原価率から算出した価格は目安として利用しよう!
飲食店の価格設定は利益と関係してくる重要な数字です。そのため、色々な要素を考えてメニューの価格を設定する必要があります。 減価率の把握、お店の雰囲気、客層、サービス、バランスなどなど、考えたらキリが無いほどです。今回は料理の価格を決める際のポイントなどをご紹介します。 参考にしていただければ幸いです。
1.減価率を基に算出した金額は目安として抑えておきましょう!
飲食店の減価率の平均は30%~33%前後です。FLで60%を目安にすることが一般的ですね。
まずは、それぞれのメニューの減価率から価格を算出してみましょう。例えば、原価が400円のメニューであれば、1,200円ということになります。
この調子ですべてのメニューを減価率から計算していけば、メニューの価格が決まるじゃない!と思った方、ちょっと待ってください。
減価率を基に算出したメニュー価格はひとまず参考価格として抑えておきましょう。
飲食店のメニュー価格は様々な要素を考慮して検討する必要があります。とは言え、商売ですから減価率を把握しておくことは大切です。
余談ですが、私は以前、カフェのメニューを考えていた際に、とにかくインパクトのある集客力のあるメニューを作ろうと、とんでもなく量の多いデザートを作りました。
3人位でシェアする量です。その価格を1,200円にしました。なんと減価率40%超えです。
もはや、売れれば売れるだけ苦しくなるというとんでもないメニューでした。
しかもシェアされるので、他のメニューがでない、手間もかかるという悪魔のようなメニューを生み出したとスタッフに怒られたものです。
価格を先に設定したために、とんでもない減価率になったという典型的な失敗例です。もちろん、他のメニューと相殺して減価率の調整ができれば、減価率が高くてもウリになるメニューを用意しておくというのは間違いではないと思います。
2.飲食店のメニュー価格を決めるために重要な3つの要素
飲食店のメニュー価格を決めるために減価率以外に重要となる要素があります。
(1)お店の雰囲気から価格を設定する
高級なお店の雰囲気とリーズナブルなお店の雰囲気というのは、料理の内容や提供方法以外にも、内装やサービスという料理と異なる部分でも表れます。
お店の雰囲気は料理とは直接関係はありませんが、内装や設えは、高級感を表現しようとすればそれなりに資金がかかります。また、サービスもより細かく丁寧に行おうと思えばそれだけ人件費がかかります。
価格が低いお店は、余計なコストを削減することで料理の価格を下げています。
高い雰囲気のお店で価格が低い場合には、お客様から不満がでることはあまり無いかもしれませんが、リーズナブルなお店の雰囲気で価格が高いとちょっと納得行かないと思われてしまうかもしれませんね。
このように、お店の雰囲気と価格はとても重要な関係性を持っています。お店の雰囲気以外にも、立地やターゲット層などのそれぞれの相場を意識して価格を設定しましょう。
(2)お皿の上のバランスに配慮する
減価率の計算を行った結果、同じ価格のメニューがいくつか出てきた!という場合には、それぞれのお皿の上の様子も確認してみましょう。金額が同じような場合には、お皿の上のバランスがとても重要です。
華やかな見た目のひと皿と、ちょっと寂しい感じのひと皿が同じ価格になると、どうしても華やかな方がお得な気がしますよね。
その場合には、量や使用する食器で調節する、設定価格を変更するなどの対策が必要です。
(3)中心価格を設定しましょう。
主要となる価格帯を設定しておきましょう。中心価格は営業形態によって異なりますが、例えば、ランチタイムのメニューの場合、中心価格を1,000円と設定し、前後200円程度の差を付けたメニューを数品用意しおくという形です。
例えば、本日のランチなど日替わりで提供するランチは800円、少し良い素材を使用したスペシャルランチは1,200円というイメージです。
私が以前、携わっていたお店はフードとドリンクを基本的にすべて500円(税抜き)で提供するという価格設定に変更しました。500円という価格の安心感から、今までよりも注文が増え、結果的に客単価に大きな変動はありませんでした。
中心価格を設定しておくと、お客様側から見てもお会計のイメージがつけやすくなります。
一律価格も同様にお客様がお会計イメージをつけやすいというメリットがあります。お店側としても、小銭の釣り銭の種類が絞られるというメリットがあります!
3.お客様の心理を上手に動かす価格設定を!
メニューの価格設定はお客様にオトク感を与えることが大切です。
そのため、よく使われる手法は990円という値段設定です。1,000円と990円では990円の方がオトクに感じますよね。
実際はそこまで大差はありませんが、桁が少し変わるだけで安いという印象を与えることができます。価格を上手に見せることで、お客様が入りやすいお店、頼みやすいメニューとなるわけです。
近隣に競合となるお店がある場合には、そちらの金額も参考に、ちょっとでも自分のお店に有利に働く価格設定を行ないましょう。
まとめ
価格は安い方が利用しやすいという利点はありますが、飲食店は安いだけでは無いと思っています。料理だけではなく、雰囲気、接客、すべてを含めて価格が決まります。
お客様がその金額を払って満足してもらえるということが大切です。
安くすることだけに気を取られてしまうと、お客様が求めているものに気づくことが出来なくなります。料理の価格はお店の価格といっても過言ではありません。
価格は下げることは簡単に出来ますが、上げるということは簡単ではありません。安いということに囚われすぎず、総合的に判断して価格を設定を行ないましょう。
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平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上
【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
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