飲食店の開業に必要なものを解説 | 開業支援の相談なら「開業支援ガイド」

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飲食店の開業に必要なものを解説

飲食店を開業したい人の中には、開業準備を進める際に何を用意していいのかわからない人もいますよね。また、必要となる資格や届出に関する情報が知りたい人もいるでしょう。

当記事では「飲食店の開業に必要なもの」を解説します。開業準備を進める際に活用できるチェックリストも紹介するため、個人経営や共同経営による飲食店を計画している人は参考にしてみてください。

飲食店を開業する際はあらゆるものが必要になる

扱う料理のジャンルを問わず、飲食店を開業する際はあらゆるものが必要になります。飲食店の開業においては、すぐに用意できるものに加え、用意に時間がかかるものもあるため、飲食店の開業を計画している人は必要なものを事前に確認しておきましょう。

【飲食店の開業に必要なもの】

項目
資金 ・設備資金
・運転資金
物件 ・居抜き物件
・スケルトン物件
設備 ・厨房設備
・空調設備
備品 ・調理器具
・什器
資格 ・食品衛生責任者
・防火管理者
届出 ・開業届
・営業許可申請

共通して必要なものもありますが、希望する条件や料理のジャンルによっては必要になるものもあります。開業準備を進める際のスケジュールに影響を与える可能性もあるため、飲食店の開業を計画している人はそれぞれの項目を確認しましょう。

資金

扱う料理のジャンルを問わず、飲食店を開業する際は資金が必要です。開業資金は設備資金と運転資金に分けられるため、まずはそれぞれの項目を確認してみましょう。

【資金の例】

項目 具体例
設備資金 ・物件費用
・設備費用
・備品費用
運転資金 ・光熱費
・食材費
・人件費

設備資金に含まれるのは、「物件費用」「設備費用」「備品費用」などの費用です。「調理台や食器洗浄機などの厨房設備」や「音響や照明などの店内設備」といった費用も含まれるため、設備資金はまとめて支払うコストとなります。

運転資金に含まれるのは、「光熱費」「食材費」「人件費」などの費用です。「洗剤やトイレットペーパーなどの消耗品」や「火災保険や労働保険などの保険」といった費用も含まれるため、運転資金は店舗を運営する際に発生し続けるコストとなります。

その他には、「看板制作費」や「広告宣伝費」などの集客にかかる費用もあります。必要となる資金は希望条件によっても異なるため、開業資金の目安が知りたい人は資金計画を立てることも検討してみましょう。

なお、開業資金に関する情報が知りたい人は「飲食店の開業資金はいくらかかる?平均と内訳を解説」も参考にしてみてください。

開業資金は1,000万円程度を目安に考えてみる

飲食店の開業準備として資金を貯めている人は、まずは1,000万円程度を目安に考えてみてください。店舗の規模や立地など、必要となる資金は希望条件によっても異なりますが、開業資金は1,000万円程度かかる可能性があるからです。

日本政策金融公庫総合研究所の「2021年度新規開業実態調査」によると、「開業費用の割合として多いのは500万円未満」「開業時の平均資金調達額は1,000万円以上」でした。それにより、500万円から1,000万円程度の開業資金が必要になることがわかります。

ただし、日本政策金融公庫創業研究所の調査結果は飲食店に限ったデータではありません。必要となる資金は希望条件によっても異なるため、1,000万円というのはあくまでも目安程度に考えておきましょう。

物件

飲食店を開業する際、店舗を持つ場合は運営できる物件を探して契約することになります。飲食店のテナントとして借りられる物件はいくつかあるため、まずはそれぞれの項目を確認してみましょう。

【物件の例】

項目 物件の状態
居抜き物件 設備や備品が残っている状態
スケルトン物件 建物の構造躯体だけの状態

「居抜き物件」とは、設備や備品が残っている状態の物件です。店舗の内装が残っている状態となるため、居抜き物件はその特徴のひとつとして内外装にかかる工期や費用を抑えられる傾向があります。

「スケルトン物件」とは、内装や設備が取り除かれた状態の物件です。内装は施されておらず、床や天井などの建物を支える構造躯体だけの状態となるため、スケルトン物件はその特徴のひとつとして自分のお店をイチから作りあげられる傾向があります。

ただし、工期や費用は物件の種類に加え、物件の状態によっても異なります。店舗を持つ場所として開業予定地が決まっている人は、まずは開業予定地の近くにある不動産屋に相談してみることを検討してみましょう。

なお、物件に関する情報が知りたい人は「飲食店の開業における物件探しのコツを解説」も参考にしてみてください。

物件を決める際は集客することを念頭に置く

店舗を運営する場所として物件を決める際は、集客することを念頭に置きながら決めることを検討してみてください。飲食店を開業する際に気を付けるべき点はいろいろありますが、集客は売上を左右する要素のひとつだからです。

たとえば、駅の近くにある物件を選択した場合、その駅の利用者が多ければ多いほど、集客しやすくなる可能性があります。その反面、競合となる飲食店が存在すれば、集客に苦労することにより、想定していた売上を上げられない可能性もあります。

集客は売上を左右する要素のひとつです。店舗を運営する場所が売上に影響を与える可能性もあるため、店舗を運営する場所として物件を決める際は、集客することを念頭に置きながら決めることを検討してみましょう。

設備

扱う料理のジャンルを問わず、飲食店を開業する際は設備を導入する必要があります。飲食店における設備は「厨房設備」と「店内設備」に分けられるため、まずはそれぞれの項目を確認してみましょう。

【設備の例】

項目
厨房設備に該当するもの ・ガスコンロ
・冷蔵庫
・食器棚
店内設備に該当するもの ・音響設備
・照明設備
・Wi-Fi

厨房設備は調理に必要となる設備です。「ガスコンロ」「ガスレンジ」「シンク」「食器棚」「製氷機」「調理台」「冷蔵庫」などの設備が該当し、設置場所や設置有無に関する規定が設けられている設備もあります。

店内設備はサービスや演出に必要となる設備です。「音響設備」「照明設備」「フリーWi-Fi」などの設備が該当し、「利用客のサービス向上を目的とした設備」や「飲食店のコンセプトに合わせた設備」も含まれます。

設備に関する不安がある人は公的機関の担当者に相談することも可能です。火や水を使用する厨房設備は設置場所や設置有無に関する規定が設けられているため、開業予定地を管轄する保健所や消防署の担当者に確認することも検討してみましょう。

なお、設備に関する情報が知りたい人は「飲食店の開業における設備のポイントを解説」も参考にしてみてください。

規定が設けられている設備がある

飲食店の営業を目的とした設備には、いくつかの規定が設けられています。設置場所や設置有無に加え、大きさや機能に関する規定もあるため、飲食店を開業予定の人は注意が必要です。

たとえば、冷蔵設備として冷蔵庫を設置する場合には、食品を保存するための十分な大きさを設ける必要があります。その他には、「〇℃以下の冷蔵能力を有すること」「最高最低温度計を備えること」などの規定が設けられていることもあります。

なお、設備に関する規定は保健所ごとに異なる場合があります。都道府県や市区町村によっても異なる可能性があるため、飲食店の開業を検討している人は設備を導入する前に一度、開業予定地を管轄する保健所の担当者に相談することを検討してみましょう。

備品

扱う料理のジャンルを問わず、飲食店を開業する際は備品を揃える必要があります。飲食店における備品は「厨房」と「店内」に分けられるため、まずはそれぞれの項目を確認してみましょう。

【備品の例】

項目 分類 具体例
厨房 調理器具 ・鍋
・包丁
・フライパン
店内 什器 ・家具
・食器
・おしぼり

厨房の備品として挙げられるのは、「鍋」「包丁」「フライパン」などの調理器具です。調理器具は料理のジャンルや調理の工程によっても異なるため、想定している飲食店を考えながら揃えることになります。

店内の備品として挙げられるのは、「家具」「食器」「おしぼり」などの什器です。什器は店内のイメージやサービスの向上にも関わってくるため、お客さんのことを考えながら揃えることになります。

「電卓や文房具などのレジまわりの備品」「雑巾や掃除機などの清掃まわりの備品」など、備品に該当するものは数多くあります。あらゆる備品が必要になるため、飲食店を開業予定の人はチェックリストを用いながら備品を揃えることも検討してみましょう。

なお、備品に関する情報が知りたい人は「飲食店の開業における備品を揃えるときのポイントを解説」も参考にしてみてください。

備品を揃える際はお店のテーマから考えてみる

備品を揃える際はお店のテーマから考えてみることも検討してみてください。雰囲気づくりの一環としてお店のテーマから内装や外装を決めることもありますが、備品もお店の雰囲気をつくる要素のひとつだからです。

たとえば、お店のテーマがアメリカンダイナーだった場合、アメリカ雑貨やビンテージ家具が選択肢として挙げられます。アメリカ雑貨やビンテージ家具にこだわることにより、アメリカ映画に入り込んだような雰囲気を演出できるかもしれません。

お店のテーマから備品を揃えることにより、理想とする雰囲気を演出できる可能性があります。内装や外装に加え、備品もお店の雰囲気をつくる要素のひとつとなるため、備品を揃えるときはお店のテーマから考えてみることも検討してみましょう。

なお、飲食店のテーマに関する情報が知りたい人は「飲食店の開業におけるコンセプトとは?作るときの流れを解説」も参考にしてみてください。

資格

飲食店を開業する際、「すべての店舗が必要となる資格」と「店舗の条件次第となる資格」があります。いずれも取得する際の条件が異なるため、まずは一例としてそれぞれの項目を確認してみましょう。

【資格の例】

項目 資格の一例
すべての店舗が必要となる資格 食品衛生責任者
店舗の条件次第となる資格 防火管理者

「食品衛生責任者」はすべての店舗が必要となる資格です。飲食店を開業する際は営業許可を取得しますが、営業許可の取得における要件のひとつは食品衛生責任者に関するものとなるため、「食品衛生責任者」はすべての店舗が必要となる資格となります。

「防火管理者」は店舗の条件次第となる資格です。「防火管理者」は防火管理上の責任者にあたる資格ですが、従業員を含めた収容人数が30名を超える施設の場合は「防火管理者」の資格が必要です。

店舗の条件次第となる資格は他にもあります。資格の申請方法や取得条件が都道府県や市区町村ごとに異なる場合もあるため、飲食店を開業予定の人は一度、開業予定地を管轄する保健所の担当者に確認することを検討してみましょう。

なお、資格に関する情報が知りたい人は「飲食店の開業に必要な資格を解説」も参考にしてみてください。

調理師免許は必須ではない

飲食店を開業する際、調理師免許は不要です。Q&Aサイトや口コミサイトでは「飲食店の開業に調理師免許は必要ですか?」といった投稿が見受けられますが、調理師免許を持っていない人も飲食店を開業することは可能です。

飲食店を開業する際に必要となる資格は「食品衛生責任者」です。希望する条件によってはその他の資格も必要ですが、調理師免許の取得は義務付けられておらず、調理師免許を取得せずとも飲食店を開業することは可能です。

ただし、調理師免許を取得していれば、調理の技術や知識を証明できます。調理師免許の有資格者は講習を受けずとも「食品衛生責任者」を取得できるため、飲食店を開きたい人は予備知識として覚えておきましょう。

なお、調理師免許に関する情報が知りたい人は「飲食店を開業するときは調理師免許が必要なのか?」も参考にしてみてください。

届出

飲食店を開業する際、「すべての店舗が必要となる届出」と「店舗の条件次第となる届出」があります。提出先は届出ごとに異なるため、飲食店の開業を予定している人は事前に確認しておきましょう。

【届出の例】

項目 対象 提出先
飲食店営業許可申請 開業するすべての店舗 保健所
防火管理者選任届 収容人数が30人以上の施設 消防署
防火対象物工事等計画届出書 内装工事を実施する場合 消防署
防火対象設備使用開始届 建物や建物の一部を使用する場合 消防署
火を使用する設備等の設置届 火災発生のおそれがある設備を設置する場合 消防署
労災保険の加入手続き 従業員を雇用する場合 労働基準監督署
雇用保険の加入手続き 労働時間が週20時間以上の労働者を31日以上継続して雇用する場合 公共職業安定所
個人事業の開廃業等届出書 ・事業所を設立する場合
・事業を開始する場合
・事業を変更する場合
税務署
給与支払い事務所の開設届 従業員を雇用する場合 税務署
所得税の青色申告承認申請書 所得税を青色申告する場合 税務署
給与支払い事務所の開設届 従業員を雇用し給料を支払う場合 税務署
深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書 0時から6時に酒類を提供する場合 警察署

たとえば、飲食店を開業する際は「飲食店営業許可申請」の届出が必要です。提出先は開業予定地を管轄する保健所ですが、必要書類は個人事業主や法人などの申請者の条件に加え、都道府県や市区町村などの管轄する保健所によっても異なる場合があります。

また、火災発生のおそれがある設備を設置する場合は「火を使用する設備等の設置届」の届出が必要です。提出先は開業予定地を管轄する消防署ですが、様式の項目や枚数は都道府県や市区町村などの管轄する保健所によっても異なる場合があります。

必要となる届出は想定している飲食店の条件にもよります。届出ごとに注意事項もあるため、飲食店を開業予定の人は開業予定地を管轄する公的機関の担当者に相談することも検討してみましょう。

なお、届出に関する情報が知りたい人は「飲食店の開業に必要な届出を解説」も参考にしてみてください。

届出を提出していない場合は罰則を受けるおそれもある

飲食店を開業する際、届出を提出していない場合は罰則を受けるおそれもあります。それぞれの届出は法律により義務付けられているため、届出を提出せずに営業した場合は違法行為として行政指導や行政処分の対象となる可能性があります。

たとえば、飲食店を営業する場合は都道府県知事の許可を受けなければならず、「飲食店営業許可申請」の届出が必要です。届出をせずに営業した場合、食品衛生法に違反したとして「2年以下の懲役」または「200万円以下の罰金」となるおそれがあります。

飲食店を開業したい人は必要となる届出と提出先を確認したのち、それぞれの公的機関に提出するようにしましょう。なお、飲食店営業許可申請に関する情報が知りたい人は「飲食店の開業における営業許可の取得方法を解説」も参考にしてみてください。

必要なものを揃えるときはチェックリストを活用してみる

飲食店を開業する際、必要なものを揃えるときはチェックリストを活用することを検討してみてください。必要なものは多岐にわたるため、チェックリストを活用しながら開業準備を進めることも方法のひとつです。

【チェックリストのイメージ】

項目 ポイント チェックの有無
資金 ・設備資金と運転資金は確認したか?
・開業資金の目処は立てたか?
物件 ・物件の種類は把握したか?
・物件の立地調査は行ったか?
設備 ・厨房設備と店内設備は確認したか?
・それぞれの設備は規定を満たしているか?
備品 ・必要な備品は確認したか?
・備品のぬけもれはないか?
資格 ・食品衛生責任者は取得したか?
・防火管理者はいるか?
届出 ・保健所の営業許可は受けているか?
・必要な届出は確認したか?

必要なものは飲食店のジャンルに加え、希望する条件によっても異なります。すぐに用意できるものもあれば、用意に時間がかかるものもあるため、飲食店の開業を計画するときはチェックリストを用いながら開業準備を進めることを検討してみましょう。

まとめ

飲食店を開業する際はあらゆるものを揃えることになりますが、それらは「資金」「物件」「設備」「備品」「資格」「届出」に分類できます。扱う料理のジャンルを問わず、あらゆるものが必要になるため、それぞれの項目を分類しながら揃えることも検討してみてください。

また、飲食店の開業を計画するときは、チェックリストを用いながら開業準備を進めることも方法のひとつです。すぐに用意できるものもあれば、用意に時間がかかるものもあるため、必要なものを揃えるときはスケジュールを決めておくこともポイントです。

なお、必要なものを揃えるときは、まずは保健所や消防署などの公的機関に相談することも検討してみてください。必要なものは希望する条件や想定している飲食店によっても異なるため、各公的機関の担当者に相談しながら進めることを検討してみましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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