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ホテルの開業と経営を成功させる|必要な準備と資金とは。資金調達方法についても解説

近年インバウンド(外国人観光客)需要が拡大傾向にあります。政府として今後の日本を支えるため、成長戦略の大きな柱として、観光促進に取り組んでいます。平成30年には訪日外国人旅行者が3,119万人でしたが、2030年には6,000万人を目標としています。

その中で、旅行者が増えると、宿泊先となるホテルの需要も高まります。そこで、全国各地でホテルの開業が相次いでいます。今回の記事では、ホテルを開業するための最低限の知識として準備と資金について考えていきます。

1.旅館業の種類

人を宿泊させる旅館業は、旅館業法により3種類に分けられています。開業時に取らなければならない許認可が種類によって変わるため、作りたい宿泊施設と照らし合わせてみてください。

ホテル・旅館営業 簡易宿所営業及び下宿営業以外で宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業
簡易宿所営業 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設で人を宿泊させる営業(民宿、カプセルホテル、ユースホステルなど)
下宿営業 施設を設け、1ヶ月以上の期間を単位として人を宿泊させる営業

近年では、ゲストハウスや民泊のような簡易宿所は長期滞在したい外国人や一人旅が注目を集めています。1泊の値段が安く連泊に向いていることに加えて、他の滞在客と交流ができるからです。

一方で、旅館形態の宿泊施設は減少傾向にあり、平成28年の稼働率(客室の予約が埋まっている率)も全国平均38.8%と低めです。需要の増している外国人旅行客はホテルやゲストハウスを好む傾向にあるので、生き残るのが難しくなっています。

ホテルの種類

ホテルの種類としてはいくつかありますが、ここでは下記の4つを簡単に説明します。

  • ビジネスホテル
  • シティホテル
  • リゾートホテル
  • カプセルホテル
ビジネスホテル

ビジネスでの利用を主に対象とした、駅前や繁華街に位置しているホテルです。しかし、比較的安く利用できるため、ビジネスに限らず、観光でも利用されることも多いです。また、設備が充実しているビジネスホテルも増えていて、シティホテルとの区別が難しいのが現状です。

シティホテル

主に都市部の中心地にあるホテルで、宴会場や結婚式場など、宿泊以外の施設を兼ね備えている場合が多いです。ビジネスや観光など、さまざまなニーズに応えてくれるのが特徴です。

リゾートホテル

行楽地にあり、休暇や余暇を過ごすのを目的とした観光客がターゲットのホテルです。リゾートホテル内にレストラン、結婚式場、プール、バーなどさまざまな施設が充実しているのが特徴です。

カプセルホテル

カプセル状の簡易ベッドを提供しているホテルで、許認可の中では簡易宿泊所営業にあたります。安価に宿泊することができるのが大きな特徴なホテルです。

2.ホテルの開業に必要な資金はどのくらい?

ホテルの中には誰もが知るブランドホテルと呼ばれるものがあります。例えば、世界中では「ヒルトン」、「マリオットホテル」、「デイズイン」などはホテルチェーンとして300以上を展開しています。また、日本では「帝国ホテル」「ホテルオークラ」「ホテルニューオータニ」は御三家と言われ長年、日本のホテル業界をけん引しています。これらの開業費用であれば、数十憶円は最低でもかかるでしょう。

ですから、あなたがこれらのブランドホテルを目指すのであれば、かなりの資産がないとホテル開業は難しいでしょう。しかし、客室が15~20部屋程度で駅から少し遠い、都心ではなく地方である、などの条件で開業するのであれば、場所にもよりますが必要な資金は最低1,500~3,000万円程度です。

【ホテルに必要な開業資金】

設備資金 運転資金
物件取得費 土地+物件費用 飲食 仕入れ代金×6か月分
改装費(建設費)   リース代×6か月分
什器 什器備品費 人材 人材募集費用
人件費×6か月分
宣伝 広告宣伝費
販促費 販促物制作費
合計: 1,500~3,000万円以上

もしもこだわりの内装や居心地の良いコンセプトなど、理想とするホテルを建てたい場合は、3,000万円より多くの資金が必要になるでしょう。

ホテル開業のための資金調達方法

ホテルを開業するのにかかる全ての資金を、自己資金だけでまかなうのは難しいでしょう。実際に、次のような資金調達方法が考えられます。

  • 出資を受ける
  • 金融機関から融資を受ける

出資を受けるにも融資を受けるのも、それぞれメリット・デメリットがあります。

出資は借入ではないので、返済する必要がありません。また、出資家自身が事業のノウハウを持っているケースが多いので、経営のアドバイスを受けられるメリットがあります。一方で、出資を受ける場合は出資家にも経営権があるので、思い通りのホテル運営ができないなどのデメリットがある他、そもそも自分に出資してくれる人を探さなければなりません。

金融機関から融資を受けてホテルを開業できれば、自由に経営できるメリットがあります。一方で、融資は借入になるので返済が必要になるほか、融資を受けるだけの信用が必要になるので、経営実績や希望融資額の半分程度は自己資金が必要になるデメリットがあります。

経営アドバイスを受けながらホテル開業にチャレンジしたい人は出資を、自己資金の用意があり自由に経営したい人は融資を検討すると良いでしょう。

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3.ホテルの準備で必要なこととは?

①物件の取得をする

物件の取得が最も重要といえます。物件取得費用にお金を使いすぎれば客室が常に埋まっていないと回収できないという悲惨な状況になります。

物件取得費を安く抑えるヒントとして、飲食業でも同じことが言えますが居抜き物件を探す、という方法がまず1つあります。元がホテルだったのであれば、改装費や水回り工事費用など最低限に抑えられますよね。

あとは、今後レジャー施設などができそうな地域(地方)でまだホテルがあまりない場所の物件です。筆者が以前、フジロックフィステバルに行った際は前年の5月でもう目ぼしい宿泊施設は全部予約で埋まっていました。結局、民宿で1泊15,000円×2で宿泊しましたが、あの内容で3万円は高い!と嘆いたものです。

場所が良いの「場所」も観光施設やイベント会場付近であれば、首都圏や政令都市でなくてもよいのです。

②旅館業の種類によって異なる申請をする

ホテルを開業する場合、まず知っておきたいのはオーナーとして「旅館業法」という法律がホテルには大きく関わる、という点です。旅館業法で定められているのが、営業を行う都道府県で都道府県知事の交付する「旅館業営業許可証」を取得しなければいけないという点です。

取得方法ですが、営業を行う都道府県・市区町村の役所の環境衛生課などに問い合わせてください。以下は、平均的な取得の流れです。

  1. 事前申請
  2. 申請手続き
  3. 関係機関への相談手続き
  4. 施設の検査
  5. 許可

ちなみに、申請を出してから許可が出るまでの平均期間は10日間です。

③アルバイト採用と管理

ホテルでの接客は重要です。接客が悪いとホテルの評判を下げることにつながってしまいます。 マナーを持ったアルバイトを雇い、オープン前にはロールプレイングをしっかりとすることも忘れずに行いましょう。ホテル業界歴の長いベテランを1人以上雇い、彼らにリーダーになってもらうのも良いでしょう。

また、ペットホテルの開業については下記記事で解説していますので、合わせてご確認ください。

ペットホテルを開業したい!開業に必要な資金はどれくらい??

4.ホテルを経営する上でのリスク

初期投資が高額

開業にあたっては、物件や設備を整えるだけでも多額の費用がかかります。そして毎月のランニングコスト(人件費、広告費など)も高額な場合が多く、初期投資を回収するまでに時間がかかるため、資金繰りを意識した経営を求められます。

景気や情勢などの外的要因に左右される

2021年現在コロナ禍で観光業界が大変な影響を受けています。帝国データバンクによると、2020年度(2020年4月~2021年3月)の宿泊業者の倒産権数は前年度66.7%増の125件となり、増加率が過去最高となったとのことです。終息までにはまだ時間がかかると想定されており、コロナ以前に戻るまでには時間がかかりそうです。今後も災害などの外的要因により、経営状況に大きく影響を受けてしまう可能性が考えられます。

引用:PR TIMES|宿泊業の倒産、件数は前年度比66.7%増の125件 増加率が過去最高

5.ホテル経営を成功させるポイントとは

コンセプトが大事

どういったユーザーをメインターゲットにするのか、ターゲットに合わせたサービス、設備が提供できているかを意識しましょう。

2021年現在コロナ禍でよりコンセプトを意識している事業者も多いことでしょう。
例えば、リモートワーク・在宅勤務の導入が求められるようになり、デイユースプランを提供しているビジネスホテルが増えました。また、帝国ホテルの「30泊36万円」など、高級ホテルが長期滞在プランを発売したというニュースが注目されました。各ホテルが生き残るためにさまざまな戦略を練っています。これからホテルの経営を考えている方は、常に時代に合わせた柔軟な対応をする必要があるでしょう。

まとめ

ホテルの開業は良い場所に安く物件を抑えることができるかがカギです。その次に、人材を研修してくれるホテル業界の経験者を雇えるかも大切です。宿泊業でもらえる助成金もあるため、合わせて資金調達計画に入れておきましょう。

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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