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小売業

花屋の開業における資格の要否を解説

「花屋は無資格でも開業できるのか?」「花屋は資格なしでも始められるのか?」など、花屋を開業するときの資格の要否が気になる人もいますよね。

当記事では、花屋を開業するときの資格の要否を解説します。花屋を開業するときの必要な資格が知りたい人は参考にしてみてください。

花屋は資格を持っていない人も開業できる

花屋は資格を持っていない人も開業できます。花屋を開業するために資格や許可の取得は必要ないため、花屋の開業を検討している人は知識として押さえておきましょう。

【花屋の開業における資格や許可の要否】

項目 要否
資格 不要
許可 不要

花屋の開業に特別な資格や許可はいりません。花屋を含む小売業のなかには、事業を行う前に規定の資格の取得や行政への許可の申請が必要な業種もありますが、花屋を開業するにあたり、資格の取得や許可の申請は義務付けられていません。

なお、花屋を開業するときは、いくつかの届出が必要です。「開業届」「事業開始等申告書」「防火対象物使用開始届出書」など、いくつかの書類を提出することになるため、花屋を開業したい人は予備知識として覚えておきましょう。

建物の状況によっては防火管理者の資格が必要となる

花屋は資格を持っていない人でも開業できますが、建物の状況によっては防火管理者の資格が必要になります。具体的には、建物の収容人数が30人以上にあたる場合は防火管理者の有資格者を花屋に配置しなければなりません。

【防火管理者の概要】

項目 概要
収容人数 ・建物の収容人数が30人以上
選任条件 ・管理的地位や監督的地位にある人
取得方法 ・防火管理講習を受講して効果測定試験に合格すること
・一定の学識経験があること……など

防火管理者の資格を取得する方法はいくつかありますが、そのうちのひとつは各自治体が実施する「防火管理講習」を受講する方法です。1日間~2日間の防火管理講習を受講し、効果測定試験に合格すれば、防火管理者の資格を取得できます。

また、防火管理者の資格には「甲種」「乙種」の2種類があります。花屋の場合は原則として延べ面積が300㎡以上の場合は甲種、延べ面積が300㎡未満の場合は甲種または乙種と定められているため、必要となる防火管理者の資格の種類は建物の状況次第です。

なお、防火管理者に関する規定は消防署ごとに異なる可能性があります。収容人数の定義や資格の取得方法が消防署ごとに異なる可能性もあるため、花屋を開業したい人は開業予定地を管轄する消防署の担当者に確認することも検討してみましょう。

開業後の経営に活かせる資格や検定もある

花屋を開業する場合、開業後の経営に活かせる資格や検定があります。資格試験や検定試験を受けることにより、花に関する知識や技術を学べるため、花屋を開業したい人は花に関する資格や検定も押さえておきましょう。

【花に関する資格や検定の例】

  • フラワー装飾技能士
  • フラワーデザイナー資格検定
  • フローリスト検定

花に関する資格や検定には、「フラワー装飾技能士」「フラワーデザイナー資格検定」「フローリスト検定」が挙げられます。いずれも花に関する知識や技術を学べるため、花屋を開業したい人はそれぞれの概要を確認してみましょう。

フラワー装飾技能士

花に関する資格として挙げられるのは国家資格の「フラワー装飾技能士」です。フラワー装飾技能士は各都道府県の職業能力開発協会が主催し、名称独占資格となるため、試験に合格した人は「フラワー装飾技能士」と名乗ることができます。

【フラワー装飾技能士の概要】

等級 受験資格 概要
1級 ・7年以上の実務経験
・3級合格後4年以上の実務経験
・2級合格後2年以上の実務経験
・「骨組み付花束」「ブーケおよびコサージュ」などの実技試験
・「フラワー装飾作業法」「植物一般」「安全衛生」などの学科試験
2級 ・2年以上の実務経験
・3級合格
・「ブライダルブーケ」「アレンジメント」「スタンド花」などの実技試験
・「フラワー装飾作業法」「植物一般」「安全衛生」などの学科試験
3級 ・実務経験 ・「花束」「バスケットアレンジメント」などの実技試験
・「フラワー装飾作業法」「植物一般」「安全衛生」などの学科試験

フラワー装飾技能士の等級は1級~3級です。受験資格が定められており、3級は実務経験、1級と2級は一定期間の実務経験または下位検定の合格が条件となりますが、職業訓練歴や学歴に応じて実務経験の年数が短縮される場合があります。

試験はいずれの等級も実技試験と学科試験があります。学科試験は等級ごとに難易度が異なりますが、「フラワー装飾一般」「フラワー装飾作業法」「材料」「植物一般」「安全衛生」の分野から出題され、原則として65点以上が合格となります。

なお、受験資格や試験内容は都道府県ごとに異なる可能性があります。各都道府県の職業能力開発協会が主催している関係上、試験の規定は都道府県ごとに異なる可能性があるため、受験したい人は各都道府県の職業能力開発協会に確認することも検討してみましょう。

フラワーデザイナー資格検定

花に関する検定として挙げられるのは「フラワーデザイナー資格検定」です。フラワーデザイナー資格検定は公益社団法人日本フラワーデザイナー協会(NFD)が主催し、フラワーデザインに関する知識や技術を身に付けることができます。

【フラワーデザイナー資格検定の概要】

等級 受検資格 概要
1級 ・2級合格後から受検日の2か月前までにNFD講師もしくはNFD公認校から30単位以上の履修が認められた人
・フラワー装飾技能士1級の有資格者……など
・3級、2級で身につけた基礎から自分で考え、創り出す力を養う試験内容
・学科試験と実技試験がある
2級 ・3級合格後から受検日の2か月前までにNFD講師もしくはNFD公認校から20 単位以上の履修が認められた人
・フラワー装飾技能士2級の有資格者……など
・基礎の上に充分な技術と知識を身に付ける試験内容
・学科試験と実技試験がある
3級 ・制限なし ・技術と知識の基礎を学ぶ試験内容
・学科試験と実技試験がある

フラワーデザイナー資格検定の等級は1級~3級です。受検資格が定められており、1級と2級は原則として下位検定を取得することが条件となるため、フラワーデザイナー資格検定を受検する人はまずは3級から始めることになります。

試験はいずれの等級も実技試験と学科試験があります。実技試験は「アレンジメント」「花束」「ブーケ」の課題があり、テーマや花材は試験日の1ヶ月前に発表されるため、発表を受けてから受検に備えることになります。

なお、受検対策としてスクールに通う方法があります。 NFDに公認登録されているスクールは約270校あり、フラワーデザイナー検定試験の受検対策だけでなく、フラワーデザイン全般を学ぶことができるため、気になる人はスクールに通うことも検討してみましょう。

フローリスト検定

花に関する検定として挙げられるのは「フローリスト検定」です。フローリスト検定はフラワーデコレーター協会(FDA)が主催し、フラワーショップや冠婚葬祭における専門知識や技術を身に付けることができます。

【フローリスト検定の概要】

等級 受検資格 概要
1級 3級および2級認定登録者 ・「メインテーブル装花」「パーティー用元卓装花」「活け込み花瓶花」「遺影額前装花」など、冠婚葬祭での生花アレンジを製作する技術力を身に付ける。
2級 3級および2級認定登録者 ・「大きめのギフトアレンジ」「キャスケードブーケ」「スタンド花」「白菊花籠」など、顧客の要望に応えられる技術力を身に付ける。
3級 制限なし ・「クラッチブーケ」「ラウンドブーケ」「少し大きめのギフト花束」「枕花」など、短時間で製作する技術力を身に付ける。
4級 制限なし ・「カジュアル花束」「仏花束」「簡単なギフトアレンジ」など、短時間に安定して一定量製作する技術力を身に付ける。
5級 制限なし ・花屋に従事するために必要となる基本的な仕事内容を理解する。

フローリスト検定の等級は1級~5級です。1級と2級は下位検定の合格が条件となりますが、3級~5級は受検資格に制限がないため、フローリスト検定を受検したい人はまずは3級~5級のいずれかの等級を受検することになります。

試験は5級のみ筆記試験ですが、1級~4級は実技試験です。実技試験は「クラッチブーケ」「ラウンドブーケ」「仏花束」など、等級ごとに課題が異なり、時間内に完成させることや商品としての基準をクリアすることが合格基準となります。

なお、受検対策としてスクールや通信講座を受講する方法があります。費用が必要となりますが、フローリスト検定の課題に対応した知識と技術を学べるため、フローリスト検定を受検したい人はスクールや通信講座の受講も検討してみましょう。

まとめ

花屋の開業に特別な資格や許可はいりません。花屋を含む小売業のなかには、事業を行う前に規定の資格の取得や行政への許可の申請が必要な業種もありますが、花屋を開業するにあたり、資格の取得や許可の申請は義務付けられていません。

ただし、建物の収容人数が30人以上の場合は防火管理者の資格が必要となります。収容人数の定義や資格の取得方法は消防署ごとに異なる可能性があるため、不安な人は開業予定地を管轄する消防署の担当者に相談することも検討してみてください。

また、花に関する資格や検定には、「フラワー装飾技能士」「フラワーデザイナー資格検定」「フローリスト検定」が挙げられます。いずれも花に関する知識や技術を学べるため、花屋を開業したい人は花に関する資格試験や検定試験を受けることも検討してみましょう。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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