「学生時代に取った税理士の資格を活かして独立したい」このように考える人は少なくありません。
税理士は弁護士、会計士のように「~士」とつく士業(しぎょう)であり、一定の社会的ステータスを得られます。
しかし、「税理士資格を持つ=すぐ開業して稼げる」という訳ではありません。安易に独立し失敗する前に、まずは税理士になることのリスクとその年収相場について知っておきましょう。
1.税理士になることのリスクって?
①10人中合格できるのは1人?!難易度高めの国家試験
税理士になるためには国家試験に合格しなければなりません。税理士の試験の難易度は12~15%程度。10人受けると8~9人の方は不合格という決して簡単ではありません。
税理士の資格を取るのであれば在学中がベストです。仕事をしながらの受験勉強はなかなか難しいものがあります。税理士の試験は全11科目あり、その中から5科目を受験します。11科目中は会計学に関わる2科目(簿記論、財務諸表論)と税法に関わる9科目(所得税法、相続税法など)があり、税法の3科目については自ら選択し受験するシステムです。
②自分の得意分野と世間のニーズがマッチするとは限らない
前述したように、税理士が全ての税法を熟知しているとは限りません。なぜなら、9科目ある税法の科目のうち3科目は受験をしますが、残りの6科目については受験しなくても税理士の試験には合格できます。
あなたが税理士事務所を開こうとしている地域にどの年齢層が多いのか、どのようなニーズがあるのか。それを見極めてから税理士としての方向性を決めるべきです。相続にはあまり強くない税理士なのに、いざ起業してからの相談事の9割が相続についてだったら?
仕事をしながらの勉強は大変です。もちろん、仕事をしながら数々の事例は経験できますが、最低限の座学は起業前に済ませておくべきです。
③顧問契約の減少
AIの普及により、アプリケーションでできることに人はお金を支払わない傾向にあります。何も考えず高額な料金を支払っていた保険料ですが、ネットでのワンストップ契約により約半額以上も保険料を押さえられるケースも珍しくありません。
税理士の顧問契約についても然りです。以前であれば何も考えず顧問契約をしてくれた企業でも、ネットにあらゆる事例や知識が書かれているため「自分でやる」という節約が可能になったのです。
ですから、税理士の顧問契約についても突然解除されてしまうというリスクも今後は大いにあります。他社研究をし、他社との比較した上で「うちなら〇〇もおつけします」「〇〇をすれば税金が下がりますよ」とオトク感のあるコンサルを常に続けていかなくてはいけません。
2.税理士の平均年収とは?
先行き不安な情勢を反映したなのか、税理士としての登録数は現在増加傾向にあります。日本人の高齢化により、中小企業数は減り個人事業主が増えている状況です。以前であれば一人の税理士が25社を担当していたのに対し、現在では一人につき20社以下と目に見えてニーズは減っています。
そのため、約1/4の税理士の年収は300万円以下。集客で苦労するため、まずは開業という形ではなく既存の事務所で経験を積み顧客ルートを確保してからの方が起業後成功するでしょう。
3.税理士として独立するためには何が必要か?
①日本税理士会への登録手続き11万円その他
税理士試験に合格しただけでは自動的に税理士を名乗ることができません。日本税理士会への登録料が合計で11万円、その他にも各ブロック(地域を割ったもの)と支部(ブロックを割ったもの)に対する入会手続きとして14万円(入会金4万円、会館建設費2万円※東京税理士会の場合、年会費8万円)かかります。
税理士会への登録料やブロック・支部の登録料は一時金ですが、ブロック・支部の年会費8万円は維持費として税理士を名乗るのであれば生涯必要です。
②コンサル力、税務能、集客能力
税理士としての的確なコンサル力や税務能力はもちろん、開業するのであれば集客の能力は最初に必要になるものです。お客様がいなくては始まらないビジネスです。
今は税理士を探すのも地元の口コミからではなくまずネット検索する人が大多数でしょう。税理士事務所と言えどもホームページ作成、検索キーワード強化というSEO対策などのWEB広告についても必須業務です。
まとめ
以前、弁護士の数が増えているというニュースを目にしたことがありますが、税理士の増加もその背景(景気不安)は似ているのかもしれません。社会的イメージに比べ実質の年収は高くはありません。しかし、税理士起業の魅力は時間の融通性にあります。
集客の得意な方、税法でこれは自信があるという分野があるという方は是非起業を目指してはいかがでしょうか。
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平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
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