Webデザインやプログラムなどフリーの仕事をしている方は、会社勤めの方と税金の納め方が異なります。
フリーランスとして働いている方のお給料は原則、月給ではなく請け負った仕事毎に請求書を出して振り込まれるというシステムです。
そのため、会社が税金を払ってくれる源泉徴収は利用できずに自ら税金を計算する必要があります。
今回の記事では、フリーランスの方が支払うべき税金の種類と具体的な節税方法を主にご紹介します。
1. 税金額が決まるモト!課税所得とは
①収入-経費=所得で求められる「課税所得」が基準になる
フリーランスとして働く場合、税金はどのくらい払わなくてはいけないのでしょうか。これについては、あなたの年間の所得がどれくらいあるのかによって決まります。
例えば、あなたの収入が年間で300万円だとしましょう。経費で60万円使った場合、あなたの課税所得は240万円という計算になります。
②何が経費にできるのか?
フリーランスで働かれている方は、ご自宅でお仕事をされている方も多いですよね。
ご自宅と光熱費は経費として計上できますが、その割合(例、30%)を指定する必要があります。例えば、ご自宅の家賃または住宅ローンの分割支払い分が毎月10万円で経費を3割にするなら、地代家賃として3万円を計上できます。
フリーランスの方の主な経費は以下のように区分できます。
経費にできるもの |
勘定科目名 |
・自宅の家賃 (※占有率を決定する) ・駐車場代 |
地代家賃 |
・自宅の光熱費 (※占有率を決定する) |
水道光熱費 |
・外出先で打ち合わせや契約をした際の飲食費用 |
接待交際費または 打ち合わせ会議費 |
・車 (※仕事以外で使う場合は 占有率を決めること) |
租税公課 |
・事業に関わる電車代やバス代・タクシー代 |
旅費交通費 |
・文房具やPCなど |
消耗品費 ※10万円以上のPCは 減価償却費 |
2.フリーランスが支払うべき税金の種類と意識しなければいけない注意点
①税金
(1)所得税
所得に対してかかる税金です。個人も法人もみな支払わなくてはいけません。課税所得所得税の税率をかけて算出します。所得税には控除(一定額を差し引いて計算して安くできる仕組み)があります。算式は以下の通りです。
課税所得(収入-経費)×所得税率-(基礎控除額+課税控除額)=支払うべき所得税
基礎控除額は平成30年の税制改正で合計所得が2,400万円以下の場合は48万円となりました。税率と課税控除額は以下の表を参照してください。
課税所得金額 |
税率 |
課税控除額 |
195万円以下 |
5% |
0円 |
195万円超330万円以下 |
10% |
97,500円 |
330万円超695万円以下 |
20% |
427,500円 |
経費にできないもの |
・あなたのお給料 ・あなたのスーツや靴代 ・あなたに関わる税金 (所得税、住民税、相続税、相続税、国保や国民年金など) ・あなたの健康診断費用 ・あなたのフィットネスクラブ 費用 ・個人的な旅行費用 ・個人的な飲食代 ・個人的なお中元やお歳暮の 費用 |
※一部省略
※引用:所得税の計算方法
上記の算式に当てはめると、年収が300万円で経費が60万円(課税所得240万円)の場合の所得税は、240万円×10%-(48万円+97,500円)となり控除が課税所得金額をうわまわりますので、所得税については0円となります。
所得税は毎年2月16日から3月15日までの一か月間に現金一括で支払います。
(2)復興特別所得税
所得税の特別版として平成49年まで(長い、、)フリーランスの方もこの税金の支払い対象者になっています。所得税の税率にプラスして0.21%となります。
所得が330万円以下の方は平成49年までは所得税率は10%ではなく12.21%となる計算です。
(3)住民税=一律10%!
住民税は収入のある人から収入の割合に応じて課税されるシステムで、都道府県と市区町村の両方に支払うシステムです。所得税と同じく、住民税をいくら支払わなくてはいけないかは課税所得をベースに計算します。所得税の確定申告をする方は、自動的に住民税も算出されますので別途申告する必要はありません。
この住民税、ざっくり言って課税所得×10%となっています。
課税所得×10%=支払うべき住民税
例えば、課税所得が240万円の方は24万円となります。自治体の法令によっては減税や増税があるそうなので、納税の際はお住いの役所のホームページもチェックしましょう。
(4)個人事業税
年間の所得が290万円を超えると3~5%課税されます。計算式は以下の通りです。
(課税所得-控除×税率)=支払うべき所得税
税率は業種によって異なります。所得税で確定申告をしている方は、自動的に計算されて納付書が郵送されます。1回の納付額が30万円以下であれば、コンビニで納付できます。
(5)消費税
フリーランスの方の消費税は起業後2年経過する事業所の売上高が1,000万円をこえる場合に支払いが年1回発生します。
少しややこしいのですが、基準となる年度(例、2018年)だけでなくその前年の半年間(例、2017年の1/1~6/30まで)に売上1,000万円を超えると課税事業者として認定されます。
逆に、前前年の売上高が1,000万円以下の場合は納付義務がありません。
ほとんどの個人事業主は対象外になるようですが、売上1,000万円をこえれば発生する、と覚えておきましょう。
(6)【持ち家の場合】固定資産税
持ち家のご自宅で作業されている場合は、その住宅ローン費用を経費として一部落とせます。固定資産税についても同じで、すべてを経費にはできませんが、その利用割合によって(例、3割)経費として計上できます。
固定資産税は納期前でまだ支払っていない状態でも経費として確定申告することが可能です。
(7)印紙税
フリーランスとして仕事を受注し支払いをされれば、あなたが取引き先に領収書を発行する場合はあります。5万円以上100万円までの金額であれば、200円分の収入印紙を貼ることになります。
但し、領収証は必要ないという方もいますのでそこは臨機応変に対応することになります。
(8)【車をお使いの場合】自動車税
事業で使う車があれば、自動車税を納めます。それも経費で計上することができます。自動車税の税率は営業用のものを利用します。総排気量と何月に登録したか(登録月)により自動車税の額は変わります。
例えば、排気量1300ccで7月に登録した普通乗用車であれば自動車税は5,600円です。
②保険料
(1)国民健康保険
税金のような感覚はありませんが、会社勤めをしていない場合は国保に加入しなければいけません。1年分を6月から翌年3月までの計6回に分けて納めます。年収が300万円ぐらいの方で月額4万円ほどの計算です。
この保険料が結構キツイですよね。国保以外の保険を検討されるなら、元々お勤めだった会社の保険を継続(任意継続)するか、または文芸美術国民健康保険組合というクリエイター向けの保険に加盟した方が節約できます。旦那様の扶養に入る奥様の場合は、この支払は発生しません。
(2)国民年金保険
こちらもフリーランスの場合は加入が必要になります。収入が低い場合は免除申請ができます。年金額を押さえたい方は毎月5,000円からの掛金で加入できる確定拠出年金がオススメです。
3.フリーランスがすぐにできる節税対策4選
①【基本】経費をもれなく計上する
所得は「収入から経費を差し引いたもの」ですので、単純に考えれば、たくさん売り上げがあってもたくさん経費で差し引けば、税金も安く抑えられるという計算になります。ここは節税の基本的な考え方です。
但し、経費として計上できる(確定申告書に記入できる)ものには制限があります。無制限になんでも経費として落とせるわけではありません。経費で落とすには事業上で必要なものなのか、また経費として認められるための以下の証拠が必要です。
- レシート
- 領収書
- 出金伝票
②【基本】控除できるものは控除する
控除とは税金を計算する際に採否いてくれる金額のことです。控除することで、年収が低い場合は税金がゼロになることもあります。
控除は以下のような種類があります。
【所得控除】
・配偶者控除(配偶者がいて主な生計を立てている人がその人である場合の控除)
・扶養控除(自分以外に養っている人がいる場合の控除)
・専従者控除(配偶者や親族に対して給与を支払った場合の控除)など
【保険控除】
・小規模企業救済(個人事業主向けの退職金制度に加盟している人が使える控除)
・確定拠出年金(iDecoを使っている人が使える控除)
・国民年金基金(会社勤め以外の方が使える国民年金基金に加盟している方が使える控除)など
③【応用】青色申告をしよう
青色申告とは、確定申告の際に青色申告承認申請書を提出することで税金の優遇が受けられるものです。これまで白色(青色よりカンタン)で申告していた方は、変更したい年の3/15までに提出することで切り替えが可能です。
④【応用】クレジットカードで払えるものはクレジットカードで払う
クレジットカードは明細が出てポイントも付くので、フリーランスの方で利用している方は多いようです。「クレジットカードで払ったら、仕分けしづらくなるのでは?」と考える方もいますが、勘定科目を「事業主借」とすれば個人のクレジットカードで備品を購入しても問題ありません。
4. 納税は計画的に!
課税所得が分かったら、納税計画を立てます。フリーランスの方の納税スケジュールは以下のようになります。
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1月 |
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
8月 |
9月 |
10月 |
11月 |
12月 |
所得税 |
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3/15 まで
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住民税 |
分割 ④ |
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一括 分割① |
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分割② |
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分割③ |
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個人 事業税 |
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分割 ① |
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分割 ② |
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消費税 |
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3/31 まで
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固定 資産税 |
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分割④ |
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分割 ① |
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分割② |
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分割③ |
印紙税 |
※都度払い |
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自動車税 |
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5/31まで |
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計画的な納税をするには、計画的に請求書を発行する必要があります。1か所のみから報酬を得ているフリーランスの方であれば請求管理も難解ではありませんが、複数の方から報酬を得ている場合は管理が必要です。
請求書・見積書・納品書がカンタン便利に作成できる!クラウド請求書サービスRAKUDA
上記のクラウド請求書RAKUDAは請求書だけでなく、見積書・納品書も一気に作成でき、取引先管理やステータス管理もできる高機能なツールと大変好評です。
特に便利なのは請求管理で、未入金や入金済などが一目でわかるので、毎月の売上管理や納税計画も立てやすくなります。
まとめ
フリーランスの方が特に気を付けたいのは所得税、住民税、個人事業税と保険、年金です。
分割にする場合、特に3~5月頃に支払いが集中します。この時期に現金切れを起こさないように資金繰りをコントロールしましょう。
資金調達マニュアルについてもっと見る(一覧ページへ)>

平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://inqup.com/