焼肉屋や居酒屋など、飲食店を開きたい人の中には、開業資金の目安が知りたい人もいますよね。また、飲食店における開業資金の内訳が気になる人もいるでしょう。
当記事では、飲食店における開業資金の目安を解説していきます。開業資金の調達方法も説明しているため、飲食店を開きたい人は参考にしてみてください。
飲食店における開業資金の目安は1,000万円
日本政策金融公庫の公式サイトにある「創業の手引+(飲食版)」の資料によれば、飲食店における開業費用の合計金額は平均952万円でした。あくまでも同資料における平均値ですが、飲食店における開業資金は1,000万円がひとつの目安として考えられます。
【飲食店における開業費用の内訳と平均】
項目 | 金額 |
---|---|
内装工事費用 | 445万円 |
機械・什器・備品費用 | 190万円 |
運転資金 | 176万円 |
テナント賃借費用 | 125万円 |
営業保証金・FC加盟金 |
16万円 |
合計 | 952万円 |
※日本政策金融公庫の公式サイト「創業の手引+(飲食版)」をもとに株式会社SoLabo作成
飲食店を開業する際は営業許可を取得することになりますが、取得条件のひとつとして施設基準に関する要件が定められています。そして、施設基準を満たす目的として内装工事が必要になる関係上、内装工事費用が開業費用全体の半分程度を占める傾向があります。
飲食店における開業資金は1,000万円がひとつの目安として考えられます。想定している飲食店にもよりますが、飲食店を開きたい人は1,000万円をひとつの目安として考えておきましょう。
飲食店の開業資金は希望条件によっても異なる
飲食店の開業資金は希望条件によっても異なります。想定している飲食店によっては、1,000万円以上の開業資金が必要になることも考えられるため、飲食店を開きたい人はその前提も踏まえておきましょう。
【東京都内にある居抜き店舗の一例】
項目 | 東京都渋谷区にある居抜き店舗A | 東京都多摩市にある居抜き店舗B |
---|---|---|
所在地 | 東京都渋谷区神山町 | 東京都多摩市乞田 |
交通 | 山手線/渋谷 徒歩9分 | 京王電鉄相模原線/京王永山 徒歩8分 |
面積 | 59.31m² (17.94坪) /2階 | 58.32m² (17.64坪) /1階 |
構造 | RC(鉄筋コンクリート) | SRC(鉄骨鉄筋コンクリート) |
賃料(坪単価) | 528,000円 (29,431円) | 168,300円 (9,540円) |
※「駅徒歩10分以内」「面積20坪以内」を目安に作成
たとえば、「東京都渋谷区にある居抜き店舗A」と「東京都多摩市にある居抜き店舗B」では、賃料の差は36万円ほどあります。いずれも東京都にある居抜き店舗ですが、立地や構造などの条件により賃料の相場は異なります。
これらはあくまでも一例ですが、飲食店の開業資金は希望条件にもよります。1,000万円未満でも開業できる可能性はありますが、1,000万円以上の開業資金が必要になることも考えられるため、飲食店を開きたい人はその前提も踏まえておきましょう。
開業資金が知りたい人は資金計画を立てるところから始めてみる
飲食店を開きたい人は、まずは資金計画を立てるところから始めてみましょう。資金計画を立てることにより、想定している飲食店の開業資金の目安を図ることができます。
資金計画とは、必要となる資金をどこから調達し、どのように運用していくのかを計画したものです。資金計画のフォーマットや作成方法はいろいろありますが、飲食店を開業する場合は設備資金と運転資金に分けて考える傾向があります。
【資金計画のイメージ】
必要となる資金 | 内訳 | 金額 | 調達方法 |
---|---|---|---|
設備資金 |
|
100万円 300万円 50万円 |
自己資金:300万円 借入資金:150万円 |
運転資金 |
|
90万円 80万円 30万円 |
自己資金:100万円 借入資金:100万円 |
資金計画を立てる際、まずは設備資金と運転資金の内訳を算出します。内訳を算出後、設備資金と運転資金のそれぞれを合計した金額が想定している飲食店の開業資金の目安となります。
また、設備資金と運転資金のそれぞれの金額を算出した後は、資金調達の方法を考えることになります。資金調達の方法はいくつかありますが、飲食店を開業する場合は自己資金と借入資金に分けて考える傾向があります。
これらはあくまでも一例ですが、資金計画を立てることにより、想定している飲食店の開業資金の目安を図ることができます。そして、資金計画は事業計画の一部となるため、資金計画を立てる場合は事業計画書を作成することも検討してみましょう。
事業計画書の作成に不安がある人は専門家に相談することも検討してみる
飲食店を開業する際、事業計画書の作成に不安がある人は、専門家に相談することも検討してみましょう。専門家に相談することにより、事業計画書の作成に関するアドバイスをもらえる可能性があるからです。
【相談先の一例】
- 商工会議所
- よろず支援拠点
事業計画の相談先として挙げられるのは、「商工会議所」や「よろず支援拠点」です。これらの相談先は経営課題の支援も行っているため、事業計画書の作成に関するアドバイスに加え、飲食店の経営におけるアドバイスをもらえる可能性もあります。
ただし、専門家に相談する際、依頼料として所定の費用がかかる場合があります。説明会やセミナーに参加する場合は事前予約が必要になることもあるため、専門家に相談してみたい人はそれらの点を留意しておきましょう。
開業資金が足りない人に向けた解決策
事業計画の一部として資金計画を立てた結果、開業資金が足りないことも考えられます。開業資金が足りない場合の解決策はいくつかありますが、今回は一例として2つの解決策を紹介するため、飲食店を開業したい人はそれぞれの項目を参考にしてみてください。
【開業資金が足りなかった場合の解決策】
- 支出を抑える
- 資金を調達する
開業資金が足りない場合の解決策として挙げられるのは「支出を抑える」「資金を調達する」といった方法です。これらはあくまでも一例ですが、いずれも検討する余地がある解決策となるため、飲食店を開きたい人はそれぞれの項目を参考にしてみてください。
支出を抑える
事業計画の一部として資金計画を立てた結果、開業資金が足りない場合には、支出を抑えることを検討してみてください。とくに、飲食店を開業する目的として自己資金を貯めてきた人は、現状の資金計画から支出を抑えることも考えてみましょう。
【支出を抑える方法の一例】
項目 | 具体例 |
---|---|
営業形態 |
|
店舗物件 |
|
内装工事 |
|
備品・設備 |
|
たとえば、支出を抑える方法には、居抜き物件を活用する手段があります。居抜き物件は内装付きの店舗物件とも呼ばれ、厨房や空調などの主要設備が残っている状態の店舗物件を借りることになるため、居抜き物件は初期費用を抑える手段として挙げられます。
また、支出を抑える方法には、中古品を活用する手段があります。冷蔵庫や製氷機のような厨房機器を中古品にすることにより、設備や備品に該当する支出を抑えられる可能性があるため、中古品は初期費用を抑える手段として挙げられます。
なお、日本政策金融公庫の公式サイトにある「創業の手引+(飲食版)」の資料では、開業費用の内訳をもっとも占めていたのは「内外装工事(46.7%)」でした。そのため、内装工事費用を抑えられるかどうかは、支出を抑えるポイントのひとつとなります。
想定している飲食店にもよりますが、開業資金を工面する目的として支出を抑えたい場合には、まずは内装工事費用を抑えることを検討してみましょう。
資金を調達する
事業計画の一部として資金計画を立てた結果、開業資金が足りない場合には、資金を調達することを検討してみてください。とくに、飲食店を開業するための自己資金を貯め始めたばかりの人は、現状の資金計画から資金を調達することも考えてみましょう。
【資金を調達する方法の一例】
項目 | 具体例 |
---|---|
融資を受ける |
|
支援を受ける |
|
出資を受ける |
|
たとえば、資金調達の方法には、融資を受ける手段があります。銀行や信用金庫などの金融機関では、飲食店を開業したい人も対象となる融資制度を展開しているため、金融機関の融資制度を活用するのは開業資金を工面する手段として挙げられます。
また、資金調達の方法には、出資を受ける手段があります。個人投資家のような出資者が見つかれば、飲食店の開業資金を出資してもらえる可能性があるため、出資者を探してみることも開業資金を工面する手段として挙げられます。
ただし、今回紹介した資金調達の方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。どれも一長一短の側面があるため、資金調達を検討する場合には、メリットとデメリットの観点から自身の状況に合わせたものを選択しましょう。
なお、資金調達にお困りの人は、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)に相談することも検討してみてください。4,500件以上の融資サポートの実績がある当社が、現在の状況から資金調達できるかどうかを診断します。
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開業資金がゼロの人は自己資金を貯めることを検討する
開業資金がゼロの人は、事業計画の作成に加え、自己資金を貯めることを検討してみてください。出資者や協力者がいる場合は開業できるかもしれませんが、そのような状況になければ、飲食店を開業する際はそれ相応の資金が必要になるからです。
飲食店を開業する場合、店舗物件を取得することになります。店舗物件を取得する際は敷金や礼金に加え、仲介手数料なども支払うことになるため、友人や知人から借りられるような状況になければ、店舗物件を取得するための費用を工面する必要があります。
また、飲食店を開業する場合、営業許可を取得することになります。取得条件のひとつは施設基準に関する要件となるため、店舗物件が手洗設備や洗浄設備などの施設基準を満たしていなければ、内装を工事するための費用を工面する必要があります。
なお、「創業の手引+(飲食版)」の資料にあるアンケート調査では、開業時の注意としてもっとも多かった回答は「自己資金の不足」でした。また、同資料には、約6割の企業が「軌道に乗るまでに半年以上かかった」という調査結果もありました。
開業資金がゼロの人は、まずは自己資金を貯めるところから始めてみてください。そして、開業後の店舗運営に不安がある人は、初期費用に充てる開業資金に加え、運転資金の半年分に相当する自己資金を貯めることも考えておきましょう。
まとめ
飲食店における開業資金は1,000万円がひとつの目安ですが、1,000万円以上の開業資金が必要になることも考えられます。希望条件にもよるため、想定している飲食店の開業資金が知りたい人は、事業計画の一部として資金計画を立てることを検討してみましょう。
また、資金計画を立てた結果、開業資金が足りなければ、解決策として支出を抑える方法や資金を調達する方法があります。それぞれメリットとデメリットが存在しますが、検討する余地はあるため、開業資金が足りない人は参考にしてみてください。
なお、飲食店を開業する際は専門家に相談することもひとつの手段です。開業資金に関する相談に加え、飲食店の経営に関するアドバイスをもらえる可能性もあるため、飲食店を開くことに不安がある人は専門家に相談することも考えてみましょう。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。
【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)
【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://inqup.com/