車の運転が好きだし、会社に縛られたくないから個人でタクシー業をやりたい。
でも、個人タクシーとして登録するのは大変そうで躊躇してしまう。こんな方はいらっしゃいませんか?
今回の記事では、個人タクシーの種類や開業の条件、そして最近流行っているタクシーアプリについて触れていきたいと思います。
1. 個人タクシーの開業は1988年をピークに減少傾向
個人タクシーの車両数は1988年の47,221車両をピークに、2016年には35,150車両と1万2千車両も減少しています。
1988年と言えば昭和63年。まさにバブル真っただ中です。1988年の出来事とは、青函トンネル開通、東京ドーム完成、瀬戸大橋開通、そして東北新幹線・上越新幹線開業などです。なんだか、ダイナミックな建築物がたくさん完成した年だったのですね。
バブルをピークに、個人タクシーの数が少しずつ減っていきました。しかし、個人タクシーの良いところは好きな時間に働けるという点があるのですよね。また、会社に所属することで生まれるしがらみがない、というメリットもあります。数としては少しずつ減少していますが、今後も完全に廃れるということはまずないでしょう。
2. 個人タクシーの正式名称は?
タクシーには法人タクシー業と個人タクシー業の2種類があります。法人タクシーは日本交通のような会社が経営しているタクシー業のことです。一つの会社で複数のタクシーを保有していて、無線やアプリで配車をスムーズに行っています。乗車でお客さんからお金を受け取りますが、お給料は会社からもらうシステムです。
これに対し、個人タクシーは自身が会社を立ち上げ乗車でもらったお金はあなたに直接入ります。個人タクシーの正式名称は一人一車制個人タクシー事業と言います。原則、一人の人が個人タクシーとして持てる車両は一台までです。
その一台の資金は自分持ちとなります。
3. 法人でもなく個人でもないタクシー業とは?
これに加え、法人タクシーと個人タクシーの中間のような契約で働く方法もあります。Kmタクシー(国際自動車)では提携して個人タクシーとして働く制度があり、乗車する車両はkmタクシーのものを使い勤務時間は個人で選べるというものです。
4. 個人タクシー開業の条件とは?
①一般乗用旅客自動車運送事業経営許可とは?
舌を噛みそうなタイトルですね。この経営許可はまず以下2点を満たさないと認可されません。
【個人タクシー開業のための最低条件】
- 普通二種または大型二種運転免許または中型二種運転免許を持つ
- 道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業経営許可を取得している
一般乗用旅客自動車運送事業経営許可は国土交通省が認定するもので、各都道府県の運輸局へ申請することになります。この許可を取るには、無事故無違反などの詳細な条件を満たしていなければいけません。これについては、この後詳しくご紹介していきます。
ちなみに、この許可を得ずに駅周辺で「送ってくよ~、うちドコ?」と声掛けをして違法に乗車させて金銭をもらうという行為は白タクです。タクシーかどうかの判別は車についているナンバープレートを見れば一目瞭然なのですが、私も学生時代によくお世話になりました。白タクは違法ですので捕まってしまいますよ。やめておきましょう。
5. 一般乗用旅客自動車運送事業経営許可とは?
さて、個人タクシー開業のための必須条件の一つである営業許可についてご説明いたします。主に、運転経歴があるかどうかが条件となっています。
個人タクシーの経営許可は各都道府県の運輸局によって異なります。ここでは、関東運輸局の場合の条件でご紹介しましょう。
【一般的に一般乗用旅客自動車運送事業経営許可を取得するには】
- 年齢が65歳以下である
個人タクシーの定年は75歳です。しかし、75歳から経営許可をとるのでは少々遅いですよね。また、何歳から個人タクシードライバーになれるのかという点については特に明記されていませんが、24歳ぐらいでしょうか。なぜかというと、35歳未満において10年以上の継続したハイヤー・タクシー会社勤務経験が必要だからです。
これから先は、年齢別の条件となります。
【申請時に35歳未満の場合】
- 申請日前継続して10年以上区域内同一ハイタク事業者に雇用され、申請日前10年間無事故無違反であること
35歳未満の場合は、無事故無違反が必須です!
【申請時に35歳以上40歳未満の場合】
- 申請する営業区域において、申請日以前、自動車の運転を職業とした期間が10年以上である(トラック運転手の場合は期間を50%に換算する)
- 上述の運転経歴のうちタクシーまたはハイヤーの運転を職業としていた期間が5年以上である
- 申請する営業区域において、タクシーまたはハイヤーの運転を職業としていた期間が申請日以前継続して3年以上である
トラック運転手の経歴も経験に入ります。複数の会社で全10年間の乗車を経験している場合、トラック運転手
申請時に35歳以上40歳未満(35、36、37、38、39歳の方)で過去10年無事故無違反の場合は、次にご紹介する40歳以上65歳未満の条件で適用することが可能です。
【申請時に40歳以上65歳未満の場合】
- 申請日以前25年間のうち、自動車の運転を専ら職業とした期間が10年以上である(トラック運転手の場合は期間を50%に換算する)
- 申請する営業区域において、タクシーまたはハイヤーの運転を職業としていた期間が申請日以前3年以内に2年以上である
②法令違反がない
申請日以前5年間また申請日以降に法令違反(運転免許証取り消しなど)を行っていない必要があります。また、同時に申請日以前3年間また申請日以降に道路交通違反(路駐など)もなく運転免許の効力停止をされていないという決まりもあります。
③資金力
設備資金80万円以上、運転資金80万円以上、自動車車庫の資金、自賠責保険料、対人対物保険料の資金がある必要があります。
これらの資金は100%自己資金であり、申請日以降に通帳などで常時保有している必要があります。
④試験
大阪、東京などの大都市で営業する場合は、運輸局の実施する試験に合格しなければなりません。以下は、関東運輸局の場合の概要です。
地理試験ありの場合 |
・前年10月~9月間に申請→11月試験 |
地理試験免除の場合 |
地理試験免除の場合 |
6.Uberなどのアプリに登録できる?
個人タクシーとしての開業ですが、10年以上の乗車経験や場所によっては試験もあるので簡単ではないですね。
そこで、Uber(ウーバー)ってどうなの?と考える人が増えています。Uberは世界中で利用されているタクシー配車アプリで、最近ではUber eatsという出前アプリも人気ですよね。
※上記URLをクリックすると、Uberの公式サイトへリンクします
スマホで予約して、今どこにタクシーが着ているかも地図アプリで確認できます。領収書はメールで届き、自分の乗車したい車種が選べます。一般的なタクシーとは違う点が多々あります。
さて、個人タクシーで開業しようというあなたが一番気になるのは違法じゃないの?ということではないでしょうか。Uberにドライバーとして採用されると、Uberの用意した車両をあなたは使うことになります。そのナンバープレートは緑または白であり、白タクも混在しています。そのため、白ナンバーであれば違法、緑であればセーフ、ということになるようです。
まとめ
個人タクシーの開業は原則的にハイヤー・タクシー会社などで10年以上の勤務経験が必要です。しかし、その経験がある方には好きな時間を使って勤務できるので魅力的な業種ですよね。
開業資金も、他業界と比較すると決して高い部類には入りません。
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平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup » https://inqup.com/