パン屋で開業するための基礎知識~成功する人と失敗する人との違いとは

パン屋で開業するための基礎知識~成功する人と失敗する人との違いとは 起業のための資金調達 – 飲食(飲食店・外食・デリバリー)
パン屋 開業

パン屋で開業して成功している人がテレビや新聞などのメディアに取り上げられていることは少なくありません。

パン屋で成功している彼らを見ると、なんだか自分も開業できそうな気がしてくることでしょう。パン屋の開業って独特な吸引力があり、夢があるものです。

しかし、ネット検索で「パン屋 開業」とキーワードを打てば、成功体験よりもむしろ失敗体験がわんさかと表示されています。

 果たして、パン屋の開業で人と失敗する人の違いとはどのあたりにあるものなのでしょうか?

 今回の記事では、パン屋を開業するため資金や資格などの基礎知識とあわせ、パン屋で成功する人と失敗する人の違いについてご紹介します。

 1. 広がるパン屋さんの業態

パンが好きでおいしいパン屋さんに行くと心がトキメク!自分でも趣味でパンをよく作り、友達に配ったりしている。そんなパンを愛するあなたであれば、パンを開業したいという気持ちになってもおかしくはありません。

 ひと昔前であれば、パン屋さんと言えば厨房のある店舗が主流でした。店先からぶ~んとパンの焼きたてのニオイがするパン屋さんて最高ですよね。

 今は、少しずつパン屋の販売方法が少しずつ以下のように広がりをみせています。

【パン屋の業態】

  • 1.デリバリーで作ったパンを販売するデリバリー・パン屋さん
  • 2.ネット上で作ったパンを販売するオンライン・パン屋さ
  • 3.店頭でもパンを売り、ランチタイムには近隣の予約者に向けパンの配達を行うパン屋さん

 パン屋を脱サラして一人で始める方も少なくありません。いきなり人を雇って毎月赤字になるよりは、少量のパンを確実に売って実績を作る方が経営は安定します。

 2. パン屋を開くための段取り・資格・許認可とは

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①食品衛生責任者

食品を扱う営業をする場合、必ず事業所に一名は食品衛生責任者の資格を持つ人がいなければいけません。(食品衛生法施行条例により)

 食品衛生責任者の資格を取るには、自治体ごとの食品衛生協会などが主催する食品責任者養成講習会に参加すればOKです。東京都の場合は、全6時間の講習を8~10会場で実施しており、費用は1万円です。

 【参照】食品衛生責任者養成講習会|東京都

 ②パン製造技能士

パン製造技能士は国家資格の一つです。等級は特級と1.2級があり、それぞれ2年以上の実務経験(2級)、7年以上の実務経験(1級)と条件があるため、飛び級はできません。パン屋開業のマストの資格ではありませんが、あると広告宣伝で「パン製造技能士のいる店」にように打ち出すことは可能です。

 資格取得に必要な費用は22,000円程度です。(資格取得のための講義費用は含まず)1.2級の試験時間は6時間あり、特級の試験時間は3時間です。調理や製菓専門学校などでもこの資格を取ることが可能です。

 ③パンにより、菓子製造許可も必要

パン屋の難しいところなのですが、パンにはさまざまな種類があり、チョココロネなどの菓子パンを提供しいくのであれば、このあとご紹介する保健所の許可申請だけでなく菓子製造許可も必要です。

 ④調理パンの販売で必要となる、保健所への営業許可申請

パン屋を開業するために不動産契約を済ませたとしましょう。内外装工事が着工する前に、まずはパン屋を出店する地域を管轄する保健所に赴き、事前相談をします。工事が始まってから「この業態では許可出せないよ!」と保健所から言われたら、困りますからね。

 工事が完成する約10日前に、パン屋を出店する、営業申請書を提出します。パン屋の施設の工事が完成したら、保健所の担当者の方に確認検査をしてもらいます。このチェックで承認がおりないと、営業はできません。許可されたら、数日後に営業許可証が交付されます。

 3.パン屋を開業するための資金

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①不動産取得資金=100~200万円

パン屋はレストランや収容人数の多い居酒屋などの飲食店と比べれば、必要な店舗面積はそう広くはありません。20坪あれば、パン屋の開業は可能です。東京都内で20坪の不動産を借りる場合、だいたいひと月10~20万円の間で推移しています。

 例えば、家賃20万円の物件を契約する場合は、6か月分と前家賃プラス仲介手数料(3か月)を用意しておけば十分足りると思います。。

 20万円×6か月+前家賃1か月分+仲介手数料3か月分(20万円×3)=200万円

 悲しい話ですが、元々パン屋だった店舗をそのままの状態で明け渡すケース(現状渡し)も増えています。元々パン屋だった店舗物件で始めることができれば、初期費用としての設備費は大幅に抑えられます。しかし、その店の場所がお客さん来にくい場所で閉店してしまったという場合もあります。

 ②パン製造のための設備費用­=46万円+α

どのようなパン屋を開くにせよ、パンを作る厨房設備は必ず必要になります。パン屋を開業するための基本的な厨房設備は、以下の通りです。

 【パン屋開業で必要な厨房設備】

  • 1.オーブン→ないと始まりません!・・・1台12万円
  • 2.ホイロ※発酵器→ないとふくらみません!・・・1台5万円
  • 3.ニーダー※ミキサー・・・1台7万円
  • 4.冷凍・冷蔵庫・・・1台10万円
  • 5.ガスコンロ・・・1台6万円
  • 6.作業台・・・1台2万円
  • 7.パンラック・・・1台4万円
  • 計:46万円

他にパン屋でパン製作に必要なものと言えば、ボール・ヘラ・まな板・ふきん。ごみ箱それから食パン型などの型も必要です。また、店舗で盛り付けるためのバスケットとトレーとトング、ビニール袋などの包材も使いますね。

 ③原材料費=パンの種類にもよるが、一日1~2万円の材料費

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パンを作るには、小麦粉・バター・砂糖・塩・スキムミルク・ドライイースト・酵母といった原材料を仕入れる必要があります。以下の材料では、食パンが20斤作れて合計で5250円の費用となります。 

国産小麦粉 5kg

1,700円

バター 450g

920円

砂糖 600g

600円

塩 1kg

500円

スキムミルク 200g

400円

ドライイースト 60g

430円

酵母(ドライ)

700円

 以下のニュースにもあるように、小麦粉の原価は最近上がっていますね。

日清製粉、業務用小麦粉を値上げ|日本経済新聞

 食パンばかり作っていてもパン屋は売れませんので、他にも菓子パンや調理パンといった材料は必要です。食パンを10斤にして2500円として、他のパンも10種類ぐらい作るとすると、材料費は1~2万円ほどかかる計算になります。

 ④人件費

自分一人で営業するなら必要ありませんが、どなたかを雇う場合、人件費は毎日最低3~6千円程度(時給980円ぐらい)かかります。

 ⑤チラシやWebサイトなどの広告宣伝費

他には、オープン時にチラシやスタンプカードを作成する場合は5~10万円程度の資金が必要です。

 5.パン屋で成功する人とは

①アイディアが豊富にある

パン屋さんはチェーン店もありますが、むしろチェーン店よりも個人の店の方が人気は高く、飲食業界の中でなかなか稀有な存在です。 

先日、筆者が夕方のニュースを見ていると、黒いゴマパンの販売で成功した男性オーナーが出演されていました。「へ~!黒い食パン!ゴマをあんなに入れるの」と一目で筆者はくぎ付けになってしまいました。 

黒ゴマパンオーナーは「どうしてゴマを食パンに入れようとしたんですか?」と聞かれると、「ゴマが好きだし、なんとなく入れたらいいかなと思って」と何だか軽いノリで話されていて、拍子抜けしました。パン屋の開業って、なんだかラーメン屋のオーナーのように厳しい世界の中で生きている!てイメージがありますよね。 

また、別の成功例では高級な食パン「乃が美」の例があります。1本432円という食パンにしてはお高い値段ですが、一度食べるとその違いに驚きます。卵を一切使わず、生クリームを入れるというこだわりのレシピ。乃が美のパンは数々の賞を受賞し、人々に受け入れられました。 

パン屋の営業は朝が早く重労働だし、売り上げは天気に左右されるし大変なことに変わりはありません。しかし、自分でアイディアを出すのが好き、新しいパンを考えるのが生きがい、という臨機応変タイプの方には意外に向いているんでしょうね。

 ②人気パン屋で一定期間、修行している

パン屋の開業をするのに、専門学校に行く人もいるそうです。専門学校での授業でもちろんおいしいパンを作れるようにはなるかもしれませんが、店の経営についてはやはり実際のパン屋で働くことにはかないません。

 あなたがパン屋で開業をしたいのであれば、まずは最低2~3年はパン屋さんでじっくりと(アルバイトでもいいので)修行することをおすすめします。実際のパン屋では、肉体的なキツさやパン屋ならではの喜びなど、多くのことを気づけます。あなたがパン屋を開業する際には、修行の時に気づいたことをぜひ活かしてください。

 ③年齢がまだ若い、または体力がある

パン屋の開業でとにかくキツイよ、と言われることの中のトップ3に入ることは、肉体労働のキツさです。お客様はパン屋で購入したパンを食べる時も「おいしい~!」と嬉しいのですが、「どれにしようかな」とパンを選ぶ時間も非常に大切にしています。

 最低でも常に10種のパンは用意したい、と仕込みを頑張れば、やはり朝早い時間から夕方まで12時間以上はずっと立ち続けていなくてはいけないでしょう。普段からパン作りを楽しみにしていて、体力的にも問題ない!という方や、キツイかもしれないがそれ以上にパンが大好きなんだ、という方はパン屋の肉体労働のリスクには打ち勝つことができるでしょう。

 ④出店場所が良い

パン屋さんは話題になれば遠方でも来てくれますが、アクセスが悪いと最初は集客できません。パンを買いそうな購買層(昼間はビジネスマンやOL、夕方は高齢者や子供達)がよく通過する商店街に近いような場所を狙うとよいでしょう。

 6.パン屋で失敗する人とは

パン屋で失敗する人は、ズバリ、楽観的な計画で出店をする人です。肉体労働や初期投資のわりに、収益が少ないのがパン屋です。つぶれないパン屋にするには、初期にできるだけお金をかけず、原価を押さえながら焼き立てを提供するなどコストのかからないサービスを提供し、消費者のニーズを満足させる戦略が必要です。

また、決して楽観的ではなく、十分に経験を持ったうえでパン屋を開業した方で失敗した方もいらっしゃるかもしれません。その場合は、経営者としての数字的な能力が少し足りなかったのかもしれません。

 まとめ

パン屋を開くためには食品衛生責任者だけでなく菓子製造許可と保健所の営業許可も必要です。開業に必要な資金は、最低で300万円程度です。

肉体労働のきつさはありますが、パンは生活に直結しているもの。パンを買いに来たお客さんとの交流や、新しいパンを考案するの楽しみなどキツイことだけではない楽しみもある開業となるでしょう。

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup     » https://inqup.com/

【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。