クラウドファンディングを理解して、資金調達方法の選択肢を増やそう
クラウドファンディングによる資金調達という方法も、近年ではだいぶ定着しており、なんとなく「クラウドファンディング」を知っているという方も増えているのではないでしょうか? とは言え、どんな歴史があり、どんな種類があり、市場規模がどの程度で、どのようなデメリットがあり、どのようなメリットを得られるのか、しっかりと理解しているという方は、まだまだ多くないのではないでしょうか? 今回は、クラウドファンディングとは何か、どんな仕組みでどんなメリット・デメリットがあるのかをしっかりと紹介します。クラウドファンディ
1.クラウドファンディングとは何か
クラウドファンディングとは、サービスやアイデアなどをインターネットを使って不特定多数の方に発信し、賛同を得られた人達から資金を集める方法です。
クラウドファンディング専用のプラットフォームサイトがいくつかあり、そこに登録して利用するという方法が一般的です。
(1)クラウドファンディングの歴史
クラウドファンディングはインターネットの普及とともに2000年代の後半からアメリカで広く知られていきます。日本では、2011年3月に「Readyfor」がサービスをスタート、6月に「CAMPFIRE」がサービスをスタートさせます。
すでに、日本でのクラウドファンディングサービスがスタートし、9年経過しています。
2011年には、未曾有の大災害となった東日本大震災がありました。資金調達という目的よりも寄付や支援を行う方法のひとつとして、クラウドファンディングが広く知られるきっかけになったと言えるのではないでしょうか?
インターネットを利用したクラウドファンディングという方法は、2000年代に入ってからと比較的新しいサービスではありますが、日本には、昔からクラウドファンディングと同じような手法があります。
日本には多くの寺院・仏閣がありますが、これらの修復等を実施する際には、勧進(かんじん)と言う、個人から寄付等をつのり、寄付して下さった方のお名前が寺院などに記されることがありました。クラウドファンディングという言葉だけを聞くと、なんだかわかりづらいと思ってしまうかもしれませんが、歴史からわかるように、日本人には意外と受け入れてもらいやすい性質をもっているとも言えます。
(2)クラウドファンディングの3つのタイプ
クラウドファンディングには「寄付」「購入」「金融」の3つのタイプがあります。
寄付タイプのクラウドファンディング
寄付タイプは、文字のとおりクラウドファンディングを実施するプロジェクトに賛同した支援者の方から寄付を募るという方法です。
一般的な寄付と同じなので、基本的には支援に対するお返し(リターン)は発生しません。
購入タイプのクラウドファンディング
購入タイプのクラウドファンディングは、クラウドファンディングを実施するプロジェクトに賛同した支援者が、お返し(リターン)を購入することで、プロジェクトを支援するという方法です。
簡単に説明すると、商品やサービスなどに対する予約購入のようなイメージです。
金融タイプのクラウドファンディング
(画像は融資型クラウドファンディング)
金融タイプのクラウドファンディングには、「融資型」「ファンド型」「株式型」などの種類があります。
融資型のクラウドファンディングは「ソーシャルレンディング」と呼ばれることもあります。個人の投資家から資金を集め、大口の借り手企業に融資を行います。支援者となる投資家は利息がリターンになります。
ファンド型・株式型のクラウドファンディングは企業が行うクラウドファンディングで、ファンド型の場合には、クラウドファンディングを行う事業に対し、個人の投資家からの出資を募ります。
リターンは、金銭的なものの他、クラウドファンディングの対象となる事業のサービスなどを受け取ることが出来ます。
―ファンド型・株式型は事業者が取得しておくべき資格があります―
ファンド型のクラウドファンディングの場合は、事業者の方に第二種金融商品取引業の登録が必要となり、株式型のクラウドファンディングの場合は、第一種少額電子募集取扱業の資格が必要となります。
(3)クラウドファンディング2つの実施方式
クラウドファンディングには「All or Nothing」と「All in」という2つの実施方式があります。
All or Nothing方式
All or Nothing方式とは、募集期間中に設定した目標金額に支援が届いた場合には、クラウドファンディングのプロジェクトが成立となり資金を受け取ることができますが、目標金額に届かない場合には、クラウドファンディングのプロジェクトが不成立となり、資金を受け取ることが出来ない仕組みです。
支援者は支援したクラウドファンディングのプロジェクトが不成立の場合にはリターンは受け取れず、支援した金額が返金されます。
All in方式
All in方式は、目標金額に届かなかった場合でもクラウドファンディングのプロジェクトは成立となる仕組みです。All in方式の場合には、目標に到達しなくても資金を受け取ることが出来ます。
2.クラウドファンディングのメリット・デメリット
クラウドファンディングのタイプや実施方式についてご理解いただけましたか?では、次にクラウドファンディングのメリット・デメリットについて確認していきましょう。
(1)クラウドファンディングのメリット
メリット1:可能性から資金調達ができる
クラウドファンディングの大きなメリットは、可能性で資金調達ができるという点ではないでしょうか?
クラウドファンディングであれば、新しくスタートさせたいと考えている事業や、サービス、商品などをプロジェクトとして立ち上げることで、支援者を募ることができれば資金調達を受けることが出来ます。
一般的に金融機関からの融資の場合、融資を受ける方が返済できるかどうかという点が最も大きな審査ポイントになります。そのため、新しい事業などの可能性というよりも、その会社・経営者の信用性などが重要になります。
購入型や寄付型のクラウドファンディングであれば、商品やサービスに魅力を感じた支援者、純粋に応援したいという支援者を見つけることが出来ます。
ただし、金融タイプのクラウドファンディングの場合には、支援者の対象が投資家となるため、購入型や寄付型よりもよりしっかりと支援者に事業内容を把握してもらう必要があります。
メリット2:ユーザー(お客様)の反応がわかる
クラウドファンディングは、商品やサービスを一般的な市場に出す前にプロジェクトとして立ち上げることが出来ます。そのため、商品やサービスに対するユーザー(お客様)の反応がわかりやすく、マーケティングとしても活用できます。
また、従来とはことなる新たなユーザーを見つけることができる可能性もあります。宣伝的な要素としても効果が期待できますね。
(2)クラウドファンディングのデメリット
デメリット1:目標金額に到達しない可能性がある
クラウドファンディングでは、目標金額を設定します。しかし、支援者が想定よりも集まらない場合には、目標金額に到達しない可能性もあります。
また、「クラウドファンディングの2つの実施方式」で紹介したように、All or Nothing方式でクラウドファンディングを実施した場合には、プロジェクトが不成立になってしまうと、資金を受け取ることが出来ません。
デメリット2:管理にコストがかかる
購入タイプのクラウドファンディングの場合には、お返し(リターン)の準備や発送などが必要となり、金融タイプのクラウドファンディングの場合には分配金などの振込が必要です。これらの作業には時間もコストもかかります。
また、プラットフォームサイトを利用するため、そちらに支払う手数料も発生します。
3.クラウドファンディングがスタートできるプラットフォーム
日本国内でもクラウドファンディングのプラットフォームサイトはかなり増えています。代表的なものをいくつか紹介しておきますので、覗いてみて下さい。
4.クラウドファンディングの注意点
クラウドファンディングの注意点は、インターネットで公開するため、一度公開すればWEB上から削除するということが難しくなります。
目標が達成してもしなくても、その記録は残ってしまいます。また、不特定多数の人が閲覧できるという点では、アイデアが盗まれてしまうという可能性もゼロではありません。
インターネットは便利である反面、批判などが起こる可能性も考えられます。プロジェクトを立ち上げる際には、これらの注意点についてもしっかりと考えて実行しましょう。
まとめ
今回はクラウドファンディングについて紹介しました。
当社も以前、代表である田原の本の出版に伴い、クラウドファンディングを実施させていただきました。
実際にクラウドファンディングを利用すると、支援してくれる方がわかるのでとても励みになりました。達成までにページを更新したり、プロジェクト終了後のリターン発送などは
それなりに大変でしたが、実施することで伝えられることも増えました。もし、チャレンジを検討されている方がいらっしゃれば、いろいろなプラットフォームサイトを確認し、見せ方なども工夫されると良いのではないでしょうか?
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平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup » https://inqup.com/