ネットで何でもできる時代になりましたが、会計と確定申告もめちゃくちゃネットで簡単にできる時代になりました。
クラウド会計・確定申告ソフトを使えば、①場所を問わず会計できる(スマホ1つでOK!)②クレジットカードや銀行口座明細から自動で仕訳してくれる(賢すぎ!)③簡単に確定申告できる、という3つのメリットを享受できます。
今回の記事では、会計と確定申告が憂鬱なあなたに向けて①クラウドソフトの特徴②従来の会計ソフトとの違い③おすすめのクラウドソフト、の3点についてわかりやすくご紹介します。
1.「クラウド会計ソフト」の特徴とは
①自動仕訳してくれるから、面倒な入力も帳簿作成の時間も必要なし
フリーランスが事業で支払う経費は家賃や光熱費だけではありません。タクシー代や喫茶店での打ち合わせ代も経費に入ります。個人事業主は事業で毎年確定申告をしなければいけませんが、「経費を即座に脳内で勘定科目に変換」するのが簡単ではなく、会計初心者や経理のいない個人事業主には正直面倒です。
【個人事業主の経費と勘定科目(例)】
経費の使用用途 |
勘定科目名 |
販売用品を仕入れ |
仕入れ金額 |
個人事業税、消費税、固定資産税 |
租税公課 |
電気代、ガス代、水道代、灯油代 |
水道光熱費 |
電車代、タクシー代、バス代、宿泊代 |
旅費交通費 |
「経費を即座に脳内で勘定科目に変換」というのを具体的に言うと、上記のように税金を払った場合は「租税公課」、電車代を使ったら「旅費交通費」というように帳簿用語に直すことを言います。そして、帳簿の「科目名」というところに勘定科目を記入し、以下のように入出金があるたびに帳簿をつけなくてはいけません。
経理のいない小規模事業者にとって、これは少々面倒な作業です。次第に「領収証だけ取っといて、あとでやろう」と思う事業者さんもいることでしょう。しかし、あとでまとめての記入にすると、最悪の場合は「領収書を紛失してしまう」可能性だってあります。
上記は「マネーフォワードME」という個人向けのクラウド家計簿ソフトの画面(PC版)ですが、参考までにご覧ください。
クラウド会計・確定申告ソフトでは、あなたが登録画面でオンラインバンクやWebマイページのID/パスワードを入力すると、金融機関やクレジットカードを登録・連携できます。登録された金融機関やカードで入出金の動きがあると、クラウド会計ソフトが自動的に記帳してくれるため、あなたが記帳する必要はありません。青色申告の際は、自動記帳されたフォーマット(書式)をプリントアウトして提出するだけなのでお手軽です。
こんな感じで記帳されます。(上記画面はマネーフォワードMEのものです)赤い丸の部分は、マネーフォワードが自動で「これは食費で」「これは衣類で」と仕訳てくれました。なんて賢いのでしょうか、、!
クレジットカードで支払い、銀行口座から自動引き落としされているだけで上記のように項目ごとに仕訳してくれます。一度設定さえすればいいので、あとは本業に時間を存分に使えるわけです。
②最新バージョンを自動インストール
「弥生会計」などのパッケージ型会計ソフトは一度購入したものが半永久的に使えるわけではありません。税制がしょっちゅう変わるからです。例えば、平成30年(2018年)の税制改革では、これまで65万円か10万円の2択だった青色申告控除に新たに55万円が導入され、全3種類の控除となりました。
クラウド会計ソフトの場合、スマホやPCがインターネットにつながっている環境であれば、自動的に最新版をダウンロード&インストールしてくれます。
もちろん、「弥生会計」などの従来のパッケージ型会計ソフトも最新バージョンは無料配信しています。しかし、ダウンロードとインストールの作業は事業主自身が作業することになります。しかも、パッケージ型ソフトの場合はPCの容量が必要です。
③経費漏れがなくなる
銀行やクレジットカードのすべての情報が自動連携されるクラウド会計ソフトでは、「入力ミス」や「入力忘れ」といった人的なミスが減少します。なぜかというと、登録した口座で入出金があると自動で記帳してくれるからです。
「でも、例外的に現金でしか払えない支払いをした場合はどうするの?」と考える方もいらっしゃることでしょう。大丈夫です。スマホアプリから簡単に手入力もできますし、レシート撮影すればレシートの数字や文字が自動でデータ化されます。賢いですよね。
企業や個人事業の帳簿の信頼性は、融資を受ける面でも大切です。「帳簿をしっかりつけている事業主」という評価を得れば、銀行などの金融機関からの評価も必然的に高くなります。
④クラウド会計ソフトは会計だけでなく資金調達や創業融資にも強い
日々の会計だけでなく、確定申告や会社設立までカバーするク凄腕クラウドソフトも
クラウドの良いところです。このあとご紹介しますが、freeeなどの人気クラウド会計ソフトでは単純に会計機能を提供しているだけでなく、会社を簡単に設立できる、簡単に融資を受けることができる、など会計以外のサービスも充実している所が特徴です。
2.パッケージ型ソフトとの違い
①コスパがいい
パッケージ型ソフトはネット通販や大型書店などでも購入できる、会計ソフト(CD-ROM)と冊子がセットになった商品です。パッケージ型会計ソフトにはいくつか種類があり、老舗では「弥生会計」、税理士や会計士に人気が高かった「EPSON財務応援」、小規模事業者向けには「ツカエル会計」などいくつか種類があります。平均的な価格を以下の表でまとめてみました。
パッケージ型会計ソフトの商品名 |
平均的な市場価格 |
やよい㈱の青色申告19 通常版 |
¥10,148 |
弥生会計19 スタンダード【最新】 令和・消費税法改正対応|パッケージ版 |
¥36,104 |
EPSON財務応援R4 |
¥20,131 |
MJSかんたん!会計10 |
¥19,580 |
ツカエル会計19【法令改正対応】 新元号令和10%新消費税 新軽減税率 |
¥14,715 |
基本的にPC1台につき一つのパッケージ型会計ソフトはインストールが可能です。経理担当者1名のみで使う場合は1つのパッケージ型会計ソフトを購入すればよいですが、使用する人が複数名いる場合は、何十万円ものコストがかかります。
これに対し、クラウド型会計ソフトの場合は以下のような料金です。
クラウド型会計ソフトの商品名 |
月額費用または年額費用 |
弥生会計オンライン(法人) |
¥28,080 または ¥32,400/年 |
freee(個人向け) |
¥980円~3,980円/月 |
MFクラウド会計/確定申告(個人向け) |
¥0~2,480円/月 |
HANJYO会計 |
¥980円または1,980円 |
ジョブルポ |
¥980 |
弥生会計の個人事業主向け(フリーランス向け)はないので、参考までに法人向けの価格を記載しました。クラウド型会計ソフトの月額で多いのは980円です。仮に1年間クラウド会計ソフトを利用したとして、1年間のコストは980円×12か月=11,760円です。パッケージ型会計ソフトを比較しても費用は安く、しかもパッケージ型ソフトで必要な「入力」という作業がなくなるのが魅力です。
「でも、パッケージ型ソフトの方が高機能なんじゃないの?」と考える方もいらっしゃいます。確かに、クラウド会計では伝票の印刷はPDF出力となるため、伝票出力を重要視する事業では、従来のパッケージ型会計ソフトが向いている場合もあると思います。
②政府も徐々にクラウド会計を推進中
弥生会計などのパッケージソフトをPCにインストールして利用している方は大企業ではいまだ多いと思います。日本で会計ソフトが登場したのは1980年代ですが、それから30年あまり、日本企業の会計を大いに助けてくれました。
しかし、2016年に経済産業省は「財務・会計業務でクラウドサービスを活用する」という政策を積極的に採用しました。会計の世界においても、いまはクラウドの時代に突入しているといえます。
3.おすすめのクラウド会計ソフトは
いまの時代の2大クラウド会計と言えば、MFクラウド会計・確定申告、またはクラウド会計ソフトfreeeと言えるでしょう。
①MFクラウド確定申告
【引用:会計事務所が顧問先に勧めたいクラウド会計ソフトNo.1!MFクラウド会計・確定申告】
MFとはマネーフォワードの略で、運営会社も株式会社マネーフォワードで同じです。前述しました個人向けの家計簿ソフト「マネーフォワードME」とフリーランス・法人向けの「MFクラウド」シリーズを提供しています。
MFクラウドシリーズには人事労務の「クラウド給与」や「クラウド勤怠」もありますが、初めてクラウド会計を使う方には「クラウド確定申告(個人事業主向け会計・青色申告ソフト)」をおすすめします。
【MFクラウド会計でできること】
- 他社ソフトのデータをインポートできるため、簡単乗り換えが可能!
- 帳簿と決算書の自動作成
- 銀行、クレジットカードだけでなく、各種電子マネーやクラウドソーシング、POSなどにも豊富に連携
- 事業主ごとの仕訳ルールをAI学習
- 請求書作成
- マイナンバー取集
- 経費精算 など
では、早速ログインしてみましょう。
個人の方のマネーフォワードMEでアカウントを持っているため、同じIDとパスワードで利用規約ボタンをクリックするだけで、ログインが可能です。
この画面で、あなたの事業所の登録をします。
ログイン後の画面はこんな感じです。個人で設定した資産が既に反映されています。個人版のマネーフォワードMEは、金融機関やクレジットカードなどの連携数が10までは無期限で無料利用できます。
最初にマネーフォワードMEの無料版で操作などを試してから、個人事業主版に移行するとスムーズです。
左側のホームボタンの下にある「自動で仕訳」ボタンをクリックして設定すれば、連携している金融機関やクレジットカード明細から帳簿を自動作成してくれます。
②クラウド会計ソフトfreee
もう一つの大人気クラウド会計ソフトはfreeeです。基本的な機能はMFクラウド確定申告ととても似ています。似ているので、よく比較されています。MFクラウド確定申告との違いは、以下の通りです。
【クラウド会計ソフトfreeeがMFクラウド確定申告と違う点】
- より簡単で使いやすい操作画面
- いつでもどこでも確定申告が可能
freeeの方が、より初心者に優しい作りになっています。例えば、確定申告に必要な書類も作成できちゃいます。
まとめ
クラウド会計ソフトの特徴とパッケージ型会ソフトとの違いについてご紹介致しました。フリーランスに断然コスパの高いクラウド会計ソフト。
無料版もあるので、まずは使ってみませんか?経理がラクになりますよ。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
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