飲食店の分煙|自治体ごとの条例内容・売上の確保・反対派の取るべき対策

飲食店の分煙|自治体ごとの条例内容・売上の確保・反対派の取るべき対策 起業後の資金調達 – 起業後に実施しておくべき準備
飲食店 分煙

2020年4月。まもなく日本国内で「受動喫煙防止法」が施行され、大規模な禁煙対策が始まります。

「受動喫煙防止法」は国の法律名ですが、別に各自治体が定める「受動喫煙防止条例」もあり、それぞれ違いがあります。

受動喫煙防止法の成立は飲食店経営者にとって衝撃だったようで、「売上が落ちる!」「飲食店の全面禁煙、反対!」などの厳しい声が一部寄せられています。

 当サイトでは、過去に「分煙環境整備補助金制度とは?」(https://start-note.com/manuals/subsidy/subsidy-knowledge/374/)という記事と「分煙対策の飲食店の方法3つとメリット。補助金・申請について」(https://start-note.com/manuals/after-starting-business/488/)という記事で主に①東京都の分煙補助金と②国の受動喫煙防止法の概要と③飲食店ができる分煙対策についてお伝えしてまいりました。

 今回の記事では、上記の記事の続きとしまして「自治体ごとの受動喫煙防止条例の内容」と「全面禁止による売上の確保」「反対派の取るべき対策」について解説していきます。

※本記事は、2019年9月6日時点で作成されています。

 1.国の受動喫煙防止法と自治体の受動喫煙防止条例との違いとは

国が定める受動喫煙防止法では、バーや客席面積100㎡以下の飲食店を除くほとんどすべての施設(自宅または宿泊施設内の個室以外全部)での全面禁煙を決めています。その一方で、東京都の同条例では客席面積100㎡以下の飲食店であっても全面禁煙を義務付けています。

 ここで、一つ疑問が生まれませんか?「国の法律と自治体の法律、どっちを守ればいいのよ?」と。

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図にするとこんな感じで、国の法律の中に自治体(ex.東京都など)の法律があります。ネット内で同じ意見があるかと検索したところ、自民党の土屋正忠氏のブログで「どちらが優先するのですか?」と市民からの問い合わせがあったと書かれています。

 結論から言えば、飲食店などの施設の場合は「国と自治体では対象施設が存在する自治体の受動喫煙防止条例を優先」します。あなたが経営する飲食店が千葉にある場合は千葉の受動喫煙防止条例を、北海道であれば北海道の受動喫煙防止条例を国の法律より優先すべきなのです。

 民泊の法律もそうですが、国の法律は自治体の条例より若干緩めに作られています。そして、自治体の制定する条例は国の法律より若干厳しめに作られているのが現状です。

 2.自治体ごとの受動喫煙防止条例の違い

さて、各自治体が施行する「受動喫煙防止条例」はどんな違いがあるのでしょうか?特に違いの大きい自治体をピックアップしてお伝えします。

 ①国の受動喫煙防止法よりキビシメの【東京都】の条例

(1)客席面積100㎡以下の免除がない

東京都が制定する「東京都受動喫煙防止条例」は2020年4月スタートですが、国の法律に先駆けて、禁煙等の店頭表示義務化は2019年9月(まさに今)からスタートしています。

 受動喫煙防止法(以下、国の法律)では客席面積100㎡以下の飲食店については全面禁煙の例外を認めています。しかし、東京都の場合は面積による例外規定がありません。 

【国】受動喫煙防止法

【東京都】受動喫煙防止条例

客席面積100㎡以下の飲食店は全面禁煙が免除

客席面積100㎡以下の飲食店も全面禁煙の対象

→家族経営や従業員のいない店は免除

※子供が出入りする飲食店は規制対象

 ちなみに、客席面積100㎡ってどれぐらいの広さなのかというと、坪数にすると約30坪です。マンションで言う広めの2LDKまたは標準的な3LDKの広さで、これぐらいの広さの飲食店はとっても多いですよね。しかし、東京都で店を構えている場合は喫煙がNGとなり、以下3つの例外に当てはまらない限りは全面禁煙にしなければいけません。

  •  従業員がいない
  • 壁で囲われた喫煙所がある
  • 元々バーやスナックなと喫煙を目的とした飲食店であった

 【参照】東京都福祉保健局|公式ホームページ

(2)保育園・幼稚園・小中学校・高校は屋外でも全面禁煙

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次に、東京都独自の内容として「子供が利用する場所」である保育園や幼稚園などの施設では例え屋外であっても全面禁煙となっています。 

【国】受動喫煙防止法

【東京都】受動喫煙防止条例

保育園・幼稚園・小中学校・高校は屋外に喫煙スペースの設置OK

保育園・幼稚園・小中学校・高校は屋外でも全面禁煙

そのため、屋上に灰皿があって「ちょっと吸ってから帰るか」みたいな行動も罰金対象となってしまいます。

 (3)罰金は国より東京都の方が緩め

東京都の場合は国が定める罰金よりも低額に設定されています。具体的に言えば、国の場合は喫煙者に対して30万円以下の罰金、施設管理者(飲食店オーナー)に対して50万円以下の罰金です。けれども、東京都の場合はいずれも5万円以下の罰金となっています。 

【国】受動喫煙防止法

【東京都】受動喫煙防止条例

喫煙者=30万円以下の罰金

施設管理者※=50万円以下の罰金

※飲食店のオーナーなど

喫煙者も施設管理者も一律罰金5万円以下

 ②きれいな空気はおいしい空気!【北海道】の条例

北海道は平成16年3月に健康増進法に基づく「すこやか北海道21」の中で「たばこ対策推進計画」を策定し、計画を推し進めてきました。

 しかしながら、他の自治体のように北海道の条例として「北海島受動喫煙防止条例」についてはいまだ策定されておらず、令和元年9月4日時点も以前策定に向けての説明会を開催しているという状況です。 

【国】受動喫煙防止法

【北海道】受動喫煙防止条例

遵守する

準備中

 たばことガンとの関係や禁煙やポイ捨てについては他県よりも積極的に取り組んできた北海道。そのため、受動喫煙防止条例がまだ準備中なのは意外な感じも受けます。

 しかし、北海道美唄市(びばいし)では受動喫煙防止条例を平成27年12月に策定、翌年7月には施行済です。美唄市が同条例を成立した際には、たばこ産業や飲食店組合から反対されました。北海道全体での条例制定には、議会や産業の反対派の動きとの調整が必要なようです。

朝日新聞デジタル|受動喫煙防止へ対策は

※上記URLをクリックすると、外部サイトへリンクします

 ③国の法律より1か月早く条例を施行する【大阪】

(1)大阪府は学校・病院などで喫煙スペース設置もNG

飲食店が多い大阪府では、国の法律よりひと月早い2020年3月に受動喫煙防止条例を施行します。また、東京都のように大阪府も国の条例より少し厳しめの内容となっています。 

【国】受動喫煙防止法

【大阪府】受動喫煙防止条例

≪多数の者が利用する学校・病院・児童福祉施設等≫

  • 屋内は原則禁煙 ※但し、喫煙スペースを設けることは条件下で可能
  • 敷地内屋外へ喫煙スペースを設けることは必要な措置が取られた時のみ可能

≪多数の者が利用する学校・病院・児童福祉施設等≫

  • 屋内は完全禁煙
  • 敷地内屋外へ喫煙スペースを設けないように努めること

 

 【参照:大阪府健康医療部|受動喫煙防止対策スタート!】

※上記URLをクリックすると、外部サイト作成のPDFへリンクします

 (2)【2025年4月から】喫煙スペース設置ができる飲食店は30㎡以下に

その他の条件は国の定める受動喫煙防止条例と同様ですが、飲食店で喫煙スペースを設置できる店について大阪府独自の内容があります。それは、2025年3月までは客席面積100㎡以下の飲食店が喫煙スペースを設けることが可能という条件が、2025年4月からは30㎡以下とグっと狭い条件になってしまうのです。

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たこ焼き屋やお好み焼き屋など小規模面積の飲食店も多そうな大阪府。受動喫煙防止条例は、それらのソウルフードの文化までも変化させてしまう予感がします。

 ④豊橋市が頑張っている【愛知県】の条例

愛知県の場合、北海道と同様で愛知県全体の条例の制定はまだ実行されていません。 

【国】受動喫煙防止法

【愛知県】受動喫煙防止条例

遵守する

準備中?

 しかしながら、愛知県の豊橋市では2019年3月に「豊橋市受動喫煙防止条例」が制定されています。基本的には国の受動喫煙防止法と同じですが、加熱式たばこと紙巻たばこの扱いを同様にする、という豊橋市独自の特徴もあります。

 【参照:豊橋市|受動靴円防止対策】

※上記URLをクリックすると、外部サイトへリンクします 

【国】受動喫煙防止法

【豊橋市】受動喫煙防止条例

・加熱式たばこ専用の喫煙スペースを屋内に設置できる。そこで飲食も可能。

(※未成年は入室不可)

・加熱式たばこでも屋内での喫煙は不可

 ⑤受動喫煙防止条例に積極的な自治体とは

東京都・大阪府以外は神奈川県、兵庫県、山口県が全体としての条例を制定しています。特に、兵庫県は平成24年3月、神奈川県の氏江亭は平成21年3月と非常に速い時期に制定しています。 

市町村として条例を制定しているところは、紹介した北海道美唄市以外には栃木県芳賀町、千葉県千葉市、千葉県習志野市、奈良県香芝市、広島県福山市、福岡県志免町があります。

 3.分煙に反対派の意見とは

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①飲食店の分煙のデメリット

「飲食店にとって分煙はリスクがおおいもの」と考える人は全体の66%もいる、と好評しているWebメディアがありますが、少なからず飲食店経営者にとっては分煙も禁煙も何らかの感情を持つできごとのはずです。

 飲食店にとっての分煙のデメリットには以下のものが挙げられます。

  • 喫煙を禁止すると、アルコールの出が悪くなり、客単価が下がる
  • ビジネス客が減る(上司が喫煙者)
  • 喫煙者が店から離れる

 喫煙をしながらお酒を飲む方は多いため、アルコールの注文が入らなくなると店としてはダメージが大きいですよね。但し、元々バーやスナックとして喫煙者向けの飲食店を経営していた場合は、今回の受動喫煙防止条例の対象とはなっていません。今回の法改正で困る飲食店は、バーやスナックや居酒屋ではなく、ファミレスほどの広さを持ち喫煙スペースを設置できる飲食店でもない、中間的な飲食店が一番困るのではないでしょうか。

 ②飲食店の分煙のメリットってある?

これに対し、飲食店が分煙することで得られるメリットも少なからずあります。あわせて見てきましょう。

  • 禁煙のサインを表示することで、これまで立ち寄らなかった高齢者層などが獲得できる
  • 灰皿交換やゴミ出しの手間が減る
  • 店内の壁や天井の劣化が遅くなる

 4.飲食店が分煙して売上を確保する方法

飲食店が分煙しても以前と変わらない売上を確保するには、どのような方法をとればいいのでしょうか?分煙でのデメリットとメリットを両方ミックスして考えていくことで答えがみえてきます。 

マイナス要因

改善策(一例)

アルコールの出が悪くなる

アルコール以外のカクテルを充実させる

ビジネス客が減る

高齢者や女性客にもウケるメニューを開発する

喫煙者が店から離れる

・雇用する人員や設備クリーニング費用を減らして売り上げに補てん

・店の業態を喫煙が主目的の施設に変更する(バー・スナック・店内で喫煙可能なたばこ販売店など)

 飲食店が分煙することで、すべての飲食店の売り上げがひたすら下がる訳ではありません。けれども、喫煙者が多く、ビジネス客の多い店では対策を取らなくてはいけません。

 一番手っ取り早いのは、店内にスペースがあるのであれば分煙補助金または助成金を使って喫煙スペースをつくることです。2019年10月末までの申請で、最大90%がキャッシュバックされます。

 まとめ

国の定める受動喫煙防止法と市区長の定める受動喫煙防止条例には差があります。飲食店を経営している方は、ご自身の店に該当する条例をチェックしてみましょう。

また、全面禁煙により売り上げが落ちると感じる経営者は、補助金の出る今のうちに(~2019年10月末までの申請済)内装工事をして喫煙スペースを作成しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup     » https://inqup.com/

【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。