法人保険を解約して資金調達。解約返戻金を事業資金にする際のメリットとデメリット

法人保険を解約して資金調達。解約返戻金を事業資金にする際のメリットとデメリット 起業後の資金調達 – 起業後に実施しておくべき準備
契約時書類

資金調達したいけど、融資以外の資金調達はない?と考えていませんか?

事業をする上で資金調達は当たり前のことなのですが、新規の借入をしたくない、利子は払いたくないと融資に消極的な方もいらっしゃいます。

今回の記事では、法人で加入している保険を解約した際に返ってくる返戻金を事業資金にする場合のメリットとデメリットを紹介します。 

 

1.解約時返戻金を事業資金にするメリットとは?

解約時返戻金の返戻金はヘンレイキンと呼びます。融資との違いは、審査がないので確実にキャッシュが増えます。また、保険解約では携帯電話のように違約金がないため解約すること自体のデメリットはありません。

しかし、解約返戻金を事業資金にするにあたり、いくつか注意しなければいけない点があります。

それは法人税が増えてしまう可能性があるという点と、保険契約によっては途中解約すると払込みした保険料より少なくお金が戻るかもしれないという2点です。

 

2.法人保険を解約すると法人税が増えるかもしれない?

①そもそも何故、法人保険に加入しているのか?

経営者が保険に入る目的の1つとして、節税があります。なぜ法人保険に加入することが節税になるのでしょうか?答えは簡単で、法人保険の掛金が費用として計上できるからです。費用として計上できるので、法人税を計算する際の企業の収益が減るのです。 

法人税の計算方法

上記の図式のように、企業の費用が増えると企業の所得は減るため、結果的に法人税は減るという計算になります。企業の費用のことを会計上、損金と呼びます。法人保険の保険料は損金として計上することが認められています。個人の場合も、生命保険は所得税の控除対象ですよね。それと同じです。

 

②単純に解約すると、雑収入として計上することになる

損金としてどのくらい計上できるかという点は、解約返戻金を受け取る際の重要なポイントです。なぜなら、法人保険の加入で節税できていたとしても、全額損金タイプでは解約返戻金を受け取る際に一気に所得が増えてしまうからです。

結果的に法人税は上がるので、せっかくの節税対策は台無しになってしまいます。そのため、法人保険の解約返戻金を事業資金として計上する際は、どのくらいの率で益金(損金の逆)として計上されるのかを前もって計算し、法人税がとられすぎないように注意しなくてはいけません。

 

3.払込みした保険料より少なく戻ってくるかもしれない?

解約する際にもらえる解約時返戻金はどのくらいもらえるのか。その率を解約時返戻率と呼びます。

解約するタイミングによっては、例えば100万円の払い込みをしたのに50万円しか戻って来なかった、と大幅に損してしまうことがあります。解約する前に、自身が加入する保険契約の規約をじっくりと確認しましょう。

 

4.解約返戻金を損せず受け取るには出口戦略が大事!

法人保険の解約返戻金と法人税は密接に関わっています。帳簿の付け方次第で、解約返戻金を受け取っても大幅に法人税でとられてしまうなら、事業資金に充てられるお金は減ってしまいます。

では、そうならない為にどうすればいいのか。解約時にも損をしないように計画することは出口戦略と言われています。

 

①保険料の何割を損金として計上できるのか確認しよう

契約している保険商品によって、帳簿をどのように付けられるのか違いがあります。例として、以下の図をご覧ください。

解約返戻金を損せず受け取る為の注意1

上記のように、損金として計上できる割合が1/2、1/3、1/4など保険商品によって割合が異なります。また、全額損金に計上できるもの(掛け捨てタイプ)もあります。損金として計上できる割合がわかれば、その逆の益金として計上できる額も把握できます。

益金として計上できる額がわかれば、法人税をどのくらいとられるのか、あらかじめ予測ができます。

 

②保険積立金があるかで仕分けは異なる

保険積立金とは、保険会社が保険金を支払う際のお金を契約者が積み立てるお金で解約返戻金ではありません。途中で一部返金してもらうことも可能で、別名:満期保険金とも呼びます。保険積立金の有無でも損益計算書の付け方は異なります。左側に借方と言って費用を、右側に貸方と言った収益を記載します。

例えば、あなたが保険料140万円で損金1/2タイプの法人保険に加入中とすると、以下のような帳簿となります。

解約返戻金を損せず受け取る為の注意2

保険積立金(満期保険金)がない場合は、以下のようになります。法人保険は種類によって損益計算書の書き方が違ってくることがお分かりいただけると思います。

解約返戻金を損せず受け取る為に注意3

 

③解約返戻金を雑収入にしないためには?

単純に解約して解約返戻金を受け取ると、雑収入として計上することになります。損益計算書の右側の貸方の現預金が増え、法人税が上がってしまいます。しかし、雑収入とみなされないための方法として、役員等の退職金に充てるという方法があります。解約時返戻金を退職金として受け取った場合は、法人税はかかりません。保険商品により、解約返戻金を退職金として利用できるかどうかの違いがあります。

 

まとめ

法人保険の解約返戻金を事業資金とするのであれば、役員や長期勤務者の退職金とする方法が法人税がかからないためオススメです。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。