計画的な資金調達で農業の後継者不足を解消

計画的な資金調達で農業の後継者不足を解消 起業のための資金調達 – その他
計画的な資金調達で農業の後継者不足を解消

後継者不足を解消するためにできることとは?

農業における後継者不足が問題となっていますが、どのくらい農業を営む方が減少しているかご存知でしょうか?
今回は農業の現状と後継者不足といわれている原因を踏まえ、どのように解決していけばよいのか紹介していきます。

1.農業の現状

農業に従事する人の減少や後継者不足が近年問題視されていますが、実際にどの程度減少しているのでしょうか?

農林水産省が公表している農業労働力に関する統計によりますと、平成30年の農業就業人口は約175万人となっています。平成22年の農業就業人口が約260万人でしたので、約85万人減少したということです。また、農業就業者の平均年齢は66.8歳と、依然として高齢化が進んでいます。

単位:万人、歳

 

平成22年

平成27年

平成28年

平成29年

平成30年

農業就業

人口

260.6

209.7

192.2

181.6

175.3

平均年齢

65.8

66.4

66.8

66.7

66.8

参照:農林水産省 農業労働力に関する統計

一方、新規就農者数を見てみると、平成29年に新たに農業を始めた人は55.7千人で、そのうち49歳以下が20.8千人と4年連続で2万人を超えています。さらに49歳以下の新規参入者は2.7千人で、この年齢区分で調査を開始した平成19年以来、最多の人数となっています。

単位:千人

 

平成25年

平成26年

平成27年

平成28年

平成29年

新規就農者

50.8

57.7

65.0

60.2

55.7

うち49歳以下

17.9

21.9

23.0

22.1

20.8

新規自営農業

就農者

40.4

46.3

51.0

46.0

41.5

うち49歳以下

10.1

13.2

12.5

11.4

10.1

新規雇用

就農者

7.5

7.7

10.4

10.7

10.5

うち49歳以下

5.8

6.0

8.0

8.2

8.0

新規参入者

2.9

3.7

3.6

3.4

3.6

うち49歳以下

2.1

2.7

2.5

2.5

2.7

参照:農林水産省 農業労働力に関する統計

新規自営農業就農者・・・自営農業のみに従事する人。実家の農家を継いだ人などが該当します。

 

新規雇用就農者・・・法人などの従業員として年間7か月以上農業に従事する人。農業法人に就職する人などが該当します。

 

新規参入者・・・土地や資金を独自に調達して、新たに農業経営を始めた経営の責任者や共同経営者。農業で起業した人などが該当します。

2.農業の後継者不足となっている3つの原因

農業に従事する人が減少し、後継者不足となっている背景として、次の3つの原因が挙げられます。

(1)初期費用がかかる

多額のコストがかかるため農業を始めるのはハードルが高く、働き手が増えないことが後継者不足の原因のひとつといえるでしょう

これから農業を始めようとした場合、下記を購入するための資金が必要です。

①農作物を育てるための農地

②トラクターなどの機械

③種苗や肥料、農薬代など

農地購入費用

一般財団法人 日本不動産研究所が発表している「田畑価格及び賃借料調(2018年3月末現在)」によりますと、10a(1,000㎡)あたりの田んぼの価格は平均約71万円、畑の価格は平均約43万円となっています。賃借料は田んぼが平均約9千円、畑が平均約5千円ですので、農地は買うよりも借りるほうが現実的です。

機械購入費用

田畑を耕したり、種をまいたり、収穫したりといった農作業を行うことができるトラクターは、100万円くらいから高いものだと2,600万円するものまであります。

中古であれば、30万円~300万円程度で購入も可能ですが、機械の状態は必ず確認してから買いましょう。エンジンにトラブルがあったり、劣化などから正常に動作しなかったり、購入後すぐに修理や買い替えが必要になると、新品で買うよりも割高になってしまう恐れがあります。

就農1年目でかかった費用は平均569万円

全国新規就農相談センターが実施した「平成28年度新規就農者の就農実態調査」によりますと、就農1年目に要した費用は平均569万円です。内訳は機械や施設などの費用が411万円、種苗や肥料などの費用が158万円となっています。

生活費2~3年分の蓄えを用意しておく

農業は種をまき、作物を収穫、販売してお金になるまで時間がかかります。また、生計がたつ程度の収入が得られるとも限りません。そのため、就農後3年ほどは収入が安定しないと想定して、3年分の生活費を用意しておく必要があります。

(2)安定した収入が得られるとは限らない

農業は天候などの自然環境に左右されやすいです。台風や集中豪雨、地震などが原因で丹精込めて育てた農作物が不作となる可能性もあります。

逆に天候に恵まれ豊作となった場合でも、市場に出回る作物の量が増加することで販売価格が低下し、結果として収入は減ってしまうことも考えられます。

では、実際に農業での収入はどのくらいあるのでしょうか?

農林水産省の経営形態別経営統計(個別経営)によりますと、平成29年の全国の農家の総所得は平均約526万円です。しかし、この金額には年金などの収入約192万円も含まれていますので、純粋に農業での収入は約334万円となります。

もちろん農作物の種類や規模などによって平均収入よりも稼ぐことは可能ですが、日本全体の平均年収が約420万円といわれているため、全体に比べて農家の収入は約90万円低いという結果です。

初期投資の費用や労働の対価に対して得られる収入が少ないことが、後継者不足の一因と考えられます。

 (3)重労働で大変などネガティブなイメージがある

安心・安全な食生活に注目が集まってきたことや働き方の多様化によって、農業に対してポジティブなイメージを持つ人が増えてきていますが、一方で「重労働できつい仕事」「休みなく働かないといけない」などのネガティブなイメージがまだ残っているのも実状です。

3.農業の後継者不足を解消するには?

初期投資などのコスト面での問題やネガティブイメージの払しょくができれば、農業を始める人が増える可能性が高くなります。

具体的に解決策を見ていきましょう。

資金不足を解消するためには公的融資がおすすめ

農業を始めるために計画的に自己資金を貯めることはとても大切です。初期投資などすべて自己資金でまかなうことができればよいですが、3年分程度の生活費なども考えると準備しておく資金は多ければ多いほど安心して事業がスタートできるでしょう。

日本政策金融公庫ではこれから農業を始める方をサポートするために無利子で借入が可能な「青年等就農資金」という融資制度があります。ただし、この制度を利用するためには、市町村から青年等就農計画の認定を受けた個人や法人という要件を満たす必要があります。

また、JA(農業協同組合)でも新規就農支援を行っていますので、活用することをおすすめします。

日本政策金融公庫 青年等就農資金

JA 農業融資

イメージを変えるために農業体験やイベントに参加する

実際に農業を体験することで、これまでの農業に対するイメージが変化したり、働き始めてから思っていたのと違ったといって離職することを避けられたり、というメリットがあります。農業を営んでいる方から生の声を聞くことができるのも魅力的です。

全国新規就農相談センターのホームページから全国各地で行われている農業体験を探すことができますので、興味のある方は活用してみてください。

全国新規就農相談センター

まとめ

農業の後継者不足は深刻な問題です。農業が大変な仕事であることに変わりはありませんが、計画的に資金調達したり、事前に農業体験などをしたりすることで、解決できる問題もあります。

資金不足がネックとなって就農をためらっているのであれば、公的融資を上手く活用し、資金調達することをおすすめします。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup     » https://inqup.com/

【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。