飲食店の開業時に必要な届出を解説

飲食店の開業時に必要な届出を解説 2022.07.29起業のための資金調達 – 飲食(飲食店・外食・デリバリー)
飲食店 開業 届出

居酒屋や定食屋など、飲食店の開業を検討している人の中には、開業時に必要な届出を知りたい人もいますよね。また、書類の届先を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、飲食店の開業時に必要な届出を解説していきます。飲食店の開業に向けて、これから届出を行う予定の人は参考にしてみてください。

誰でも必要となる届出

飲食店を開業する場合、誰でも必要となる届出がいくつかあります。届出の忘れや内容の不備によっては、開業そのものに影響することも考えられるため、飲食店を開業予定の人はそれぞれの項目を参考にしてみてください。

【飲食店の開業時に必要な届出と届先】

届出 届先
営業許可 保健所
開業届 税務署
個人事業税の事業開始等申告書 都道府県税事務所
防火対象物使用開始届出書 消防署
防火対象物工事等計画届出書 消防署

なお、届出に関する書類や要件は、開業予定地を管轄する自治体や機関ごとに異なる場合があります。法改正が行われることもあるため、飲食店の開業における届出が知りたい人は、開業予定地を管轄する自治体や機関に確認してみることも検討してみましょう。

営業許可

飲食店を開業する場合、届出のひとつとして「営業許可」の申請が必要です。営業許可は保健所に申請することにより取得できるため、営業許可に関する相談は原則として保健所の担当者にすることになります。

営業許可を取得するには、「食品衛生責任者をおく」「施設基準を満たす」といった所定の要件を満たしている必要があります。また、必要となる営業許可は飲食店の種類や食品ごとに異なります。

なお、営業許可を取得せずに飲食店を営業した場合、200万円以下の罰金もしくは2年以下の懲役を課せられるおそれがあります。事前相談することにより、必要となる営業許可を確認することもできるため、まずは保健所の担当者に相談することを検討してみましょう。

営業許可の取得が気になる人は、「飲食店の開業における営業許可の取得方法を解説」を確認してみてください。

開業届

飲食店を開業する場合、届出のひとつとして「開業届」の提出が必要です。開業届は税務署に提出することになるため、開業届に関する相談は原則として税務署の担当者にすることになります。

開業届の正式名称は「個人事業主の開業・廃業等届出書」ですが、飲食店に関わらず、個人事業主として事業を始めるなら提出しなければならない届出のひとつです。そして、開業届は開業後1か月以内に提出しなければなりません。

なお、開業届のフォーマットは国税庁の公式サイトからダウンロードすることが可能です。国税庁の公式サイトでは、開業届の書き方に関する資料をダウンロードすることもできるため、開業届に関する情報が知りたい人は国税庁の公式サイトを確認してみましょう。

個人事業税の事業開始等申告書

飲食店を開業する場合、届出のひとつとして「個人事業税の事業開始等申告書」の提出が必要です。個人事業税の事業開始等申告書の提出先は都道府県税事務所となるため、個人事業税の事業開始等申告書に関する相談は都道府県税事務所にすることになります。

開業届と同様、個人事業税の事業開始等申告書は、個人事業主として事業を始める際に提出しなければならない書類です。個人事業主は個人事業税が課税されますが、個人事業税の課税主体は都道府県となるため、都道府県税事務所に届出が必要となります。

なお、個人事業税の事業開始等申告書の提出期限は自治体ごとに異なる場合があります。提出方法が異なる場合もあるため、個人事業税の事業開始等申告書に関する情報が知りたい人は、都道府県税事務所の担当者に確認してみることも検討してみましょう。

防火対象物使用開始届出書

飲食店を開業する場合、届出のひとつとして「防火対象物使用開始届出書」の提出が必要です。防火対象物使用開始届出書は消防署に提出することになるため、防火対象物使用開始届出書に関する相談は原則として消防署にすることになります。

テナントに入居する理由が事業目的の場合には、使用開始の7日前までに、防火対象物使用開始届出書の届出が必要です。防火対象物や防火対象物の一部を新たに使用する際は届出が必要となるため、工事を行わない場合も届出が必要となる可能性があります。

なお、居抜き物件だったとしても防火対象物使用開始届書の届出は必要です。自治体ごとに提出書類が異なる場合もあるため、防火対象物使用開始届書に関する情報が知りたい人は開業予定地を管轄する消防署の担当者に相談してみることも検討してみましょう。

防火対象物工事等計画届出書

飲食店を開業する場合、届出のひとつとして「防火対象物工事等計画届出書」の提出が必要です。防火対象物工事等計画届出書は消防署に提出することになるため、防火対象物工事等計画届出書に関する相談は原則として消防署にすることになります。

店舗の修繕や模様替えに加え、間仕切り変更といった行為をする場合には、着手日の7日前までに、防火対象物工事等計画届出書の届出が必要です。消防法に関わることにより、パーテーションの設置のみだったとしても届出が必要となる場合もあります。

なお、防火対象物工事等計画届出書のフォーマットは、各自治体の公式サイトからダウンロードできます。提出における注意事項が記載されている場合もあるため、防火対象物工事等計画届出書に関する情報が知りたい人は、各自治体の公式サイトを確認してみましょう。

店舗の状況によっては必要となる届出

飲食店を開業する場合、必要となる届出は店舗の状況によっても異なります。営業形態や従業員など、店舗の状況に応じた届出も必要になるため、飲食店を開業予定の人は、それぞれの項目を確認してみてください。

【状況によっては必要となる届出と届先】

届出 届先
火を使用する設備等の設置届出書 消防署
防火管理者選任届出書 消防署
深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書 警察署
風俗営業許可 警察署
保険(労災、雇用)の加入手続き 労働基準監督署、ハローワーク
給与支払事務所等の開設届 税務署
所得税の青色申告承認申請書 税務署
青色事業専従者給与に関する届出書 税務署
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書 税務署
一般酒類小売業免許 税務署

なお、これらはあくまでも一例です。飲食店の規模や提供するサービスなど、その他の状況によっても必要となる届出は異なるため、飲食店を開業予定の人は一例としてそれぞれの項目を参考にしてみてください。

火を使用する設備等の設置届出書

飲食店を開業する際、状況によっては「火を使用する設備等の設置届出書」の提出が必要です。火を使用する設備等の設置届出書は消防署に提出することになるため、火を使用する設備等の設置届出書に関する相談は原則として消防署にすることになります。

ボイラーや温風暖房機など、火を使用する設備や火災発生のおそれがある設備を設置する場合には、その旨を消防長に届け出る必要があります。調理器具がIHのみなど、届出が不要なこともありますが、火を使用した調理を行う場合は原則として届出が必要となります。

なお、火を使用する設備等の設置届のフォーマットは、各自治体の公式サイトからダウンロードできます。提出における注意事項が記載されている場合もあるため、火を使用する設備等の設置届に関する情報が知りたい人は、各自治体の公式サイトを確認してみましょう。

防火管理者選任届出書

飲食店を開業する際、状況によっては防火管理者選任届出書」の提出が必要です。収容人数が30人を超える飲食店を開業したい人は、防火管理者選任届出書を消防署に提出することになります。 

防火管理者は、火災等による被害を防止するため、防火管理業務を計画的に行う必要があります。防火管理者の資格は、「都道府県知事」や「消防本部及び消防署を置く市町村の消防長」が実施している防火管理講習に参加することにより取得できます。

なお、建物全体の収容人数が30人を超える場合には、すべてのテナントにおいて防火管理者の選任が必要となります。入居予定の店舗物件が防火管理者の選定を行う必要があるかどうかの判断がつかない場合には、事前に不動産会社に確認しておきましょう。

深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書

飲食店を開業する際、状況によっては「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書」の提出が必要です。深夜にお酒を提供したい人は、深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書を警察署に提出することになります。

具体的には、深夜0時から午前6時までの間にお酒を提供する場合、深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書が必要となります。バーや居酒屋など、お酒の提供が主となる飲食店が該当するため、バーや居酒屋を考えている人は原則として提出することになります。

なお、届出が必要かどうかは、警察署によって判断が異なる場合があります。「提供する飲食物の種類」「提供方法」「建物の構造」など、その状況から警察署が判断することになるため、深夜にお酒を提供したい人は開業予定地を管轄する警察署に問い合わせてみましょう。

風俗営業許可

飲食店を開業する際、状況によっては風俗営業許可」の申請が必要です。スナックやパブを開業したい人は、風俗営業許可を警察署に申請することになります。

スナックやパブに加え、クラブやキャバレーといった店舗を開業する場合には、管轄の警察署から風俗営業許可を取得しなければなりません。また、お店の用途地域によっては、風俗営業許可を取得できない場合もあります。

【風俗営業許可を取得できない地域】

  • 第1種低層住宅専用地域 
  • 第2種低層住宅専用地域
  • 第1種中高層住宅専用地域
  • 第2種中高層住宅専用地域
  • 第1種住居地域
  • 第2種住居地域
  • 準住居地域

お店から半径100m以内に保全対象施設がある場合には、風俗営業許可を取得できません。保全対象施設は風俗営業から有害な影響を受けないよう一定の規制距離による保護を受ける施設のことを指し、「学校」「図書館」「病院」などの施設が該当します。

なお、風俗営業許可では、その種類ごとに必要書類も異なる場合があります。設備基準が異なる場合もあるため、風俗営業許可に関する情報が知りたい人は、開業予定地を管轄する警察署に問い合わせてみましょう。

保険の加入手続き

飲食店を開業する際、状況によっては「保険(労災、雇用)」の加入手続きが必要です。従業員を雇用する場合には、労働基準監督署やハローワークにおいて、労災保険や雇用保険の加入手続きが必要となります。

労働保険とは、労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険を総称したものです。「正社員」「パート」「アルバイト」などの雇用形態に関わらず、従業員を1人でも雇っている場合には、労働保険に加入することが義務付けられています。

なお、労災保険や雇用保険の加入手続きにおいては、従業員を雇用する度に手続きが必要となります。ハローワークでの手続きが必要となりますが、手続きに不安がある人は専門家となる行政書士に相談することを検討してみてください。

給与支払事務所等の開設届

飲食店を開業する際、状況によっては給与支払事務所等の開設届」の提出が必要です。従業員を雇用する人は、給与支払事務所等の開設届を税務署に提出することになります。

給与支払事務所等の開設届出書は、従業員を雇用して給料を支払う場合に必要となる届出です。1か月以内に税務署に提出しなければならず、給与支払事務所等の開設届出書の提出後には、務署から源泉徴収した所得税を納付するための用紙が送られてきます。

なお、給与支払事務所等の開設届の届出を忘れてしまった場合には、追徴課税を課されるおそれがあります。届出をしていなければ、源泉所得税の納付書が送られてこないため、従業員を雇用する予定がある人は届出を忘れることのないように注意しましょう。

所得税の青色申告承認申請書

飲食店を開業する際、状況によっては「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。確定申告の際に青色申告をしたい人は、所得税の青色申告承認申請書を税務署に提出することになります。

確定申告を青色申告にする場合、所得税の青色申告承認申請書を申請する年の3月15日までに税務署に提出しなければなりません。また、青色申告をするには、原則として複式簿記に基づいて帳簿をつけなくていけません。

なお、所得税の青色申告承認申請書を提出していない場合は白色申告をすることになります。提出期限を過ぎると青色申告ができなくなるため、青色申告をしたい人は、開業届と所得税の青色申告承認申請書を同時に提出することを検討してみましょう。

青色事業専従者給与に関する届出書

飲食店を開業する際、状況によっては「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。配偶者や親族に対して支払った給与を経費にしたい人は、青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出することになります。

青色事業専従者給与に関する届出書は、青色申告している事業者が配偶者や親族に対して支払った給与を経費として計上するために必要となる書類です。それにより、青色事業専従者給与を経費として計上しようとする年の3月15日までに提出する必要があります。

なお、届出をしたとしても青色事業専従者給与が経費として認められない場合があります。状況次第では、支払った専従者給与が経費にならないおそれがあるため、青色事業専従者給与に関する届出を検討している人は税理士に相談することも検討してみましょう。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書

飲食店を開業する際、状況によっては「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書」の提出が必要です。源泉所得税の納期の特例を利用したい人は、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申告書を税務署に提出することになります。

従業員に給料を支払う場合には、所得税の源泉徴収が必要になります。源泉徴収をした場合は定められた期限内に納税しなければなりませんが、源泉所得税の納期の特例を利用することにより、毎月する必要がある源泉所得税納付手続きを年2回に減らせます。

なお、源泉所得税の納期の特例を受けられるのは、従業員数が常時10人未満の場合に限られます。従業員数が常時10人を超えた場合には、源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことに関する届出書を税務署に提出する必要がある点を留意しておきましょう。

一般酒類小売業免許

飲食店を開業する際、状況によっては「一般酒類小売業免許」の申請が必要です。酒類を提供するだけではなく、小売したい人は一般酒類小売業免許を税務署に申請することになります。

酒類小売業免許の取得者は、「消費者」「料飲店営業者」「菓子等製造業者」に対し、お酒を継続的に小売りすることができます。酒類小売業免許を取得することにより、お酒の種類を限定せず、希少な輸入酒や地ビールなども取り扱えるようになります。

なお、酒類小売業免許を取得するには、満たすべき要件がいくつかあります一般酒類小売業免許を取得するには、「人的要件」「場所的要件」「経営基礎的要件」「需給調整要件」を満たさなければならないため、酒類の小売りを検討している人は留意しておきましょう。

飲食店の開業に栄養士や調理師免許は不要

飲食店を開業する際、原則として栄養士や調理師免許は不要です。栄養士や調理師免許は調理技術や食に関する専門知識を持つことを証明する資格となるため、栄養士や調理師免許がなくとも飲食店を開業することは可能です。

たとえば、病院や介護施設など、食事を提供する施設では、栄養士の資格が必要となる可能性があります。また、ホテル内や空港内など、レストランの料理人として働きたい場合には、調理師免許が必要となる可能性があります。

ただし、栄養士や調理師免許を保有していれば、養成講習会を受講せずに食品衛生責任者の資格を取得できます。栄養士や調理師免許以外にも受講が免除される資格があるため、気になる人は、開業予定地を管轄する保健所や食品衛生協会に問い合わせてみましょう。

なお、調理師免許が気になる人は、「飲食店を開業するにあたって調理師免許は不要」を参考にしてみてください。

まとめ

飲食店を開業する際には、「誰でも必要となる届出」と「状況によっては必要となる届出」があります。営業許可や開業届は誰でも必要となる届出ですが、所得税の青色申告承認申請書や防火管理者選任届は状況に応じて必要となる届出です。

消防署や税務署など、届出先はそれぞれ異なるため、飲食店を開業する人は必要となる届出に加え、届出先も確認しておきましょう。届出を忘れてしまえば、罰則を課されるおそれもあるため、不安な人は各自治体の担当者に相談しながら進めることも方法のひとつです。

なお、飲食店を開業する際、栄養士や調理師免許は原則として不要ですが、営業許可を取得するための要件となる食品衛生責任者になることができるため、栄養士や調理師免許の取得を検討している人は参考にしてみてください。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
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