黒字倒産を防ぐためのポイント。資金繰り健全化の方法とは?

黒字倒産を防ぐためのポイント。資金繰り健全化の方法とは? 更新日:2017.12.14 公開日:2017.12.14起業後の資金調達 – 起業後に実施しておくべき準備
資金調達 黒字倒産

経営者の中には、資金繰りに悩んでいる人もいるでしょう。資金繰り次第では黒字倒産になる可能性があります。

今回の記事では、資金繰りを健全化する方法について解説します。

資金繰りの健全化に大切なこととは?

資金繰りの健全化に大切なことは、いつお金が出ていくのかを把握することです。家計の場合、給与が収入で食費が支出でというように、家計簿をつければキャッシュフローについては把握しやすい傾向があります。

これが会社や個人事業主のように事業をしていると、状況は変わります。まず、減価償却費という考え方があります。原価償却とは、工場で使う機械のように高額で長期で使えるものを一度に計上するのではなく、数十年にわたり少しずつ計上するという会計の手続きです。

さらに事業を経営している場合、毎月単位で支払いしないものもあります。たとえば、法人税があります。毎月ではなく、一括または年2回といった分割で支払います。また、従業員の給与は毎月支払いますが、ボーナスは年2回程度支払うため、毎月ではありません。

このように、事業経営ではスケジュールを把握しづらい傾向があるため、資金繰り悪化しやすいという背景があります。経営者が専門で資金繰りばかりを考えられればよいのですが、同時に利益も出さなくてはいけないのでそうはいきませんよね。では、どうすればいいのでしょうか?

どうしたら黒字倒産が防げる?

黒字倒産を防ぐには、資金繰りを把握しなくてはいけません。支出を整理して支払い計画をたてたら、あとは以下のポイントを実行しましょう。 

①過剰在庫を持たない!在庫のコントロールをする

販売業や飲食店などの事業では、在庫を抱えながら経営をします。仕入れをする時に代金を支払い、商品として売れたらお金が支払われるというが一般的なお金の流れです。

在庫は会社の大切な資産であり、売り残りの在庫も棚卸資産として計上することができます。

在庫は資産として計上できますが、それは販売価格が同額であることが条件です。12月1日に仕入れたものが1か月も同じ価格で販売できるのであればよいのですが、食品や生地などの素材は加工してしまったらその後販売価格は落ちるしかありません。

黒字倒産 

また、在庫を保管するにはコストがかかります。冷蔵品であれば冷蔵庫も電気代、倉庫に保管するものであれば倉庫の料金など。

利益は順調に出ているけれど、多額の在庫を処理できずに支出がかさみ経営破綻する。また、在庫回転率が悪く財務分析上での評価が悪く、設備投資のための融資を断られるという場合もあります。

在庫のコントロールは、安定経営のために必須の条件です。

②借りられる時にまとまった資金調達をする

事業をする上での支出のスケジュールは、個人の家計簿よりバラバラである傾向があります。

たとえば、売掛金の回収問題があります。取引先の締め日の関係で、半年先まで支払いをしてくれないという場合があります。帳簿上は黒字で潤っているようにみえる経営状態なのに、手元にはお金がないという状況です。

事業資金を融資してくれる金融機関には、銀行や信用金庫などがありますが、まずは普段取引がある金融機関に相談してみましょう。

③仕入れは値引きを交渉するのが基本

飲食店や販売業など、常に一定数の仕入れをする業種では、仕入れ価格がそのまま資金繰りに影響します。

仕入れの基本として、大量に仕入れれば割引してくれる、長く仕入れれば割引してくれる、というように、量と契約期間がモノを言います。

なんとなく昔からの取引先と契約しているけど、実は他社の方が安くなるのかも?でも、感じよい取引先だしなあ。なんて、現在の取引先に少しの不満はありませんか? 

現在はあらゆる情報がネットで検索できる時代です。現在の仕入れ価格をもう少し下げたいのであれば、検索した上で他者ではこのくらいだけど前払いしたらもう少し安くなる?複数月の一括ではどうか?など交渉力を持つことも経営者の必須スキルですよ。

④後払いできるものは後払いで支払う

BtoBの後払い決済サービスが増えています。例えば、以下の後払いドットコムやNP掛け払いなど。

後払いドットコム

https://www.ato-barai.com/visit

※上記URLをクリックすると、後払いドットコムの公式ページにリンクします

これまでも個人がネット通販などで利用する後払いはネットプロテクションズが提供するNP後払いがありました。しかし、最近では会社が会社に支払うための後払いとして集金代行をしてくれるサービスがあるのです。

⑤クレカよりも早く回収できる!スマホ決済を導入しよう

店舗でクレジットカード決済を採用しているところは多いと思いますが、実際に入金されるまで最短でも2週間。締め日を過ぎてしまった場合は1か月半ほどかかり店舗の口座に入金されます。

ところが、楽天スマートペイやSquareなどのスマホ決済では入金タイミングがなんと翌日。売上入金時の手数料も無料のため、店舗側としてはメリットしかない決済方法となります。

楽天ペイ

https://pay.rakuten.co.jp/business/

※上記URLをクリックすると、楽天スマートペイの公式ページにリンクします

スマホ決済はまだまだクレジットカードに比べると世間では浸透していませんが、今後利用者はますます増えていく可能性があります。

⑥複数の口座を一括管理!資金繰りアプリを使う

資金繰りもアプリでできる時代です。最近評判なのはマネーフォワード社のMFクラウド会計です。

まずはエクセルで自ら簡単な帳簿をつけてみましょう。事業主が会計感覚をつけるのに必要な作業だからです。ある程度会計の大まかな流れがわかったら、あとはクラウド会計に必要な設定をして収支のバランスを把握できます。

ただし、MFクラウド会計は無料アプリではありません。人件費を考えて安くなるのであれば、導入を検討してみる価値はあります。その他にも、資金繰りアプリには無料のものもありますので、使いやすさや料金で選ぶと良いでしょう。

⑦給与支払日のサイクルは要注意

給与支払日は事業主が自由に決めることができます。

資金繰りに影響するのは、何日締めで何日払いなのかということ。いわゆる、給与支払いのサイクルです。個人的なカード払いの場合でも、何日締めの何日払いというのは気になる点ですよね。

事業主となれば給与を支払う側になります。締め日と給与支払日があまりにも短いと、利益が出なかった時などは資金繰りに困ることになります。

理想的なのは、締め日から給与支払日が45日のサイクルと言われています。しかし、従業員の生活やモチベーションに影響してしまう可能性があります。

月末締めの翌25日払いのように、25~30日のサイクルにすると、資金繰りしやすい支払いサイクルとなる場合があります。

⑧債務者の回収をスムーズに

通販をしている事業主の場合は、クレジットカード払いや振り込みであればエンドユーザーが事前にお金を支払ってくれます。

しかし、取引先に請求したお金が回収できない場合、どうすればいいのでしょうか。メールでダメなら郵送、郵送でもダメなら電話、というように段階的に支払いの依頼をするしかありません。

しかし、それでも支払ってくれない取引先に当たってしまったら。一つの方法として、債券回収業者に依頼をして回収してもらうという方法があります。日頃からお金を回収できる体制を築き上げていく必要があります。

⑨節税に強くなる

事業主として資金繰りを健全化するには、税金の知識が不可欠です。税金については、税理士や会計士などの専門家に相談することを検討してみましょう。

⑩無理な設備投資はしない

安易な設備投資は避けましょう。初期費用だけではなく、維持費もかかるからです。

まとめ

事業経営を左右する資金繰りを健全化にする方法を説明しました。利益は出ているのに廃業してしまうのを避けるため、ポイントを参考にして、資金繰りの健全化を図りましょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
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