち運転資金は1500万円)

返済期間

各融資制度で定めている返済期間内

利率

1.06~2.75%

担保・保証人

原則としては不要

引用元:日本政策金融公庫HP

金利も高くなく、起業を目指す方向けの融資のため、多額な資金確保が必要となった場合には、日本政策金融公庫の融資を検討してみましょう。

④ ベンチャーキャピタルから出資をしてもらう

将来発展していく見込みのある企業をターゲットとし、出資や経営コンサルティングを行う会社がベンチャーキャピタルです。このベンチャーキャピタルから出資を受けて資金の確保をする方法もあります。   

ベンチャーキャピタルからの出資を受けるには、自身でベンチャーキャピタルへ問い合わせを行う、身近にベンチャーキャピタルと繋がりを持つ人がいるか探す、起業したての企業を対象としたプレゼンテーション大会(ピッチコンテスト)へ参加する、などをしてベンチャーキャピタルとの接点を持つことから始めましょう。

ただし、出資を受けるまでには金融機関と同様の手続きや審査があるため、出資を受けることも簡単ではないということを頭に入れておきましょう。

(4)会社名(商号・屋号)を決めてドメインを取得する

【ポイント】

インパクトがあり、ほかの会社と被らない会社名を考えましょう。

登記をしたら、ドメインの取得を忘れずにしておきましょう。

会社名は法人で起業をする場合は「商号」、個人事業主で起業をする場合は「屋号」となります。他会社で使用されていない、かつ覚えやすく印象的な会社名にすることで、顧客からの興味をより集めることに繋がります。事業を行っていくうえで会社名は “会社の顔” となるため、しっかりと考えて決めていきましょう。

また、起業後は商品やサービスをより多くの人に知ってもらうためにも、会社のHPやアドレスの作成をしましょう。HPの作成にはドメインを取得する必要があり、無料で作成できるサービスもあるため、下記記事を参考に会社名にちなんだドメインを作成していきましょう。

会社設立時に必要な独自ドメインの取得!その取得方法とは?

会社名を決める場合の注意点

個人事業主での起業の場合は、税務署へ提出する開業届の屋号欄を、空欄で提出することも可能ですが、法人での起業の場合は商号の記載が必須となります。また、会社名を考える場合はそれぞれ下記のルールに気を付けなければなりません。

商号(法人での起業)

 

【存在する商号や屋号と同じ会社名は避ける】

商品登録された名称や世間の認知度が高い会社名と同じ、もしくは類似の会社名を使用しないようにしましょう。商品登録された名称を使用した場合、商品やサービスに付けられた目印(トレードマーク)を守る権利(商標権)を侵害したとして、損害賠償の請求や名称の差止請求をされる可能性が大いにあります。また、世間の認知度が高い会社名と同様、もしくは類似の会社名を使用した場合、事業者通しの不正競争を防止する目的で作られた「不正競争防止法」に触れ、同じく損害賠償の請求や差止請求をされる可能性があるので注意が必要です。

 

【“○○株式会社” “株式会社○○” のように表記をする】

会社設立や運営などについて記述されている会社法の定めにより、法人の場合は会社の種類に合わせた “株式会社” “合名会社” “合資会社” “合同会社” の文字を用いた会社名にしなければなりません。

 

【会社名に使用可能な文字には制限がある】

商号として使用可能な文字には “漢字” “ひらがな” “カタカナ” “英字(大文字・小文字)” “符号” があります。ですが符号の中でも使用制限があり、〈&(アンパサンド)〉・〈 ‘ (アポストロフィー)〉・〈 ,(コンマ)〉・〈-(ハイフン)〉・〈 .(ピリオド)〉・〈・(中点)〉に限られるため、符号を使用する場合は決定前に確認してから使用しましょう。

 

【所在地が同じ会社と同様の会社名を使用することができない】

起業予定の住所に、同じもしくは類似する名称の会社が存在する場合は、その名称を会社名にすることはできません。会社名が類似するかどうかは起業予定地を管轄する登記所にある、「商号調査簿」にて確認することができます。

屋号(個人事業主での起業)

 

【存在する商号や屋号と同じ会社名は避ける】

商号の注意点と同様、既に別会社が使用している会社名は使用しないようにしましょう。世間でよく知られている会社名や商品登録された名称を使用することで、事業者通しの不正競争を防止する目的で作られた「不正競争防止法」に触れてしまう可能性もあるため気を付けなければなりません。

 

【“○○会社”などを使用できない】

個人事業主の場合は、法人ではないため “株式会社” “合同会社” などの “○○会社” と付けないようにしましょう。また “○○銀行” “○○証券” などの法律で決められた特定業種名を付けることもできないため気を付けましょう。

上記の注意点さえ守れば、会社名は自由に決めることができます。開始する事業のことを知ってもらう、覚えてもらうということを前提に、より多くの顧客を集めるためにはどのような会社名にしたらよいのかを考えていきましょう。

(5)必要な許認可を取得する

【ポイント】

開始する事業に届出や許可が必要かどうかを確認し、

事前に取得しておくことで起業後スムーズに事業を開始することができます。

開始する事業によっては、「届出」「登録」「許可」「認可」「免許」の5種類に分類される「許認可」の取得をしなければ開始できない業種があり、許認可の種類によっては申請から取得まで3ヶ月もの時間がかかってしまう場合があります。

許認可を取得せずに事業を行った場合は “無許可営業” などのように、法律違反として処罰されてしまう可能性があるため注意しなければなりません。

また、手続きは種類によって「都道府県・保健所・警察署などの行政機関」と分かれているため、どこで取得をする許認可なのかも調べておきましょう。

起業したにも関わらず、許認可の取得に時間を取られてしまい、思っていた事業が行えないという事態を避けるためにも、事前に確認をして、起業の前に申請しておくことをおススメします。

業種別の必要な許認可

許認可を要する業種は1000種類以上にもなります。下記は許認可別の主な業種一覧です。

〈届出〉

保健所

理容業/美容業/薬局/マッサージ業/クリーニング店 など

警察署

居酒屋/探偵業/出会い系サイト事業 など

都道府県庁

時間貸駐車場/人材派遣業 など

〈登録〉

国土交通省

倉庫業/運送業 など

運輸局

旅行代理店 など

都道府県庁

ペットショップ/賃金業/ガソリンスタンド など

〈許可〉

警察署

パチンコ店/スナック/ゲームセンター/質屋 など

保健所

飲食店/食品製造業/居酒屋/薬局/宿泊業 など

都道府県庁

建設業/介護業/医薬品製造販売 など

運輸局

タクシー業 など

労働局

人材派遣業 など

〈認可〉

警察署

リサイクルショップ/警備会社/中古車販売業 など

都道府県庁

人材派遣業/保育園 など

〈免許〉

税務署

お酒の製造・販売・卸売業 など

都道府県庁

宅地建物取引業 など

業種によっては2種類の許認可を取得する必要がある業種もあるため、注意しましょう。許認可についてまとめた下記記事も是非ご参考ください。

業種別!起業時に必要な許認可とは?

(6)会社名義の口座を作成する

【ポイント】

会社のお金の流れを把握するため、

経理業務の軽減を考えて会社名義の口座を作っておきましょう。

会社名義の口座を作ることは法律で決められた義務ではないため、既に所有している金融機関の口座内(経営者名義)で取引を行うことも可能です。

ですが、会社の経費として利用した資金の流れと、経営者がプライベートで利用した資金の流れを分けて管理することで、会社としてのお金の流れを把握しやすくなることや、経理業務の複雑さが軽減されます。

また、会社の資金と個人資産を分けて管理し、取引先からの信頼性を高めることが法人制度の目的の一つでもあります。実際に個人口座のみでは、取引先から心配をされたり、税務署から細かく探られる恐れもあるため、会社名義の口座を起業後は作成しておくようにしましょう。

会社名義の口座開設に必要なもの

会社名義の口座を開設する際には、下記のものが必要となります。

  • 会社の商業登記簿謄本
  • 会社の定款
  • 会社の印鑑(会社印)
  • 代表者の印鑑証明書
  • 代表者の印鑑(実印)
  • 代表者の身分証明者
  • 会社を運営していることを証明できる書類

※個人事業主での口座開設は「代表者の印鑑証明書・印鑑・身分証明書」の3点と、「会社を運営していることを証明できる書類」のみを必要としている金融機関がほとんどです。

上記の書類を開設したい銀行の窓口に持っていき、審査に通れば口座開設完了となります。

ですが近年では “会社名義の口座は社会的に信用性がある” ということを利用した振込め詐欺や勧誘詐欺などの犯罪に口座が使用されることが増加したために、金融機関側は警戒心を抱きます。起業したばかりの会社では “実際には運営を行っていないのでは?” と疑われ、審査に通らない可能性もあります。

審査基準は利用する金融機関ごとに異なりますが、実際に経営を行っていることを証明するためにも、金融機関が求める必要書類はすぐに提出できるよう、あらかじめ準備しておくようにしましょう。

(7)開業地の決定

【ポイント】

人通りや交通量を事前に調査して

店舗の場所を決めておきましょう。

開始する事業が飲食店や小売店の場合は、店舗が必要となってきます。起業する前に開業する場所を探しておき、駅からその場所へのアクセス、交通状況や利便性、1日を通しての人通りなど、それぞれがどのような感じか把握しておきましょう。

その調査によって、開業地での事業の対策も考えることができ、実際の売上予想も付けやすくなります。

店舗を有しない事業であれば、家賃は可能な限り抑えましょう。固定費である家賃は削減できるだけ削減することで、万が一の資金不足の場合にも負担を軽減し、失敗のリスクを下げることになります。

“起業するから事務所も豪華に!” としたい気持ちも分かりますが、事務所や店舗を大きくするのは、事業が軌道に乗ってきてからと考えるようにしましょう。

開業地の探し方

飲食店や小売店などの店舗を有する事業を開始する場合は、事業が成功するかどうかは開業地が70%近く関係すると言われるほど重要です。開業地を探す場合は、自身の事業に合わせて下記の要素を考えながら探せることが望ましいです。

  • 住んでいる世帯数
  • 人通り(日中/夜間/1日を通して)
  • 平日と休日の人通り
  • 店前を通る人の客層
  • 同エリアのライバル店数
  • 駅からの距離やアクセス

目安となる開業地が決まったら、店舗の契約に移りましょう。店舗の契約には、家賃・共益費・敷金・礼金・保証金・仲介業者への手数料などの費用がかかるため、支払い可能な額かどうかを判断しながら無理のない範囲で決定していきましょう。

(8)専門家を探す

【ポイント】

将来、顧問税理士や顧問弁護士などの専門家をつける時のために、

起業前から信頼できる専門家を探しておきましょう。

起業したばかりの場合は、会社の規模が小さいため経理業務などを経営者自身が行っていることも少なくありませんが、会社が大きくなった時には、税務申告や経理業務がより複雑になるため、専門家に依頼する会社がほとんどでしょう。

税理士は、独占業務である「税務代理」「税務署類の作成」「税務相談」の業務を行います。この3つの業務を行うことができるのは、税理士資格を有する者のみと税理士法で定められています。

一方弁護士は、税法を含む全法律の専門家のため、弁護士資格を所有している人であれば、税理士資格を登録することで税理士としての業務を行うことも可能です。

専門家は会社経営についてのアドバイスをしてもらえたり、経営者の良き相談相手となって会社を一緒に支える存在にもなるでしょう。起業前から税理士や弁護士と知り合って関係を築いておくことが大切です。

専門家の探し方

① インターネットを活用する

今や検索サイトで調べれば何でも出てくる時代です。検索キーワードに繋がりたい専門家にヒットしそうなキーワードを入れて検索をかけてみましょう。例えば “初めて 顧問契約 弁護士” “税理士 顧問契約 信頼” などのように検索をかけて探す方法です。

HPを見たり、その専門家の経歴を見て “信用できる” “お願いしたい” と思ったらまずは問合せをしてみるといいでしょう。1度の問い合わせで決まるとは限らないため、何社かに相談すると良いでしょう。

② 知人に専門家との繋がりがないか聞いてみる

同じ経営者の知人がいるならば、顧問契約について悩んでいたり、既に顧問契約を結んでいる可能性があります。もしも顧問契約を結んでいる知人がいたら、その知人から紹介してもらうのも一つの方法です。

同じ悩みを抱えている知人であれば、専門家との繋がり方について交流会やオススメのHPなど、何か情報を知っている可能性があります。情報交換を行うためにも、起業前から経営者の交流会などに参加し人脈を広げ、多くの人と知り合っておきましょう。

(9)共同経営者と契約する

【ポイント】

起業後のトラブルを防止するために、

起業前に共同経営者との取り決めをしておきましょう。

起業を1人ではなく、友人や先輩などと共同経営で起業する場合もあるでしょう。共同経営はそれぞれが持っている知識や考え方を出し合い経営に生かすことで、相乗効果が生まれ、経営が良い方向へ進んでいくというメリットがあります。

その反面、共同経営だからこそのトラブルも多いのが現状です。事業が傾いたときに責任の押し付け合いに発展したり、共同経営の解消の際には権利や存続についての問題が起きたりなど、これらの問題が起きないためにも起業前にしっかりと取り決めをしておくことが大切です。

共同経営の契約手続き方法

トラブル回避のために、共同経営を行う際には、たとえ仲の良い友人や先輩だったとしても、決めるべきところは決め、トラブルにならないように進めていきましょう。

最低限、下記の項目については話し合いを行い、口頭約束などでは曖昧な状態になってしまうため、「共同経営契約書」を作成し、各自で保管しておくことをおススメします。

  • お互いの出資する金額
  • お互いの報酬(月給など)
  • 肩書は何にするか(会社におけるそれぞれの役職)
  • 担当する分野
  • 責任範囲や従業員に対する権限
  • 利益をどのように分配するか
  • どのように意見交換をするか
  • 意見にズレがあった場合の対処法
  • 引退するときに事業をどう引き継ぐか
  • 契約を解消するときの手続きはどうするか

上記の中でも同じ出資金額を出していた場合は、一番トラブルの解決に時間がかかります。どちらかが多い金額を出資していれば、大抵の権限は多く出資金額を出した方、ということになりますが、同じ出資金額の場合は意思決定も逃げ道がなく、ある事柄の協議などもストップしてしまい解決するまでに時間がかかってしまう欠点があります。

共同経営を成功させるには、信頼できる相手、ストレスなくまっすぐに意見交換できる相手を探すことが大切です。

 

4.家族からの応援も大切!

起業する場合、これまで勤務していた会社を辞めることになるでしょう。経営者にとって独立して起業することは、夢をかなえることです。

しかし、将来への希望だけでなく、もちろん不安もあるでしょう。“事業が失敗したらどうしよう” “会社を辞めなければよかった” など、不安は尽きません。家族がいる場合、家族も同じように少なからず、あなたの起業に対して不安を感じていることを忘れてはいけません。起業に対して前向きに応援してもらうためにも下記の質問にも答えられるようにしておきましょう。

■ どうしてこの事業で起業したい?

■ あなたにしかない強みって?

■ この事業のチャンスをどうやって活かしていきたい?

■ 何にどのくらいの資金がかかって起業資金は合計でいくら?

■ 起業資金はどうやって集める?無理のない集め方?

■ 起業後は安定しないことを見込んだ低収入の生活を続けられる?

■ 売上を上げる方法(アイデア)やコストを削減する工夫は?

■ その起業の成功はどこにある?その目標は無理のないもの?

■ 家族を困らせないための対策は?

■ 起業することで今よりもどうやって家族を幸せにすることができる?

家族と感情を共有し、起業することに関して協力的に応援してもらえるように理解を得ておくことが大切です。家族の支えは経営者にとって大きな自信になります。

 

まとめ

今回は起業前にしておくべきことや起業準備で行うべきことについてご紹介しました。

どれも重要なポイントですが、特に「事業計画」と「資金調達」の2つは大切なポイントです。事業計画を作成する事で大まかな事業の見通しを立てることができ、必要資金がどれくらいなのかも把握することができます。

創業時には、政府が運営する日本政策金融公庫からの融資がおススメです。日本政策金融公庫では創業時の融資を積極的に実施しており、税理士などの融資の専門家に相談することで、十分な創業資金を調達できる可能性が高まるでしょう。

また、認定支援機関の支援があることで利用できる融資制度もあるため、起業の前に一度融資の専門家に相談してみましょう。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup     » https://inqup.com/

【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。