起業後に付き合う金融機関はどこにするべき?選び方は?

起業後に付き合う金融機関はどこにするべき?選び方は? 起業後の資金調達 – 起業後に実施しておくべき準備
起業後 金融機関

創業時には貯金を崩して資本金にしたとしても、その後に金融機関とどう付き合うかは重要です。

なぜなら、あなたは事業をたった1~2年でやめるつもりで起業したつもりではないはず。事業を継続的に、そして発展的に維持するには定期的な資金投入は不可欠です。

今回の記事では、起業後の金融機関との付き合いかたについてお話していきます。少し長い記事ですので、ご興味のある部分のみ拾い読みしてみてください。

1.【金融機関は銀行だけじゃない!】金融機関の種類について

金融機関とはやわらかく言えばお金のやりとりを事業として行う組織を指します。まず日本全体の中の金融機関のトップとして中央銀行がありますよね。中央銀行の主な役割には、日本国民のお金のやりとり(ex.税金の預かり)、そして一般の銀行とのお金のやりとり(ex.資金の融資)があります。

 ①中央銀行の役割とは?

資金調達に使える金融機関の話をする前に、まずは中央銀行の役割について触れてみましょう。以下の図は、中央銀行と私たち個人、そして一般銀行との関係を表しています。

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 わかりやすい例として、小学校の給食を担当する給食センターをイメージするとよいかもしれません。給食センターで作られた給食は、各小学校に配分され、クラスに配分され、最終的に子供達ひとりひとりに配られます。中央銀行も同じで、中央銀行に集まったお金は金融機関等に配分され、最終的に私たち個人に回ってきます。給食費は子供の親から集められ、そのお金を使い給食センターは人件費や材料費とします。

 中央銀行では、一般の方へ直接の事業融資はしていません。しかし、あなたが資金調達先として選ぶ金融機関にお金を提供しているのが、中央銀行という存在です。そして、中央銀行では世界とのバランスをみて金融政策をする際に、政策金利という目標の金利を設定します。都市銀行などの一般銀行が融資をする際の金利は、この政策金利の影響を受けています。

 ②事業主への融資/資金調達をする金融機関一覧

事業主への資金調達に関係する金融機関は、大まかに言うとゆうちょ銀行、日本政策金融機関のような公的金融機関と都市銀行のような民間銀行や信用金庫などの民間金融機関の2つに分けられます。

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 この図を見ると、資金調達に関わる金融機関の種類は多岐に渡る、という印象をお持ちになると思います。そして、これらの金融機関ではそれぞれ異なる融資の申し込み条件が設定されています。そのため、まずは自分と相性の良い金融機関を探してから融資の申込みに移りましょう。

 2.【どの金融機関がいい?】まずは金融機関の特徴を知ることが大切です

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事業主として資金調達先として検討する金融機関。それを選ぶには、まず金融機関それぞれの特徴を知ることが大切です。そもそも個人事業主はNG、業歴の短い事業主は対象外、など個別の条件をチェックしていきましょう。

 ①民間の預金取り扱い金融機関の場合

(1)【業歴2年以上がマスト!】都市銀行の資金調達の特徴は?

みずほ銀行、三井住友銀行といった誰もが知る都市銀行では、ビジネス向けの融資を行っています。大まかに言って、カードローンと事業融資との2種類があり、カードローンは高金利で限度額が少なく審査は緩やか、事業融資が低金利で限度額も高め、審査も厳しめです。 とっつきやすいのは、カードローンでしょう。カードローンには個人向けとビジネス向けの2種類があり、個人向けのカードローンは事業資金としては使えないので注意しましょう。

<【都市銀行】オススメのカードローン>

①みずほ銀行カードローン

みずほ銀行の使い道自由のカードローンです。申し込みには本人確認書類と収入証明書類が必要です。

  • 無担保・無保証人
  • 金利2.0~14.0%(100万円以下の借入では年14.0%)
  • 最大限度額は800万円
  • 来店・郵送は不要でWEB完結できる
  • みずほ銀行のキャッシュカードをお持ちであれば、審査通過後にキャッシュカードで現金が引き出せる

みずほ銀行カードローン

②三菱東京UFJ銀行カードローン「バンクイック」

  • 無担保・無保証人
  • 金利は1.8%~14.6%
  • 最大限度額は500万円
  • すぐにカードを受け取りたい方は、銀行内にあるテレビ窓口での申し込みをすると最短でカードの受け取りができます。(利用は翌日以降。カード発行には所定の審査があります)

三菱東京UFJ銀行カードローン「バンクイック」

 カードローンはコンビニATMから現金の引き出しや返済ができ、提出書類も少なく、とにかく便利ですよね。その反面、金利は高めです。10~50万円ぐらいを借りるのに金利が14%など、二ケタ以上が標準です。緊急時の運転資金用として利用するのがオススメです。この他に都市銀行では、事業用融資も行っています。しかし、ホームページで金利などの詳細までを記載している銀行は少ないのが現状です。申し込み条件はカードローンよりは厳しく、税金の未納はNGで、業歴は2~3年以上となっています。

 初めての取引で何千万円も融資を受けたいのであれば、不動産という担保をつけるか、または信用保証協会の会員になって信用保証協会枠で融資を受けるのが王道です。

<【都市銀行】オススメのビジネスローン>

①三井住友銀行:中小企業向け融資ビジネスセレクトローン

都市銀行にしては珍しく中小企業向けの融資の詳細をホームページ上で公開しています。申し込み条件は①業歴2年以上、②三井住友銀行の窓口で取引が可能なこと、③最新の決算で債務超過でないこと、④税金の未納がないことの4点です。

  •  無担保・無保証人
  • 金利2.125%~(審査と借入額により決定)
  • 最大1億円のワイドな限度額

三井住友銀行|中小企業向け融資ビジネスセレクトローン

②三菱東京UFJ銀行:商工会議所・商工会メンバーズビジネスローン「融活力」

個人事業主は対象外の融資で、商工会議所・商工会の「会員確認書」発行を受けた会員企業であることが条件です。また、申し込み条件は①業歴2年以上、②三菱東京UFJ銀行の窓口で取引が可能なこと、③最新の決算で債務超過でないこと、④税金の未納がないことの4点です。

  •  原則無担保・第三者の無保証人だが代表取締役の連帯保証が必要
  • 適用金利 年2.1%~9.0%(商工会議所メンバーでない場合は年2.35%~9.0%)
  • 最大5,000万円の限度額
  • 融資は最長3年まで。三菱東京UFJ銀行と取引のある方は最長5年

②三菱東京UFJ銀行:商工会議所・商工会メンバーズビジネスローン「融活力」

申し込み条件は①業歴2年以上、②埼玉りそな銀行との取引が6か月以上、③最新の決算で債務超過でないことの3点です。

  •  無担保・無保証人だが代表取締役の連帯保証が必要
  • 適用金利は短期プライムレートをベースに審査などを加味して決定
  • 500~最大5,000万円の限度額
  • 融資は3か月~最長5年以内

埼玉りそな銀行|ビジネスローン「埼玉倶楽部」

 (2)【制度融資がある】地方銀行の資金調達の特徴は?

都市銀行に比べ、より地域色の強い融資をするのが地方銀行です。例えば、りそなグループの近畿大阪銀行では大阪市、信用保証協会、近畿大阪銀行の3つが協調した制度融資を実施しています。市区町村と信用保証協会と連携した制度融資があるのが、地方銀行の特徴の一つです。

<【地方銀行】オススメのカードローン>

・スルガ銀行

使途自由で、現在消費者金融などでの借り入れがある方もお申込みが可能なカードローンです。事業資金としても利用可能で、設備の見積書の提出も不要です。その分、金利は若干高めに設定されています。

スルガカードローン|10万円~最高300万円まで!年率14.9%

<【地方銀行】オススメのビジネスローン>

スルガ銀行、愛知銀行、静岡銀行、三重銀行、そして長野銀行などで、事業資金用のビジネスローンを販売しています。例えば長野銀行では、限度額2億円以内の担保不要のびじねすローン「フレックス」を提供しています。

  •  長野銀行
  • 個人・法人ともに申込可能
  • 保証は長野信用保証協会
  • 保証人は法人の場合代表者が保証人となること
  • 融資は2年以内
  • 金利は審査により決定
(3)【バスや車両向けの融資も!】第二地方銀行協会加盟銀行の資金調達の特徴は?

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第二地方銀行とは一般社団法人「第二地方銀行協会」の会員である銀行です。第二地方銀行協会とは、主な営業基盤を地方においた銀行の集まりです。同じように地方に基盤を置いた銀行の集まりとしては「全国地方銀行協会」があります。こちらと区別するために、「第二~」という名称となっています。 第二地方銀行協会に加盟している地方銀行は、以下のような銀行があります。

一般社団法人 第二地方銀行協会|会員行一覧

※上記URLをクリックすると、一般社団法人 第二地方銀行協会の公式ページにリンクします

 各加盟銀行でも事業用資金の融資を行っていますが、地方銀行に比べさらに地方色が強くなっています。例えば、仙台銀行の場合は宮城県企業の支援融資「サポートみやぎ」や宮城県の環境に配慮する企業を応援する「エコビジネスローン:みやぎ環境応援ローン」があります。地方では都心に比べ車両を購入する事業が多いので、車両用の融資もラインナップされています。また、地方銀行と同様に制度融資も行っています。

 サポートみやぎ

 (4)長期信用銀行の資金調達の特徴は?

聞き慣れない名前の長期信用銀行は、長期金融を専門とした金融機関です。略して「長銀(ちょうぎん)」と呼ばれ、日本の高度成長期には長期資金の安定供給のために一役買った存在でした。しかし、現在は経営破綻後に新生銀行という名のネット銀行に生まれ変わっています。新生銀行は単なるネット銀行ではなく、その背景から他の金融機関との取引や調整を得意としています。

 新生銀行単体ではビジネス向けのカードローンはありませんが、グループ会社のアプラスという信販系会社ではビジネスプラン(金利14.4~16.8%)という事業資金にも使えるローンを販売しています。新生銀行ではコーポレートローン、シンジケートローン、ローンアレンジという3種の事業資金を用意しています。

・コーポレートローン

いわゆる通常の事業融資。新生銀行と事業主との直接取引です。特徴として、外貨建てローンにも対応していうことが挙げられます。取引のある企業は新生銀行コーポレートネットサービスを利用できます。

・シンジケートローン

大型の資金調達をしたい場合、新生銀行が複数の銀行(シンジケート)の取りまとめ役(アレンジャー)となる資金調達です。

・ローンアレンジ

シンジケートローンのように、新生銀行が事業主の希望を聞き他金融機関との仲介をしてくれるタイプの資金調達です。

 この他に、新生銀行グループの新生一ベストメント&ファイナンスでは事業者向け不動産担保ローンを行っています。

 (5)【農業用の融資がある】信用金庫の資金調達の特徴は?

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信用金庫とは一定地域の中小企業者、勤労者、商工業者のための金融機関です。銀行と比べると、業務や対応範囲が限定された金融機関となっています。 信用金庫は地域密着した金融機関ですので、融資の際の条件も○○地域に事業所がある方、というように地域限定されている場合がほとんどです。また、融資額は都市銀行のように何億円規模ではなく最大で1億円程度、初回の場合は1,000万円~3,000万円以下が標準です。

 地方銀行同様、トラックなどの車両用の融資があり、農業経営に必要な資金の融資にも積極的です。

 (6)信用組合の資金調達の特徴は?

信用組合とは、信用金庫がもっと細分化された規模の小さめな金融機関です。信用組合に加盟している組合員の相互付与を目的としているため、信用組合でお金を借りようとするならば、まずは信用組合に加盟しなくてはいけません。信用組合は全国各地にありますが、事業融資は100~1,000万円、金利は2~3%と低金利となっています。

 (7)労働金庫の資金調達の特徴は?

労働金庫は略して労金(ろうきん)なんて呼ばれています。働く全ての人に最も身近な金融機関でありたいというコンセプトの金融機関ですので、法人・事業というよりは個人向けのカーローンや住宅ローンといった商品が目立ちます。しかし、中には中央労働金庫のようにNPO事業サポートローンといった事業用のローンを販売するろうきんもあります。

<NPO事業サポートローン>

  • 特定営利活動法人向けの事業融資

茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県に主たる事務所のある法人であること

  • 3期以上の業歴
  • 無担保
  • 1,000万円以内が限度額
 (8)農業協同組合の資金調達の特徴は?

 農業協同組合は農家の事業と生活の相互扶助のための組織です。略語のJAはみなさんご存じなのではないでしょうか?農業協同組合では、JAバンクという金融機関を設けており、事業者ローンを販売しています。他の金融機関と異なり、あくまで農事業のための融資ですので、資金の使い道は以下のように限定されています。

  • 工場、機会、店舗労の事業設備の取得、増改築、補修改修費
  • 貸倉庫、貸店舗、貸事務所、貸駐車場などの賃貸業務用設備の取得、増改築、補修改修費

融資額は10~1億円程度までと幅広く、返済期間は最低6か月~30年と他金融機関と比較すると長めの設定です。また、JAの融資では基本的に土地や自宅の抵当権などの担保が必要です。

なお、このあとお話する日本政策金融公庫という公的金融機関でも、農業向けの融資(経営体育成強化資金、スーパーL資金)を行っています。

(9)漁業協同組合の資金調達の特徴は?

 漁業社の経営基盤の強化や生活を守るための組合では、生活関連ローンとともに事業用の融資も行っています。特徴は、融資のタイプが手形であるという点です。手形を漁業協同組合が発行し、それを担保にお金を貸すというシステムです。手形貸付とも言うこの手形融資は、基本的に信用度のある人に対してのみ行われる融資スタイルです。 この他にも、漁業関係の資金調達では以下のように水産庁による数々の融資制度があります。

  •  漁業近代化資金
  • 漁業経営改善促進資金
  • 漁業経営維持安定資金
  • 日本政策金融公庫資金

②民間のその他の金融機関の場合

これまでは銀行や地方銀行など、いかにも「金融機関」というイメージの資金調達についてお話してきました。この項では、その他証券会社等の事業資金についてご紹介します。

(1)証券会社の資金調達の特徴は?

 株や債券などをお持ちの方は、それを担保に証券会社が融資をしてくれます。例えば、野村Webローンでは事業主が持っている株などの商品を担保として、提携する野村信託銀行が時価評価額を上限とした融資を行います。そのため、そもそも株や債券を持っていない方、持っていてもそれほど時価評価額がない方にとっては事業融資の選択肢にはなりえません。

 (2)生命保険会社の資金調達の特徴は?

「え?生命保険会社が融資をしてくれるの?」こう感じる方もいるかもしれません。ご紹介するのは、正確には融資ではないのですが、資金調達として使える方法です。 あなたが生命保険に加入していて、それが掛け捨ての保険ではなく解約返戻金がある場合。途中解約を事業資金に充てるという方法があります。

他には、保険契約を解約せずに解約返戻金の範囲でお金を借りることができる契約者貸付制度という制度もあります。

 (3)損害保険会社の資金調達の特徴は?

 損害保険会社は略してそんぽ、とも言われています。損保ジャパンなどが有名どころですよね。損害保険会社では個人向けのカーローンや住宅ローンや法人向け保険の取り扱いがメインです。しかし、例えば損保ジャパン日本興亜の「提携パーソナルローン」のように、上場企業や団体向けの事業融資も存在します。しかし、あくまで保険商品に加入しているのが大前提で、ある程度の企業規模のある事業所が対象であると言えるでしょう。個人事業主向けの資金調達さきではないようです。

 ③公的金融機関の場合

さて、民間金融機関よりは数が少ない公的金融機関を最後にご紹介しましょう。

(1)日本政策投資銀行の資金調達の特徴は?

 略してDBJと呼ばれるこの銀行は、小泉政権以後民営化されています。大手都市銀行以上に大企業向けの資金調達先として知られ、 融資だけではなく、大規模な投資も同時に行い日本経済の活性化に貢献しています。そのため、DBJが融資する相手先(事業主)としては、自治体レベル・インフラ整備のような側面も持つと言えるでしょう。例えば、北海道や東北地域への投資や融資を積極的に行っているのは、この日本政策投資銀行です。 

近年、新たな市場の創造にも力を入れており、大手企業だけでなくベンチャー企業への融資も行っています。

(2)国際協力銀行の特徴は?

 略してJBIC。一般的には知られていない金融機関ですが、国際と名のつく通り、日本だけでなく海外での重要資源の開発や産業の国際競争力の維持などに貢献しています。そのため、一般的な事業主への融資は行っていません。

 (3)【最もオススメ!】日本政策金融公庫は小規模事業や個人事業主にも対応

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 最後にご紹介するのが、日本政策金融公庫です。創業融資や起業後2期以内の創業後融資、そして農業・漁業への融資も積極的に行っています。

 申込方法やフォーマットなどは公式ページに明記されており、誰もが応募しやすい敷居の低さを持っています。気になる金利は現在(2018年3月)1%台。認定支援機関といわれる税理士などの専門家と経由して申し込みすると、融資額のアップや書類作成代行などの支援が行われます。

 まとめ

 融資をする金融機関は、都市銀行、地方銀行、信用組合、信用金庫、そして日本政策金融公庫と幅広い種類がありますね。その中で、日本政策金融公庫は銀行融資の審査に通らない層へのビジネスチャンスを与えるためにある金融機関です。融資額がそれほど多くないのであれば、日本政策金融公庫での融資を一番お勧めします。

 

 

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。