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キッチンカーの開業に必要な設備の揃え方を解説

キッチンカーを開業するときは、あらゆる設備を揃えることになります。飲食物を提供する関係上、調理に使用する設備だけでなく、食品衛生法が定める基準を満たした設備も用意することになります。

キッチンカーの設備を揃えたい人は、まずはキッチンカーに必要な設備の揃え方を確認してみてください。揃え方を押さえておくことにより、必要な設備を抜け漏れなく揃えられる可能性があるため、まずはキッチンカーに必要な設備の揃え方を確認しておきましょう。

まずはキッチンカーの施設基準を確認する

キッチンカーの設備を揃えるときは、まずは施設基準を確認しましょう。キッチンカーは食品衛生法が定める施設基準を満たさなければ開業できないため、キッチンカーの設備を揃えたい人はまずは施設基準を確認するところから始めてみましょう。

【施設基準の例】

設備 概要
給水設備 調理工程に応じて40L、80L、200Lの給水設備を用意すること
作業場区画 調理場と運転席を完全に区画すること
作業場 天井・床・内壁は清掃しやすい構造や材質にすること
洗浄設備 流水式手洗設備を備えた2槽シンクにすること
排水設備 使用後の水を十分貯留できる汚水貯留装置を用意すること
冷蔵設備 温度計付きの冷蔵庫または冷凍庫
保管設備 衛生的に保管できること
廃棄物容器 蓋つきかつ耐水性で十分な容量があり、汚液及び汚臭の漏れのないもの

施設基準のひとつは「調理場と運転席を完全に区画すること」です。仕切りや壁などを使い、運転席と調理場を完全に区画することにより、作業場の衛生環境が保ちやすくなるため、施設基準のひとつに規定されています。

また、施設基準のひとつは「流水式手洗設備を備えた2槽シンクにすること」です。「レバー式」「足踏み式」など、流水式手洗設備を設置することにより、洗浄後の手指の再汚染が防止されるため、施設基準のひとつに規定されています。

なお、設備を揃えるときは保健所に事前相談することを検討してみてください。キッチンカーは販売する商品や車両の種類など、個々の状況が異なる傾向にあるため、保健所によっては事前相談することを求められる場合もあることを留意しておきましょう。

タンクの容量によって販売できる商品が異なる

キッチンカーの場合、給排水タンクの容量によって販売できる商品が異なります。給排水タンクの容量によって調理工程や品目数などの制限があるため、販売したい商品が決まっている人は揃えるタンクの容量を確認する必要があります。

【タンク容量ごとの許可範囲】

項目 40リットル 80リットル 200リットル
提供品目数 単一品目 複数品目 複数品目
食器の種類 使い捨て容器のみ 使い捨て容器のみ 使い捨て容器以外も可
大量の水を要する調理 不可 不可
調理工程 簡易な調理のみ 2工程程度までの調理 複数工程からなる調理
車内での仕込み行為 不可 不可

給排水タンクの容量によって「提供可能な品目数」が異なります。40リットルの場合、ひとつの商品しか提供できませんが、80リットルや200リットルの場合は、「クレープとドリンク」「ハンバーガーとポテト」など、複数の商品が提供できます。

また、給排水タンクの容量によって「提供可能な商品の調理工程」が異なります。40リットルの場合「揚げる」「焼く」などの簡易調理のみですが、80リットルの場合は「切る、揚げる」「混ぜる、焼く」などの2工程程度の調理が可能になります。

なお、200リットルの給排水タンクがあれば車内での仕込みが可能になります。仕込み調理の定義や給排水タンクの設置条件など、細かい規定は保健所ごとの判断になる可能性があるため、キッチンカーでの仕込み調理を考えている人は保健所に確認しておきましょう。

次に販売する商品ごとに必要な設備を確認する

キッチンカーの施設基準を確認したあとは、次は販売する商品ごとに必要な設備を確認してみましょう。販売する商品ごとに必要な設備は異なるため、自身が提供したいメニューが決まった人は商品ごとに揃える設備を確認していきましょう。

【販売する商品ごとに必要な設備の例】

商品名 設備
クレープ クレープ焼台
たこ焼き たこ焼き機
カレー ガスコンロ
唐揚げ フライヤー
うどん ゆで麺機
コーヒー エスプレッソマシン

販売する商品ごとに必要な設備を揃えるポイントは、使用する熱源や電源を考慮することです。「電気式」「ガス式」など、熱源や電源の種類によって揃える設備が異なるため、商品ごとの設備を揃えるときは熱源や電源の種類を考慮しながら選びます。

販売する商品ごとに必要な設備を揃えるもうひとつのポイントは、ひとつの設備で調理可能な品目数を考慮することです。キッチンカーのスペースは限りがあるため、複数のメニューを提供したい場合はひとつの設備で調理可能なメニューが複数あるかどうかも考慮しながら選びます。

キッチンカーは販売する商品を変更しやすい業態です。出店場所の天候や特性に応じて、必要な設備を取り換えて営業することもできるため、販売する商品の変更も考えている人は、取り換えが簡易な設備であるかどうかも考慮して選ぶようにしましょう。

電源設備を用意することも検討する

商品ごとの設備を揃えるときは、電源設備を導入することも検討してみてください。出店場所によっては外部電源を確保できない場合も想定されるため、キッチンカーに電源設備も搭載しておくことを検討しておきましょう。

【電源設備の例】

  • 発電機
  • ポータブル電源

電源設備の例として挙げられる設備は「発電機」です。ガソリンを燃料とする発電機は、「機材が重い」「音が大きい」などの懸念点はありますが、高電圧の電力を安定して供給できるため、キッチンカーでの営業に使用されやすい傾向があります。

電源設備の例として挙げられるもうひとつの設備は「ポータブル電源」です。充電して使用するポータブル電源は「高電圧の電力を安定して供給しにくい」懸念点はありますが、機材が扱いやすく、音が小さいためキッチンカーでの営業に使用されやすい傾向があります。

なお、電源設備を揃えるときはすべての電気機器の消費電力を計算しておきましょう。「冷蔵庫」「照明」「換気扇」など、使用する電力の総量を把握してから揃える電源設備を検討しましょう。

揃える設備の確認後は設置場所を考える

揃える設備を確認したあとは、次は設置場所を考えてみましょう。キッチンカーの作業スペースに限りがある関係上、設備の設置場所を考えておかなければ設備が搬入できないおそれもあるため、揃える設備を確認した後は設置場所も検討してみましょう。

【設備の設置例】

設備の設置場所を決めるときのポイントは、動線を考慮することです。キッチンカーのスペースは限られるため、「調理工程」「作業人数」などの観点から設備の設置場所を決めることにより、効率よく作業できる可能性があります。

設備の設置場所を決めるもうひとつのポイントは、顧客からの見え方を意識することです。窓の前に調理設備を設置することにより、顧客から調理作業が見えるため、顧客の購買意欲が高まる可能性があります。

なお、設備の設置場所を考えるときは図面を作成することも検討してみましょう。図面を作成することにより、保健所に事前相談するときの参考資料となるため、設備の設置場所を考えるときは図面を作成することを検討してみてください。

最後に設備の設置方法を検討する

設備の設置場所を考えたあとは、最後に設備の設置方法を検討しましょう。設備の設置方法は「キッチンカー業者に設置してもらう」「自身での設置を行う」方法が考えられるため、それぞれの方法のメリットとデメリットを確認しておきましょう。

【設備の設置方法の例】

項目 メリットとデメリット
キッチンカー業者に設置してもらう <メリット>
・設置の手間がかからない
・業者と相談しながら設置場所を決められる
<デメリット>
・設置費用がかかる
・導入する設備が選べない場合がある
自身での設置を行う <メリット>
・設置費用がかからない
・導入する設備を選べる
<デメリット>
・設置の手間がかかる
・設置場所の相談がしにくい

キッチンカー業者に設置してもらう方法のメリットは「設置の手間がかからない」「相談しながら設置場所を決められる」点です。一方、「設置費用がかかる」「業者によっては導入する設備が限定される」点がデメリットとして挙げられます。

自身での設置を行う方法のメリットは「設置費用がかからない」「導入する設備を選べる」点です。一方、「設置の手間がかかる」「設置場所を相談できる相手が見つかりにくい」点がデメリットとして挙げられます。

なお、専門業者でなければ設置が難しい設備もあります。「電気の配線工事」「水道管やガスの取り付け」など、インフラ設備はキッチンカーの安全性にも影響を与えるため、専門業者による設置を依頼することを検討してみてください。

まとめ

キッチンカーの設備を揃えるときは、まずは施設基準を確認しましょう。キッチンカーは食品衛生法が定める施設基準を満たさなければ開業できないため、キッチンカーの設備を揃えたい人はまずは施設基準を確認するところから始めてみましょう。

キッチンカーの施設基準を確認したあとは、次は販売する商品ごとに必要な設備を確認してみましょう。販売する商品ごとに必要な設備は異なるため、自身が提供したいメニューが決まった人は商品ごとに揃える設備を確認していきましょう。

揃える設備を確認したあとは、設備の設置場所を検討しましょう。キッチンカーの作業スペースに限りがある関係上、設備の設置場所を考えておかなければ設備が搬入できないおそれもあるため、揃える設備を確認した後は設置場所も検討してみましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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