小さい美容室を開業するときのポイントを解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

美容(美容院・ネイル・エステ・フィットネス)

小さい美容室を開業するときのポイントを解説

美容室を開業したい人の中には、小さい美容室を想定している人もいますよね。また、小さい美容室を開業するときのポイントが知りたい人もいるでしょう。

当記事では、小さい美容室を開業するときのポイントを解説します。小さい美容室にすることを検討している人は参考にしてみてください。

まずは小さい美容室を開業するときのポイントを押さえる

小さい美容室を開業する場合、そのポイントを押さえておかなければ、想定しているような美容室を開業できないことも考えられます。想定している美容室の規模から開業準備を進めることになるため、まずはポイントになる項目を確認してみましょう。

【小さい美容室を開業するときのポイント】

  • 相応の開業資金を用意できるかどうか
  • 相応の準備物を用意できるかどうか

小さい美容室を開業するときのポイントは「相応の開業資金を用意できるかどうか?」「相応の準備物を用意できるかどうか?」です。想定している美容室の規模から開業準備を進めることになるため、小さい美容室を開きたい人は各項目を確認してみましょう。

相応の開業資金を用意できるかどうか

小さい美容室を開業するときのポイントのひとつは「相応の開業資金を用意できるかどうか」です。美容室を開業するときは開業資金が必要になりますが、小さい美容室を想定している人はその規模から開業資金を考えることになります。

【美容室における開業資金のイメージ】

内訳 費用
内装工事費 510万円
設備・備品費 190万円
運転資金 160万円
テナント賃借費 120万円
営業保証金・FC加盟金 20万円
合計 1,000万円

※イメージとなるため、実際の費用とは異なります

たとえば、日本政策金融公庫総合研究所の「2022年度新規開業実態調査」によると、「開業費用の平均値は1,077万円」「中央値は550万円」でした。この調査結果を参考にした場合、美容室における開業資金の平均も1,000万円程度になることが考えられます。

しかし、この調査結果は業種全体の調査結果です。美容室に限った調査結果ではなく、美容室が含まれる「サービス業」の割合も29.4%となるため、小さい美容室を想定していたとしても1,000万円以上や1,000万円未満になることもあります。

とくに、美容室の場合は保健所が定める「構造設備基準」を満たす必要があります。施設の構造や設備など、構造設備基準を満たす目的として内装工事が必要になる関係上、内装工事費用が開業資金全体の半分程度を占める傾向があります。

小さい美容室を開きたい場合は1,000万円程度の開業資金が必要になる可能性を考慮しつつ、「開業資金の内訳」と「想定している美容室の規模」を照らし合わせながら開業資金を算出することがポイントになるため、まずはその前提を踏まえておきましょう。

なお、美容室の開業資金に関する情報が知りたい人は「美容室の開業資金はいくら?平均と内訳を解説」を参考にしてみてください。

面積が小さい物件は費用を削減できる

物件の面積が小さければ小さいほど、物件にかかる費用を削減できる傾向があります。物件にかかる費用を削減できれば、開業資金を削減することもできるため、小さい美容室を開業したい人は物件の面積から取得する物件を決めることもひとつの方法です。

【東京都渋谷区の居抜き物件の例】

項目 居抜き物件A 居抜き物件B
所在地 東京都渋谷区神宮前 東京都渋谷区神宮前
面積 7坪 24坪
交通 明治神宮前駅 徒歩3分 明治神宮前駅 徒歩1分
賃料 240,000円 440,000円

※「東京都渋谷区にある10坪~30坪程度の居抜き物件」を目安に株式会社SoLabo作成

たとえば、「東京都渋谷区にある7坪の居抜き物件A」と「東京都渋谷区にある24坪の居抜き物件B」を比較した場合、賃料の差は20万円程度でした。築年数や立地などの条件もありますが、賃料に差がある要因のひとつは坪数です。

物件の面積が小さければ小さいほど、物件にかかる費用が削減され、開業資金の削減にもつながる可能性があります。小さい美容室を開業したい人は面積が10坪以下の物件も視野に入れつつ、物件の面積から取得する物件を決めることも検討してみましょう。

相応の準備物を用意できるかどうか

小さい美容室を開業するときのもうひとつのポイントは「相応の準備物を用意できるかどうか」です。美容室を開業するときはあらゆる準備物が必要になりますが、小さい美容室を想定している人はその規模から準備物を考えることになります。

【美容室における準備物の例】

項目 具体例 参考記事
物件 自宅、居抜き物件、スケルトン物件など
備品 シザー、コーム、ドライヤーなど 美容室の開業における備品を揃えるときの手順を解説
設備 洗髪設備、給湯設備、換気設備など 美容室の開業における設備の導入手順を解説
届出 開設届、開業届、事業開始等申告書など 美容室の開業に必要な届出を解説

たとえば、美容室を開業するときはあらゆる備品を揃えることになります。「シザー」「コーム」「ドライヤー」「カラー剤」などの備品を揃えることになりますが、「想定している美容室の規模」から個数の目安を計算できる備品もあります。

また、美容室を開業するときはあらゆる設備を導入することになります。「洗髪設備」「給湯設備」「換気設備」「消毒設備」などの設備を導入することになりますが、「想定している美容室の規模」から個数の目安を計算できる設備もあります。

その他には、美容室を開業するときはあらゆる届出を提出することになります。「開設届」「開業届」「事業開始等申告書」「防火対象物使用開始届出書」などの届出を提出することになりますが、「想定している美容室の規模」から必要になる届出もあります。

小さい美容室を開きたい場合は美容室の開業に必要となる準備物をリストアップしつつ、「必要となる準備物」と「想定している美容室の規模」を照らし合わせながら準備物を揃えることがポイントになるため、まずはその前提を踏まえておきましょう。

面積が小さい物件は準備物を削減できる

物件の面積が小さければ小さいほど、必要となる準備物を削減できる傾向があります。必要となる準備物を削減できれば、時間と手間を削減することもできるため、小さい美容室を開業したい人は物件の面積から揃える準備物を決めることもひとつの方法です。

【物件の面積に応じた設備数の例】

面積 シャンプー台 セット面
7坪 1台 1面~2面
15坪 2台~3台 3面~4面
20坪 3台~4台 6面~9面

※目安となるため、実際の設備数とは異なります

たとえば、物件の面積が7坪の場合、「シャンプー台は1台」「セット面は1面~2面」が目安となります。常時1人~2人の顧客を対応する想定ならば、その顧客数に応じた設備と備品を揃えることができれば、美容室を営業することは可能です。

物件の面積が小さければ小さいほど、必要となる準備物が削減され、時間と手間の削減につながる可能性があります。小さい美容室を開業したい人は面積が10坪以下の物件も視野に入れつつ、物件の面積から揃える準備物を決めることも検討してみましょう。

ポイントを押さえた人は開業するための下準備を始める

小さい美容室を開業するときのポイントを押さえた人は、開業するための下準備を始めることを検討してみてください。美容室を開業するときの工程は多岐にわたるため、まずは下準備から始めることにより、段階を踏みながら美容室を開業することができます。

【開業に向けた下準備の工程】

  1. コンセプトを設計する
  2. 事業計画書を作成する
  3. 集客方法を考案する

開業するときの進め方に決まりはないですが、下準備から始めることにより、段階を踏みながら美容室を開業することができます。各工程が前後したり並行したりすることもありますが、まずはそれぞれの工程の作業内容を確認してみましょう。

①コンセプトを設計する

美容室を開業するための下準備のひとつは「コンセプトの設計」です。コンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示し、顧客に対してのメッセージにもなるため、小さい美容室を開業したい人は想定している美容室の規模からコンセプトを設計してみましょう。

【コンセプトの例】

  • キレイになれる隠れ家
  • 家族そろって楽しく綺麗に
  • 忙しい女性に美と癒しの空間を

たとえば、「キレイになれる隠れ家」をコンセプトにした場合、その美容室が示す価値と方向性は「キレイになれる隠れ家」です。顧客に対してのメッセージにもなるため、開業後は「キレイになれる隠れ家」を目指すことになります。

また、「キレイになれる隠れ家」をコンセプトにした場合、そのコンセプトは決めるべき事項の判断軸になります。判断に迷ったときは「キレイになれる隠れ家」を起点にして考え、決断することにより、その美容室の一貫した方向性を保つことができます。

コンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示し、顧客に対してのメッセージにもなります。選択に迷ったときの判断軸にもなるため、小さい美容室を開業したい人は想定している美容室の規模からコンセプトを考えてみましょう。

なお、美容室のコンセプトに関する情報が知りたい人は「美容室の開業におけるコンセプトとは?作るときの手順を解説」を参考にしてみてください。

②事業計画書を作成する

美容室を開業するための下準備のひとつは「事業計画書の作成」です。事業計画書を作成することにより、その事業を成功に導くための設計図ができるため、小さい美容室を開業したい人は想定している美容室の規模から事業計画書を作成してみましょう。

【事業計画書に入れ込む項目の例】

項目 具体例 イメージ
営業計画 ・商品戦略
・価格戦略
・販促戦略
・想定する顧客層は?
・施術の価格設定は?
・サービスの強みは?
仕入計画 ・仕入先
・仕入額
・流通経路
・仕入先の候補は?
・仕入額の金額は?
・仕入れの経路は?
売上計画 ・売上目標
・売上予測
・利益計算
・売上目標の金額は?
・売上予測の金額は?
・算出した利益率は?
資金計画 ・設備資金
・運転資金
・資金調達
・設備資金の金額は?
・運転資金の金額は?
・資金調達の方法は?

たとえば、事業計画書に営業計画を組み込むことにより、価格戦略が立てやすくなる可能性があります。小さい美容室の場合は1日に対応できる客数が少なくなる傾向があるため、その点を考慮しながら価格戦略を立てることになります。

また、事業計画書に仕入計画を組み込むことにより、仕入額が算出しやすくなる可能性があります。小さい美容室の場合は大型店よりも消費する備品数が少なくなる傾向があるため、その点を考慮しながら仕入額を算出することになります。

事業計画書はその事業を成功に導くための設計図です。美容室を開業するための全体像と方向性を可視化することもできるため、小さい美容室を開業したい人は想定している美容室の規模から事業計画書を作成してみましょう。

③集客方法を考案する

美容室を開業するための下準備のひとつは「集客方法の考案」です。集客方法を考案することにより、開業前から集客方法を実践できる場合もあるため、小さい美容室を開業したい人は想定している美容室の規模から集客方法を考えてみましょう。

【集客方法の例】

項目 具体例
オフライン ・看板
・フライヤー
・ショップカード
オンライン ・SNS
・Web広告
・ホームページ

たとえば、オフラインの集客方法として挙げられるのはフライヤーです。「最寄り駅からの地図」「施術のメニュー」「料金の案内」など、美容室の情報を載せたフライヤーを配布することにより、開業後の集客に寄与する可能性があります。

また、オンラインの集客方法として挙げられるのはSNSです。「美容師がおすすめするシャンプー」「家でもできるヘアセット」「忙しい朝のセルフセット術」など、画像や動画をSNS上に投稿することにより、開業後の集客に寄与する可能性があります。

美容室の集客は工夫次第です。商圏(=集客できる範囲)を意識しながら集客方法を工夫することにより、開業後の集客に効果を発揮する可能性があるため、小さい美容室を開業したい人は想定している美容室の規模から集客方法を考えてみましょう。

小さい美容室を開業するときは作業室の面積に注意する

小さい美容室を開業するときは作業室の面積に注意が必要です。各自治体が定める「構造設備基準」により、作業室の面積に基準が定められているため、作業室の面積が基準を下回る場合は保健所の立ち入り検査を通過できず、美容室を開業することはできません。

【各自治体が定める面積の基準の例】

項目 基準
東京都渋谷区 作業室面積は原則として内法13㎡以上
千葉県千葉市 作業室面積は原則として内法6.6㎡以上
埼玉県さいたま市 作業室面積は原則として内法9.9㎡以上

※各自治体の構造設備の資料をもとに株式会社SoLabo作成

たとえば、東京都渋谷区の場合、作業室の面積は原則として「内法13㎡以上」です。「美容師法」と「渋谷区美容師法施行条例」により基準が定められ、美容室の開業予定地が東京都渋谷区の場合は作業室の面積は内法13㎡以上の広さが必要です。

また、埼玉県さいたま市の場合、作業室の面積は原則として「内法9.9㎡以上」です。「美容師法」と「さいたま市美容師法施行条例」により基準が定められ、美容室の開業予定地が埼玉県さいたま市の場合は作業室の面積は内法9.9㎡以上の広さが必要です。

なお、「椅子が7台以上は1台につき3㎡追加」など、作業室の面積の基準は椅子の台数によっても異なります。根拠法令が改正される可能性や作業室の定義が自治体ごとに異なる可能性もあるため、小さい美容室を開業したい人は開業予定地を管轄する自治体の公式サイトを確認してみましょう。

まとめ

小さい美容室を開業するときのポイントは「相応の開業資金を用意できるかどうか」「相応の準備物を用意できるかどうか」です。ポイントを押さえなければ、想定している美容室を開業できないことも考えられるため、まずはポイントを押さえておきましょう。

また、小さい美容室を開業するときのポイントを押さえた人は、開業するための下準備を始めることを検討してみてください。美容室を開業するときの工程は多岐にわたるため、下準備から始めることにより、段階を踏みながら美容室を開業することができます。

なお、小さい美容室を開業するときは作業室の面積に注意が必要です。「構造設備基準」により、作業室の面積に基準が定められているため、小さい美容室を開業したい人は開業予定地を管轄する自治体の公式サイトから作業室の面積の基準を確認しておきましょう。

関連記事

美容(美容院・ネイル・エステ・フィットネス)

美容室の開業における備品を揃えるときの手順を解説

この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

この記事をシェアする

開業に関するお悩みサポートします!

  • 資金調達と財務計画を立てることが難しい
  • どうやって効果的に顧客を獲得するかが分からない
  • 法的な手続きや規制が必要であり、それらに対するリテラシーがない
  • 開業に必要な特定のスキルや知識が不足していると感じる

開業支援ガイドを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)は、
事業用融資の資金調達をはじめ、創業者支援をメインとする会社です。
私たちが確かなサポートと専門知識で、あなたの開業をサポートいたします。

開業に関するご相談はこちら

無料相談

無料相談

無料相談