飲食店を開業したいと思っても、何から始めればいいのか分からない人もいますよね。将来的に飲食店を開きたいと考えて、開業に向け情報を集めている人もいるでしょう。
飲食店の開業する準備を進めるときには、まずコンセプトを決めましょう。コンセプトが決まれば、開業に必要な費用や許認可が決まるからです。
当記事では飲食店の開業に向けてやるべき準備を解説します。飲食店の開業を考えている人は参考にしてみてください。
飲食店を開業するための準備期間は6か月~12か月
飲食店を開くためには6か月~12か月程度の準備期間が必要です。開業までに「コンセプトを決める」「店舗物件を探す」「内外装工事をする」「厨房機器を購入する」「什器や備品を購入する」「営業許可を取得する」などが必要だからです。
特に店舗物件を探すのに時間がかかる傾向があり、準備に12か月以上かかる場合もあります。そのため、飲食店を始めることを決意したら、準備にとりかかりましょう。
飲食店を開業するまでの流れ
飲食店を開業するためには、主に次のような流れとなります。
- コンセプトを決める
- コンセプトに合う物件を探す
- 内外装工事をする
- 厨房機器を購入する
- 什器や備品を購入する
- 営業許可を取得する
- オープン
飲食店を開業するためにまずはコンセプトを決める
飲食店の開業に向けて、まず飲食店のコンセプトを決めます。コンセプト次第で「店舗の場所」「費用」「許認可」が異なるためです。
たとえば、会員制のバーなら繫華街やビジネス街に出店することを考え、深夜営業の届出をしなければなりません。一方、子ども連れの家族をターゲットとする洋食店なら郊外に出店することを考え、駐車場も必要になると物件取得に費用がかかるでしょう。
コンセプトが決まれば計画をより具体的に立てやすくなります。そのため、まずは自身がどのようなコンセプトの飲食店を経営したいかを決めましょう。
メインメニューを決める
自身が飲食店を開業して、どういったメインメニューを提供したいのかを決めます。飲食店には「レストラン」「居酒屋」「定食屋」「食堂」などがありますが、メインメニューを決めれば計画を立てやすくなるからです。
たとえば、「ソースにこだわったハンバーグがおすすめの洋食店」「餃子の種類が豊富な中華料理店」「変わり種のパンケーキがある喫茶店」といったようなイメージです。
メインメニューに迷っている人は、自身の得意料理やメインで提供したい料理を目安に考えてみてください。メインメニューを決めることで、必要となる「厨房機器」「什器」「備品」が決まってきますので、開業資金も計算しやすくなります。
ターゲットとなる顧客層を想定する
メインメニューが決まれば、次に来店してもらいたい顧客層を想定します。「年齢」「性別」「子どもの有無」「趣味」などさまざまな属性を考えてみてください。
たとえば、「20~30代の会社員」「子ども連れの4人家族」「旅行が趣味の40代以上」などより顧客層を決めることで、顧客層に応じた内装が決まってきます。
10~20代の女性をターゲットとするならSNSに載せたいと思ってもらえるような内装を心がける必要がありますし、50代以上をターゲットとするなら落ち着いた内装が好まれるでしょう。
どういった内装にするかによって依頼する業者が変わり、結果として必要な費用も異なりますので、ターゲットを決めておくと業者への依頼もしやすくなります。
コンセプトに合う物件を探す
業態とターゲットとなる顧客層が設定できたら、コンセプトに合う物件を探します。ターゲットとなる顧客層に来店してもらわなければなりません。そのためには、ターゲットとなる顧客層が来店しやすい店舗である必要があります。
たとえば、20~30代の会社員をターゲットとしてラーメン屋を開業したいと考えている場合、「駅近」「路面店」「オフィス街」「競合が多いエリア」などさまざまな条件の中で、より自身のコンセプトに合った物件を探します。
物件は不動産業者やインターネットで探せます。開店に向けた計画を具体的にしていくなかで並行して、実際の物件の確認をしておくと良いでしょう。
飲食店開業に必要な初期費用
コンセプトが決まり物件に目途がついたら、飲食店を立ち上げるための費用が算出できます。飲食店を開業するためにかかる主な費用として次の4つが挙げられます。
- 物件取得費用
- 内外装工事費用
- 厨房機器費用
- 什器・備品費用
物件取得費用
物件取得費用とは物件を契約する際に必要となる費用をいいます。主に「保証金(敷金)」「礼金」「仲介手数料」「前家賃」が挙げられます。自宅を賃貸する場合と比較すると、事業用物件を賃貸する場合は初期費用が高く設定されている傾向があります。
たとえば、物件によって異なりますが、保証金(敷金)は賃料の6か月~12か月分、礼金と仲介手数料がそれぞれ賃料の1か月で設定されているケースがあります。そのため、家賃が20万円の物件を借りるとすると、物件取得費用で160万円~280万円程度かかる計算です。
物件を探すときには家賃だけでなく、「保証金(敷金)」「礼金」「仲介手数料」「前家賃」がどれくらいかかるのかを確認しておきましょう。
内外装工事費用
内外装工事費用とは、店舗の内外装をするためにかかる費用です。内外装工事費用には、主に「床」「壁」「天井」「電気」「水道」「ガス」「空調」の工事、そしてデザイン費用も含まれます。
内外装工事費用は、「店舗の場所」「飲食店の種類」「工事内容」だけでなく、コンセプトによっても異なります。
飲食店の種類による内外装工事費用の目安が次のとおりです。
【内外装工事費用の一例】
種類 |
目安金額 |
---|---|
焼肉店 |
1,000~2,000万円 |
ラーメン屋 |
300~600万円 |
喫茶店 |
200~800万円 |
テイクアウト専門店 |
100~200万円 |
中華料理店 |
350~1,000万円 |
たとえば、焼肉店は排煙するためのダクトや空調設備に費用がかかります。そのため、他の飲食店と比較すると内外装工事費用が高額になる傾向があります。
なるべく費用を抑えるために、2社以上の業者から見積もりを取りましょう。内外装工事費用は業者によって異なるからです。複数社から見積もりを取ることで、予算内で理想の内外装を実現できる業者が見つかる場合があります。
厨房機器費用
厨房機器費用は、飲食店に必要な厨房設備を購入するための費用です。厨房機器費用には、主に「冷蔵庫」「製氷機」「食器洗浄機」「シンク」などの購入費用です。
【厨房機器費用の一例】
種類 |
目安金額 |
---|---|
冷蔵庫 |
20~65万円 |
製氷機 |
12~60万円 |
食器洗浄機 |
40~50万円 |
シンク |
18~40万円 |
他にも、居酒屋であれば「フライヤー」「焼鳥器」、ラーメン屋であれば「ゆで麵機」「製麵機」が必要となります。
厨房機器はメーカーやサイズによって費用は異なります。そのため、厨房機器に関しても、内外装工事と同様に2社以上の業者から見積もりを取りましょう。
厨房機器の費用を抑えたい場合は、見積業者に相談して中古品も検討してみましょう。
什器・備品費用
什器・備品費用は、「テーブル」「いす」「食器」などを購入するための費用です。
什器・備品費用も内外装費用と同様に、こだわればこだわるほど費用がかかる傾向があります。そのため、自身の中で譲れない部分を決めて、中古品やグレードを下げることも検討してみましょう。
飲食店開業に必要な営業許可と届出
飲食店を営業するためには営業許可と届出が必要です。食品衛生法により、飲食店を営業する場合は保健所長の許可を受け、届出を行うと定められているからです。無許可で飲食店の営業をした場合、食品衛生法により2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。
そのため、飲食店を開業する際には必ず営業認可の取得と届出を行いましょう。
飲食店営業許可が必要
飲食店を新規開業するためには飲食店営業許可が必要です。飲食店営業許可を取得するためには、食品衛生責任者の資格が必要であり、食品衛生責任者の資格は講習会を受講することで取得できます。
食品衛生責任者の講習会は各都道府県で実施されていますので、各都道府県の食品衛生協会に問い合わせてみてください。
なお、調理師免許や栄養士の資格があれば、講習会を受講しなくても取得することができます。
また収容人数が30名以上の飲食店の場合、飲食店営業許可に加えて防火管理者の資格も必要となりますので、覚えておきましょう。
深夜にお酒を提供する場合は深夜酒類提供飲食店営業届も必要
午前0時以降も営業する場合には、深夜酒類提供飲食店営業届を警察署に提出しなければなりません。届出をしていないと50万円以下の罰則があります。
居酒屋やバーで午前0時以降も営業するのであれば、深夜酒類提供飲食店営業届が必要です。ただし、牛丼屋やラーメン屋が午前0時以降にお酒を提供する場合、深夜酒類提供飲食店営業届は不要です。
あくまで居酒屋やバーといった、主にお酒を提供する業態の場合に深夜酒類提供飲食店営業届が必要となります。
居酒屋やバーを独立開業したいと思っている人は深夜酒類提供飲食店営業届を忘れずに提出してください。
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