キッチンカー(移動販売)のカフェの開業費用と営業スタイルについて解説

キッチンカー(移動販売)のカフェの開業費用と営業スタイルについて解説 2022.05.10起業のための資金調達 – 飲食(飲食店・外食・デリバリー)
キッチンカー,カフェ

美味しいコーヒーや紅茶、そしておしゃれな空間に憧れて自分でもカフェを経営してみたいと考えていても、資金面で開業が難しい人もいますよね。

キッチンカーを利用したカフェでは、実店舗を構える方法に比べて開業費用を抑えることができます。しかし、キッチンカーのカフェはテイクアウトが基本で、実店舗のカフェとは営業スタイルが異なるケースがあります。

この記事ではキッチンカーを利用したカフェの開業費用と実店舗との営業スタイルの違いについて解説します。

キッチンカーのカフェは300万円前後から開業可能

キッチンカーのカフェは実店舗の用意が難しい人に向いています。キッチンカーのカフェの開業に必要な費用は300万円前後で、実店舗で開業するよりも開業資金を抑えることができる傾向にあるからです。

実店舗でカフェを開業するには、店舗を借りるために「敷金」「礼金」「仲介手数料」として賃料の12ヶ月分程度の資金が必要になることがあります。たとえば、賃料が30万円の店舗を借りるときは、360万円程度が必要になります。

実店舗の場合は物件取得費のほかに、内装工事費や厨房設備などの導入、さらに運転資金として経営が軌道に乗るまでの間に発生する賃料の支払い分の費用なども準備しておく必要もあります。立地や土地の大きさにもよりますが、実店舗のカフェを開業するときは総額で1,000万円以上の資金が必要になる傾向にあります。

一方、キッチンカーのカフェにかかる費用は、車両の購入費と厨房設備などを取り付ける改造費が中心です。軽トラなどであれば新車でも150万円程度で購入できるものもあり、改造費を含めても300万円前後での開業も可能になります。

ただし、導入する設備や車両の種類などによって開業費用は異なります。用意できる資金をもとに、設備や車両を検討してください。

キッチンカーのカフェの開業に必要な設備

キッチンカーのカフェを開業するときは、コーヒーマシンや紅茶を入れるための茶器、ワッフルやサンドイッチなどの軽食を提供するのに必要な調理設備などが必要になります。

【キッチンカーのカフェの開業に必要な設備】

コーヒーマシン

コーヒーマシンは特徴によって主に3種類に分けることができます。

  • ドリップ式:コクのある深い味わいのコーヒーを淹れられる
  • エスプレッソ式:味と香りが豊かなエスプレッソやカフェオレを淹れられる
  • サイフォン式:伝統的な方法で、柔らかくすっきりとした味わいから酸味の強い味まで淹れ方によって味の幅が出る

業務用コーヒーマシンの価格は品質や機能によって3万円台~100万円以上のものまで幅があります。

紅茶用茶器

紅茶を淹れるのにコーヒーマシンのような機械は必要ありません。ティーポッドがあれば淹れることができます。

価格は1,000円台~10,000円台が相場です。

軽食調理の設備

ワッフルやサンドイッチなどの軽食を提供するときは、それに適した設備も必要です。たとえば、ワッフルを提供するときはワッフルメーカーが必要で、価格は5万円から10万円前後です。

キッチンカーでカフェを開業するときは、どんなメニューを提供するのかによって必要な設備が異なってきます。キッチンカーの設備を用意するときは、提供するメニューを事前に想定しておくようにしましょう。

車種にこだわると車両購入費で500万円前後かかることもある

キッチンカーのカフェでは外観をおしゃれにすることで、カフェの演出や雰囲気づくりになります。外観をおしゃれにするにはキッチンカーとなる車種にこだわる方法がありますが、車種にこだわると車両購入費だけで500万円前後の費用が必要になるケースもあります。

キッチンカーの車両として用いられやすいのは、軽トラや軽バンの荷台を改造して調理スペースを付けたものです。しかし、農作業や輸送など働く車として使われやすい軽トラや軽バンの角張ったデザインは、カフェのおしゃれな雰囲気にミスマッチになる可能性があります。

キッチンカーのカフェでおしゃれな雰囲気を出したいなら、車両もおしゃれなデザインのものを使うようにしてみてください。たとえば、フォルクスワーゲンバスやキャンピングトレーラーなど車体が丸みを帯びているものは、見た人に柔らかさや優しさという印象を与え、カフェの落ち着いた雰囲気を演出してくれます。

しかし、フォルクスワーゲンバスのような、すでに生産が中止されている車はクラシックカーとして500万円以上の値段がすることもあります。おしゃれなキッチンカーのカフェを開業するために車種にこだわるときは、購入予定の車種の代金をリサーチして開業資金の準備を進めるようにしましょう。

キッチンカーの改造は自作と依頼の2つの方法がある

購入した車両をキッチンカーに改造する方法には、自作と業者に依頼する2つの方法があります。自分で改造をすれば、業者に依頼するよりも費用を抑えることができます。

キッチンカーのカフェの開業では、給排水設備や調理設備を車両に取り付ける改造をしなければならず、専門の業者に依頼すると材料費や人件費などで150万円以上の費用が掛かることもあります。一方で、自力で改造を行うことで材料費や作業道具のレンタル費用のみですむため、50万円程度に抑えられるケースがあります。

ただし、キッチンカーに取り付ける設備が保健所の定める審査基準に該当していないと営業することができません。間違った改造をしてしまうと無駄骨になり、修正のために余計な費用が発生してしまうので、自信がないときは業者に依頼するようにしてください。

キッチンカーのカフェはテイクアウトを基本とした集客が中心

キッチンカーのカフェを開業するときは、実店舗型のカフェとの違いも押さえておきましょう。キッチンカーのカフェはテイクアウトを基本とした集客が中心になるからです。

実店舗のカフェで見慣れたイメージのままキッチンカーのカフェを開業してしまうと、集客に失敗してしまう可能性があります。キッチンカーのカフェでは集客を上げるために、主に次の項目を意識して開業準備を進めるようにしましょう。

【キッチンカーのカフェの集客のコツ】

  • 提供する商品は持ち運びやすさを重視する
  • 集客のためのPOPも制作する
  • キッチンカーのSNSアカウントも用意する

上記はあくまでキッチンカーのカフェでの集客を考えるうえでの一例にすぎませんが、開業前に検討しておくべき項目です。キッチンカーのカフェの開業を検討されている人は参考にしてみてください。

提供する商品は持ち運びやすさを重視する

キッチンカーのカフェはテイクアウトが基本となるので、提供する商品は持ち運びやすさを重視しましょう。移動しながら食べられなかったり、両手がふさがってしまったりする商品はキッチンカーでの販売に向いていないからです。

キッチンカーのカフェを開業するときは、オフィス街の一角や住宅街の空きスペースなどに出店することが基本です。飲食スペースを設けるにはキッチンカーの周りにテーブルなどを設置する必要がありますが、出店場所によってはスペースを確保できないことがあります。

そのため、キッチンカーのカフェで提供するメニューはテイクアウトを前提とした片手で持ちやすく、持ち運びの負担にならないものを中心にしましょう。たとえば、紅茶やコーヒーのドリンクは紙コップに入れて持ち運びをしやすくし、提供する料理はサンドイッチやワッフル、ドーナツなど移動しながらでも食べやすいものにするなどです。

反対に、実店舗で提供しているようなスパゲッティやオムライスの主食はお皿での提供が必要で、食事スペースも必要になるためキッチンカーでの販売には向いていません。

カフェ特有のおしゃれな食器などにこだわりたい人は、紙コップや軽食を包む包装のデザインなどに力を入れてみてください。陶器の紙コップや軽食の包装の柄にこだわるだけでもおしゃれ感を演出することができて、カフェらしさにつなげることができます。

集客のためのPOPも制作する

キッチンカーのカフェで集客するためには、看板や商品説明などのPOPの制作もするようにしましょう。キッチンカーの利用客は新規顧客の割合が高くなる傾向にあり、常に新しいお客さんに興味を持ってもらえるようにしていなくてはいけないからです。

キッチンカーのカフェで集客のためのPOPを作成するときは、通りがかりの人に目をとめてもらえるデザインにしましょう。POPには店頭ボードやタペストリーなど様々な種類がありますが、いずれでも重要なのは情報の数と盛り込み方です。POPに書かれている情報量が多すぎたり、盛り込み方が悪かったりすると、ごちゃごちゃとして見えてどんな商品を販売しているキッチンカーなのかお客さんが理解しにくくなります。

たとえば、店頭ボードを作成するときは次の3つの情報をバランスよく盛り込むようにしてください。

【店頭ボードのPOPの3つの情報】

ブレーキ要素

ブレーキ要素は通りがかりの人に興味を持ってもらうために、もっとも人目を惹くように作るべき要素です。

例)「本日のおすすめメニュー」「本日のコーヒー」

アピール要素

アピール要素はカフェとしてお客さんに一番知ってもらいたいメニューや価格や特徴を記載するもので、店頭ボードの中でもっとも要素が厚い部分です。

例)「ブラックアイボリー使用コーヒー チョコレートの風味をご堪能ください!」など。

キャリー要素

キャリー要素はブレーキ要素やアピール要素の補足的な説明です。アピール要素で紹介したメニュー以外のグラウンドメニューや店の連絡先などが該当します。

店頭ボードのアピール要素に記載するメニューは2から3種類程度にしましょう。記載するメニュー数が多いと、お客さんが迷ってしまいアピールポイントにならず、文字も小さくなってしまいます。

また、写真を掲載するのもいいでしょう。写真は文字だけでは伝わりにくい商品のイメージをダイレクトに伝えてくれるため、販促につながります。

キッチンカーのSNSアカウントも用意する

キッチンカーのカフェを開業するときは、キッチンカー用のSNSアカウントも開設しておくといいでしょう。SNSで自身のキッチンカーの情報を発信することで、不特定多数の人にキッチンカーの存在を認知してもらう機会になるからです。

SNSはどういう情報を発信するのかで媒体を選びましょう。たとえば、キッチンカーの外観や商品を撮った写真をメインに発信したいときはInstagram、店舗の出店場所やテキストでPRしたいときはTwitterやFacebookを利用するなどです。

また、SNSは媒体によって利用している年代が異なるので、キッチンカーの情報を届けたい年代も意識しましょう。TwitterとInstagramは20代から50代まで幅広いユーザーがいますが、Twitterは男性ユーザー、Instagramは女性ユーザーが多い傾向にあります。Facebookは10~20代の若者が少なく、40~60代の男性ユーザーが多い傾向です。具体的な統計データは総務省が公開している「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」で確認できるので、興味がある人は参照ください。

とくに若い人や女性に来てもらいたい、大人の男性をターゲットにしたいなどイメージを持って、ターゲットとなる年代の人が多いSNSで宣伝を行うと、PRとしての効果が期待できます。

キッチンカーで営業するカフェは様々な場所へ出店することができる

キッチンカーのカフェでは、開業費用を抑えられるほかに、様々な場所へ赴いて出店できるという利点もあります。出店場所さえ確保できれば、移動範囲に限りはないので実店舗のように立地に売上が左右されにくくなります。

キッチンカーのカフェはオフィス街やイベント会場、住宅街など様々な場所に馴染みやすい商材です。しかし、出店場所によっては周辺地域の価格相場によっては、元の値段設定が高めになってしまい、ドリンクや軽食の値段設定を調整しなければいけないケースがあります。

出店場所の相場価格に合わせてしまうと、売上が赤字になってしまうケースもあります。出店するときは地域の相場価格とメニューの原価などを比較して、赤字にならない範囲で値段の調整が可能な出店場所を調査するようにしましょう。

キッチンカーでカフェを開業するときに必要な資格

キッチンカーのカフェを開業するのに、カフェ特有の資格は必要ありません。しかし、キッチンカーでカフェを開業するときは、通常の飲食店を開業するときと同じように「食品衛生責任者」と「営業許可」を取得しなければいけません。

営業許可は食品衛生責任者の資格を取得していないと取得することができません。キッチンカーのカフェを開業するときは、まず食品衛生責任者の資格を取得するようにしてください。

食品衛生責任者の資格

食品衛生責任者は飲食店の衛生環境を管理するのに必要な知識を有している人が取得できる資格です。食品衛生法によって、飲食店を開業するときは食品衛生責任者の資格を有している人を店舗に1人は配置しなければいけないと定められています。

食品衛生責任者の資格を持っている人を雇う場合は、必ずしも開業主が資格を持っている必要はありません。しかし、キッチンカーは1人での作業になることもあるので食品衛生責任者の資格は取得しておいた方が安全です。

食品衛生責任者の資格は地方自治体が開催している食品衛生責任者養成講習を一定期間受講し、最終試験に合格することで取得することができます。食品衛生責任者養成講習の開催日程は地方自治体によって異なるので、地域の保健所の公式サイトから問い合わせてみてください。地域の保健所は「保健所管轄区域案内」で調べることができます。

保健所からの営業許可

キッチンカーでカフェを開業するときは、出店エリアの保健所から営業許可を取得する必要があります。食中毒防止など公衆衛生上の基準を満たせている人でないと飲食店を営業できず、無許可で営業してしまうと2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられてしまうからです。

たとえば、東京と神奈川で出店を考えているときは、東京と神奈川の保健所から営業許可を取得しなければいけません。

キッチンカーで営業許可を取得するときは食品衛生責任者の有無と同時に、車両が食品を安全に提供できる設備を有しているのかの審査が行われます。提供する料理の調理工程によって必要な給排水設備の容量なども「40L程度」「80L程度」「200L程度」と明確に定められているので、設計の段階から提供するメニューと調理工程に合わせて給排水設備などを選ぶようにしましょう。

専門の資格をアピール材料にする

キッチンカーを開業するだけなら食品衛生責任者と営業許可を取得するだけで可能ですが、専門の資格を取得することも検討してみてください。コーヒーや紅茶に関する専門の資格はカフェを営業する上で店のアピールポイントになるからです。

カフェを開業する上でアピールポイントとなる資格として代表的なのは次の3つです。

【カフェの営業で役立つ資格】

JBAバリスタライセンス

日本バリスタ協会が認定する資格で、エスプレッソやカプチーノに関して優れた専門知識を有している人が取得できます。ライセンスを取得するには日本バリスタ協会が開催する認定講座の受講が必要です。

コーヒーマイスター

日本スペシャルティコーヒー協会が認定する資格で、コーヒー全般に対する深い知識と技術を身に付けることで取得できます。資格の取得には日本スペシャルティコーヒー協会が開催する養成講座を受講する必要があります。

ティーインストラクター

日本紅茶協会が認定する資格で、茶葉の選別から紅茶の淹れ方に関する技術まで、紅茶に深い知識を持っている人が取得できます。日本紅茶協会の養成研修を受講する必要があります。

上記で紹介した資格は一例であり、紹介した以外にも様々な資格があります。ただし、資格を取得するにはいずれも講座の受講が必要になり、時間と費用が掛かります。

とくに、紅茶に関する資格は受講料が20万円以上するケースもあります。コーヒーや紅茶に関して専門的な資格を取得するときは、それがカフェの営業において資金と時間をかけて取得して集客に効果的かどうかを検討してください。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://inqup.com/