分煙対策の飲食店の具体的な方法3つとメリット。補助金・申請について

分煙対策の飲食店の方法3つとメリット。補助金・申請について 起業後の資金調達 – 起業後に実施しておくべき準備
分煙対策 飲食店

飲食店経営者にとっての「受動喫煙防止法」とは、簡単に言えば「日本国内の該当する飲食店で規定の準備(喫煙室設置など)をせずに客に喫煙させた場合、最大罰金50万円を命じる法律」です。

しかし、すべての飲食店が対象ではありません。日本国内の喫煙に対する規制が年々厳しくなっています。アメリカのニューヨークでは飲食店内での完全禁煙が実施されていますが、日本でも2018年7月に「受動喫煙防止法」を含む健康増進法の改正が成立し、2020年4月1日より施行されます。

今回の記事では、受動喫煙防止法の基本的な内容と飲食店が行うべき分煙対策の具体的な方法、そして使える助成金・補助金についてわかりやすく解説いたします。

※補助金が申請できるのは2020年2月までですが、申請には現地調査などが必要で3か月はかかるため、2019年10月末までには申請することを強くおすすめします。当サイトからも書類代行や分煙内装のご相談を賜っております。

 1.受動喫煙防止法とは?~2020年から、飲食店は原則屋内禁煙

①受動喫煙防止法の成立の背景と概要

受動喫煙とは、本人が喫煙していない場合でも第三者の吸うタバコからタバコの煙を吸い込んでしまうという事象を指します。国立がん研究センターでは、「受動喫煙による日本人の肺がんリスクは約1.3倍」とする見解も公式発表しています。

 【参照】国立がん研究センター|受動喫煙による日本人の肺がんリスクは約1.3倍 

受動喫煙は年々問題視されており、日本は世界の中でも世界最低レベルの分煙レベルです。(日本はマレーシアと同等レベル)2018年7月、日本の「健康増進法」という法律内で以下のように受動喫煙に関する内容が盛り込まれました。

 【改正の趣旨】

望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除き喫煙 を禁止するとともに、当該施設等の管理について権原を有する者が講ずべき措置等について定める。

  • 【基本的考え方 第1】「望まない受動喫煙」をなくす
  • 【基本的考え方 第2】受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮
  • 【基本的考え方 第3】施設の類型・場所ごとに対策を実施 

【引用】厚生労働省|健康増進法の一部を改正する法律(平成30年法律第78号)概要

 この法律の飲食店におけるポイントですが、以下の通りです。

対象の飲食店

喫煙の条件

2020年4月1日以降の新規店/客席面積100㎡超/資本金5,000万円超のいずれかに該当する店舗

喫煙専用室(中で喫煙可)・加熱式たばこ専用喫煙室の設置(中で喫煙と飲食可)・加熱式たばこ専用喫煙フロアを設置すれば、そこでの喫煙が可能

既存店舗かつ客席面積100㎡以下かつ資本金5,000万円以下の店舗

経過措置として、現在の喫煙ルールを継続することもできます

喫煙を主目的とするバー・スナック等

喫煙を主目的とするバー・スナック等は現在の喫煙ルールを継続することができます

 罰金の対象となる飲食店は、①2020年4月1日以降の新規店で②客席面積が100㎡超で③資本金5,000万円以上に該当する店舗です。逆に言えば、既存店舗で客席面積が100㎡以下(約30坪以下)で小資本の店舗は対象とはなっていないのです。但し、罰金の対象とならない店舗の場合でも、すかいらーくとガストの関係性のように、大規模会社の発行する株式を1/2以上もつ店舗の場合は対象外です。

 また、バーやスナックなど喫煙を目的にした店舗についても、そのまま喫煙を続行することが可能です。但し、この場合は①たばこの販売を求められている店であること、②ご飯やラーメンなど主食に該当するものを販売している店でないこと、の2つが条件となります。そして、20歳以下のお客様は店内には入れません。

 なお、法律の対象となっていない「既存店舗」や「面積が100㎡以下の店舗」や後でご説明する「加熱式たばこ専用喫煙室」などはあくまで受動喫煙防止条例上の経過措置です。将来的には経過措置がなくなる可能性は大いにあります。 

罰金の対象となり警察などにより指摘された場合は、たばこを吸った人も吸わせた人も、以下の金額での罰金が命じられてしまいます。

  • ①禁煙とされている場所で喫煙する個人へ最大30万円の罰金
  • ②禁煙エリアとされている場所に灰皿などを置いた業者に最大50万円の罰金 

※ちなみに東京都の場合は喫煙者も施設管理者も一律で罰金5万円以下です。

罰金の対象に関してですが、飲食店などで喫煙スペースを提供する事業者などのことを「施設管理権限者」と呼びます。2020年4月からは、たばこを吸う人も施設管理権限者も要注意です。 

②受動喫煙防止法の対象施設には飲食店・カラオケ・理美容室・ネットカフェも

受動喫煙防止法の対象となる施設は、基本的に以下3つのポリシーにより決められています。 

【受動喫煙防止法の対象施設(一部)と従業員への受動喫煙防止策の努力義務】

  • 1.子供と患者さんが利用する場所(学校・病院・薬局など)
  • 2.多数の人が利用する施設の一部(飲食店、ホテル、理美容室、コンビニ、パチンコ店、ネットカフェ、ゲームセンター、事業所(職場)等
  • 3.従業員を雇用する場合、従業員に受動喫煙を防止する努力義務を設ける

ざっくり考えれば、自分の家の中とホテルなどの宿泊施設の中の部屋以外はすべて対象となります。上記の2番目を見ると、当サイト(資金調達ノート)をご覧の皆様に関係ありそうな場所がたくさんありますね。特に、飲食店と理美容室を開業されている方。せっかく融資を受けたのに、いきなり罰金なんて悲しいことにならないようにしましょう。店舗内装で分煙できているかが重要なポイントです。また、従業員を雇用する飲食店は東京都の場合、13万軒もあるそうです。

 まだ分煙対策されていないのであれば、以下の分煙対策の記事をも引き続きお読みになり、内装を変更することを強くオススメします!

※このサイトの運営会社(㈱SoLaboも分煙するための内装に対応可能です!書類の申請代行もやっていますので、お気軽に相談のお電話をくださいね!!)

2.分煙対策はお店の経営や顧客層に合わせるとむしろメリットに

①分煙対策を店を改善するための一つのツールにする

分煙対策は既に大手飲食店のサイゼリヤを始め、実施済の店はたくさんあります。しかし、小規模の飲食店で「経過措置があるから」といまだ動いていない事業主もたくさんあります。

店内の分煙化や屋外喫煙所の設置は確かに面倒ではありますが、決してデメリットだけではありません。

【分煙化による飲食店のメリット】

  • エアコンや灰皿などの清掃が楽になる
  • 店内の天井や壁の黄ばみなどの喫煙による影響を縮小化できる
  • 髪や服にたばこのにおいがつくのを嫌う女性客が入りやすくなる
  • 狭い店内で従業員にたばこがつくという危険性がなくなる
  • 法令をしっかり守る店というクリーンな店舗イメージを打ち出せる
  • ゴミの分別が楽になる

②【2019年9月1日より義務化】標識設置もお忘れなく

受動喫煙防止法の施行は2020年4月からですが、以下のいずれかの標識を店の分かりやすい場所に表示することは先駆けて2019年9月1日より義務付けられています。掲示していない場合は、5万円以下の罰金となります。

【出展:受動喫煙防止対策について|神奈川県 P5の部分

東京都福祉保健局では、事業者向きの標識デザインを公開しており、サイトからダウンロードできるようになっています。

 【分煙の標識(一例)】

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【参照】【事業者向け】施設出入口等に掲示する標識デザインとシール式標識・説明用パンフレット(2019年3月作成)

3.飲食店の3つの分煙対策!店舗の内装変更が必要な事業者さんは早めに動きましょう

では、わたしたち事業者としてはどのようにしたら法律違反を免れることができるのか。具体的な対策をみてきましょう。 

①完全禁煙にして、店外に喫煙スペースを設ける

(1)施設管理権限者と罰則とは

1つ目の対策ですが、店舗内を完全禁煙にしてしまい、灰皿やスモークテーブルを置かないという対策です。受動喫煙防止法では、飲食店のオーナーさんなどの施設管理権限者について、以下のように規定しています。

 施設等の管理権原者等は、喫煙が禁止された場所に喫煙器具・設備(灰皿等)を設置してはならないものとする。

 と、いう事は、店内に灰皿やスモークテーブル置くだけでも罰金の対象です。「全面禁煙にすると売上が下がるのでは」と考える事業者の方も多いようですが、以下の記事によると約6割の店では禁煙にしても減収は微々たるものだったようです。 

【参照】飲食店の6割、全面禁煙でも「売上変わらず」「長居する客が減った」という声も

但し、バーや居酒屋などお酒を出す一部の飲食店では「全面禁煙だと客単価が下がる」という声も出ているようです。 

(2)喫煙室設置には3つの技術基準がある

喫煙派のお客さまのためには、店の敷地内の屋外に喫煙スペースを設置すればいいのです。具体的なイメージのために、以下の図をご覧ください。

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店舗に屋外の敷地がある場合、敷地内に喫煙スペースを設けることで店内の全面禁煙のダメージを弱めることが可能です。改正健康増進法で認められる喫煙室を設ける場合は、以下3点の技術基準を満たしていなければいけません。 

  • ・出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が、0.2m毎秒以上であること。
  • ・たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること。
  • ・たばこの煙が屋外又は外部の場所に排気されていること。

 という事は、以下の喫煙スペースでは2020年4月からは飲食店や宿泊施設などは罰金の対象となるわけです。天井や壁でおおわれていないですからね。

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こんな感じで、屋外で完全に部屋のように壁と天井で仕切られている喫煙スペースでなくてはいけません。

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(3)紙式たばこと加熱式たばこの取り扱いの違い

ちなみに、上記の図では「紙巻たばこNG」「加熱式たばこNG」と記載がありますが、最近では加熱式たばこを吸う方も増えていますよね。

 受動喫煙防止法では、紙巻たばこと加熱式たばこについて以下のように規定しています。 

【紙巻たばこ】

屋内での喫煙は基本的にNG。屋外設置の喫煙室またはバーなど法施行前から喫煙を主にしていた飲食店は例外。

【加熱式たばこ】

屋内でも加熱式たばこ専用喫煙室を設ければ、その中で喫煙も飲食も可能。

 日本でも加熱式たばこは2016年ごろより本格的に販売されていますが、紙巻たばこよりはシェアは低くなっています。しかし、この受動喫煙防止法の施行により、今まで以上に注目される存在になりそうです。 

(4)全面禁煙にすると、席数は減らない。従業員の灰皿交換の頻度も少なくなる

全面禁煙にすることで店舗側にはデメリットしかないのでしょうか・いいえ、、そうではありません。既に分煙を実施した飲食店の中では、「従業員の手間が少なくなった」「禁煙派の中で新たな顧客を取り込めた」などのプラスの要素を持つ意見も寄せられています。

 また、長期的にみれば店舗の壁や天井などの劣化を防ぐという効果も得られます。

 ③加熱式たばこ専用喫煙室を設ける

受動喫煙防止法では、経過措置として小規模の飲食店以外でもiQOSのような加熱式たばこのみが吸える専用の喫煙室を設けることが可能です。加熱式たばこ専用喫煙室ではお客様は喫煙だけでなく飲食をすることもできます。

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【引用】厚生労働省|受動喫煙対策

 加熱式たばこ専用喫煙室には20歳以下のお客様は入室ができません。ファミリー層などには不向きですが、20~30代以降をターゲットにした飲食店で加熱式たばこを吸う顧客が多い店やクラブに近い地域(六本木や麻布など)であれば加熱式たばこ専用喫煙室の設置のメリットはあります。但し、席数は一定数減りますね。

 ③フロア全体を喫煙室とする

2018年11月、日本政府ではこれまで容認していなかった2階以上のフロア全体を喫煙室とする方向(フロア分煙)を受動喫煙防止法の施行にあわせ認める方針を決めました。

厚労省「フロア全体が喫煙室」容認へ 分煙の選択肢増す

※上記は根拠となる朝日新聞デジタルの記事のURLです。

 これにより、3階建てなどで複数のフロアを持つ飲食店であれば、2階以上のフロアまるごとを喫煙フロアにすることも可能です。フロアまるごとを喫煙スペースとする場合、喫煙ルームの設置に比べて顧客に向けて分かりやすく、喫煙派にとってもメリットは多いのではないでしょうか。また、席数も減らないため経営者としてもメリットはあります。 

4. 急いで!飲食店が分煙対策でこれから使える補助金

東京都で飲食店を経営されていて、分煙対策のために内装を変更することで補助金(キャッシュバック)をもらいたいという方は多いと思います。補助金は喫煙室設置の場合で1施設」につき最大400万円まで、H29度に都が実施した外国人旅行者の受け入れに向けた分煙施設の撤去の場合は1施設につき最大150万円支給されますので、経営者の負担はかなり軽くなります。しかも、客席面積100㎡以下の小規模飲食店の場合は補助率が90%です。(それ以外の飲食店は80%)

 但し、補助金の申請には以下のように15種類もの書類作成が必要です。

  • (1)補助金交付申請書・事業計画書(東京都指定様式)※実印を押印、片面印刷
  • (2)誓約書(東京都指定様式) ※実印を押印
  • (3)申請前確認リスト(東京都指定様式) ※実印を押印
  • (4)補助対象設備の設置に係る見積書等(積算根拠が分かる明細付)の写し*
  • (5)補助対象設備の工事に係る工程表の写し
  • (6)工事が発生する場合で、自社所有でない土地・建物に設備を設置する場合は、当該
  • 土地・建物の所有者の承諾書
  • (7)平面図・開口面積がわかる立面図の写しなど、補助対象設備の設置場所・内容が確
  • 認できる書類
  • (8)換気量計算書、換気装置の排気風量が記載されたカタログ又は仕様書の写し、補助
  • 対象設備に係るカタログの写し
  • (9)多言語対応に取り組んでいることが分かる資料の写し
  •  ※これから取り組む場合は、多言語化する予定の項目を事業計画書に記載
  • (10)営業許可書の写し
  • (11)履歴 事項 全部証明書 (発行3か月以内)
  • ※個人の場合は、開業届出の写し
  • (12)印鑑証明書(発行3か月以内)
  • (13)直近 の貸 借対照 表 及び 損益 計算 書 の写し 2期 分
  • ※個人の場合は、貸借対照表を含む青色申告決算書の写し
  • (14)社歴(経歴)書(会社概要・パンフレットでも可)
  • (15)その他東京都が別途指定する書類

また、書類提出だけでなく現地調査も入りますので、期間は約3か月みておきましょう。

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 補助金申請の締め切りから必要な期間を差し引くと、最低でも2019年10月末までには申請を完了していないと間に合いません。当サイトの運営会社(株式会社Solabo)でも飲食店の内装について事業部を持つため、書類代行や内装変更の相談などを承っています。

 分煙の補助金については、詳細当サイトの以下既存記事でもご説明しておりますので、あわせてご覧ください。

 分煙環境整備補助金制度とは?

 まとめ

受動喫煙防止法に向けた分煙対策について飲食店が知るべき基本的なことと補助金についてご紹介いたしました。

分煙対策をすることでゴミの分別が楽になるなど飲食店が受けられるメリットも多数あります。

補助金が使えるうちに(2019年10月末までの申請)動けば、内装費を大幅に減らすことが可能です。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup     » https://inqup.com/

【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。