事業承継のための資金であれば個人でも融資を受けることができる!?
中小企業や小規模事業者にとって事業承継を円滑に進めることは事業の存続のためにも重要な課題と言えます。しかし、事業承継を取り巻く環境は厳しく、円滑な事業承継を進めるためにはクリアしなければならない問題がたくさんあります。今回は、事業承継の問題のひとつである「事業承継のための資金繰り」を中心にご紹介したいと思います。
1.中小企業経営承継円滑化法
中小企業の事業承継は日本の経済にとって、雇用確保や地域経済の活性など様々な点でとても重要です。しかし、事業承継に対する準備がしっかりと整っているという企業は少なく、後継者の育成、事業承継のための資金の準備など事業承継を取り巻く問題は山積みとなっています。
そこで、政府は中小企業の事業承継を円滑にすすめるための対策として「中小企業経営承継円滑化法」という法律を成立させました。
中小企業経営承継円滑化法では、「遺留分に関する特例」「金融支援」「課税の特例」の3つを中心に中小企業の経営承継を円滑にするための対策を整えました。
2.事業承継のための資金繰りの支援
中小企業経営承継円滑化法のひとつである「金融支援」は、経営承継のための資金融資制度について定めています。
事業承継に係る資金は主に以下のような内容となり、多くの資金が必要となります。
これらの資金は後継者や個人事業の代表者など、個人が資金を要することが多くなります。
資金繰りがうまくいかないことで、事業承継が円滑に進まないということを防ぐために、日本政策金融公庫では、経営承継円滑化法における都道府県知事の認定を前提とした、個人の株式取得のための資金の融資を受けることが出来ます。
3.日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」の概要
(1)日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」を利用できる人
事業承継・集約・活性化支援資金を利用することができる人は、以下のいずれかに該当している方が対象となります。
上記に該当する方の事業の承継・集約に必要な設備資金や運転資金としての融資が対象となります。
(2)融資限度額
国民生活事業の融資限度額は7,200万円です。うち、運転資金は4,800万円が上限となります。
【国民生活事業と中小企業事業の違い】
日本政策金融公庫の融資制度には「国民生活事業」と「中小企業事業」の2つがあります。
上記の限度額は国民生活事業ですが、中小企業事業の場合、同じ融資制度でも限度額は7億2,000万円です。上限金額が大きく異る2つの制度ですが、ざっくりと違いを説明しておきます。
中小企業がお金を借りようと考えている場合には、まず、国民生活事業で相談する形が一般的です。
(3)返済期間
事業承継・集約・活性化支援資金の返済期間は設備資金と運転資金で異なります。
据置期間とは・・・・
据置期間は返済金のうち、利息のみの支払いを行う期間を言います。
据置期間終了後、利息と元本の返済がスタートします。日本政策金融公庫の据置期間は、ご自身で設定することが可能です。事業承継を行ない、事業全体が安定する時期がはっきりとしている場合には、その期間までを据置期間に設定するなど、事業の状況や資金繰りの状況を考慮して設定するようにしましょう。
(4)利率
事業承継・集約・活性化支援資金の利率は、(1)の利用できる人の条件によって異なります。保証人や担保に関しては、相談の上決定していく形となります。
下記金利情報は、平成30年2月9日現在の年利%です。金利は定期的に変更となるため、日本政策金融公庫HPより最新の金利情報をご確認下さい。
4.金融支援をうけるための流れ
日本政策金融公庫で事業承継のための資金の融資を受けるためには、中小企業経営承継円滑化法に基づき、都道府県知事の認定を受ける必要があります。
申請書の提出先は各都道府県の担当課に提出となります。
必要書類など都道府県に応じて異なる可能性があります。
事業承継の金融支援に関する各都道府県の担当課に関しては下記よりご確認ください。
5.まとめ
中小企業経営承継円滑化法に基づき、中小企業や小規模事業者、個人事業主の方の事業承継のための金融支援として、日本政策金融公庫から低金利で融資を受けることが出来ます。
上記でご説明したように、「事業承継・集約・活性化支援資金」の融資限度額が7,200万円となっています。しかし通常の支店決済権は個人で融資の申込みに行かれた場合には1,000万円、認定支援機関を経由している場合には2,000万円となります。
7,200万円の融資をうけるというのは、日本政策金融公庫の本店の決済権となるため、かなり難しくなります。
とはいえ、全く、資金調達を行わずに事業承継を乗り切るのは難しいため、利用対象に該当している場合には融資制度を利用する方が良いと言えます。また、少しでも多く融資を受けたいとお考えの場合には、認定支援機関を経由して融資の申込みを行うことをオススメします。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
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