不動産会社で働いている人や宅建を持っている人の中には、将来独立して開業したいと考えている人もいるでしょう。
不動産仲介業を開業には、具体的にはどのような手続きを踏めばいいのか、資金はいくらぐらいかかるかを知りたい人もいますよね。
今回の記事では、不動産仲介業の開業資金とスケジュールについて解説します。
賃貸仲介か売買仲介か?
不動産業と一口に言っても、賃貸管理、賃貸仲介、売買仲介といった業務範囲の違いがあります。不動産仲介業を開業する上でまず決めたいのは、賃貸仲介なのか売買仲介なのか、またはどちらもするのかという業務範囲です。
不動産仲介業の種類と仲介手数料の相場
- 賃貸仲介⇒家賃の0.5~1か月分+消費税
- 売買仲介⇒物件価格の3%+6万円+消費税が上限
不動産業での経験が浅い場合には、まず賃貸管理業から始めましょうという意見がありますが、賃貸管理業で生計をたてるには件数を稼がなければいけません。
開業当初は元付け(お客さんから直接依頼を受ける)になるのが難しい傾向があるので、まずは客付け(部屋を借りたい人を探す、サポートする)から始めてみましょう。
宅地建物取引士の資格が必須
①事務所に必ず一人は必要な専任の宅地建物取引士
不動産仲介業で開業するのであれば、法律で定められた数以上の(5人に一人の割合)宅地建物取引士をたてなければいけません。宅地建物取引士を別途雇うという手もありますが、オーナー自身の勉強にもなるので事業主が専任登録をするのが良いでしょう。
宅地建物取引士の登録をするには、免許申請に2~3週間、行政庁の審査期間が1か月かかります。余裕を持って準備を進めましょう。
②宅地建物取引士になるには
宅地建物取引主任者資格試験に合格し、その後取引主任者資格登録をして取引主任者証の交付を受けなくてはいけません。取引主任者資格登録をするには、2年間の実務経験か講習を受ける必要があります。
宅地建物取引士の資格に必要な費用は、以下を目安としてください。
- 受験費用:7,000円
- 資格登録手数料:37,000円
- 宅建士証交付申請手数料:4,500円
③専任とはなにか?
専任とは、以下の条件を満たすことを言います。
- 常勤をしている
- 他の法人の代表取締役や他の職業を兼任していない
- 他の個人事業を営んでいない、宅地建物取引業に専念できる
- 常勤のために通勤できる場所に住んでいる
開業スケジュールについて
不動産仲介業を開業するには、会社設立の手続きや資金の準備などやるべきことがあります。ここでは、宅建に既に合格して専任登録は済みという前提で、開業スケジュールを説明していきます。
①事務所物件を探す&契約をする
不動産仲介業をスタートするには、事務所の契約をするのが一般的です。宅地建物取引業法により、不動産仲介業をするには「継続的に業務を行なうことができる施設」を事務所として設定する必要があります。
宅地建物取引業法で不動産仲介業社の事務所として認められるには、以下の要件を満たしている必要があります。
- 標識の掲示
- 個人の生活部分や他業者から独立している
以上の条件を満たすには、レンタルオフィスやコワーキングスペースなどは利用できません。そのため、不動産仲介業を開業するには、店舗テナントを賃貸契約して事務所を構えるのが一般的です。
なお、個人の自宅を事業所にすることは可能ですが、事務所は生活部分と独立している必要があり、専用の入り口を作るなどリフォームをしないと、事業所として認められません。
②会社設立をする(期間:1~2週間)
他の業種であれば事務所や店舗なしで開業できるものもありますが、不動産仲介業の場合は事務所を構えた方が顧客の信頼度が上がる傾向があります。
会社設立は以下の流れで行います。
- 商号(会社名)決定
- 印鑑作成
- 定款作成
- 定款認証
- 登記書類作成
- 資本金払込
- 会社設立登記
1.商号(会社名)決定
会社名を決めます。社名として使用できる文字には制限がありますので、注意が必要です。
2.印鑑作成
法人用の印鑑を作成します。
3.定款作成
事業目的、本店所在地、設立のための出資金、発起人氏名等を記載します。
4.定款認証
管轄の公証人役場で事前に定款をチェックしてもらい、その後、定款認証を行います。
5.登記書類作成
設立登記申請書、本店・資本金決定書、代表社員就任承諾書、印鑑届出書など作成します。
6.資本金払込
資本金は1円からでもできますが、融資を受けたいと検討している場合は100万以上を目安にするのがよいでしょう。
7.会社設立登記
本店所在地を管轄する法務局で行います。郵送やオンラインでも登記することができます。
会社設立に関しては下記記事で解説してるので、確認してみてください。
株式会社設立|初めての人でも1週間で会社を作り起業する為の全手順
不動産仲介業はいくらあればスタートできる?
さて、不動産仲介業の開業で必要な資金はどのくらいなのでしょうか?以下にまとめてみたいと思います。
不動産業を営む場合は、本店1,000万円、支店1店舗につき500万円の「営業保証金」を最寄の供託所に供託しなければなりませんが、 保証協会の社員(会員)になると、「営業保証金」が免除されます。
ここでは保証協会に加入した場合で計算しています。
資格 | 宅地建物取引士の資格取得費 | 約5万円 |
不動産保証協会加入費用 | 約180万円 | |
会社設立 | 資本金 | 700万円 |
書類・印鑑の作成費、申請費用等 | 30万円 | |
店舗・事務所 (例:家賃25万円) |
物件取得費(保証金等) | 150万円 |
店舗内装工事費用 | 300万円 | |
店舗器具備品等 | 150万円 | |
主な運転資金 | 家賃(6か月分) | 150万円 |
人件費(従業員2名×3か月分) | 180万円 | |
広告宣伝費(3か月分) | 90万円 |
会社を設立して事務所を賃貸契約する場合、開業資金には2,000万円程度かかる場合があります。自宅で開業するならば家賃が必要なくなるので、500万円程度から不動産仲介業を始められる場合もできます。
しかし、開業資金のすべてを自己資金で準備するのは難しい傾向があります。そのため、不動産仲介業を始める人の中には、日本政策金融公庫という日本政府が100%出資している政府系金融機関から融資を受けて、事業を始める場合があります。
日本政策金融公庫で融資を受けるためのポイントは?
日本政策金融公庫は、これから開業する方に対して支援している金融機関です。金利が2%前後であり、返済期間も運転資金で7年以内、設備資金で10年以内で借りることができるといった特徴があります。
日本政策金融公庫から融資を受けるためのポイントは、まず自己資金の有無です。借りたい金額の1/10程度は最低限持っていないと、計画性のない開業としての評価を受けてしまうおそれがあります。
次に、申込者の信用情報です。過去5年以内のクレジットカードやローン、携帯電話の支払いに遅延があったり、過去に任意整理をしたことがあるなど、信用情報に傷がついている場合は審査に落ちる可能性があります。
信用情報に不安がある場合は、事前に自身の信用情報を確認してから申込みを検討してみましょう。
当サイトでは、開業までに準備できる自己資金と、現在の借り入れ状況などの状況を基に、日本政策金融公庫から借入できるかどうかを無料で診断しています。
不動産仲介業を開業したいけれど、開業資金が足りないので融資を検討している方は、ぜひ一度お試しください。
まとめ
不動産仲介業を開業するには、2,000万円程度がかかる場合があります。そのため、資金の準備を計画的に進めましょう。
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