銀行は事業者をどう格付けしてる?希望融資額を増やす方法

銀行は事業者をどう格付けしてる?希望融資額を増やす方法 起業のための資金調達 – 銀行/信用金庫からの融資
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事業融資と言えば、まず一般的には銀行からの融資を想像するのではないでしょうか。

銀行には大手メガバンク・地方銀行など規模における区分がありますが、その内部でも窓口にいる受付担当~融資担当者~支店長までステータスごとの区分があります。

なお、関連記事として当サイトの以下の記事もあわせてご覧いただけると、理解はより深まります。

銀行の融資審査に通りやすくなるための事業計画書とは?

銀行からの融資審査で実施される「財務分析」とは?

1. クレジットカードのスコアリングと同じで銀行融資でもスコアリングがある

あなたがクレジットカードを申し込む際、クレジット会社はあなたが入力した情報を元に審査をします。驚くべき速さで審査の回答が出る仕組みは、スコアリングです。

 スコアリングとは、審査する側の基準を元に申請者の情報を点数化して合否を決める方法です。ヒトがスコアリングする場合と機械がする場合があります。今後はAIが活躍することでしょう。

 クレジットカードの審査と同様に、銀行融資の場合もスコアリングという仕組みを使い融資の合否を決定します。そのため、スコアリング上での点数をできるだけ上げることが、融資を確実に通すカギなのです。

 2.某テレビ番組と同じ!銀行による企業の格付けとは?

某テレビ局の番組で、芸能人の格付けという面白い内容が放送されていましたよね。タレントさんや俳優さんの一般常識をテストし、それにより格付けされ、格下になった方はテレビに顔出しできないというなんともシュールな内容です。

 それと同じように、事業者も実は銀行からスコアリングにより以下のように格付けをされています。

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 この中で、1が最も信用度は高く、12が最も信用度は低くなっています。銀行により、どのランクまで(例、7までOKなど)融資を実行するかは企業秘密になっています。できれば、格付けを少しでも上にした方が融資は通りやすくなるのは言うまでもありません。

 3. 融資のスコアリングでも最も大切なのは決算書

融資の審査の基準となるのは、以下の項目です。

  • 代表者の信用情報(過去に滞納がないか)
  • 代表者の自己資金額
  • これから行う事業の経験年数

 これがベースとなり、あとは家族の信用情報や店舗となる物件の評価などで評価は調整されます。けれども、これらを重視する割合が仮に4割だとすると、あと残り6割は決算書がものを言うのです。

【金融機関のスコアリング比率】

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事業融資は無担保で借りられるケースは多いですが、実際は決算書の内容を担保として銀行は希望者にお金を貸しています。そのため、決算書の内容がよろしくない場合は担保がない状態ですので、銀行はお金を貸したがりません。

4.銀行はどのように決算書をチェックしているのか

銀行は決算書を3つの段階に分けて分析します。このことを経営用語では「経営分析」と言います。

①【第一次段階】定量評価

決算書の数値を格付けソフトに入力し、数値から判断するのが定量評価です。フィギアスケートの演技は複数の審査員が目視で判定していますが(AIになったらコワイですね)、決算書ではこの格付けソフトで6割以上は判定されてしまいます。では、その格付けソフトはどのようにして決算書を数値化していくのかというと、以下4つの基準を元に行います。

(1)安全性

安全性の高い事業所とは、借金が少なく、自己資本比率が高い事業所と銀行では考えています。具体的には、以下の「流動比率」「自己資本比率」「ギアリング比率」と言われる3つの比率を総合的に考慮してランク付けしています。各比率は以下の計算式で求められます。

  • 流動比率(流動資産÷流動負債)
  • 自己資本比率(株主資本÷総資本)
  • ギアリング比率(有利子負債÷自己資本)
(2)収益性

銀行は、あなたの事業における所得が高いかどうかを見ています。たくさん売り上げても、経費がたくさんかかるのであれば事業としての収益性は低いという評価になってしまいます。収益性は以下の計算式と項目で求められます。

  • 売上高経常利益率(経常利益÷売上高)
  • 総資本経常利益率(経常利益÷総資本)
(3)成長性

今後、事業が伸びるかを判断する基準が成長性です。従業員がたくさん増えているか、また、一株当たりの登記純利益は増えているかを銀行は見ています。具体的には、以下の計算式で従業員の増加率と一株当たりの登記純利益(EPSと言う)は求められます。

  • 従業員増加率 = (当期従業員数 - 前期従業員数) / 前期従業員数 × 100
  • 一株当たり当期純利益(EPS) = 当期純利益 / 普通株式の期中平均発行済株式数
(4)債務返済能力

最後のポイントは、借金の返済能力があるかという点です。債務返済能力は、事業所が現在持っている債権(返済しなければいけない借金の額)を元に以下のように計算します。

  • 要償還債務 = 借入金等 - 正常運転資金 -余剰資金 - 売却可能資産の処分見込額
  • 正常運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 - 仕入債務

この式を見ると、債務返済能力が運転資金と売却可能資産と関連することがお分かりいただけるでしょう。ちなみに売却可能資産とは、株や保険、そして不動産などを指します。いかに運転資金をコンパクトにして、返済能力を上げていくかがカギになります。

②【大二次評価】定性評価

数値では判断できない項目は定性評価を行います。定性評価は決算書ではなく、面談時でのヒアリングや事前に提出された事業計画書に添付された市場調査などで以下の点を分析します。

  • 経営者の素質や人柄がどうか?(責任感があるか、最後まで事業をやり遂げるか)
  • 経営者が過去にウソをついていないか(延滞履歴などを隠していないか)
  • 市場の将来的な需要はあるのか?(事業者が行うビジネスの展望)

③【第三次】実態評価

最後の仕上げとして分析するのは、決算書や経営者の人柄や業界動向では知ることができない在庫についてです。在庫は決算書上では在庫資金として良い評価を得る場合もありますが、逆に売れない在庫を多く抱えている企業では、不良債権を持っていると破断され、融資の点であまり良い評価にはならないこともあります。

在庫については、その在庫の性質により判断されます。

5. 格付けを上げるためには提出書類の作成を入念に!

では、具体的に格付けを上げるにはどのようにすればいいのでしょうか。上記でご紹介した【第一次】~【第三次】までにご紹介した以下キーワードに対して良い結果を残せばいいのです。

  • 【第一次】→借金を少なくする、自己資本比率を高める、計上利益を上げる、従業員人数を増やす、一株当たりの純利益を増やす、運転資金をコンパクトにする
  • 【第二次】→経営者の経歴に誠実性を持たせる、市場の需要を増やす
  • 【第三次】→不良在庫を減らす

どうですか?これらすべてを完璧に行うのは非常に難しいですよね。しかし、書類作成時に上記のように見えるようなストーリーを作り仕上げていく事は可能なのです。

6. 日本語の組み立てや書類の見た目で印象が変わることがある

同じことを言う場合でも、以下のように日本語の組み立てで受ける印象がかなり変わることがあります。

  • (×)今期は〇〇万円と売上を上げたが、前期はマイナス決算であった。
  • (〇)前期はマイナス決算であったが、〇〇と□□という試みをしたところ、今期はプラス〇〇万円の実績を上げることができた

文章の順番を変えるだけで、(〇)の文章の方が見た目は良くなりました。書類作成においても、画像を入れて分かりやすくする、添付資料を入れる、など工夫することで格付けを1~2ランク上げることは可能です。

まとめ

銀行は融資を審査する際に事業所を1~12に格付けしますが、その方法は主に決算書の内容からのスコアリングによるものです。スコアリングは安全性など4つの基準から数値化されますので、それらの数値を改善することが融資希望額を上げる秘訣です。

また、スコアリングのみでなく融資担当者が目視で読む文章も提出書類の品質を上げるポイントとなります。提出書類すべてで融資担当者に向け、借金が少なく自己資金が比率が高く、、といった各基準項目をクリアしている印象を与えることが大切です。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。