クラウドファンディングで資金調達!
「クラウドファンディング」という言葉をご存知でしょうか?
起業時の資金調達方法として日本政策金融公庫からの融資をオススメしていますが、クラウドファンディングを活用して資金調達することも可能です。
今回は、クラウドファンディングについて説明します。
1.クラウドファンディングの由来
クラウドファンディングとは、群衆(Crowd)と資金調達(Funding)の英単語を組み合わせた造語です。
「このような商品やサービスを作りたい」「こんなサービスで世の中の問題解決をしたい」などといった製品開発のアイデアやプロジェクトを持った起業家が、インターネットを通じてアイデアを公開し、不特定多数の賛同者から資金を集める方法を意味しています。
個人や企業、自治体などプロジェクトの起案者はさまざまです。
また、プロジェクトのアイデアも数多くあり、アプリゲームの開発から地元活性化のためのイベント開催など幅広い分野で利用されています。
2.クラウドファンディングの歴史
インターネットの普及に伴い、世界中でさまざまなクラウドファンディングサイトが運営されています。
代表的な例は、アメリカ合衆国の「自由の女神像」です。
像の台座建設のための資金が足りなくなってしまい、新聞出版者であるピューリツァーが新聞を通して市民に資金を募りました。その結果、10万ドルを集めることができ、無事に自由の女神が完成したとされています。
日本では、2011年の東日本大震災をきっかけに被災地復興事業の資金調達という形で認知度が高まり、急速に広がりました。
クラウドファンディングという言葉は新しいですが、不特定多数の賛同者から資金を集めるという仕組み自体は、実は古くから日本でも行われていました。
例として寺や大仏などの改修工事が挙げられます。
鎌倉幕府ができる直前の1180年、東大寺と大仏の大半が焼き討ちで焼失しました。
その修復、再建を説いたのが重源という僧です。重源は、全国各地を巡り信者や有志者から寄付を集め、大仏の再建を実現しました。
このように寺院や仏像などの新造や修復などのために庶民から寄付を募ることを「勧進」と言い、この頃から広まったとされています。寺などの修繕が終わると、寄付をした者の名前が記されることもあったようです。
3.クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングは、資金を提供してくれた支援者に対する商品や金銭などのリターン(特典)の有無によって、5種類に分けられます。
(1)寄付型
寄付という言葉のとおり、支援者に対する金銭的なリターンはありません。
前述しましたが、東日本大震災などの被災地復興事業や発展途上国の支援など、社会的意義のあるプロジェクトが多数あるのが特徴です。
プロジェクト起案者は寄付したお金がどのように使われているのか定期的に活動状況を伝え、多くの共感を生むことで、より大きなプロジェクトの達成に繋がります。
(2)購入型
日本で最初に普及したのが、この「購入型」です。
支援者にお金のリターンはありませんが、支援した金額に応じた商品やサービスなどを受け取ることができます。
例えば、絵本の制作費を支援してくれた方に完成した絵本を提供したり、古民家をカフェに改修し特典としてコーヒー無料券を配布したりするなど、先行販売に近いです。
ユニークな商品や魅力的なサービスを提供し、支援者に欲しい!と思ってもらえる特典を用意できるかが成功のカギとなります。
(3)投資型
支援した事業の売り上げや利益に応じて、配当を受け取ることができます。また、事業によっては金銭だけでなく商品やサービスなどがもらえる場合もあります。
今までなかった新しいビジネスモデルを開発する企業への投資などに利用されることが多いです。
(4)融資型
事業開始のためのお金を貸し出し、事業者からの返済で生じる利息を分配金として還元されます。別名「ソーシャルレンディング」とも呼ばれています。
この「融資型」は世界中で一番のシェアを占めていますが、日本では貸金業登録などが必要になるため、市場拡大の可能性はあるものの、現状、参入している業者はそれほど多くありません。
(5)株式型
まだ上場していない会社の株に投資をすることができるサービスです。
日本でも2015年5月の法改正により、「株式型」が行えるようになったため、注目が集まっている市場のひとつでもあります。
4.クラウドファンディングのメリット
(1)誰でも挑戦できる
事業経験が浅く知名度がない個人や企業であっても、資金調達が可能です。
銀行の融資や投資家からの出資を受けるのはハードルが高いと感じていた起業家の方であっても、プロジェクトの審査が通れば誰でも利用できるという手軽さがあります。
「こんな商品やサービスを作りたい!だけど、お金が…」と、資金不足が理由で今まで諦めていた夢や目的を実現できるようになるのです。
(2)支援者と交流ができる
支援者と開発段階からコミュニケーションを取ることができます。
そのため、細かい要望やニーズを直接やりとりをする中で把握することができ、プロジェクトに反映させることも可能です。
また、支援者の男女比や年齢層から、どのような人たちが興味を持ってくれるのかなど、情報を得ることもできます。
(3)PR効果
プロジェクトを立ち上げると、ウェブ上に商品やサービスの概要が掲載されるので、資金集めをしながらPRにも繋がります。
高額資金の調達成功や調達の速さなどで話題になると、SNSで拡散されたり、メディアで取り上げられたりするなど、さらなる知名度アップも期待できるでしょう。
5.クラウドファンディングのデメリット
(1)資金調達に時間がかかる
資金の目標額達成までにどのくらい時間がかかるか、わかりません。
日本政策金融公庫で融資を受ける場合、3週間~4週間程度で融資実行されます。
一方、クラウドファンディングの場合、資金調達までに数か月かかるのが一般的ですので、計画的に利用する必要があります。
(2)プロジェクトが失敗するリスクがある
資金調達が成功したら、そこで終わりではありません。
そのため、調達後のプロジェクト計画もしっかり練っておく必要があります。
商品が未完成で失敗に終わった、完成しても支援者のイメージしていたものと違うなど、さまざまなトラブル要因が考えられます。
大きなトラブルとならないよう支援者としっかりコミュニケーションをとっておくことも大切ですが、プロジェクトを成功させるための計画を事前にしっかりと立てておきましょう。
(3)アイデアが盗まれる可能性がある
支援を受けるためには、ユニークなアイデアや今までにないサービスなどをウェブ上に公開することになります。
つまり、誰でもあなたのアイデアを見ることができるということです。
優れた商品やサービスであれば、それを真似してみようとする人が出てくる可能性もあります。
アイデア登用を防ぐ手段として有効なのが特許や著作権の申請ですので、情報を公開する前に保全策を考えておきましょう。
6.まとめ
今後さらに成長していくであろうクラウドファンディング市場。
自分の事業の目的に合わせて、種類を使い分けることが大切です。
また、クラウドファンディングだけですべての資金を調達しようとするのは現実的ではありません。
まずは日本政策金融公庫からの融資を受けて、さらに資金調達するための手段のひとつとしてクラウドファンディングを活用してみてはいかがでしょうか。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup » https://inqup.com/