銀行から資金調達をしたいけど、できるだけ低金利で融資を受けたい。
多くの方がご存じのように、銀行が提示する融資の金利は企業の財政状況や決算書の内容により決定されます。とは言え、「決算書の内容を良くする努力は既にしている。それ以外で金利を下げる方法はないの?」と考える方も多いことでしょう。
こう思うのは、事業主として当然のことです。事業資金は個人の借入よりも高額なので、金利がわずか0.1%違うだけでも返済額に大きく差が出ます。
今回の記事では、決算書の内容を改善すること以外で銀行から低金利で融資を受ける方法をご紹介します。
1. 返済期間を短くする
銀行が融資の金利を決定する際、企業の決算書の内容はもちろんですが、返済期間により金利を上下させます。
以下の表をご覧ください。長野銀行の現在の資金調達の金利ですが、3年以内の返済では2.766%、5年以内では2.966%、10年以内になると3.436%です。返済期間が3年と10年では0.67%も差があります。
※2018年2月現在 ※参照元:長野銀行|資金調達(融資等)
融資期間 |
利率 |
3年以内 |
2.766% |
5年以内 |
2.996% |
10年以内 |
3.436% |
10年超 |
3.436% |
上場企業の場合、銀行から1%前後のプライムレートで融資を受けられる場合があります。プライムレートの場合でも、短期プライムレートは長期プライムレートと比べ金利が低めな設定となっています。
※銀行や時期によっては、長期プライムレート金利が短期を上回る場合もあります。
2. 信用保証協会付けで融資を受ける
信用保証協会という名前を聞いたことはありますか?信用保証協会とは、簡単に言うと大手上場企業以外の中小企業が銀行からお金を借りやすくするための公的組織です。通称、マル保とも呼ばれています。
銀行のホームページでは必ず、信用保証協会付けでの融資について紹介されています。信用保証協会の会員になれば、ドラえもんのわき役・スネ夫のバックにジャイアンがつくようなもの。スネ夫一人ではお金を貸してくれない銀行も、「ジャイアンがいるから貸そうかな」という気持ちになるのです。
信用保証協会の会員として融資を受ける場合、メリットだけではありません。融資額の0.5~2%前後の保証金を協会に支払わなくてはいけませんし、そもそも信用保証協会の会員になるのは審査があります。
しかし、銀行との取引が初めてで創業融資を希望される企業は、取っ掛かりとして信用保証協会付けの融資を検討される場合も多いのです。
3.経営革新計画の承認を受ける
経営革新計画とは、中小企業等経営強化法という法律に基づき東京都産業労働局が推進する施策です。と言っても、抽象的ですよね。要は、国で「もっと新事業を増やそう」というキャンペーンをしていて、その条件に合う事業者は国からのお墨付きをもらえるという制度です。
詳細は、以下東京都産業労働局の公表するPDFをご参照ください。
銀行は、経営革新計画の承認を受けた法人に対し金利優遇などの支援を行います。信用保証協会のように、経営革新計画の承認というバックをもった企業には銀行もプラスの評価をします。
4. KES・環境マネジメントシステム・スタンダード審査登録をする
KESのKは京都のKを意味します。京都と言えば、京都議定書が発効されたこともあり、環境問題の取組の発信地でもあります。KES・環境マネジメントシステム・スタンダードは、京都から発信された環境マネジメントシステム規格です。環境省の定めるISO14001のように審査登録することで、環境問題に積極的に取り組む企業として社会から認知されます。
三井住友銀行では、KES・環境マネジメントシステム・スタンダードに審査登録した企業に向けた商品を販売しています。通常のビジネスセレクトローンに比べ、最大0.25%優遇の1.875%~の低金利となっています。また、広島銀行には環境規格融資制度「エコ・ハーモニーα」があり、最大0.2%の金利優遇が受けられます。
5.変動金利の銀行で借りる
融資の金利には固定金利と変動金利の2種類があります。固定金利であれば、決定後に変更されることはなく、ずっと同じ金利で返済をしていくことになります。銀行としては、将来的に景気の影響で低金利になる可能性もあるため、損をしないようにあらかじめ変動金利より固定金利の方を若干高めに設定します。
銀行によっては、変動金利か固定金利かの決定は「審査によるもの」として、企業側は選べません。しかし、そもそも変動金利で融資をするという銀行もあるのです。例えば、北陸銀行。ほくぎん創業支援ローンでは、変動金利での融資を行っています。
6.取引のある銀行で借りる
今まで全く付き合いのない人にいきなり「1,000万円貸してくれない?」と言われよりも、付き合いのある人の方がお金を貸しやすいですよね。銀行の場合も、同じです。埼玉りそな銀行では、ビジネスローン「埼玉倶楽部」で定期預金や給与振り込みなどの取引はある場合、金利を0.1%優遇してくれます。
まとめ
銀行で法人が低金利で融資を受ける秘訣は、政府や信用保証協会などの「お墨付き」をもらうこと。お墨付きをもらうには審査がありますので、やはり決算書の改善と同様、事業や企業自体をパワーアップさせる必要があります。
また、今融資を受けるのであれば変動金利が低金利。地方銀行では変動金利のみで融資をする銀行もありますので、探してみましょう。
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平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup » https://inqup.com/