社労士事務所を開業するために必要な具体的な資金

社労士事務所を開業するために必要な具体的な資金 起業のための資金調達 – コンサル・士業
社労士 開業 資金

社会保険労務士の資格の合格率は毎年10%以下。社労士の資格を持っている方は10分の1の激戦区をくぐり抜けてきた方達です。

士業の資格を活かし、独立開業して会社員生活から足を洗いたい、と考える方も少なくないことでしょう。

しかし、社労士として事業を開始するのに手元資金が全くかからないというわけではありません。

 今回の記事では、実際に社会保険労務士として独立開業する際に必要となる資金について、具体的に考えてみました。独立開業予定のあなたのお役に立てれば幸いです。

 1.社会保険労務士として開業するための資金とは

ここでは、この記事をお読みのあなたが社労士の資格を既にお持ちだと仮定して「開業に必要なさまざまな資金」を解説していきます。

 費用①(経験が全くない)いきなり社労士の場合は、指定講習【7.56万円】を受ける必要がある

社労士として名乗り独立開業するには、最低2年以上の実務が必要です。このことは、社会保険労務士法により決められています。

 社労士としての経験がない・単に社会保険労務士の資格に合格しただけの社労士が開業したいのであれば、「全国社会保険労務士会連合会」が主催する「労働社会保険諸法令関係事務指定講習」を受講する必要があります。受講費は7万5千600円(税込み)です。

 労働社会保険諸法令関係事務指定講習の内容は、「通信講座」の受講が毎年2月初旬~5月末の約4か月、そのあとで面接指導が7月中旬~9月末までの約2.5か月の間で4日間(計3時間)行われます。

 【労働社会保険諸法令関係事務指定講習の基本情報】

受講資格

・社会保険労務士合格者

・実務経験が2年に満たない者

(昭和57年4月1日以前に社労士試験に合格した者以外)

講習内容・講習科目

  • ①労働基準法及び労働安全衛生法
  • ②労働者災害補償保険法
  • ③雇用保険法
  • ④労働保険の保険料の徴収等に関する法律
  • ⑤健康保険法
  • ⑥厚生年金保険法
  • ⑦国民年金法
  • ⑧年金裁定請求等の手続

受講料

75,600円

【参照:事務指定講習|全国社会保険労務士会連合会】 

通信課程で受講できるため、前職を継続しながら受講できますね。面接指導も夏休みなどを併用すれば、全3時間ですのでなんとか会社を辞めずにできそうです。労働社会保険諸法令関係事務指定講習(長い、、)についてより詳細な情報については、上記の参照URL先にてご確認いただけます。 

費用②社労士として登録していない場合は、社労士登録料【6万円】~【30万円】がかかる

社労士資格合格→労働社会保険諸法令関係事務指定講習を受講、と2つのステップをクリアした場合でも、「社労士として開業」する前には最後の砦である「社労士として全国社会保険労務士会連合会に登録する」必要があります。建築士の登録や弁護士の登録と同じで、士業のさだめですね。

 登録に必要なお金以外の書類などは、以下の通りです。 

  • 登録申請書
  • 社会保険労務士試験合格証書の写し
  • 2年間の実務経験を証明する従事期間証明書もしくは事務指定講習修了証の写し
  • 住民票の写し(原本/マイナンバー不記載のもの)
  • 顔写真(証明写真/裏に氏名を明記) など

【参照:社労士の登録申請について|全国社会保険労務士会連合会 】 

登録料費用は1.登録免許税が3万円2.手数料が3万円で計6万円です。しかし!3点目として3.社労士会への入会金・年会費というのが正直ネックです。社会保険労務士会連合会は全国にあります。登録する社会保険労務士会連合会によっては、入会金や年会費あわせて約30万円かかります。本当に無一文の場合、社労士として開業することはできません。(無免許は罰金の対象です。)

 登録申請後に受付・審査を経て、問題なければ社会保険労務士として名簿に載ります。また、証拠として「証票」が郵送されます。登録から「証票」が実際に送られてくるまでは、約3週間かかります。申請から証票の郵送までは1か月以上かかるとみておきましょう。

 費用③自宅開業の場合は【0円】。事務所を持つなら家賃【月5万円~】仲介料【20万円~】+敷礼金+前家賃

社労士として自宅開業する場合は別ですが、事務所を構えたいという方の場合は物件取得費がかかります。不動産については、駅チカの広い場所を契約するのか、とりあえずエアコン付きで四畳半のスペースがあればどこでもいい、という場合など、不動産は場所や施設で毎月の費用が何十万円も異なります。

 お金が全くない場合は必然的に自宅開業になるでしょうし(事務所なしでスタート)、事務所を開きたい場合は事務所の契約資金が30~50万円、そして内装や外装(看板工事など)を行う場合はプラス50~100万円程度をみておけばよいでしょう。

 費用④社労士開業で失敗するかの違いは集客!広告宣伝費用【30万円~70万円以上】

社労士で開業するということは、自分でお客様契約をとり、書類作成やコンサル料を頂いて収益を上げる繰り返しです。社労士は飲食業や美容室業と比べあまりコストがかからない事業のため、高い年収か低い年収かの差は社労士自身の「集客能力の差」です。

 幸い、いまはネットがあるため、以前より安く集客できる環境が整っています。昔の社労士の集客方法と言えば、交通広告で何十万円、ポスティングで1回5万円を何度も行う、というまとまったお金が必要でした。しかし、今はネット(Web・SEO)に強い社労士は集客能力が高い社労士と言えます。

 時間が豊富にある場合、ご自身でWebマーケティングやホームページ作成を実施するのも良いでしょう。「本業にたくさん時間を取りたい!」「生活費がないから早く開業したい!」という場合は、てっとり早くプロに見栄えの良いホームページ作成や開業支援を頼んでもよいでしょう。

ちなみに、 当サイトの関連サイトの「助成金ドットコム」は登録費用が完全0円のサービスです。

 助成金ドットコム

 助成金・補助金について多くの記事が掲載されており、月間で多くの方が見るサイトです。そのため、助成金・補助金目的のお客様からの問い合わせも多いです。ぜひ社労士の集客ツールとしてご活用ください!

 費用⑤社会保険労務士としてブログ開設もオススメ!【0円~年間1.2万円】

士業のブログ記事はよく見られています。「経験豊かな社労士が格安でお伺いします!」などの宣伝用の言葉が並ぶぺージ(ランディングページと言います)よりもブログ記事は親しみやすいからです。

 A8ネットなどのアフェリエイトサービスでブログツールを使えば、0円からブログ作成が可能ですし、うまくいけばアフェリエイトの収益も見込めます。(そう簡単にはいかないですが)

【アフィリエイトA8.net】日本最大級の広告数・サイト数のアフェリエイトサービス

※上記URLをクリックすると、A8ネットの公式ページへリンクします

 0円でブログを作る場合は、URL(例、https://start-note.com)の最初の方が自由に変更できません。ご自身の好きなドメイン(例、start-note.com)を使いたい場合は、数百円でドメインを取得し、月額千円程度で契約するレンタルサーバーに紐づけ、ブログ作成するという方法があります。

 ドメイン取るならお名前ドットコム

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費用 ⑥社会保険労務士として開業年齢が高い場合は、最低半年間の生活費(運転資金)【100万円】は用意しよう

若い年齢で開業する場合は、もしお金がなくなれば「日雇いしよう」「夜バイトもしよう」などある程度の無理がききます。けれども、40代後半などミドルエイジで生活費のストックもないまま会社を辞めれば、集客できない場合もあるため危険です。 

  • 20~35歳程度までの場合→毎月20万円×3か月ぶんの生活費
  • 36~55歳程度までの場合→毎月22万円×6か月ぶんの生活費
  • 56~65歳程度までの場合→毎月25万円×6か月ぶんの生活費

 を貯めてから開業することをお勧めします。生活費を貯めてからの開業は心にもゆとりができ、宣伝費にも費用を充てることが可能です。 

費用⑦プリンター、パソコン、クリアファイル、文房具など【0円~】

これまで使っていたものがある場合は、使い慣れた道具をそのまま使います。開業に向け、社労士として持っていた方がよい道具は以下の通りです。

 【社労士としての商売道具リスト】

  • 名刺
  • チラシ(あれば尚可)
  • 開業挨拶状
  • 看板(表札)
  • 事務用品(プリンター、パソコン、印鑑、机、応接セット、キャビネットなど) 

費用⑧社会保険労務ハンドブックなどの必要資料の購入【1万円~】

社会保険労務士の存在意義は中小企業の時間の節約です。最新の法令を知っていてこそ、プロの社労士。必要な書籍の購入には、数千円から数万円がかかることでしょう。

 費用⑨社労士として毎月かかる通信費【ひと月1200円~】

楽天モバイルなどMVNO事業者の格安Simを使ってもう1回線増やすだけなら、ひと月1200円程度から契約できます。事務所もつくらず、自宅のネット回線を利用するなら、社労士として光熱水費はほとんと必要ありませんね。

2.社会保険労務士としての開業費用の合計

上記で見てきた資金を合計しましょう。社会保険労務士としての開業費用をパターン別にまとめると、以下のようになります。

【実務経験なし・自宅開業の場合】講習費用7.56万円、生活費(運転資金)100万円~、宣伝費30万円~、書籍代1万円~=合計138.56万円

【実務経験あり・登録なし・自宅開業の場合】登録費用最大30万円、生活費(運転資金)100万円~、宣伝費30万円~、書籍代1万円~=合計161万円

【登録あり・自宅開業の場合】生活費(運転資金)100万円~、宣伝費30万円~、書籍代1万円~=合計131万円

【登録あり・事務所開業の場合】不動産取得費(家賃5万円の場合:前家賃+当月家賃+仲介手数料6か月+敷礼金3か月分として)55万円+生活費(運転資金)100万円~、宣伝費30万円~、書籍代1万円~=合計186万円

3.社労士の開業支援・セミナーは利用した方がいいのか

社労士の開業についてネット検索していると、たまにセミナー情報を見かけることがあります。結論から言えば、自分で何も勉強しない段階でそれらのセミナーに開業自体を丸投げするのはやめておいた方がいいと思います。

 社労士開業セミナーの多くは、社労士開業のノウハウを提供するものです。しかし、開業時にただでさえお金がない状況で、それらのセミナーに支払うお金はあるのでしょうか?開業セミナーは1回目は無料などかなりの低価格で提供していますが、全コースを受ける場合は必ずしも無料ではありません。最新情報を知るという目的で、専門学校などの講座を一時的に受けるというのは一つの開業方法として効果的です。しかし、セミナーを受けたから安心、というスタンスは社労士のとしての年収アップにはつながりません。

 まとめ

 社会保険労務士の開業にかかる実質的な費用は、講座登録にかかるお金で合計14万円程度。あとは事務所の契約費用やご自身の生活費といったところになります。

経験が浅い場合は、どうやって社労士として他の社労士に勝てるのか、きちんと戦略を考えてから開業することをお勧めします。

 

株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
【プロフィール】
平成22年04月 資格の学校TAC入社、財務諸表論講座講師を5年間務める
平成24年04月 税理士事務所で勤務
平成24年08月 個人で融資サポート業務をスタート
平成27年12月 株式会社SoLabo設立
現在までの融資実績は1600件以上

【書籍】
『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方35の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
inQup     » https://inqup.com/

【 動画で確認! 】株式会社SoLabo代表 田原がチバテレビに出演しました。