小さな花屋を開業するときのポイントを解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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小さな花屋を開業するときのポイントを解説

花屋を開業する場合、規模の小さな花屋にすることは選択肢のひとつです。しかし、小さな花屋を選択することにより、希望する事業内容が実現できないことや集客が難航することも考えられます。

小さな花屋を開業予定の人は開業するときのポイントを押さえてみてください。ポイントを押さえることにより、開業後の事業内容を具体化できる可能性があるため、まずは小さな花屋を開業するときのポイントを確認することから始めてみましょう。

ポイントは営業方法を工夫すること

小さな花屋を開業するときのポイントは営業方法を工夫することです。大きな花屋と比較した場合、小さな花屋は対応できる業務範囲に限りがあるため、小さな花屋を開業したい人は営業方法を工夫するためのポイントとなる項目を確認してみましょう。

【営業方法を工夫する項目例】

  • 営業拠点
  • 商品
  • 仕入先

営業方法を工夫する項目には「営業拠点」「商品」「仕入先」が挙げられます。それぞれの項目を工夫することにより、収益の安定化や独自性をもった店舗づくりにつながる可能性があるため、小さな花屋を開きたい人は各項目の内容を押さえておきましょう。

営業拠点

小さな花屋を開業するときのポイントのひとつは営業拠点を工夫することです。花屋の拠点には「テナント」「自宅の一部」「移動販売車」などの選択肢が挙げられますが、拠点の選び方は重視する条件次第となるため、まずはそれぞれの項目の特徴を比較してみましょう。

【拠点ごとの特徴】

項目 立地(販売する場所) 物件取得費
テナント 選定可能 原則必要
自宅の一部 選定不可 原則不要
移動販売車 選定可能 原則不要

たとえば、立地を選択できる点はテナントにおけるメリットのひとつです。物件取得費がかかる点はデメリットですが、「オフィス街」「商業街」など、顧客の往来が多い立地を選択できるため、開業後の集客を重視したい人はテナントを選択することも方法のひとつです。

また、物件取得費が不要な点は自宅におけるメリットのひとつです。立地を選択できない点はデメリットですが、物件取得に関わる費用は不要となるため、開業資金や開業後の賃料の削減を重視したい人は自宅を選択することも方法のひとつです。

営業拠点の選択肢には、それぞれメリットとデメリットがあります。小さな花屋を開業したい人は、開業の目的や開業後に重視したいことと照らし合わせながら、営業拠点を決めることを検討してみましょう。

営業拠点を決めるときは集客方法を考える

営業拠点を決めるときは集客方法も考えてみてください。大きな花屋と比較した場合、小さな花屋は認知されにくく、集客が難航するおそれがあるため、営業拠点を決めるときは集客方法もあわせて考えてみましょう。

【営業拠点ごとの集客方法の例】

拠点 具体例
テナント 店内イベントの開催、近隣住民へのポスティング
自宅の一部 SNSへの投稿、通販サイトの登録
移動販売車 定期出店できる場所の確保、販売車両の装飾

テナントの集客方法のひとつは「店内イベントの開催」です。「アレンジメント教室」「寄せ植え体験」など、店内イベントを開催することにより、近隣住民に認知される可能性があるため、テナントの場合は店内イベントでの集客を検討する余地があります。

自宅の集客方法のひとつは「SNSへの投稿」です。「Instagram」「YouTube」など、SNSに仕入れた花の画像やアレンジメントの製作動画を投稿することにより、花に興味のある人に認知される可能性があるため、自宅の場合はSNSでの集客を検討する余地があります。

なお、いくつかの集客方法を並行して実施することもできます。小さな花屋を開業する場合、まずは認知度の向上を目指すことになるため、小さな花屋を開業したい人は営業拠点の特性に合わせた集客方法を検討してみましょう。

商品

小さな花屋を開業するときのポイントのひとつは商品を工夫することです。花屋の商品にはいくつかの種類がありますが、小さい花屋の場合は限られたスペースでの営業となるため、販売戦略に応じて取り扱う商品を検討してみましょう。

【商品ごとの特徴】

項目 日持ちの目安 管理方法 特徴
生花 4日~15日 水揚げや水替え 利用シーンを問わず、お祝いやお見舞いにも使える
ドライフラワー 3か月~1年 高温多湿と光を避けて保管 自宅や店舗の装飾向け、お祝いやお見舞いには不向き
プリザーブドフラワー 1年~5年 高温多湿と光を避けて保管 利用シーンは問わないが、生花と比較した場合は高価

商品を揃えるときのポイントは、季節性の需要を意識することです。「母の日」「お正月」「卒業式」など、季節ごとのイベントによっても花の需要が変化するため、商品の種類を決めるときは季節性の需要に合わせることも方法のひとつです。

商品を揃えるときのもうひとつのポイントは顧客層を意識することです。「冠婚葬祭関連の企業」「ガーデニングが趣味の女性」など、顧客層によっても購入する商品が異なるため、商品の種類を決めるときはターゲットとなる顧客層に合わせることも方法のひとつです。

小さな花屋を開業する場合は取り扱う商品を厳選することになります。花を展示する場所や在庫を保管する場所が限られるため、小さな花屋を開業したい人はそれぞれの商品の特徴を踏まえつつ、販売戦略に応じた商品を揃えることも検討してみましょう。

商品を決めるときは販売方法を考える

商品を決めるときは販売方法を考えてみてください。店頭での販売以外の方法も取り入れることにより、「フラワーロス対策」「固定収入の確保」など、経営の安定化につながる可能性があります。

【販売方法の例】

  • ドライフラワーの商品をSNSから受注販売する
  • 生花のサブスクリプション(定額制サービス)を取り入れる
  • プリザーブドフラワーのアレンジメント教室を開催する
  • 地域のイベントに出店して生花を販売する

たとえば、SNSから受注販売することは販売方法のひとつです。ドライフラワーを使った「ブーケ」「スワッグ」「リース」など、商品の画像をSNSに投稿して注文を募ることにより、受注販売が可能となるため、フラワーロス対策につながる可能性があります。

また、サブスクリプションは販売方法のひとつです。「1日に切り花1本×1か月」「1か月に花束1束×6か月」など、あらかじめ期間と価格を固定して生花の切り花や花束を販売するサービスを取り入れることにより、安定した収入の確保につながる可能性があります。

開業後の経営を安定化させるポイントは、廃棄する商品を減らすことです。とくに、日持ちの目安が短い生花はフラワーロスにつながりやすいため、小さな花屋を開業したい人は販売方法を検討しながら取り扱う商品を選択することも考えてみましょう。

仕入先

小さな花屋を開業するときのポイントのひとつは仕入先を工夫することです。仕入先にはいくつかの選択肢がありますが、それぞれ特徴や購入の条件があるため、開業者の状況に応じた仕入先を検討することになります。

【仕入先の例】

項目 特徴 購入条件
花卉市場 ・市場を訪れて競りや事前予約にて仕入れる
・ロットが大きいが1本あたりの価格は下がる
・仕入れ実績や市場取引経験を積み 「買参権」を取得する必要がある
仲卸業者 ・仲卸業者の店舗を訪れて仕入れる
・花卉市場と比較した場合、ロットが小さいが1本あたりの価格が上がる
・開業届や登録費用を提出し「買出人章」を取得する必要がある
卸販売サイト ・サイトから注文して宅配してもらう
・花卉市場と比較した場合、ロットが小さいが1本あたりの価格が上がる
・サイト次第だが条件がない場合もある

仕入先を選択するときのポイントは購入条件を満たせるかどうかです。花卉市場での仕入れには、仕入れ実績や取引経験を積むことにより「買参権」を取得することが条件となるため、実績がない場合は仲卸業者や卸販売サイトからの仕入れを検討することになります。

また、仕入先を選択するときのもうひとつのポイントは仕入れ業務に対応できるかどうかです。花卉市場や仲卸業者からの仕入れは決まった日時に市場や店舗を訪れる必要があるため、対応が難しい場合は卸販売サイトからの仕入れを検討することになります。

仕入先には、生産農家と直接契約する方法もあります。生産農家と直接契約することにより、市場に流通していない花を仕入れられる可能性もあるため、小さい花屋を開業したい人は予備知識として覚えておきましょう。

仕入先を決めるときは原価率を考える

仕入先を決めるときは原価率を考えてみてください。仕入先ごとに1ロットあたりの本数や1本あたりの仕入値が異なるため、仕入先を決めるときは販売目標数と照らし合わせながら、仕入先ごとの原価率を試算してみましょう。

【原価の例】

仕入先 購入単位 1ロットあたりの仕入値 1本あたりの仕入値
花卉市場 1ロット100本 10,000円 100円
仲卸業者 1ロット10本 1,500円 150円
卸販売サイト 1本 200円 200円

1本300円の販売価格で30本売れたと仮定した場合、花卉市場から1ロットを仕入れたときは「仕入値10,000円÷売上9,000円×100=111%」の計算式により、原価率は111%です。1本あたりの仕入値は最安ですが70本が売れ残るため、1,000円の損失になります。

一方、同じ販売条件と仮定した場合、仲卸業者で3ロットを仕入れたときは「仕入値4,500円÷売上9,000円×100=50%」の計算式により、原価率は50%です。1本あたりの仕入値は花卉市場よりも高くなりますが、売れ残りがないため、4,500円の利益になります。

なお、原価率は「仕入値÷売上×100」で算出できます。花屋の場合は日持ちの短い生花のロス率が高くなることにより、原価率が高くなる傾向があるため、小さな花屋を開業したい人は原価率を念頭に置きつつ、仕入先を決めることを検討してみましょう。

ポイントを押さえた人は開業準備に取り掛かる

小さな花屋を開業するときのポイントを押さえた人は開業準備に取り掛かりましょう。花屋の開業準備にはあらゆる工程があるため、小さな花屋を開業するときは段階的に準備を進めることになります。

【開業準備の工程の例】

  • コンセプトを決める
  • 事業計画書を作成する

小さな花屋の開業準備は「コンセプト決める」「事業計画書を作成する」の工程の順に進める方法があります。いくつかの工程に分けて進めることにより、計画的に開業準備を進められるため、小さい花屋を開業したい人はそれぞれの工程を確認してみましょう。

コンセプトを決める

小さな花屋を開業するときの工程のひとつはコンセプトを決めることです。コンセプトは開業者の考え方や店舗の方向性を示すものとなり、他の花屋との差別化にもつながるため、まずはコンセプトを考えてみましょう。

【花屋におけるコンセプトの例】

  • カラフルな毎日を
  • 人と花を結ぶ小さな庭
  • 花の命を大切にする店

コンセプトを決めるときのポイントは開業の動機を振り返ることです。「花を通して地域の人を笑顔にしたい」「フラワーロスを減らしたい」など、小さな花屋を開業する動機を振り返ることにより、コンセプトに盛り込む要素が見つかる可能性があります。

また、コンセプトを決めるときのもうひとつのポイントはターゲットとなる顧客を想像することです。「花を飾りたい主婦」「花を贈りたい男性」など、ターゲットとなる顧客に何を伝えたいかを考えることにより、コンセプトに盛り込む要素が見つかる可能性があります。

小さな花屋の特徴を活かす方法もあります。「入店しやすい雰囲気」「スタッフと顧客の距離が近い」など、小さな花屋の特徴を活かすことにより、独自性につながる可能性があるため、コンセプトを決めるときは小さい花屋ならではの魅力を盛り込むことも考えてみましょう。

事業計画書を作成する

小さな花屋を開業するときの工程のひとつは事業計画書を作成することです。事業計画書を作成することにより、花屋の事業内容を具体化できるため、小さな花屋を開業したい人は事業計画書を作成してみましょう。

【花屋における事業計画書の例】

項目 具体例 イメージ
営業計画 ・商品戦略
・価格戦略
・販促戦略
・販売する花の種類は?
・仕入先のルートは?
・活用するSNSは?
売上計画 ・売上目標
・売上予測
・利益計算
・生花の原価率は?
・契約できる企業は?
・1か月の売上予測は?
資金計画 ・設備資金
・運転資金
・資金調達
・開業資金の額は?
・自己資金の額は?
・借り入れの額は?

事業計画書の項目には「営業計画」があります。花屋の商品は「切り花」「ブーケ」「アレンジメント」「リース」など、あらゆる種類がありますが、それぞれの仕入費や製作時間が異なるため、その点を考慮しながら営業計画を立てることになります。

また、事業計画書の項目には「売上計画」があります。花屋の顧客は個人に加え、「結婚式場」「葬儀場」「寺」など、法人と契約を結ぶことにより、売上を上げることも考えられるため、その点を考慮しながら売上計画を立てることになります。

なお、事業計画書を作成するときは専門家に相談する方法があります。「商工会議所」「よろず支援拠点」など、開業に関する相談窓口を設置している機関があるため、気になる人はそれぞれの機関の公式サイトを確認することも検討してみましょう。

まとめ

小さな花屋を開業するときのポイントは、営業方法を工夫することです。大きな花屋と比較した場合、小さな花屋には対応できる業務範囲に限りがあるため、小さな花屋を開業したい人は「拠点」「商品」「仕入先」の項目ごとに営業方法を検討してみましょう。

小さな花屋を開業するときのポイントを押さえた人は、開業準備に取り掛かることを考えてみてください。開業準備の工程は多岐にわたりますが、「コンセプトを決める」「事業計画書を作成する」の工程から始めてみましょう。

また、小さな花屋を開業するときは専門家に相談する方法があります。「商工会議所」「よろず支援拠点」など、専門家に相談できる窓口を設けている機関があるため、開業準備に不安のある人は専門家に相談することも検討してみてください。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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