会社設立の基礎知識!
起業後に支払う税金について知っておこう!
無事にビジネスを立ちあげることができたとしても、その後に支払わなければいけない税金について知らなければ事業主としてキケンです。
なぜなら、起業当初は売上が安定しないものです。
「売上から払えばいいや」と思っても、売上が思うように伸びない場合もあります。今回の記事では、起業前の事業主の方にぜひ知ってほしい「起業後の税金」についてご紹介します。
1.個人事業主の場合
起業後に納める税金は、あなたが個人事業主(自営業)なのか法人の代表なのかで種類が異なります。まずは、個人事業主の場合からみていきましょう。
①【毎年3月15日まで】所得税(国税)
個人事業主が支払わなくてはいけない税金のメインが、この所得税です。
所得税の額は以下の計算式で求めます。
「収入 − 必要経費 − 各種控除 = 課税所得金額
課税所得金額 × 税率 − 課税控除額 = 所得税額」
気になる税率ですが、課税所得金額により以下のように異なります。
課税所得金額 |
税率 |
課税所得額(控除額) |
195万円以下 |
5% |
0円 |
195万円超330万円以下 |
10% |
97,500円 |
330万円超695万円以下 |
20% |
427,500円 |
695万円超900万円以下 |
23% |
636,000円 |
<一部抜粋>
例えば課税所得金額(所得から他の控除分を差し引いた額)が300万円の場合、所得税を求める計算は以下のようになります。
300万円×0.1-97,500円=202,500円
所得税は20万2,500円となります。
②【毎年6月一括または分割】住民税(国税)
個人事業主は事業所における住民税を支払わなくてはいけません。住民税の計算は、自分でする必要はありません。地方自治体が計算した額が郵送で事業主に郵送で知らされるからです。
住民税の計算ですが、「均等割」と「所得割」という2種類から成り立ちます。そして、その合計が徴収されます。
均等割はその名の通り全てのひとで均等に割られ、だいたい4~5千円が目安です。所得割は、納税者の所得により計算されだいたい所得の5%前後が目安です。
住民税は毎年6月に一括で支払うか、または年4回の分割で支払う方法も選択できます。
③【毎年3月31日まで】消費税(課税事業者の場合)(国税)
消費税については、課税対象事業者以外は免除されます。どの事業主が課税事業者でどの事業主が課税事業主ではないという判別ですが、原則として2期前の事業年度における純売上高が1,000万円を越える場合は消費税の対象事業主となります。
起業してすぐに売上高1,000万円を超えるのはなかなか難しいので、起業後1~2年は対象外となる事業主も多くいらっしゃいます。
④【毎年8月一括または11月との分割】個人事業税(地方税)
所得税、住民税、消費税は国税ですが、別に地方税として個人事業税を支払わなくてはいけません。
個人事業税は毎年8月に一括、または8月と11月の2回に分けて支払います。
個人事業税の計算ですが、以下の計算で算出します。
「(収入 − 必要経費 − 専従者給与等 − 各種控除)× 税率 = 個人事業税」
個人事業税では、個人で利用できる基礎控除や青色申告特別控除を利用することはできません。一般的な税率は、課税所得金額の5%です。
事業が赤字の場合、納付額はゼロとなります。
⑤納付書送付のスケジュールについて
個人事業主の場合、独立前は会社員である場合が多いのではないでしょうか。会社員の時は、会社があなたの代わりに住民税の特別徴収や納税を行ってくれました。
しかし自分が経営者となった場合は、年間でいつ頃、どんな種類の税金をいくらぐらい支払わなくてはいけない、と把握して準備しなくてはいけません。
所得税の納付時期は毎年3月15日までに一括で納めるのが通常ですが、それ以外にも半分ずつ納める延納や振替納税の手続きをすれば4月に口座振替をするという方法もあります。また、毎年5月15日時点の所得金額を元に分割納税する予定納税という仕組みもあります。
⑥どうやって納める?
まず所得税ですが、事業所管轄の税務署に確定申告書を提出することで申告します。確定申告書は、毎年12月から1月の間に事業主の元へ郵送されます。万が一届かない場合は、まずあなたが開業届を出したのか確認しましょう。(開業届を提出していない場合は、郵送されません)
同じ時期に税務署に行けば確定申告書の入った封筒がもらえます。また、国税庁の公式ページからダウンロードすることも可能です。
国税庁|確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/02.htm
※上記をクリックすると、国税庁の公式ページにリンクします
その他の税金については、時期が来れば郵送で納付書が到着します。バーコード付きであればコンビニでも支払いが可能です。それ以外は、期日までに銀行で振り込みをしましょう。
2.法人の場合
続きまして、法人の場合の支払うべき税金について解説しましょう。その前に、法人を設立するのに必要な書類をまずご紹介させてください。
①法人設立に必要な書類とは?
法人設立をする場合は、税務署・都道府県税事務所などへ提出する書類があります。
・設立届
・青色申告承認申請書
納税地を所轄する税務署へ提出します。
・給与支払事務所の開設書
・厳選所得税の納期特例承認申請書
給与支払事務所等の所在地の所轄税務署に提出します。
②【事業の年度終了から2か月以内】法人税(国税)
法人税は会社の所得税のようなもので、会社組織全体にかかるものです。他の法人住民税、法人事業税と同様に、事業の年度終了から2か月以内に納めなくてはいけません。
法人税の計算方法ですが、原則以下の方法で算出します。
「会社の利益(税法では益金)-算入できる損金=所得金額
所得金額×法人税率=法人税額」
事業が赤字の場合、納付額はゼロとなります。
気になる法人税率ですが、会社設立の資本金と所得金額に応じて以下のように異なります。
資本金 |
所得金額 |
税率 |
1億円超 |
- |
23.4% |
1億円以下 |
800万円超 |
23.4% |
800万円以下 |
15% |
③【事業の年度終了から2か月以内】法人住民税(地方税)
法人住民税は、企業が地方公共団体に支払う税金です。個人事業主と同様、法人住民税も2種の計算を合算します。
法人の場合、定額の「均等割」と所得から算出された法人税率に住民税率を乗じた「法人税割」という2種類から成り立ちます。
法人税割の計算方法は以下を参照してください。
「法人税額×税率=法人税割」
法人税の税率は、法人税の項を参照してください。
④【事業の年度終了から2か月以内】法人事業税(地方税)
法人事業税は地方自治体において事業を営むことで相応の負担を貸すための税金です。地方税ですので、納付先は都道府県です。
法人事業税の計算は、以下のように算出します。
「法人事業税額 = 所得 × 法人事業税率」
事業が赤字の場合、納付額はゼロとなります。
⑤消費税(課税事業者の場合)(国税)
個人事業主のところでも説明しましたが、原則として2期前の事業年度における純売上高が1,000万円を越える場合は消費税の対象事業主となります。
しかし、法人の場合資本金1,000万円を超える法人を設立した場合、前年の前半に多額の売上があり多額の給与を支払っている場合などは、消費税の対象となります。
⑥いつ納める?
納付のスケジュールは、個人事業主の時と異なりいつが決算時期なのかにより納付時期は異なります。
例えば、3月決算の法人の場合の確定申告(法人税、法人住民税、法人事業税)後の納付期限は5月31日となります。
⑦法人ならではの他の提出書類について
この他に、税金の支払いではないですが法人の場合は従業員の給与支払いから源泉徴収をする年末調整をする必要があります。
また、法定調書合計表という前年1年間の源泉所得額を報告する手続きを税務署に行う必要があります。
期限はそれぞれ、毎年1月31日となっています。
⑧どうやって納める?
法人税などの納付方法ですが、郵送された納付書を使って金融機関の窓口で支払うことができます。
また、税務署の納付窓口やコンビニエンスストアでの納税、電子納税手続きをしていればインターネット経由で納税をすることも可能です。
まとめ
確定申告書の記入は、初めての場合や慣れない時は戸惑ってしまうかもしれません。間違って記入すると税務署から電話がかかってきて、訂正して確定申告書を返送しなくてはいけません。
市区町村では、毎年確定申告シーズンに合わせて無料相談も実施しています。確定申告の記入に自信のない方は、無料相談を利用する、または司法書士などの専門家に相談するのも1つの方法です。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
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