増資とは?

増資とは? 更新日:2018.03.08 公開日:2018.03.08起業後の資金調達 – 起業後に実施しておくべき準備
増資

今回の記事のターゲットワードは増資。漢字の通り、資本を増やす、つまり資本金を増やすという意味です。

以下の記事では、具体的に増資をするメリットそしてデメリットについて解説しましょう。

1.日本企業の4割が株式会社

日本の一次産業を除く会社の数は380万社です。(2017年:中小企業庁白書より)このうち4割強は株式会社、その他6割は有限会社、合名会社、合資会社などです。株式会社とは、会社が株式(略して株)を発行し、それを投資家がお金と引き換えに購入することで資金調達をするタイプの会社です。

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 会社設立をする時は資本金が必要です。とくに、株式会社を設立するには資本金は最低1円でも株式会社設立はできるのですが、資本金1円の会社に投資家はお金を出したいと思うでしょうか?将来が不安な会社はリターンが見込めないため、普通は投資しようと思わないですよね。そのため、小規模な会社でも資本金は300万円が必要です。

 資本金を得るため、会社は株式を発行します。投資家は将来の株式の値が上がることを期待し、株式をお金で購入します。このお金が資本金となるのです。

2.2度目の株式発行を増資と呼ぶ

さて、順調に事業が伸びていき、もっと大規模な設備が欲しい、もっと従業員を増やしたいという事態になったとしましょう。その場合、さらに資金が必要ですので、2回目の株式発行をして資金調達をする場合があります。これが増資と呼ばれる行為です。1回目に株式を購入した投資家と同じ人が再度購入することを、株主割当と呼びます。

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3. 増資をするメリットは何?

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増資をするのは、前述のように事業が順調だからもっと会社規模を拡大したいという目的からです。しかし、それだけではありません。

 ①人生ゲームのように株券を買い占めると経営権が手に入る

皆さんは人生ゲームのルールを覚えていますか?子供のゲームにしてはシュールすぎる、お金と人生の関係を学べる秀逸すぎる殿堂入りボードゲームです。人生ゲームでは、スタート後に大学に入るかどうか、そして株券を購入するかどうかという選択肢が登場します。株券を買うとお金を払わなくてはいけないのですが、ゲームの後半で自体は逆転し、株式をたくさん保有している人がゲームに勝利することが多いのです。

 株式には事業配当といって事業での利益を株主(投資家)にあげますよ、といった権利や会社の経営権を付与するといった目に見えない権利がついています。そのため、資金調達のためにどんどん会社外部に株式を売りさばくとどうなるか?最終的には以前IT会社社長の関わった事件のように、乗っ取り買収をされてしまう危険性があります。そこで、乗っ取りを防ぐために増資をして自ら株式を購入するという手法をとる経営者もいます。

 ②取引先との連携を強化できる

自社が株式を購入するのではなく、取引先に株式を購入してもらうことで連携を強化できるというメリットがあります。これを第三者割当増資と呼びます。第三者割当増資は通常、未上場会社が資金調達をするために行う例が多いようです。

 第一回目の株式発行時に外部に広く株式を発行した場合、この第三者割当増資をすると既存の株主が自分の保有する権利が薄まるため反発する恐れもあります。

 ③株式を広く購入してもらえる

株式を特定の人だけが保有するのではなく、もっと広くたくさんの人に購入してほしいという場合。1回目の株式の価格より下げた値をつけ、自社で株式を買い取るというパターンもあります。

 例えば、1回目の株式販売で1株100円だった場合。増資で1株半額の50円とし買いやすい価格に設定し、事業利益で自社が買い取ります。「そんなことしたら、株価が下落して損をしてしまうのでは?」と思われると思いますが、損をしないよう倍の数字の株式を発行することで資金量を減らさずに、新規の株式購入者を増やすのです。

 ④金融機関からの評価が上がる

増資をすれば、企業として安定した事業をしていると銀行から評価されます。なぜかと言うと、自己資本比率が上がるからです。しかし、増資するだけで融資が通る、という訳ではありません。融資の審査では他にも事業の成長率やキャッシュ保有率もみられます。

増資は、高評価につながる融資の一つのポイントとなります。

 4. 増資をするデメリットは何?

これまで増資のメリットを中心にお伝えしましたが、増資によるデメリットももちろん存在します。増資をするということは、つまり資本金が増えるということです。 法人税は資本金の額と事業の収益を元に計算されています。資本金は800万円以下かそれ以上かで壁があり、800万円以下では15%の法人税率も800万円超では23.4%へと跳ね上がります。

また、株式の価格を変更する場合は専門家に依頼するための手数料が最低でも20万円は必要です。

まとめ

増資は単純に事業を拡張するための資金調達としてだけではなく、関係企業との連携、株主との関係を左右できる経営戦略の一つです。メリットだけではなく税金が増える等のデメリットも存在します。増資は専門家による手続きも発生するため、単純に資金が欲しい場合は日本政策金融公庫での資金調達をお勧めします。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://support.so-labo.co.jp/

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