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美容室の開業におけるコンセプトとは?作るときの手順を解説

美容室の開業を検討している人の中には、美容室のコンセプトを作りたい人もいますよね。また、コンセプトを作るときの手順を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、美容室の開業におけるコンセプトを解説していきます。コンセプトを作るときの手順に加え、コンセプトの具体例をまとめた一覧表も紹介しているため、美容室のコンセプトを作りたい人は参考にしてみてください。

コンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示したもの

美容室におけるコンセプトとは、そのお店が提供する価値や方向性を示したものです。コンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示し、顧客に対してのメッセージにもなるため、コンセプトを作ることは美容室を開業するための第一歩となります。

たとえば、「髪と心に優しい空間」をコンセプトにした場合、その美容室が示す価値と方向性は「髪と心に優しい空間」です。顧客に対してのメッセージにもなるため、開業後は「髪と心に優しい空間づくり」を目指すことになります。

また、「髪と心に優しい空間」をコンセプトにした場合、そのコンセプトは決めるべき事項の判断軸になります。判断に迷ったときは「髪と心に優しい空間かどうか」を起点にして考え、決断することにより、その美容室の一貫した方向性を保つことができます。

美容室におけるコンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示し、顧客に対してのメッセージにもなります。コンセプトを設計せずとも開業できますが、選択に迷ったときの判断軸になるため、美容室を開業したい人はコンセプトを作ることを考えてみましょう。

コンセプトはテーマやキャッチコピーとは異なる

コンセプトは、テーマやキャッチコピーとは異なります。テーマやキャッチコピーとの違いを押さえておかなければ、コンセプトの設計が難しくなるため、美容室のコンセプトを作りたい人はそれぞれの違いを確認しておきましょう。

【テーマやキャッチコピーとの違い】

項目 意味
テーマ 主題のこと
コンセプト 全体を貫く観点や考え方のこと
キャッチコピー 人の注意を引く宣伝文句のこと

テーマとは、主題のことです。「文学や映画などの芸術作品を通じ、作者が伝えたいことを短く言い表したもの」と説明されることもありますが、美容室におけるテーマは「その美容室を通じ、実現したい主題」を意味します。

コンセプトとは、全体を貫く観点や考え方のことです。「骨格となる発想や一貫した構想」と説明されることもありますが、美容室におけるコンセプトは「その美容室が提供する価値や方向性を示し、全体を通しての一貫した構想」を意味します。

キャッチコピーとは、人の注意を引く宣伝文句のことです。キャッチフレーズと同じ意味として扱われ、「客をひきつけるうたい文句」と説明されることもありますが、美容室におけるキャッチコピーは「そのお店のコンセプトを伝えるために工夫された宣伝文句」を意味します。

なお、美容室のコンセプトを設計するときは、主題となるテーマから考える方法があります。テーマをコンセプトに落とし込む流れになるため、美容室のコンセプトを作りたい人はテーマやキャッチコピーとの違いを確認しておきましょう。

美容室のコンセプトを作るときの手順

コンセプトの作り方に決まりはありませんが、いくつかの工程に分けることにより、段階的にコンセプトを作ることができます。美容室のコンセプトを作りたい人は、まずはコンセプトを作るときの手順を確認してみましょう。

【美容室のコンセプトを作るときの手順】

  1. お店の主題となるテーマを決める
  2. テーマをコンセプトに落とし込む
  3. 設計したコンセプトを見直す

いくつかの工程に分けることにより、段階的にコンセプトを作ることができます。各工程が前後したり並行したりすることも、美容室のコンセプトを作りたい人は各工程を確認してみましょう。

①まずは主題となるテーマを決める

段階的にコンセプトを作る場合、まずは主題となる美容室のテーマを決めます。テーマをもとにコンセプトを作る流れになるため、美容室のコンセプトを作りたい人はテーマの案を書き出してみましょう。

【美容室のテーマの例】

開業の動機 テーマの例
仕事の忙しい女性が短時間でもリラックスできる美容室を作りたい 働く女性がひと息つける美容室
子育て中の親子が気兼ねなく通えるアットホームな美容室を作りたい 親子が楽しく過ごせるアットホームな美容室
頭髪や頭皮に悩みのある人が人目を気にせずに通える美容室を作りたい 人目を気にせず過ごせる隠れ家のような美容室

テーマを書き出すときは、美容室を開業する動機を振り返ることも方法のひとつです。美容室を開業する動機を振り返ることにより、開業の根幹にあたる部分を掘り下げることになるため、テーマとなる要素が見えてくることがあります。

また、テーマが思い浮かばないときは、美容室のターゲットとなる人物像を考えることも方法のひとつです。ターゲットとなる人物像を考えつつ、その顧客の人物像から美容室をイメージすることにより、テーマとなる要素が見えてくることがあります。

なお、テーマを決めるときのポイントはどんどん書き出すことです。あらゆるアイデアを挙げることにより、テーマとなる要素が発見できることがあるため、まずは良し悪しを判断せずにテーマの案をどんどん書き出してみましょう。

テーマを決めるときは他の業種と掛け合わせる方法もある

美容室のテーマを決めるときは、他の業種と掛け合わせることも方法のひとつです。他の業種と掛け合わせることにより、競合となる店舗との差別化を図れ、その美容室ならではの独自性につながることも考えられるからです。

たとえば、美容室とコインランドリーを掛け合わせた場合、「洗濯の待ち時間に施術を受けられる美容室」といったテーマも考えられます。洗濯の待ち時間に施術を受けることにより、時間を有効活用できるため、競合する美容室との差別化を図れるかもしれません。

また、美容室とカフェを掛け合わせた場合、「施術の前後にドリンクやスイーツを楽しめる美容室」といったテーマも考えられます。美容師がおすすめしたいドリンクやスイーツを提供することにより、その美容室の独自性につながるかもしれません。

その他には、ネイルサロンやアイラッシュサロンなど、美容に関連する業種と掛け合わせる方法もあります。その業種に特化した人との共同経営になる可能性もありますが、独自性を追求したい人は他の業種と掛け合わせることも検討してみましょう。

②次はテーマをコンセプトに落とし込む

主題となるテーマを決めた後は、次の工程としてテーマをコンセプトに落とし込みます。コンセプトはお店から顧客に対してのメッセージにもなるため、テーマをコンセプトに落とし込むときは、まずは伝えたいメッセージを言語化してみましょう。

【美容室のコンセプトの例】

テーマの例 コンセプトの例
働く女性がひと息つける美容室 忙しい女性に美と癒しを
親子が楽しく過ごせるアットホームな美容室 家族そろって楽しく綺麗に
人目を気にせず過ごせる隠れ家のような美容室 キレイになれる隠れ家

コンセプトを言語化するときのコツは、誰に何を伝えたいのかを整理することです。主題となるテーマから顧客となる人物像を考え、伝えたい内容を整理することにより、コンセプトとして伝えたいメッセージが見えてくることがあります。

また、コンセプトが思い浮かばないときは、他の美容室のコンセプトを参考にすることも方法のひとつです。有名店や人気店など、他の美容室のコンセプトを参考にすることにより、伝えたいメッセージを言語化するときのヒントを得られる可能性があります。

コンセプトには、その美容室に対する想いや考えが反映されます。テーマとの整合性が重要になるため、テーマをコンセプトに落とし込むときは、それぞれを照らし合わせながら伝えたいメッセージを言語化するところから始めてみましょう。

テーマを落とし込むときはコンセプトシートを作成する方法もある

テーマをコンセプトに落とし込むときは、コンセプトシートを作成することも方法のひとつです。テーマをコンセプトに落とし込めなかった人はフレームワークの「5W2H」の視点からコンセプトシートを作成してみましょう。

【コンセプトシートのイメージ】

たとえば、開業の根幹にあたる要素は「Why(なぜ)」に該当します。「なぜ美容室を始めるのか?」「なぜこの施術内容なのか?」「なぜこの店舗名なのか?」など、開業の根幹にあたる要素は「Why(なぜ)」に当てはめることになります。

また、サービスの内容にあたる要素は「What(何を)」に該当します。「施術の特徴は?」 「施術のメニューは?」「施術以外のサービスは?」など、サービスの内容にあたる要素は「What(何を)」に当てはめることになります。

テーマをコンセプトに落とし込むときは、コンセプトシートを作成することも方法のひとつです。コンセプトに取り入れる要素を整理できるため、テーマをコンセプトに落とし込めなかった人はンセプトシートを作成することも検討してみましょう。

③最後は設計したコンセプトを見直す

テーマをコンセプトに落とし込めた後は、最後の工程としてコンセプトを見直します。設計したコンセプトに違和感がある場合は再考する余地があるため、コンセプトを見直すときは違和感があるかどうかを確認してみましょう。

【コンセプトを見直すときのポイント】

  • テーマとコンセプトの整合性はとれているか?
  • 事業として実現できるコンセプトになっているか?
  • メッセージとして伝わるコンセプトになっているか?

たとえば、事業として実現できるコンセプトになっているかどうかは、設計したコンセプトを見直すときのひとつのポイントです。事業として実現が難しい場合はその価値を顧客に提供できず、現実味のないコンセプトになってしまいます。

また、メッセージとして伝わるコンセプトになっているかどうかは、設計したコンセプトを見直すときのもうひとつのポイントです。メッセージとして伝わりにくい場合はその想いや考えが顧客に届かず、お店の魅力も伝えきれないかもしれません。

設計したコンセプトに違和感があるときは再考する余地があります。その価値を顧客に提供できず、その想いや考えが顧客に届かないことも考えられるため、設計したコンセプトに違和感がある人はコンセプトを見直すことを検討してみましょう。

設計したコンセプトを見直すときは知識や経験のある人から意見をもらう方法もある

設計したコンセプトを見直すときは、知識や経験のある人から意見をもらう方法もあります。美容に関する知識や経験がある人から意見をもらうことにより、自らは気付かなかった新しい視点が見つかることもあるからです。

たとえば、美容室の経営者が身近にいる場合、その人から意見をもらえるかもしれません。経営者の視点からヒントやアドバイスをもらえる可能性があるため、美容室の経営者が身近にいる人はその人に相談することも方法のひとつです。

また、美容師の先輩や友人が身近にいる場合、その人から意見をもらえるかもしれません。美容師の経験からヒントやアドバイスをもらえる可能性があるため、美容師の先輩や友人が身近にいる人はその人に相談することも方法のひとつです。

知識や経験のある人から意見をもらうことにより、自らは気付かなかった新しい視点が見つかることもあります。設計したコンセプトに違和感があるときは、美容に関する知識や経験がある人から意見をもらうことも検討してみましょう。

美容室のコンセプト一覧表

今回は美容室のコンセプトを一覧表にしました。10店舗のコンセプトを紹介しているため、美容室におけるコンセプトの具体例が知りたい人は参考にしてみてください。

【美容室のコンセプト一覧表】

店舗名 コンセプト
BEAUTY CELLAR BY HOLLYWOOD 「女はいつも楽しく美しく」
BUMP GINZA 「忙しい女性の毎日がもっと輝くように」
SHIFT 「男のおしゃれ、男のヘアスタイルを追求する男性専門美容室。」
BAYAKA HAIR DESIGN MEN’S 「通い続けたいと思う、特別なメンズサロン」
Musee 「カットに始まりカットに終わる。サロンワークのすべての基本はカットである。」
THEATER 「お客様一人一人が持つ物語【人生】に彩りを与え上映【お手伝い】できるサロンに。」
hair lounge BEACH 「ナチュラル&フェミニン」
cobby 「美しく、新しく、健やかに」
VEGA 「お客様の心身両面の快感の追及」
SIKI 「お客さまとスタイリストの相互扶助の関係で、最高のスタイルを一緒につくりあげる」

今回紹介したコンセプトには、美容室から顧客に対するメッセージが込められています。いずれも参考になるコンセプトとなるため、気になるコンセプトがあった人はお店のホームページを覗いてみることも検討してみてください。

コンセプトは美容室の特長を伝えるアピールポイントにもなる

コンセプトは、その美容室の特長を伝えるアピールポイントにもなります。コンセプトを伝える機会はいろいろあるため、コンセプトを考えている人は美容室の特長を伝えるアピールポイントにもなることを念頭に置いておきましょう。

たとえば、美容室を紹介する目的としてホームページを活用する場合、ホームページにコンセプトを掲載することも方法のひとつです。お店からのメッセージとしてコンセプトを掲載することになるため、美容室の特長をアピールすることができます。

また、美容室を紹介する目的としてSNSを活用する場合、TwitterやInstagramなどのSNS上からコンセプトを発信することも方法のひとつです。宣伝の一環としてコンセプトを発信することになるため、美容室の特長をアピールすることができます。

設計したコンセプトを伝える機会はさまざまです。テレビや雑誌などのメディアに取り上げられ、コンセプトが紹介されることも考えられるため、美容室のコンセプトを作成している人は世に知られる可能性においても考慮しておきましょう。

まとめ

美容室におけるコンセプトとは、そのお店が提供する価値や方向性を示したものです。コンセプトはそのお店が提供する価値や方向性を示し、顧客に対してのメッセージにもなるため、コンセプトを作ることは美容室を開業するための第一歩とも言えます。

また、コンセプトを設計するときは、いくつかの工程に分けることにより、段階的にコンセプトを作ることができます。美容室のコンセプトを作りたい人は主題となるテーマを決めた後、そのテーマをコンセプトに落とし込むことを考えてみてください。

なお、コンセプトはお店の特長を伝えるアピールポイントにもなります。テレビや雑誌などのメディアに取り上げられ、コンセプトが紹介されることも考えられるため、美容室のコンセプトを作成している人は世に知られる可能性においても考慮しておきましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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