給与ってどう決めるの?
会社を起業し、従業員を雇えば必ず給与が発生します。
給与は毎月支払わなくてはならない固定費です。
あまりに高額だと会社の経営を圧迫しかねませんし、逆に安すぎると従業員が自社を辞めて他社に行ってしまう…という事態も起こり得ます。
では、給与額はどのように決めるのが良いのでしょうか?
1.賞与制度をつくって、給与を調整
当たり前のことですが、会社の利益に見合わない額の給料を設定してしまうのは良くありません。
支払いが厳しくなり、最悪会社が潰れてしまう可能性もあります。
もし会社が潰れてしまうと一番迷惑をかけてしまうのが従業員です。
起業したばかりであれば、まずは経営の安定を最優先で考え、公平かつシンプルな給与体系を構築しておきましょう。
固定給はなるべく抑え、業績に応じて賞与で従業員に利益を還元していく方法が理想的です。
2.給与を決める3つのポイント!
前述した3点が、給与を決めるときに押さえておいてほしいポイントです。
従業員が残業をしたり、有休を使ったりすれば、基本給にプラスして賃金を支払わなければなりません。
また、給与額に応じて会社は従業員の社会保険料を負担します。
つまり、給料が高くなれば、その分会社が負担する社会保険料も上がる、ということです。
基本給だけでなく、これらトータルの負担額がいくらになるのかを考慮して、給与額を決めるようにしましょう。
3.モチベーションが上がっても会社の利益は上がりません
「給与を上げる=会社の利益が上がる」というわけではありません。
もちろん、給料が上がれば多少のモチベーションアップには繋がるでしょう。
「こんなに給料もらっているんだから、会社に貢献しないと!」と頑張る社員も出てくるかもしれません。
ただし、人件費の上昇が必ずしも会社の利益に直結するとは限りませんので、注意しておきましょう。
前述したとおり、抑えた給与を賞与で還元していくことがオススメです。
4.退職金を上手く活用しましょう
賞与とあわせてオススメなのが、「退職金制度」です。
退職金には「退職所得控除」があるため、税金面で優遇されています。
また、退職金は社会保険料もかかりません。
従業員に長く勤めてほしいときは、定年退職まで働いたら退職金が高くなるような制度にして定着率を高めるのも良いでしょう。
5.昇給が7月に多いワケ
社会保険料の額はどのように決まるか、ご存知ですか?
保険料は、残業代や手当などを含めた4月~6月の3か月の平均給与を基に計算されます。
企業の昇給が7月に多いのは、そのためです。
昇給後であっても昇給前の額が基準となるため、社会保険料が少しお得になります。
算出された額によって等級が決められていますが、2等級以上上がると社会保険の改訂届けを提出しなければなりません。
ただし、2等級は1万円~12万円程度の幅があるため、7月の昇給であれば、これが原因で社会保険料が上がることは稀でしょう。
社会保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担するので、額が小さくなればお互いにメリットがあります。
6.役員報酬の決め方
給与を決める際、あわせて考えてほしいのが役員報酬です。
法人税法において、役員報酬は毎月決まった額を受け取るということが決められています。
仮に定額以外で支払うと、一番低い月が基準となり、それより多い部分は会社の経費として計上することができません。
また、役員への賞与も会社の経費には該当しません。
事業年度の初めに税務署に届出をすることで経費として認められるケースもあります。
ただし、その場合は会社の利益調整には使えないことから、定額で支払っても同じです。
もちろん役員報酬の額は事業規模によって異なりますが、相場は100万円程度のようです。
7.役員報酬を増額すると…?
役員報酬を増やし、法人税を減らそうと考える経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
ここで注意していただきたいのが、給与に対する税金は意外と高いということです。
月100万円の給与だと仮定すると、会社負担分とあわせると年間で500万円以上持っていかれることになります。
一方、役員報酬で受け取らずに月100万円を会社に残した場合、支払う法人税は465万円ですので、結果として60万円ほどの節税が可能です。
そのため、役員報酬は、会社で払う法人税と個人で払う所得税、双方で払う社会保険料のバランスを考慮して決めましょう。
まとめ
今回は給与額の決め方について説明いたしました。
会社の固定費になりますので、このくらいが相場だろうと安易に決めてしまうのは危険です。
安定した会社運営をしていくためにも無理のない給与設定にしましょう。
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