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キッチンカーの開業における車両を入手する流れを解説

キッチンカーにとって車両は店舗の役割を担うため、キッチンカーの開業における車両選びは重要です。種類や入手方法など、車両選びにはさまざまな選択肢があるため、キッチンカーを入手するときは希望条件と照らし合わせながら選ぶことになります。

キッチンカーの開業を検討している人は、まずは車両を入手する流れを押さえておきましょう。入手する流れを押さえることにより、車両選びにおける選択肢が整理され、希望条件と照らし合わせやすくなるため、まずはキッチンカーを入手する流れを確認してみましょう。

まずは入手したいキッチンカーの種類を選ぶ

キッチンカーに使用する車両を入手したい人は、まずは入手したい車両の種類を選びましょう。キッチンカーのベース車両にはいくつかの種類があるため、キッチンカーに使用する車両を探している人はそれぞれの種類を押さえてみてください。

【キッチンカーのベース車両の種類】

  • トラック
  • バン
  • トレーラー

キッチンカーのベース車両として使用されている車両は「トラック」「バン」「トレーラー」に分類されます。他にも使用されている車種はありますが、まずは代表的な車種の特徴を押さえておきましょう。

トラック

キッチンカーのベース車両のひとつは「トラック」です。「軽トラック」「1トントラック」「1.5トントラック」などが使用される傾向にあり、トラックの荷台部分にキッチンスペースを取り付けし、キッチンカーとして使用する構造となっています。

【ベース車両がトラックの場合の特徴】

  • 立ったまま調理作業ができる
  • 出店場所の選択肢が多い傾向がある
  • 車体の大きさによっては搭載できない設備がある

トラックをベース車両としたキッチンカーの特徴は「立ったまま調理作業ができる」点です。車高制限はあるものの、荷台部分にキッチンスペースを取り付けるため、立ったままの調理作業や1人~2人での共同作業ができます。

また、トラックをベース車両としたキッチンカーの特徴は「出店場所の選択肢が多い傾向がある」点です。トラックの大きさによって異なりますが、駐車スペースが確保しやすいため、イベント出店やスーパーでの出店など、さまざまな場所で出店できる傾向にあります。

なお、トラックの大きさによっては販売制限がある可能性もあります。車体が小さいと搭載できる設備が限られるため、「単品販売のみ」「簡易な調理工程の商品のみ」など、保健所の規定によって販売商品に制限がある点を留意しておきましょう。

バン

キッチンカーのベース車両のひとつは「バン」です。「軽バン」「普通車バン」「ワンボックス」などが使用される傾向にあり、バンの架室部分や後部座席をキッチンスペースに改造し、キッチンカーとして使用する構造となっています。

【ベース車両がバンの場合の特徴】

  • 外装の装飾がしやすい
  • 価格が抑えられる傾向にある
  • 座って調理作業しなければならない

バンをベース車両としたキッチンカーの特徴は「外装の装飾がしやすい」点です。装飾可能な面積が広いため、「カーラッピング」「塗装」「カッティングシート」など、さまざまな加工方法やデザインを施すことが出来ます。

また、バンをベース車両としたキッチンカーの特徴は「価格が抑えられやすい」点です。架室部分や後部座席などの内装工事でキッチンカーが完成する傾向にあるため、トラックやトレーラータイプと比較すると車両の取得費用が抑えられる傾向にあります。

なお、バンの場合は座ったまま調理作業することになります。特殊バン以外のバンは車高が低い関係上、立ったまま調理作業することは難しいため、バンをベース車両として検討している人は事前に作業のしやすさも確認するようにしましょう。

トレーラー

キッチンカーのベース車両のひとつは「トレーラー」です。エンジンが非搭載のトレーラー車両を独立したキッチンスペースとして使用し、移動時には自家車両でトレーラー車両をけん引して運びます。

【ベース車両がトレーラーの場合の特徴】

  • キッチンスペースを切り離せる
  • 顧客と目線の高さを合わせて接客できる
  • 出店場所が限られる

トレーラーをベース車両としたキッチンカーの特徴は「キッチンスペースを切り離せる」点です。トレーラーと運転車両の連結を解除することができるため、営業日以外は運転車両を自家車として利用することができます。

また、トレーラーをベース車両としたキッチンカーの特徴は「顧客と目線の高さを合わせて接客できる」点です。トレーラーはエンジンが搭載されていない関係上、床が低くなるため、顧客と同じ目線での接客対応ができます。

なお、キッチントレーラーは出店場所が限られる傾向があります。2台分の駐車スペースを要する関係上、出店を断られる可能性があるため、トレーラータイプのキッチンカーを検討している人は、出店場所の目途を立てることも考えておきましょう。

次に入手方法を検討する

入手したいキッチンカーの種類を選んだら、次はキッチンカーの入手方法を検討してみてください。キッチンカーの入手方法はいくつかの選択肢があるため、それぞれの方法を確認してみましょう。

【入手方法の例】

  • キッチンカー業者に製造を依頼する
  • キッチンカーの中古車を購入する
  • キッチンカーをレンタルする

キッチンカーの入手方法は「業者に製造を依頼する」「中古車を購入する」「レンタルする」方法が挙げられます。予算や納期などの希望条件と照らし合わせながらそれぞれの入手方法を確認してみましょう。

キッチンカー業者に製造を依頼する

キッチンカーの入手方法として挙げられるのは「キッチンカー業者に製造を依頼する方法」です。キッチンカーの業者はキッチンスペースの製造のみを行うため、ベース車両は新車か中古車を事前に用意することになります。

【キッチンカー業者に製造を依頼する場合】

項目 内装デザイン 納期 価格
業者に製造を依頼する場合 自由度が高い 長くなる傾向 200万円~500万円

キッチンカー業者に製造を依頼する場合は、内装デザインの自由度が高くなります。業者と内装を相談しながら設計するため、保健所の設備基準や作業しやすい動線を確認しながら内装デザインを決めることができます。

キッチンカー業者に製造を依頼する場合は、納期が長くなる傾向があります。受注してから製造を開始するため、中古車を購入する方法やレンタルする方法と比較すると、納期が長くなる傾向があります。

なお、業者に製造を依頼した場合の費用の目安は250万円~400万円となります。ベース車両によっても価格が変動するため、キッチンカー業者に製造を依頼する場合は希望の車種を決めておくと費用の目安が算出しやすい点を留意しておきましょう。

業者に依頼するときはサービス内容を確認する

キッチンカー業者に製造を依頼するときはサービス内容を確認するようにしましょう。キッチンカー業者によっては対応が不十分な会社も存在するため、契約前にサービス内容を確認するようにしてみてください。

【対応が不十分な例】

  • 製造工程の説明が不明瞭
  • 見積書の内訳が記載されていない
  • 修理やメンテナンスの対応をしていない

対応が不十分な例として、「製造工程の説明が不明瞭」なことが挙げられます。キッチンカーは保健所が規定する設備基準を満たさなければならないため、製造工程や設備に関する説明が不明瞭な業者では、トラブルにつながるおそれがあります。

また、対応が不十分な例として「見積書の内訳が記載されていない」ことが挙げられます。厨房設備や内装工事の内訳が記載されていなければ、相場より高額の請求をされている可能性もあるため、見積書の内訳が分からない業者では、トラブルにつながるおそれがあります。

なお、キッチンカー業者の中には製造を外注しているところもあります。依頼した業者では製造を行っていない関係上、車体の修理やメンテナンス対応ができない業者もあるため、キッチンカーを業者に依頼する場合は事前に確認しておきましょう。

キッチンカーの中古車を購入する

キッチンカーの入手方法として挙げられるのは「キッチンカーの中古車を購入する方法」です。車の販売会社の中には、中古のキッチンカーを取り扱っているところがあるため、すでに完成しているキッチンカーを購入することができます。

【中古車を購入する場合】

項目 内装デザイン 納期 価格
中古車を購入する場合 自由度が低い 短い傾向 50万円~300万円

キッチンカーの中古車を購入する場合は、内装デザインの自由度が低くなります。中古のキッチンカーはすでにキッチンスペースの内装工事が完了している状態のため、保健所の設備基準や作業ができる動線など、条件を確認しながら購入することになります。

キッチンカーの中古車を購入する場合は、納期が短い傾向があります。中古のキッチンカーはすでにキッチンスペースの内装工事が完了している状態のため、業者に製造を依頼する方法と比較すると納期が短い傾向があります。

なお、中古のキッチンカーを購入する場合の費用の目安は50万円~300万円です。車の状態によっては車検費用や修理費用などが発生する可能性があるため、キッチンカーの中古車の購入を検討している人は「年式」「走行距離」「整備状態」なども確認するようにしましょう。

違法改造車両を購入しないように注意すること

キッチンカーの中古車を購入するときは、違法改造車両でないことを確認するようにしましょう。中古車のなかには、違法改造車両のまま使用されていたキッチンカーも存在するため、違法改造車両を購入しないよう注意が必要です。

【違法改造が疑われる例】

  • 車両と車検証の内容が一致していない
  • 購入した業者でなければ車検が受けられない

違法改造が疑われる例として「車両と車検証の内容が一致していない」ことが挙げられます。車両と車検証の内容が一致していない場合、その車両はキッチンカー仕様に改造後、構造変更申請を行っていない違法車両であるおそれがあります。

違法改造が疑われる例として「購入した業者でなければ車検が受けられない」ことが挙げられます。購入した業者でなければ車検が受けられない場合、その車両は他の整備工場では車検が通らない違法車両であるおそれがあります。

なお、中古車を購入するときは「架装部分の製造元」も確認しましょう。架装部分のメンテナンスは製造元でなければ行えない場合もあるため、中古のキッチンカーを購入する場合は違法改造車両でないことと併せて確認するようにしましょう。

キッチンカーをレンタルする

キッチンカーの入手方法として挙げられるのは「レンタルする方法」です。キッチンカーのレンタルを取り扱っている業者があるため、はキッチンカーを入手したい人はキッチンカーをレンタルする方法も選択肢として挙げられます。

【キッチンカーをレンタルする場合】

項目 内装デザイン 納期 価格
キッチンカーをレンタルする場合 自由度が低い 短い傾向 3万円~5万円/日

キッチンカーをレンタルする場合、内装デザインの自由度が低いです。借り物である関係上、原状回復が可能な範囲でのデザイン変更しかできないため、保健所の設備基準や作業しやすい動線などの条件を確認しながらレンタルする車両を選ぶことになります。

キッチンカーをレンタルする場合、納期が短い傾向があります。レンタル前に営業許可の取得手続きを行う関係上、手続きにかかる時間を考慮しながら日程を決めますが、業者に製造を依頼する方法や中古車を購入する方法と比較すると、納期が短い傾向があります。

なお、キッチンカーをレンタルする場合の費用の目安は1日3万円~5万円です。1日単位でのレンタルプランが多い傾向にあるため、キッチンカーのレンタルを考えている人は出店予定日の目途が立ってからレンタル先を探すことを検討してみましょう。

レンタルするときは料金の合計を確認しておく

キッチンカーをレンタルするときは、レンタル料金の合計を確認するようにしましょう。基本料金にオプションでの追加料金が発生する場合があるため、キッチンカーのレンタルを検討している人はレンタルにかかる合計金額を確認するようにしましょう。

【オプション料金の例】

  • 厨房設備や発電機のレンタル料
  • 出店場所への入搬出料

キッチンカーをレンタルした場合のオプション例として「厨房設備や発電機のレンタル」が挙げられます。レンタル業者によっては厨房設備や発電機が備わっていない場合があるため、追加のオプション料金が発生します。

キッチンカーをレンタルした場合のオプション例として「出店場所への入搬出」が挙げられます。レンタル業者によっては借り手に車両の運転をさせられない場合があるため、出店場所への入搬出料金が発生します。

キッチンカーをレンタルする場合は、追加のオプションが発生するかどうかを確認しておきましょう。オプションが発生する場合、レンタル料金が予算を超えてしまうおそれもあるため、事前に料金の合計を確認してから利用するようにしましょう。

キッチンカーを購入したら構造変更申請が必要

キッチンカーを購入した場合は「構造変更申請」が必要となります。キッチンカーはメーカーが販売している車両を改造しているため、運輸局が規定する構造要件を満たした状態にし、加工車への構造変更の手続きを行わなければなりません。

【加工車への構造変更の要件】

  • 「調理台」「流し台」「収納棚」を設置すること
  • 調理場に「照明設備」「換気設備」を設置すること
  • 火を使用する場合は、調理場が十分な耐熱性と耐火性を有していること
  • 火を使用する場合は、その付近に換気装置を備えること
  • 規定に基づいた作業スペースを確保すること
  • 物品積載設備を有していないこと

構造変更の要件のひとつは、「調理台」「流し台」「収納棚」を設置することです。キッチンカーを入手するときは、これらの設備を設置するだけでなく、屋内で使用できる状態にしておかなければなりません。

また、構造変更の要件のひとつは、「物品積載設備を有していないこと」です。キッチンカーは食品の調理加工作業を行うための車両となるため、「ショーケース」「陳列棚」などの物品積載設備は搭載できません。

キッチンカーを安心して営業するために構造変更申請は必要です。構造変更申請を行わない場合「車検が通らない」「保険がおりない」などの問題が発生するおそれもあるため、キッチンカーを購入したあとは構造変更申請を行うようにしましょう。

まとめ

キッチンカーに使用する車両の入手方法を知りたい人は、まずは入手したい車両の種類を選びましょう。キッチンカーとして使用されているベース車両は「トラック」「バン」「トレーラー」に分類されるため、それぞれの車両の特徴を確認してみてください。

入手したいキッチンカーの種類を選んだら、次は入手方法を検討してみてください。キッチンカーの入手方法は「業者に製造してもらう」「中古車を購入する」「レンタルする」方法が挙げられるため、予算や納期などの希望条件と照らし合わせながら入手方法を検討してみましょう。

なお、キッチンカーの購入時には「構造変更申請」が必要となります。構造変更申請を行わない場合、「車検が通らない」「保険がおりない」などの問題が発生するおそれもあるため、キッチンカーを購入したあとは構造変更申請を行うようにしましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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