美容室を開業する流れと必要な準備を解説

美容室を開業する流れと必要な準備を解説 2018.06.26起業のための資金調達 – 美容(美容院・ネイル・エステ・フィットネス)
美容 室 開業

独立して美容室を開業したいけど、どういった流れで進めればいいか知りたい人もいますよね。美容室のオーナーになるために必要な準備としてどういったものがあるのかを知りたい人もいるでしょう。

美容室を開業しても、資金不足や経営に不慣れなことにより失敗してしまうケースがあります。どういった美容室が失敗してしまうのかを理解したうえで、自身の美容室オープンに向けて準備を進めるようにしましょう。

当記事では、美容室を開業するまでの流れと必要な準備を解説します

美容室の開業で失敗する要因

美容室の開業で失敗する要因としては、主に次の2つが挙げられます。

  • 計画が甘く資金不足になってしまう
  • 経営に不慣れで店舗運営ができない

美容室の開業に向けて、起こりうる失敗を理解したうえで、準備を進めるようにしましょう。

計画が甘く資金不足になってしまう

開業前に立てていた資金計画が甘く、美容室を運営していくための資金が不足してしまうケースがあります。開店したけど、思ったよりもお客さんが来ないといった事態が生じる場合があるためです。

美容室を維持するためには「家賃」「水道光熱費」「広告宣伝費」などを毎月支払う必要がありますが、開店当初から売上が軌道に乗るとは限りません。

開店後半年から1年間は赤字になることを想定して、毎月の支払いができるように資金を準備しておくと、早期に潰れることを防げるでしょう。

経営に不慣れで店舗運営ができない

美容に関する知識や技術があったとしても、美容室を経営できるとは限りません。店舗運営をしていくためには、売上や経費などの数字を分析し、経営状況を把握しなければならないためです。

売上が伸びていたとしても、経費がかかり、結果として赤字になってしまうといったケースがあります。 

数字の見方や経営知識に不安がある場合は、勤務先のオーナーや独立している美容師の知り合いに教えてもらうといったように、経営に関することを相談できる相手を探しておくと良いでしょう。

美容室を開業するまでの流れ

美容室を開業するまでの流れとしては、次の通りです。

  1. メインターゲットを決める
  2. 店舗物件を探す
  3. 資金調達を行う
  4. 内装工事をする
  5. 美容機器を購入する
  6. 保健所に届出を行う
  7. 税務署に開業届を提出する
  8. 広告宣伝を行う
  9. オープンする

初めての起業であれば、慣れない作業ばかりで、さまざまなことを決めなくてはいけません。そのため、美容室を開店するためには、オープン予定の1年以上前から準備しましょう

スケジュールに余裕を持っていないと、悩む時間が限られ、急いで決めなくてはいけなくなり、後々後悔することにもなりかねません。また、オープンが遅れると、無駄な経費が発生してしまう可能性があります。

開店までの流れを把握し、余裕を持って準備を進められるようにしましょう。 

経験をもとにしてメインターゲットを決める

経験をもとにしてメインターゲットを決めましょう。メインターゲットが決まると、店舗の場所が決まってくるためです。

今までの美容師としての経験の中で得意とする、または強みがあるメニューやサービスに対して、需要がある人をターゲットにします。

たとえば「髪質改善と縮毛矯正に自信がある」といった強みの場合、「10台後半~30代」をターゲットに設定するといったイメージです。この場合、「カットと髪質改善をセットにしたメニュー」「髪質に合わせたトリートメントの販売」といったサービスの提供を検討します。

今までの美容室での勤務経験をもとに、どういった人に来てほしいかを考慮したターゲットを設定しましょう。

ターゲットに合わせて店舗物件を探す

ターゲットに合わせて店舗物件を探しましょう。ターゲットを集客するうえで、店舗場所が影響する可能性があるからです。

一人美容室であっても、シャンプー台やセット面などの設置を考えると、10坪以上が必要になります。

店舗はエリアや「駅近」「路面店」「ビルの空中階」「住宅街にある」などの条件によって、家賃や契約するために必要な費用が異なります。

人が集まるエリアは集客がしやすい反面、家賃が高額に設定されている傾向があります。一方で、駅から遠い、または路地裏にある物件などは集客がしにくいが、家賃を抑えられる傾向があります。

店舗周辺の人口統計や競合店舗を調査したうえで、ターゲットが来店しやすい場所なのかを含めて決めるようにしましょう。

また、勤務先の美容室に近い店舗物件を候補として検討するケースがありますが、美容室によっては競業避止義務を定めていて、近くに出店できない契約になっている場合があります。後々トラブルにならないように、勤務先に確認してから検討しましょう。

初期費用を抑えるために居抜き物件を検討する

居抜き物件とは、以前に営業していた店舗の設備や機器などを譲り受けることができる物件のことを指します。

美容室の居抜き物件であれば、シャンプー台やセット面などをそのまま使える場合があります。計画する美容室とは異なる可能性がありますが、初期費用を抑えられ、状態次第ではオープンまでのスケジュールを短縮することができます。

初期費用を抑えて早期に開店を目指す場合は、居抜き物件も検討してみると良いでしょう

自宅で開業することで店舗を維持する費用を抑えられる

地域に根差した美容室であれば、自宅での開業も選択肢のひとつです。自宅で開業することで、店舗を維持する費用を抑えられる場合があります。毎月の家賃の支払いが不要になるためです。

また、自宅の場合、店舗物件を契約する必要がないため、初期費用も抑えられる可能性があります。

しかし、自宅で美容室を開業した場合、集客がしにくい傾向があります。自宅住所を公開しなければならず、お客さんによっては自宅を訪れることに抵抗を感じるケースがあるからです。

また、不特定多数の人が来店することから、近隣住民や家族とトラブルになるケースもあります。

自宅での開業は、近隣住民や家族の理解を得てから検討しましょう

資金が不足している場合は資金調達を行う

手元資金が不足している場合には、金融機関から調達を行いましょう。美容室を開業するためには1,000万円以上の資金が必要となるためです。

美容室を開業する際に、主に次の金融機関を利用します。

  • 日本政策金融公庫
  • 信用金庫
  • 銀行

金融機関ごとに独自の審査基準を設けていて、貸すかどうかの判断をしています。主に「貯めてきた自己資金」「経験」「事業計画」などが審査対象になる傾向があるため、より多くの自己資金を準備し、かつ金融機関に実現性を感じさせるような事業計画を作成するなどの準備をしてみてください。

初めて事業計画を作成する場合はとくに作成時間がかかることを想定し、なるべく早めに取り掛かるようにしましょう。勤務先のオーナーにアドバイスを受けられるようであれば、参考にしてみると良いでしょう。

美容室の内装工事は費用がかかる

美容室の内装工事は、他の業種業態と比較すると費用がかかる傾向にあります。美容室として満たさなければならない設備基準が設けられているからです。

美容室の内装工事としては、主に「床」「壁」「電気」「ガス」「水道」「給排水」「トイレ」「照明」「空調」などが挙げられます。加えて、資材や店舗デザインにこだわることで、500万円~800万円以上の内装工事費用がかかるケースがあります。

たとえば、木材を使ったナチュラル系のデザインや、SNS映えを狙いポップなデザインにするといったイメージです。

デザインにこだわることはメインターゲットを集客するうえで重要です。しかし、内装工事に充てられる資金が限られている場合は、デザインよりも、美容室を開業するために必要な基準を満たしたうえで導線や機能性を優先するのが良いでしょう。

内装だけでなく、インテリアや雑貨を用いて雰囲気作りをすることで、費用を抑えられるケースもあります。

美容室の内装工事の実績が豊富な業者であれば、満たすべき基準と導線を踏まえた提案をしてもらえる場合があります。内装業者を探すときは、美容室の内装工事の実績を確認するようにしましょう。

美容商材の仕入先を選定する

提供するメニューに必要な美容商材の仕入れ先を選定しましょう。美容室では主に「カラー剤」「パーマ剤」「シャンプーやトリートメントなどのヘアケア」「ワックス、スプレー、ジェルなどのスタイリング剤」が必要です。

主な仕入れ先としては、美容ディーラーまたは卸問屋が挙げられます。美容ディーラーは「流行りや最新情報を把握している」「新商品を試せる」「小ロットでも購入できる」といった特徴があります。一方、卸問屋は値段を抑えて仕入れられるのが特徴です。

使いたい美容商材が決まっている場合は取り扱っている卸問屋を選び、決まっていない場合は美容ディーラーと相談しながら決めるのが良いでしょう。また、現在の勤務先で美容ディーラーや卸問屋との付き合いがあれば、紹介してもらうのも良いです。

最低限必要な美容機器のみを購入する

美容室を開業するうえでは「セット面」「椅子」「はさみ」「ドライヤー」「ヘアースチーマー」「デジタルパーマ機器」「タオルウォーマー」、そして提供するサービスやメニューに応じて必要な機器を準備しなければなりませんが、最低限必要な機器のみを購入しましょう。開店当初からすべてを揃えると、初期費用がかかってしまうためです。

購入したものの需要がなく、使わないといったケースがあります。

内装工事や広告宣伝に対して優先的に資金を充てて、売上が安定してからお客さんの要望次第で徐々に機器を揃えていくことを検討しましょう

美容室に合わせたシャンプー台を購入する

美容室を開業するにあたって、シャンプー台にこだわる傾向があります。シャンプー台は美容室に必要な設備の中でも高額であり、かつお客さんの満足度に影響を与える場合があるためです。

シャンプー台の種類ごとに特徴を比較したのが、次の通りです。

【シャンプー台の特徴】

種類

特徴

目安金額

サイドシャンプー

カラー剤やパーマ剤も短時間で洗い流すことができる

25~60万円

バックシャンプー
(リアシャンプー)

お客さんの体に負担がかかりにくく、シャンプーだけでなく、マッサージにも向いている

30~60万円

フルフラットシャンプー

バックシャンプーよりもお客さんの負担を抑えられ、長時間のヘッドスパにも向いている

50~110万円

回転率を上げてより多くのお客さんに対応したい場合はサイドシャンプーを選び、マッサージやヘッドスパも提供するのであれば、バックシャンプーを選びましょう。

また、ヘッドスパを看板メニューとして提供するのであれば、フルフラットシャンプーを選ぶのが良いです。

保健所に開設届を提出する

管轄の保健所に開設届を提出しましょう。美容師法によって、美容所を開設するときは都道府県知事に届け出なければならないと定められているからです。

保健所に届け出る際に、必要な書類は次の通りです。

  • 開設届
  • 構造設備の概要
  • 施設の平面図
  • 従事者名簿
  • 美容師免許証
  • 健康診断書
  • 管理美容師の講習会修了証
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 手数料(東京都千代田区の場合16,000円)

開設届は自治体の公式サイトからダウンロードできます。また、自治体によって必要書類や手数料が異なる場合があるため、管轄の保健所に問い合わせをするようにしましょう。 

税務署に開業届を提出する

管轄の税務署に開業届を提出しましょう。所得税法によって、開業届を出すことが義務付けられているためです。

開業届のフォーマットは国税庁の公式サイトからダウンロードできます。管轄する税務署は、国税庁の公式サイト「税務署の所在地などを知りたい方」で調べられるので、確認してみてください。

ホットペッパービューティーやSNSで広告宣伝を行う

開店に向けて広告宣伝を行いましょう。美容室の存在を知ってもらわないと、お客さんが来店することはないからです。

美容室における主な集客方法としては、ホットペッパービューティーとSNSが挙げられます。ホットペッパービューティーに掲載するのに費用がかかりますが、ホームページ代わりにもなるため、開店当初は利用を検討すると良いでしょう。

また、SNSの中でもインスタグラムやTikTokに、自身が担当したカットやカラー後のお客さんの写真や動画を載せるのが効果的です。セットの仕方や髪の悩みに関してアドバイスをすることで、ファンを増やすことにつながる場合もあります。

他にもメインターゲットによってはチラシを活用するといった方法も挙げられます。ホットペッパービューティーやSNSだけでなく、自身が想定するターゲットに合わせた広告宣伝を行いましょう

美容室の開業資金としては1000万円以上必要

美容室の開業資金としては1,000万円以上が必要になる場合がありますが、店舗の「場所」「内装」「規模」によって異なります。

一人美容室の場合でも場所や内装によっては1,000万円程度かかる場合があります。また、従業員を雇用する場合は店舗の広さだけでなく、シャンプー台やセット面も従業員数に応じて準備するため、2,000万円近くの資金が必要になる場合もあります。

美容室を開業するための資金については「美容室を開業するためにはいくら必要?資金調達から立地や段取りまで」で解説していますので、参考にしてみてください。

従業員を雇う場合は管理美容師が必要

一人美容室の場合は美容師免許があれば開業できますが、従業員を雇用する場合は管理美容師の取得が必要になります。美容師法によって管理美容師の設置が定められているからです。

管理美容師の取得に際しては、美容室免許取得後3年以上の実務経験と講習会の受講が必要です。講習会は理容師美容師試験研修センターの公式サイトから申し込むことができます。

また、管理美容師は一度取得すれば、更新の手続きは不要です。開業当初は一人美容室であっても、状況に応じて従業員の雇用を検討する場合が考えられます。

そのため、独立を検討している場合は事前に管理美容師は取得しておくのが良いでしょう。

労働保険の届出も必要になる

従業員を雇用する場合には、労働保険(労災保険と雇用保険)の加入も必要になります。

加入するためには、労働基準監督署やハローワークでの手続きを行いますが、必要な書類は状況によって異なる場合があります。

手続きに不安がある場合は、社会保険労務士に依頼すると良いでしょう。

資金や経営に不安であればシェアサロンでの独立を検討する

資金や経営に不安があれば、シェアサロンでの独立を検討しましょう。シェアサロンとは、店舗を持たない美容師が美容室の設備を有料でレンタルできるサービスです。

シェアサロンであれば、初期費用をかけずに美容師として独立ができます。

まずはシェアサロンで独立し、資金を貯めつつ集客や経営などの知識をつけたうえで、店舗を構えるという選択肢があることも覚えておきましょう。

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
平成22年8月、資格の学校TACに入社し、以降5年間、税理士講座財務諸表論講師を務める。
平成24年8月以降 副業で税理士事務所勤務や広告代理事業、保険代理事業、融資支援事業を経験。
平成27年12月、株式会社SoLabo(ソラボ)を設立し、代表取締役に就任。
お客様の融資支援実績は、累計4,500件以上(2021年7月末現在)。
自身も株式会社SoLaboで創業6年目までに3億円以上の融資を受けることに成功。

【書籍】
2021年10月発売 『独立開業から事業を軌道に乗せるまで 賢い融資の受け方38の秘訣』(幻冬舎)

【運営サイト】
資金調達ノート » https://start-note.com/
創業融資ガイド » https://jfc-guide.com/
経営支援ガイド » https://inqup.com/