失敗するお店の共通点を押さえておきましょう
もちろん失敗したいと思って居酒屋を開業する方はいらっしゃらないでしょう。
しかし、日本政策金融公庫が行っている業種別廃業状況調査によると、飲食店の廃業率は18.9%となっており、全業種の中で一番高いです。
失敗するお店にはいくつか共通点がありますので、廃業を回避するために事前に知っておくことでしっかり対策をしていきましょう。
1.失敗するお店の5つの共通点
(1)キャッシュフローが尽きてしまう
居酒屋を経営していると、食材の仕入れ代金や従業員の人件費、店舗の家賃などの費用が発生します。
キャッシュフローが尽きたということは、手元に現金がなくなり、借り入れなどを新たにしなければ、経営にかかる費用を支払えない状態ということです。
考えられる原因は、下記のとおりです。
● どんぶり勘定で、計算書や決算書の紙上での損益しか気にかけていない
● 売上高ばかり気にして、まったく経費コントロールをしていない
● 費用の支払日に支払うための現金を準備する認識が甘い
● 店舗と自分の生活費の財布を分けていない
では、キャッシュフローを管理するにはどのような対策が必要なのでしょうか?
● 経理の体制を整え、売上集計や入金・出金サイクルを明確にする
● 1か月毎の予算を立てる。仕入れ代金や人件費などの経費上限を明確にすることで、経費の使える枠を厳守。設定している上限を上回ったら他の経費を抑えるなどして調整する
● 店舗と自分の生活費の通帳や財布を明確に分け、絶対に店舗の現金を自分の生活費などに使用しない
(2)売る努力をしていない
「美味しいもの=売れる」とは限りません。
オープンしたばかりのお店であればなおさらです。
どんなに美味しい料理を提供していたとしてもお客様はあなたのお店を知らないわけですから、まずは宣伝をして、あなたのお店を知ってもらう必要があります。
あまり宣伝費をかけたくないからといって、口コミだけに頼ってしまうは危険です。
口コミの効果は非常に大きいですが、口コミが広がるまでに時間がかかりますので、売る努力をしましょう。
SNSやお店のホームページで定期的に情報を配信したり、チラシのポスティングやポスターを貼ったりするなどして、多くの人に知ってもらうことが大事です。
また、せっかく新しい商品を作っても、多くの消費者に受け入れられる商品でなければ意味がありません。
事前に知人や友人に商品を試食してもらい、感想を聞くのも良いでしょう。
(3)借入金の返済に追われてしまう
(1)で説明したキャッシュフローが尽きてしまうのと似ていますが、こちらはより具体的な失敗理由です。
返済に追われないようにするには「売上高がすべて」という発想ではなく、コストコントロールを意識して、数値管理の徹底をしましょう。
資金計画を立てる際には、最初から黒字になると想定せず、開店から6か月間は単月での収支は赤字を想定して、開店する前から余剰資金を準備しておくことが大切です。
入金はできるだけ早く、出金はできるだけ遅くすることで資金繰りが安定します。
(4)思うように集客ができなかった
集客がないということは、売上が上がらないということです。
(2)に記載したように商品を売る努力をしていないケースもありますが、これぐらいは売れるだろうという売上予測が甘いケースも考えられます。
売上予測を立てるのに押さえるべきポイントが2つあります。
大雑把にお店から半径何kmの範囲というものではなく、お店の前の人の流れをチェックする必要があります。
朝昼晩、平日と土日休日、実際に現地で確認することが大切です。
道が一本違うだけで人通りが変わる場合がありますので、お店の前と付近の人の流れをしっかりと確認しましょう。
郊外にお店を構えようとしているのであれば、交通量や交差点の有無、渋滞度や幹線道路か生活道路かなどの確認も必要です。
まずは飲食業界に携わっている友人や知人にヒアリングしてみましょう。
自分のお店とコンセプトが近いお店で、食べログなどの口コミサイトで評価が高いお店についても要チェックです。
料理はもちろん、お店の内外装や演出、メニュー、接客などのサービスを調査することで、自分のお店の良し悪しが明確になります。
改善点があれば修正すれば良いですし、優れているところはどんどん伸ばしていくことで、他のお店との差別化を図ることができます。
出店する前に、感覚で立地を決めるのではなく、データを基に検証することが大切です。
あわせて立地条件に合った商品価格かどうか、量は適切かも考える必要があります。
また、集客を増加させるには、リピート客の獲得が必須です。
ポイントカードを導入するなど、リピーターを獲得する仕組みを作りましょう。
(5)採用や教育が上手くいかず、従業員が定着しない
オーナー1人では限界があるためスタッフを雇わなければ、お店は経営できません。
せっかく採用しても短期間で辞めてしまうなど、スタッフが定着しないお店の場合、体制に何か問題があることも考えられます。
これらを解消するために、下記のような対策を取っていきましょう。
経営者としての誠実な姿勢が求められます。
● 労働環境の改善(新人スタッフのサポートや人員の充実など)
● 作業マニュアルの作成
● シフトの融通を利かせたり、積極的に話しかけたりするなど、スタッフを大事にする
● スタッフ間の交流を促す
まとめ
失敗するお店に共通する5つのポイントを紹介しました。
飲食店を経営する上で当たり前のことかもしれませんが、実際にやってみるとなかなか難しく、お店をオープンしてから軌道修正するとなると、さらに困難です。
開業前に知っておくことで、失敗のリスクをできるだけ減らし、ぜひご自身のお店を成功に導いてください。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
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2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
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