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美容室の開業における設備の導入手順を解説

美容室を開業予定の人の中には、店舗に導入する設備を確認したい人もいますよね。また、設備を導入するときの手順が知りたい人もいるでしょう。

当記事では、美容室の開業における設備の導入手順を解説します。設備の導入手段も紹介するため、美容室の設備に関する情報が知りたい人は参考にしてみてください。

まずは設備を導入するときのポイントを押さえる

設備を導入するときのポイントを押さえておかなければ、美容室を開業できないことも考えられます。店舗に導入する設備を揃えたい人は、まずは設備を導入するときのポイントを押さえておきましょう。

【設備を導入するときのポイント】

  • 設備の種類
  • 設備の条件

設備を導入するときのポイントは「設備の種類」と「設備の条件」です。これらのポイントを押さえておかなければ、美容室を開業できないことも考えられるため、美容室を開業予定の人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

設備の種類

美容室を開業するには、あらゆる設備を導入する必要があります。「いくつかのタイプに分けられる設備」や「顧客満足度に影響を与える設備」も含まれるため、美容室を開業予定の人は設備を導入するときのポイントとして設備の種類を確認しておきましょう。

【美容室における設備の種類】

項目 具体例
洗髪設備 シャンプー台
給湯設備 ボイラー
空調設備 エアコン
換気設備 換気扇
給水設備 給水管
排水設備 排水管
流水設備 流水装置
消毒設備 消毒器具
照明設備 シーリングライト
音響設備 スピーカー

たとえば、「洗髪設備」は美容室における設備のひとつです。とくに、シャンプー台は「サイドシャンプー台」「バックシャンプー台」「フルフラットシャンプー台」のタイプがあるため、シャンプー台を導入するときはそれぞれの特徴を押さえる必要があります。

また、美容室の設備として挙げられるのは「換気設備」です。とくに、換気扇はカラー剤やパーマ剤などの香りが強い薬剤を使用する関係上、顧客満足度に影響を与える可能性もあるため、換気扇を導入するときは機能性を考慮する必要があります。

なお、美容室の場合は設置が義務付けられている設備があります。規定内容が保健所ごとに異なることもあるため、まずは開業予定地を管轄する保健所の公式サイトから設置が義務付けられている設備の詳細を確認してみましょう。

サービス内容次第となる設備もある

美容室を開業するときは設備を導入することになりますが、サービス内容次第となる設備もあります。想定している美容室によるため、独自のサービスを考えている人はサービス内容に応じた設備を導入することも検討してみましょう。

たとえば、お子さんがいるお客様に向けたサービスを考えている場合、キッズスペースを設けることも選択肢のひとつです。安全面の配慮は必要ですが、キッズスペースを設けることにより、お子さんがいるお客様も来店しやすくなる可能性があります。

また、ワンちゃんがいるお客様に向けたサービスを考えている場合、ペット用のスペースを設けることも選択肢のひとつです。安全面の配慮は必要ですが、ペット用のペースを設けることにより、ワンちゃんがいるお客様も来店しやすくなる可能性があります。

美容室を開業するときはあらゆる設備を導入することになりますが、サービス内容次第となる設備もあります。独自のサービスを考えている人は開業後の店舗をイメージしつつ、サービス内容に応じた設備を導入することも検討してみましょう。

設備の条件

美容室を開業するには、あらゆる設備の条件を満たしている必要があります。保健所は設備の条件となる「構造設備基準」を定めているため、美容室を開業予定の人は設備を導入するときのポイントとして設備の条件を確認しておきましょう。

【美容室における構造設備基準の有無】

項目 設備基準の有無
洗髪設備 あり
給湯設備 あり
空調設備 あり
換気設備 あり
給水設備 あり
排水設備 あり
流水設備 あり
消毒設備 あり
照明設備 あり
音響設備 なし

※厚生労働省の公式サイトにあるPDF資料「理容所及び美容所における衛生管理要領」をもとに株式会社Solabo作成

たとえば、洗髪設備の場合は「洗髪と洗顔を行える流水式の設備を設けること」といった条件が定められています。「洗髪設備は十分な大きさと強度を有すること」「洗髪設備は洗い場と別に設置すること」など、より具体的な条件が定められている場合もあります。

また、消毒設備の場合は「消毒器具を設けること」といった条件が定められています。「消毒済みの器具の収納戸棚があること」「未消毒の器具の収納容器があること」など、より具体的な条件が定められている場合もあります。

なお、構造設備基準の詳細は開業予定地を管轄する保健所によっても異なります。定義や解釈が保健所ごとに異なる可能性もあるため、まずは開業予定地を管轄する保健所の公式サイトから構造設備基準の詳細を確認してみましょう。

設備の条件は保健所によっても異なる

美容室を開業するときは設備の条件を満たしている必要がありますが、設備の条件は開業予定地を管轄する保健所によっても異なります。設備の条件は「美容師法」と「美容師法施行規則」に加え、「都道府県(または政令指定都市や特別区)の美容師法施行条例」をもとに決まるからです。

たとえば、東京都練馬区の美容室の設備における根拠法令は「美容師法」「美容師法施行規則」「練馬区美容師法施行条例」です。設備の条件は「美容師法」と「美容師法施行規則」に加え、東京都練馬区が定める「練馬区美容師法施行条例」をもとに決まります。

一方、東京都葛飾区の美容室の設備における根拠法令は「美容師法」「美容師法施行規則」「葛飾区美容師法施行条例」です。設備の条件は「美容師法」と「美容師法施行規則」に加え、東京都葛飾区が定める「葛飾区美容師法施行条例」をもとに決まります。

なお、美容室を開業する場合は保健所の担当者の立ち入り検査を受けることになります。導入した設備が構造設備基準に適合しているかどうかを確認されるため、まずは開業予定地を管轄する保健所の公式サイトから立ち入り検査の詳細を確認してみましょう。

次は導入手段を考えてみる

美容室を開業するときはあらゆる設備を導入することになりますが、設備の導入手段もいくつかあります。設備を導入するときのポイントを押さえた人は次の工程として設備の導入手段を考えてみましょう。

【設備の導入手段】

  • 購入する方法
  • 借りる方法

設備の導入手段として挙げられるのは「購入する方法」と「借りる方法」です。いずれもメリットとデメリットが存在するため、設備を導入するときのポイントを押さえた人は設備の導入手段としてそれぞれの項目を確認してみましょう。

購入する方法

設備を導入するときの手段として挙げられるのは「購入する方法」です。設備を購入する場合は「新品」と「中古品」に分けられますが、それぞれ一長一短の側面があるため、美容室を開業予定の人は新品と中古品のメリットとデメリットを比較してみましょう。

【設備を購入する場合のメリットとデメリットの例】

項目 メリットとデメリット
新品 <メリット>
・中古品と比較した場合は保証が充実している
・中古品と比較した場合は高い性能を備えている
<デメリット>
・中古品と比較した場合は金額が高い
・中古品と比較した場合は導入期間が長い
中古品 <メリット>
・新品と比較した場合は導入期間が短い
・新品と比較した場合は金額を抑えられる
<デメリット>
・新品と比較した場合は傷や汚れがある
・新品と比較した場合は保証期間に差がある

新品の設備を購入するメリットは「中古品と比較した場合は保証が充実している」「中古品と比較した場合は高い性能を備えている」といった点です。一方、新品の設備を購入するデメリットは「中古品と比較した場合は金額が高い」「中古品と比較した場合は導入期間が長い」といった点です。

中古品の設備を購入するメリットは「新品と比較した場合は導入期間が短い」「新品と比較した場合は金額を抑えられる」といった点です。一方、中古品の設備を購入するデメリットは「新品と比較した場合は傷や汚れがある」「新品と比較した場合は保証期間に差がある」といった点です。

新品と中古品では、それぞれ一長一短の側面があります。メリットとデメリットはその他にも考えられるため、美容室の設備を購入するときは新品と中古品を比較しつつ、希望条件と予算を照らし合わせながら決めることを検討してみましょう。

借りる方法

設備を導入するときのもうひとつの手段として挙げられるのは「借りる方法」です。購入する方法と同様、借りる方法も一長一短の側面があるため、美容室を開業予定の人は購入する方法と借りる方法のメリットとデメリットを比較してみましょう。

【設備を借りる場合のメリットとデメリットの例】

項目 具体例
メリット ・購入するよりも導入期間が短い
・購入するよりも金額を抑えられる
デメリット ・購入するよりも選択肢が限られる
・購入するよりも整備の回数が多い

借りる方法を選択するメリットは「購入するよりも導入期間が短い」「購入するよりも金額を抑えられる」といった点です。いずれも傾向としてのメリットですが、導入期間が気になる人や製品価格が気になる人は借りる方法を検討する余地があります。

借りる方法を選択するデメリットは「購入するよりも選択肢が限られる」「購入するよりも整備の回数が多い」といった点です。いずれも傾向としてのデメリットですが、選択肢を広げたい人や長期保有を考えている人は購入する方法を検討する余地があります。

なお、美容室の設備を導入するときはリースも選択肢のひとつです。レンタルと比較した場合は途中解約できず、料金が割高になるおそれもありますが、月々の一定額を支払う点はレンタルと同様のため、借りる方法を検討するときはリースも考えてみましょう。

設備費用は物件によっても異なる

美容室を開業するときはあらゆる設備を導入することになりますが、設備費用は物件によっても異なります。美容室を開業予定の人は設備費用の視点から物件ごとの特徴を確認してみましょう。

【設備費用の視点から見た物件ごとの特徴】

項目 物件の状態 設備費用の傾向
居抜き物件 以前の内装や設備が残る状態 設備費用を抑えられる
スケルトン物件 構造躯体だけの骨組みの状態 設備費用がかさむ

居抜き物件とは、以前の内装や設備が残る状態の物件です。居抜き物件の場合は設備の整備や修理が必要になることもありますが、以前の内装や設備が残る状態となるため、内装工事費用が抑えられることにより、設備費用も抑えられる傾向があります。

スケルトン物件とは、構造躯体だけの骨組みの状態の物件です。スケルトン物件の場合は設備を自由に設計できる点はありますが、構造躯体だけの骨組みの状態となるため、内装工事費用がかさむことにより、設備費用もかさむ傾向があります。

なお、設備費用を抑えたい人は居抜き物件が選択肢として挙げられますが、備え付けの設備を使用できるかどうかは物件のオーナーさんの意向にもよります。居抜き物件を検討する場合は設備に関する契約内容を確認しておきましょう。

居抜き物件を検討する場合は設備の状態を確認する

居抜き物件は以前の内装や設備が残る状態の物件ですが、古い設備の場合は修理や交換が必要になることも考えられます。設備費用として修理費用や交換費用が発生するおそれもあるため、居抜き物件を検討するときは内見時に設備の状態を確認しておきましょう。

【居抜き物件に備え付けられている設備の例】

項目 具体例
洗髪設備 シャンプー台
給湯設備 ボイラー
給水設備 給水管
排水設備 排水管
空調設備 エアコン
音響設備 スピーカー

設備の状態を確認するときのポイントは、構造設備基準の観点から見てみることです。構造設備基準の観点から設備の状態を見つつ、構造設備基準に適合しているかどうかを確認することにより、修理や交換の必要性を判断できます。

また、設備の状態を確認するときのもうひとつのポイントは、不動産会社の担当者に聞いてみることです。不動産会社の担当者に設備の状況を聞きつつ、自らの目でも汚れや破損を確認することにより、修理や交換の必要性を判断できます。

居抜き物件は以前の内装や設備が残る状態の物件ですが、古い設備の場合は修理や交換が必要になることも考えられます。設備費用として修理費用や交換費用が発生するおそれもあるため、居抜き物件を検討するときは内見時に設備の状態を確認しておきましょう。

まとめ

設備を導入するときのポイントは「設備の種類」と「設備の条件」です。これらのポイントを押さえておかなければ、美容室を開業できないことも考えられるため、美容室を開業予定の人は「設備の種類」と「設備の条件」を押さえておきましょう。

また、設備の導入手段として挙げられるのは「購入する方法」と「借りる方法」です。いずれも一長一短の側面があるため、設備の導入手段を決めるときは「購入する方法」と「借りる方法」のメリットとデメリットを比較してみてください。

なお、設備費用は物件によっても異なります。設備費用を抑えたい人は居抜き物件が候補として挙げられますが、古い設備の場合は設備費用として修理費用や交換費用が発生するおそれもあるため、居抜き物件を検討するときは内見時に設備の状態を確認しましょう。

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この記事の監修者

田原 広一(たはら こういち)

株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者

田原 広一(たはら こういち)

平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計6,000件以上(2023年2月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

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