自宅で不動産業を開業するときのポイントを解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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自宅で不動産業を開業するときのポイントを解説

「不動産屋は自分の家でも開けるのか?」「不動産屋は自宅の一室でも開けるのか?」など、不動産業を開業したい人の中には、自宅でも開業できるかどうかを知りたい人もいますよね。 不動産業は自宅での開業が難しい場合もあります。とくに、アパートやマンションなどの集合住宅は事務所の使用許可が下りない可能性があります。

当記事では、自宅で不動産業を開業するときのポイントを解説します。自宅での開業を決める判断材料にもなるため、自宅での開業を検討中の人は参考にしてみてください。

ポイントは自宅での開業が難しい状況を知ること

不動産業は自宅でも開業できる可能性がありますが、その状況次第では、自宅での開業が難しい場合もあります。自宅での開業を決める判断材料にもなるため、自宅での開業を検討中の人は、ポイントとして自宅での開業が難しい状況を押さえておきましょう。

【押さえるべきポイント】

  • 事業内容から自宅での開業が難しい場合
  • 居住形態から自宅での開業が難しい場合

ポイントになるのは「事業内容から自宅での開業が難しい場合」と「居住形態から自宅での開業が難しい場合」です。これらの状況次第では、自宅での開業が難しい場合もあるため、自宅での開業を検討中の人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

事業内容から自宅での開業が難しい場合

不動産業は「宅地建物取引業」「不動産管理業」「不動産賃貸業」に大別され、事業内容次第では、自宅での開業が難しい場合があります。自宅での開業を決める判断材料にもなるため、自宅での開業を検討している人はポイントとして押さえておきましょう。

【不動産業における事業内容の概要】

項目 概要
宅地建物取引業 「『宅地や建物の売買』『宅地や建物の売買または賃借の代理』『宅地や建物の売買または賃借の媒介』を行う事業」のこと。売買や代理などの事業を営利目的として不特定多数の人に継続的に行う場合が該当。
不動産管理業 「不動産を所有するオーナーから管理業務の委託を受ける事業」のこと。オーナー対応や入居者対応などの業務も含まれ、賃貸住宅や分譲マンションの管理業務を行う場合が該当。
不動産賃貸業 「土地や建物などの不動産を賃貸し賃料を得る事業」のこと。地主や大家と呼ばれ、自らが保有する土地や建物などの不動産を第三者に貸し出し、営利目的として不特定多数の人に継続的に行う場合が該当。

たとえば、「宅地建物取引業」を選択した場合、ポイントは「宅地や建物の売買(または代理や媒介)などの業務が自宅でも対応できるかどうか?」です。宅地や建物を取り扱うことを念頭に置きつつ、自宅でも対応できるかどうかを判断することになります。

また、「不動産管理業」を選択した場合、ポイントは「オーナー対応や入居者対応などの業務が自宅でも対応できるかどうか?」です。オーナーや入居者とのやり取りが発生することを念頭に置きつつ、自宅でも対応できるかどうかを判断することになります。

なお、自宅での開業を考えている人は想定している事業内容から業務内容をリストアップしてみてください。リストアップした結果、自宅でも対応できそうな場合は開業を検討する余地があるため、自宅での開業を考えている人は留意しておきましょう。

宅地建物取引業の場合は事務所の設置が義務付けられている

宅地建物取引業免許を受ける関係上、「宅地建物取引業」の場合は事務所の設置が義務付けられています。自宅での開業を前提として「宅地建物取引業」を開業するには、自宅を事務所にする必要があるため、自宅での開業を検討している人は注意が必要です。

「宅地建物取引業」として開業する場合、国土交通大臣または都道府県知事から宅地建物取引業免許を受ける必要があります。宅地建物取引業免許の要件の中には、事務所に関する項目があるため、「宅地建物取引業」を営む場合は事務所を設置する必要があります。

一方、「不動産管理業」や「不動産賃貸業」として開業する場合、宅地建物取引業免許を受ける必要はありません。事務所を設置せずとも開業できるため、「不動産管理業」や「不動産賃貸業」を営む場合は原則として事務所の設置は不要です。

宅地建物取引業免許を受ける関係上、「宅地建物取引業」を営む場合は事務所を設置する必要があります。自宅での開業を前提として「宅地建物取引業」を開業するには、自宅を事務所にする必要があるため、自宅での開業を検討している人は留意しておきましょう。

なお、不動産業の事務所に関する情報が知りたい人は「不動産業の開業における事務所の設置要件を解説」を参考にしてみてください。

居住形態から自宅での開業が難しい場合

居住形態は「一戸建て」「集合住宅」「持ち家」「賃貸」に大別され、居住形態次第では、自宅での開業が難しい場合があります。自宅での開業を決める判断材料にもなるため、自宅での開業を検討している人はポイントとして押さえておきましょう。

【居住形態ごとのポイント】

項目 持ち家 賃貸
一戸建て ・オーナーの使用許可は不要 ・オーナーの使用許可が必要
集合住宅 <管理規約に記載がある場合>
・事務所利用可能なら開業できる
・事務所利用不可なら開業できない<管理規約に記載がない場合>
・管理組合の使用許可が必要
<管理規約に記載がある場合>
・事務所利用可能なら開業できる
・事務所利用不可なら開業できない<管理規約に記載がない場合>
・管理組合の使用許可が必要
・オーナーの使用許可が必要

たとえば、「集合住宅×持ち家」の場合、ポイントは「管理規約に事務所利用における記載があるかどうか?」です。管理規約に事務所利用に関する記載がなければ、事務所利用が認められず、自宅での開業が難しいことも考えられます。

また、「集合住宅×賃貸」の場合、ポイントは「管理規約や賃貸借契約書に事務所利用における記載があるかどうか?」です。管理規約や賃貸借契約書に事務所利用に関する記載がなければ、事務所利用が認められず、自宅での開業が難しいことも考えられます。

なお、自宅での開業を考えている人は管理組合やオーナーに事務所利用の可否を確認してみてください。事務所利用の可否を確認した結果、事務所利用が認められた場合は開業を検討する余地があるため、自宅での開業を考えている人は留意しておきましょう。

集合住宅の場合は自宅での開業が難しい

建物を他の居住者と共有している関係上、「集合住宅」の場合は自宅での開業が難しい傾向があります。事務所利用が認められず、自宅での開業が難しい傾向があるため、自宅での開業を検討している人は注意が必要です。

たとえば、アパートやマンションなどの賃貸借契約書には、「事業を目的とした事務所等の利用は不可」「居住のみを目的として本物件を使用しなければならない」といった旨が記載され、賃貸借契約書の観点から自宅での開業が難しい場合があります。

また、各都道府県の宅地建物取引業免許の手引きには、「集合住宅の一室は事務所利用不可」「居住部分と事務所部分が混在する場合は事務所として認められない」といった旨が記載され、宅地建物取引業免許の観点から自宅での開業が難しい場合もあります。

建物を他の居住者と共有している関係上、アパートやマンションなどの集合住宅は事務所の使用許可が下りない可能性があります。事務所利用が認められず、自宅での開業が難しい傾向があるため、自宅での開業を検討している人は留意しておきましょう。

ポイントを押さえた人は自宅を事務所にする準備を始める

ポイントを押さえた人は自宅を事務所にする準備を始めてみてください。とくに、「宅地建物取引業」の場合は宅地建物取引業免許を受ける関係上、事務所に関する要件を満たしている必要があるため、自宅での開業を考えている人は自宅を事務所にするところから始めてみましょう。

【自宅を事務所にする準備】

  • 自宅の形態を整える
  • 自宅の設備を整える

自宅を事務所にする場合は「自宅の形態」と「自宅の設備」を整えることになります。いずれも自宅を事務所にするときのポイントになるため、自宅での開業を考えている人は自宅を事務所にする準備としてそれぞれの項目を確認してみましょう。

自宅の形態を整える

自宅を事務所にする場合は自宅の形態を整えることになります。とくに、「宅地建物取引業」の場合は宅地建物取引業免許を受ける関係上、事務所に関する要件を満たしている必要があるため、自宅での開業を考えている人は自宅の形態を整える準備をしましょう。

【事務所の構造に関する内容の例】

  • 玄関から事務所まで、居住空間を通らずに行けること
  • 玄関から居住区間まで、事務所を通らずに行けること
  • 壁や仕切りなど、居住区間とは区切りがあること

たとえば、宅地建物取引業の場合は「宅地建物取引業法」の定めにより、居住空間を通らずとも行ける構造が求められます。「出入口から一直線のルートを確保する」「自宅の間取りから事務所として使用する部屋を決める」など、何かしらの工夫が必要です。

また、宅地建物取引業の場合は「宅地建物取引業法」の定めにより、居住空間とは区切られている構造が求められます。「居住空間との間にパーテーションを用意する」「居住空間との間に間仕切り壁を増設する」など、何かしらの工夫が必要です。

その他には、自宅と事務所の出入口が共通の場合は事務所として認められない可能性があります。「玄関から事務所のルートを一直線にする」「勝手口を自宅用にする」など、何かしらの工夫が必要になるため、自宅での開業を考えている人は留意しておきましょう。

自宅の設備を整える

自宅を事務所にする場合は自宅の設備を整えることになります。とくに、「宅地建物取引業」の場合は宅地建物取引業免許を受ける関係上、事務所に関する要件を満たしている必要があるため、自宅での開業を考えている人は自宅の設備を整える準備をしましょう。

【事務所の設備に関する内容の例】

  • 事務所の固定電話
  • 事務用の机と椅子
  • 応接用の机と椅子

たとえば、宅地建物取引業の場合は「宅地建物取引業法」の定めにより、固定電話を設置する必要があります。自宅の電話番号とは共有することはできず、別の電話番号が必要になるため、自宅での開業を考えている人は新しく電話番号を取得する必要があります。

また、宅地建物取引業の場合は「宅地建物取引業法」の定めにより、応接用の机と椅子を設置する必要があります。居住区間とは区切る関係上、応接用の机と椅子が必要になるため、自宅での開業を考えている人は新しく机と椅子を購入する必要があります。

その他には、「コピー機」や「シュレッダー」などのオフィス用品を揃えることになります。オフィス用品は必須ではありませんが、社会通念上事務所として認識される程度のものは揃えている必要があるため、自宅での開業を考えている人は留意しておきましょう。

事務所利用の可否を確認した後の対応

事務所利用の可否を確認した結果、「自宅の事務所利用が認められた人」と「自宅の事務所利用が認められなかった人」に分かれます。その後の対応は結果次第となるため、自宅での開業を考えている人はそれぞれの対応を考えておきましょう。

【事務所利用の可否を確認した後の対応】

項目 具体例
自宅の事務所利用が認められた人 トラブルを防ぐことを考える
自宅の事務所利用が認められなかった人 専門家に相談することを考える

「自宅の事務所利用が認められた人」と「自宅の事務所利用が認められなかった人」では、その後の対応が異なります。事務所利用の可否を確認した後の対応ですが、自宅での開業を考えている人はそれぞれの対応を確認しておきましょう。

自宅の事務所利用が認められた人はトラブルを防ぐことを考える

自宅の事務所利用が認められた人はトラブルを未然に防ぐことを考えてみてください。とくに、来客が想定される事業内容の場合は近隣住民から苦情が寄せられるおそれもあるため、自宅の事務所利用が認められた人はできる限りの対策を講じておきましょう。

たとえば、集合住宅の一室を事務所にした場合、顧客が出入りすることにより、居住者から苦情が寄せられるおそれがあります。顧客が出入りすることにより、居住者から苦情が寄せられてしまえば、営業停止や退去を迫られることも考えられます。

また、集合住宅の一室を事務所にする場合、内装工事の騒音が発生することにより、居住者から苦情が寄せられるおそれがあります。内装工事の騒音が発生することにより、居住者から苦情が寄せられてしまえば、営業停止や退去を迫られることも考えられます。

自宅を事務所にする場合は近隣住人との関係づくりもポイントです。来客が想定される事業内容の場合は近隣住民から苦情が寄せられるおそれもあるため、自宅の事務所利用が認められた人は近隣住民に挨拶するなど、できる限りの対策を講じておきましょう。

自宅の事務所利用が認められなかった人は専門家に相談することを考える

自宅の事務所利用が認められなかった人は専門家に相談することを考えてみてください。専門家に相談することにより、自宅での開業に関するアドバイスをもらえるため、自宅の事務所利用が認められなかった人は専門家に相談することも方法のひとつです。

【相談先の具体例】

項目 概要
商工会議所 商工会議所は、商工会議所法に基づき設立された特別認可法人。法律、税務、金融、登記など、幅広い支援サービスを提供し、各分野の専門家に無料相談できる点が特徴のひとつ。
よろず支援拠点 国が全国に設置した無料の経営相談所。豊富な活動実績から経営者の課題に応じたワンストップサービスを提供し、各分野の専門家に無料相談できる点が特徴のひとつ。
中小企業基盤整備機構 3つの特殊法人を統合し設立された独立行政法人。企業の成長ステージに合わせた幅広い支援メニューを提供し、各分野の専門家に無料相談できる点が特徴のひとつ。

相談先として挙げられるのは「商工会議所」「商工会」「中小企業基盤整備機構」です。これらの相談先は開業支援を実施しているため、自宅での開業に関するアドバイスに加え、不動産業の開業における成功事例や失敗事例を教えてもらえる可能性もあります。

ただし、今回紹介した相談先は無料相談窓口を設けていますが、専門家に相談する場合は依頼料として所定の費用がかかるところもあります。説明会やセミナーに参加するときは事前予約が必要になることもあるため、専門家に相談したい人は留意しておきましょう。

まとめ

不動産業は自宅でも開業できますが、ポイントを押さえておかなければ、自宅での開業が難しくなることも考えられます。自宅での開業を決める判断材料にもなるため、自宅での開業を検討している人は「事業内容」と「居住形態」を押さえておきましょう。

ポイントを押さえた人は自宅を事務所にする準備を始めてみてください。とくに、「宅地建物取引業」の場合は事務所に関する要件を満たしている必要があるため、自宅での開業を考えている人は自宅を事務所にする準備を始めてみましょう。

なお、自宅の事務所利用が認められなかった人は専門家に相談することを考えてみてください。専門家に相談することにより、自宅での開業に関するアドバイスをもらえるため、自宅の事務所利用が認められなかった人は専門家に相談することも検討してみましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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