クラウドファンディングの失敗から学ぶ
資金調達手段のひとつとして、クラウドファンディングを利用する方も多いでしょう。
こんな商品やサービスを作りたいけど実績があまりない、といった個人や企業であっても、アイデアに共感した支援者から資金調達することが可能です。
しかし、すべての方が成功するとは限りません。
今回は、クラウドファンディングに失敗したときにどのような対応が必要なのか、また今後に活かすため失敗から何を学ぶかなどを解説します。
1.プロジェクト未達成!どうする?
クラウドファンディングの失敗とは、プロジェクトの未達成を意味します。
目標金額に届かず、未達成となったプロジェクトであっても、支援してくれた方は少なからずいるでしょう。
その支援者の方へどのような対応をすれば良いのかは、クラウドファンディングの支援タイプ「寄付型」「購入型」「金融型」によって異なります。
(1)「寄付型」の場合
寄付とあるように、プロジェクトの達成、未達成に関わらず、返金はありません。
また、震災時の復興事業や発展途上国への支援など募金と同様、達成などがなく、目標金額に達していなくても、ほとんどのプロジェクトは実行されます。「即時支援型」とも言われています。
(2)「購入型」の場合
目標金額に1円でも満たない場合は、支援者のもとに全額返金されます。
「達成後支援型」と言われるもので、クラウドファンディングにおいて最も一般的な仕組みです。商品開発の資金調達などに多く利用されます。
(3)「金融型」の場合
金融型の3つのタイプである「投資型」「融資型」「株式型」については、プロジェクトが未達成の場合、振り込まれたお金は支援者の口座に返金されます。
クラウドファンディングの運営会社が支援額の管理をしているため、よほどのことがない限り、直接的な返金トラブルは発生しないでしょう。
3つの支援タイプによって、支援してくれた方への対応は違いますが、大切なのは「感謝の気持ち」を忘れないということです。
プロジェクトが未達成となってしまったことのお詫びはもちろんですが、支援してくれたことへの感謝をきちんと言葉で伝えましょう。
また、自分のプロジェクトを達成するためにはどの支援タイプが合っているのか、しっかりと検討してから取り組むことが大事です。
2.プロジェクト未達成の理由
未達成のプロジェクトには、次のような共通点があります。
(1)目標金額に根拠がない
目標金額の根拠がないということは、プロジェクトを達成させるためにはどのくらいの資金が必要になるのかの見積り金額が曖昧ということです。
これをするためにはこれくらいの人員と時間、資金はこのくらい必要ということを明確にすると、より説得力が上がります。
(2)目的が不明確
資金を集めて何をしようとしているのか、またプロジェクトの目的は何なのか、支援者に内容を伝えるためには、プロジェクトの価値を明確にする必要があります。
プロジェクトへの想いを伝えるのはもちろん大切ですが、内容がわかりづらいと支援金の集まりも悪くなってしまいます。
文章だけでなく写真や動画を使って内容を説明することで、より伝わりやすくなるでしょう。
(3)プロジェクトが実行されない
クラウドファンディングは、資金調達がゴールではありません。
資金を調達した後、集まった資金を基にプロジェクトを実行することが最大の目的です。
支援者の共感を得るには、目標とするところにプロジェクトが向いているか確認しましょう。
(4)個人的なプロジェクト
プロジェクトの起案者が興味を持っていることや趣味に関するプロジェクトも中には存在します。
ただし、その内容があまりに個人的過ぎると賛同を得られないことが多いです。
世の中の役に立つことや価値あるものの方が、支援金が集まりやすい傾向にあります。
(5)リターンが釣り合わない
購入型に限って言えることですが、リターンが楽しみで支援する方も多くいます。
支援額に応じた魅力的な特典を用意することも達成するには必要不可欠です。
3.失敗から学ぼう!
(1)根拠のある目標金額設定
前述したとおり、プロジェクトを達成するために必要な資金の見積り金額がはっきりしていれば、目標金額が明確になります。多すぎても少なすぎてもいけません。
また、資金を集めることばかりに気を取られがちですが、調達後にどのようなプロジェクト活動をしていくのか明らかにしておくと、支援者への信頼にも繋がります。
定期的に活動報告などを発信していくのもオススメです。
(2)目的を明確にする
相手への「見え方」もとても大事です。
支援者から多くの共感を得るには、何のためのプロジェクトなのか、目的をわかりやすく明確に伝えましょう。
目で見て理解することができる写真や動画を活用すると、なお良いです。
(3)支援者へのお願い
プロジェクト内容が素晴らしかったとしても、支援者の共感がなければお金は集まりません。プロジェクトへの想いを伝え、なるべく多くの方にPRしていきましょう。
4.まとめ
今回は、プロジェクトが達成しなかった場合の対応と今後への活かし方をまとめました。
プロジェクトを成功させるためにも、その目的や必要性をしっかりと伝えることが必要です。
また、クラウドファンディングを利用することで最も重要な「支援してくれた方への感謝」を忘れずに、魅力的なプロジェクトを提案していきましょう。
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平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
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