黒字倒産を防ぐための10のポイント。資金繰り健全化の方法とは?

黒字倒産を防ぐための10のポイント。資金繰り健全化の方法とは? 起業後の資金調達 – 起業後に実施しておくべき準備
資金調達 黒字倒産

利益が出ても倒産する?!黒字倒産を防ぐ方法とは?

黒字倒産という言葉をご存じですか?
利益はでいるにも関わらず倒産してしまうことを指す言葉なのですが、対義語としては利益がでていないのに生き延びる「赤字倒産」があります。

 黒字倒産、赤字倒産という現象はなぜ起こるのでしょうか?

 

それは、事業経営者でしかわからない資金繰りが大いに関係しています。

 資金繰りとは別名キャッシュフローとも言われ、お金の出入りのことを指します。お金の出入りが健全だと、事業も安定します。

 

今回の記事では、事業経営で最も大切と言われる資金繰りの健全化について解説します。

 

1.資金繰りの健全化に最も大切なこととは?

資金繰りの健全化に最も大切なこととは、会社(個人事業主)からいつお金が出ていくのかを把握することです。家計の場合、給与が収入で食費が支出でというように、まめに家計簿さえつければキャッシュフローについては把握しやすいものです。(それでも筆者はなかなか続かないですが)

 

これが会社や個人事業主のように事業をしていると、状況は変わります。まず、減価償却費という独特の考え方があります。原価償却とは、工場で使う機械のように高額で長期で使えるものを一度に計上するのではなく、数十年にわたり少しずつ計上するという会計の手続きです。

 

さらに事業を経営している場合、毎月単位で支払いしないものも多々あります。例えば、法人税。毎月ではなく、一括または年2回といった分割ですよね。また、従業員の給与が毎月ですがボーナスは年2回で毎月ではありません。

 

このように、事業経営ではスケジュールがバラバラで把握しづらいため資金繰り悪化しやすいという背景があります。経営者が専門で資金繰りばかりを考えられればよいのですが、同時に利益も出さなくてはいけないのでそうはいきませんよね。では、どうすればいいのでしょうか?

 

2.どうしたら黒字倒産が防げる?10のポイント

黒字倒産を防ぐには、もう少しつっこんで資金繰りのカラクリを把握しなくてはいけません。スケジュールがバラバラ支出を整理して支払い計画をたてたら、あとは以下のポイントを実行しましょう。

 

①過剰在庫を持たない!在庫のコントロールをする

販売業や飲食店など、多くの事業では少なからず在庫を抱えながら経営をします。仕入れをする時に代金を支払い、商品として売れたらお金が支払われるというが一般的なお金の流れです。

 

在庫は会社の大切な資産であり、売り残りの在庫も棚卸資産として計上することができます。では、在庫を多くもってもいいのでは?と考える方もいらっしゃることでしょう。

 

在庫は資産として計上できますが、それは販売価格が同額であることが条件です。12月1日に仕入れたものが1か月も同じ価格で販売できるのであればよいのですが、食品や生地などの素材は加工してしまったらその後販売価格は落ちるしかありません。

黒字倒産 

 

また、在庫を保管するにはコストがかかります。冷蔵品であれば冷蔵庫も電気代、倉庫に保管するものであれば倉庫の料金など。

 

利益は順調に出ているけれど、多額の在庫を処理できずに支出がかさみ経営破綻する。また、在庫回転率が悪く財務分析上での評価が悪く、設備投資のための融資を断られるというケースもあります。

 

在庫のコントロールは、安定経営のために必須の条件です。

 

②借りられる時にまとまった資金調達をする

事業をする上での支出のスケジュールは、個人の家計簿よりバラバラです。お金に強い経営者の方で、いつもお金の計算をするのが大好きという方であれば別ですが、たいていの事業者は余裕資金をもつことで資金繰りを乗り越えています。

 

例えば、売掛金の回収問題。取引先の締め日の関係で、半年先まで支払いをしてくれない!というケースも実際にあります。帳簿上は黒字で潤っているようにみえる経営状態なのに、実際手元には微々たるお金しかない。従業員にお金を払えない。半年先や現物支給ならできるけど。

 

こんな悔しい経験をしたくないのであれば、事業資金としてまとまったお金(300万円~)を借りやすい時期に借りておくべきです。

 

資金があれば、事業主の心の安定にもつながります。今月の支払ができるかで頭がいつもいっぱい。そんな状態よりも、資金に余裕があり本来の事業に集中できる状況を作った方が利益は出しやすいのです。

 

では、いつお金を借りやすいのか?本サイトの別記事でも解説していますが、起業~起業後2期以内が事業主には最もお金を借りやすいタイミングです。

 

日本政策金融公庫で、起業してすぐ融資を受けることのススメ

URLURL

※当サイトの別記事も是非ご参照ください!

 

事業資金を融資してくれる金融機関は銀行や地方自治体などがありますが、その中で日本政策金融公庫は創業時の事業主が最も借りやすい金融機関として知られています。なぜなら、他の金融機関は事業成績を必ずみるため、事業成績のない起業してまもない事業主は申込みもできない場合がほとんどだからです

 

③仕入れは値引きを交渉するのが基本

飲食店や販売業など、常に一定数の仕入れをする業種では、仕入れ価格がそのまま資金繰りに影響します。

 

仕入れの基本として、大量に仕入れれば割引してくれる、長く仕入れれば割引してくれる、というように、量と契約期間がモノを言います。

 なんとなく昔からの取引先と契約しているけど、実は他社の方が安くなるのかも?でも、感じよい取引先だしなあ。なんて、現在の取引先に少しの不満はありませんか?

 

現在はあらゆる情報がネットで検索できる時代です。現在の仕入れ価格をもう少し下げたいのであれば、検索した上で他者ではこのくらいだけど前払いしたらもう少し安くなる?複数月の一括ではどうか?など交渉力を持つことも経営者の必須スキルですよ。

 

④後払いできるものは後払いで支払う

BtoBの後払い決済サービスが増えています。例えば、以下の後払いドットコムやNP掛け払いなど。

 

後払いドットコム

https://www.ato-barai.com/visit

※上記URLをクリックすると、後払いドットコムの公式ページにリンクします

 

これまでも個人がネット通販などで利用する後払いはネットプロテクションズが提供するNP後払いがありました。しかし、最近では会社が会社に支払うための後払いとして集金代行をしてくれるサービスがあるのです。

 

一定の取引以下であれば、手数料無料で使えます。ぜひチェックしてみてください。

 

⑤クレカよりも早く回収できる!スマホ決済を導入しよう

店舗でクレジットカード決済を採用しているところは多いと思いますが、実際に入金されるまで最短でも2週間。締め日を過ぎてしまった場合は1か月半ほどかかり店舗の口座に入金されます。

 

ところが、楽天スマートペイやSquareなどのスマホ決済では入金タイミングがなんと翌日。売上入金時の手数料も無料のため、店舗側としてはメリットしかない決済方法となります。

 

楽天スマートペイ

https://smartpay.rakuten.co.jp/

※上記URLをクリックすると、楽天スマートペイの公式ページにリンクします

 

スマホ決済はまだまだクレジットカードに比べると世間では浸透していませんが、今後利用者は若年層を中心にますます増えていくことでしょう。

 

⑥複数の口座を一括管理!資金繰りアプリを使う

資金繰りもアプリでできる時代です。最近評判なのはマネーフォワード社のMFクラウド会計です。

 

まずはエクセルで自ら簡単な帳簿をつけてみましょう。事業主が会計感覚をつけるのに必要な作業だからです。ある程度会計の大まかな流れがわかったら、あとはクラウド会計に必要な設定をして収支のバランスを把握できます。

 

但し、MFクラウド会計は無料アプリではありません。人件費を考えて安くなるのであれば、導入を検討してみる価値はあります。その他にも、資金繰りアプリには無料のものもありますので、使いやすさや料金で選ぶと良いでしょう。

 

⑦給与支払日のサイクルは要注意

給与支払日は事業主が自由に決定してよいものです。とはいえ、たいていは毎月25日に設定している会社は多いことでしょう。

 

資金繰りに影響するのは、何日締めで何日払いなのかということ。いわゆる、給与支払いのサイクルです。個人的なカード払いの場合でも、何日締めの何日払いというのは気になる点ですよね。

 

事業主となれば給与を支払う側になります。締め日と給与支払日があまりにも短いと、利益が出なかった時などは資金繰りに困ることになります。

 

理想的なのは、締め日~給与支払日が45日のサイクルです。しかし、あまりに待たせてしまうと従業員の生活やモチベーションのことも心配です。月末締めの翌25日払いのように、25~30日のサイクルにすると、資金繰りしやすい支払いサイクルとなります。

 

⑧債務者の回収をスムーズに

通販をしている事業主の場合は、クレジットカード払いや振り込みであればエンドユーザーが事前にお金を支払ってくれます。

 

しかし、取引先に請求したお金が回収できない場合、どうすればいいのでしょうか。メールでダメなら郵送、郵送でもダメなら電話、というように段階的に支払いの依頼をするしかありません。

 

しかし、それでも支払ってくれない取引先に当たってしまったら。一つの方法として、債券回収業者に依頼をして回収してもらうという方法があります。債権が回収できずに廃業してしまう。こんな悲しいことを防ぐよう、日頃からしっかりお金を回収できる体制を築き上げていく必要があります。

 

⑨節税に強くなる

事業主として資金繰りを健全化するには、税金の知識が不可欠です。手元にキャッシュを残すために節税として必要のないものを経費で落としまくり、税金額を減らすという手法もありますが、あまりオススメはできません。

 

なぜなら、それは税務署に知られると悪い評価へとつながるからです。正当に節税をしたいのであれば、奥さんに役員報酬を与える(業務に関わっている場合)、従業員へボーナスを与えるという手法があります。

 

⑩無理な設備投資はしない

店舗が突然大量に増える会社やCMを常に流している会社は非常に儲かっていそうなイメージですが、そのうちのいくつかは必ず倒産します。

 

例えば、筆者が以前勤めていた大手英会話スクールの場合、北海道から沖縄まであるチェーン店で名前も知られていましたが倒産してしまいました。

 

理由は公表されていませんが、おそらく店舗数を増やし過ぎたため。その証拠として、死因繰りが悪化したあとは、相次ぐ閉店で生徒さんが困っていました。

 

安易な設備投資はしないに限ります。初期費用だけではなく、維持費もかかるからです。

 

まとめ

事業の経営を左右する資金繰りを良好にするコツをお伝えしました。時間のかかるものもありますが、すぐに着手できるものも多くあります。利益は出ているのに廃業になるのが一番事業主としては悔しいところ。

最近出ている便利なアプリや会計ツールを上手に使い、資金繰りの健全化に役立てましょう。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。