不動産業は運転資金の融資が難しいって本当?

不動産業は運転資金の融資が難しいって本当? 起業後の資金調達 – 不動産(販売・仲介・内外装・リフォーム)
運転資金の融資を受けにくいと言われる不動産業で融資を受ける秘訣

不動産業の資金調達方法とは?

不動産業者に銀行が融資する場合、それが運転資金だと慎重になるようです。通常、不動産業を開業するには ①物件取得費などの設備資金 ②会社設立のための資本金や書類作成費用 ③宅地建物取引士の資格取得や宅建協会加入費用 ④毎日の運営に必要な人件費や光熱費などの運転資金   と、4つの資金が必要です。この中で、開業後も継続的に必要となるのは運転資金です。しかし、銀行など一部の金融機関では不動産業の運転資金の融資に限って「キケン」と融資を拒否するケースがあります。なぜでしょうか

1.不動産業で運転資金は不要?!説の理由とは

①1つ目の理由

不動産業では担保なしで運転資金の融資を受けるのは難しいのは有名な話です。なぜかと言うと、銀行が不動産業で運転資金が不要と考えているからです。

なぜ、銀行は不動産業で運転資金が不要と考えているのでしょうか?その理由の一つは、不動産業が何かを仕入れて販売する小売業や飲食業とは異なるからです。不動産業で実際に行われることは、電話で話すことや書類の作成、売主との打ち合わせなど、全て話したり書いたりすることだけだと思われがちです。

しかし、実際には物件を仕入れて販売する登記料や不動産取得税など、さまざまな費用が必要です。

 

②2つ目の理由

2つ目の理由は、物件の経営者の中には反勢力と言われる組織に関連する場合があると考えられているからです。

非常に少数ですが、賃貸アパートを契約したあとにトラブルに巻き込まれて家賃が回収できず、そのまま銀行への返済が滞る場合もあるのです。銀行としては出来る限りトラブルを避けるため、付き合いの浅い不動産業者とは関わりたくないというスタンスになるようです。

 

③3つ目の理由

最後の理由としては、不動産業は資本回転期間が長いという点が挙げられます。他の業界と比べ、事業主の手元に実際にお金が入るまでが平均4.2ヶ月と長いのです。(飲食業の場合は0.3ヶ月)

そのため、資金を融資する側としてはよほど業績が良い事業所でない限りは「手元に資金がない」とみなし、お金を貸し渋ります。

 

2.不動産業で運転資金の融資を受ける4つの秘訣

ご存じの通り、融資はカードローンと異なり使用目的はフリーではありません。設備投資として借りたお金を内緒で運転資金に回すというのはNGです。

では、不動産業で運転資金の融資を受けるにはどうすればいいのでしょうか?

 

①事業計画書にできるだけ詳しく利用目的を書く

事業計画書とは融資を受ける際に提出する書類のことです。金融機関はこの事業計画書を見て、融資に値する事業主であるかをジャッジします。

この事業計画書を甘く見て、融資がおりない方がたくさんいらっしゃいます。ざっくりとした数値では、融資の面談で質問責めになってしまいます。「なんでもいいからお金を貸して」この言葉は、絶対に融資の面談ではNGワードなのです。

例えば、運転資金で必要な金額を仮に500万円で記入するとしましょう。事業計画書には、運転資金の内訳も書かなくてはいけません。何かを仕入れる業種であれば、〇〇仕入れと記入すればいいのですが、では不動産業の運転資金ではどう記入すればいいのか。

あなたが既に創業している場合、記載する運転資金は毎月かかる経費のことです。毎月発生する経費には、以下の項目が挙げられます。

 

  • 家賃
  • 光熱費
  • 人件費
  • 水道光熱費
  • 支払い利息
  • 広告費

 

ここで注意すべき点は、最後の広告費です。日本政策金融公庫で融資を受ける場合、あまり広告費にお金をかけることをよしとしません。運転資金に広告費を入れたいのであれば、何故その広告費が必要なのか、広告費をかけることで具体的にどのように利益が出るのかも説明できなくてはいけません。

 

②事業計画書の業績推移をしっかりと書く

事業改革所の中には、業績推移という売上高・販売管理費・営業利益・系業利益などの事年度ごとの数値を記入する欄があります。

金融機関から融資を受けるには、この業績推移が順調に伸びていると融資の担当者からみられればいいのです。貸借対照表と比べ、業績推移表はあまり経営者にとって馴染みのないフォーマットかもしれません。業績推移のポイントは、とにかく全体的にみて右上がりであるかという点です。

途中で利益の沈む年度もあっても仕方のないことです。過去2~3年以内での業績がアトータルで上がっていれば、融資の点では問題ありません。

 

③修繕費として融資を受ける

運転資金は自社ではどうしても借りられそうもない!でも、2年前に建てた設備がもうボロボロだ!こんな方はいらっしゃいませんか?

運転資金としてではなく、設備費の中の修繕費としての資金であれば創業後でも比較的融資はおりやすいです。何も実態がないところから「お金を貸して」ではなく、「今ある設備が壊れたから直すお金を貸して」という方が、融資がおりやすいのです。

実際、経済産業省の発表する「設備投資の動向」という資料を参照すると、不動産業界での設備投資が徐々に上がってきているのが分かります。運転資金としては融資を受けず設備修繕に回し、利益を運転資金に回していくという資金繰りをしている方もいらっしゃいます。

 

④認定支援機関に書類作成代行を頼む

前述した通り、事業計画書の完成度の高さが融資の一つの決め手となります。融資の審査は一度失敗すれば、その後最低半年は再チャレンジすることはできません。

自己流でやって失敗するよりも、認定支援機関という中小企業庁から認定を受けた税理士や弁護士に書類作成を依頼するという方法を選ぶ方もいます。

 

3.創業後2期以内なら日本政策金融公庫で借りるのが一番!

資金調達=銀行、というイメージが日本人には古くから根付いています。特に、事業をしていない人には銀行以外の資金調達先など思いつかないかもしれません。

不動産仲介業などの不動産業を営む多くの事業主は、創業後の資金調達を日本政策金融公庫で行っています。なぜなら、銀行のように付き合い重視ではなく、条件さえ合致すれば誰でもお金を借りられる可能性があるからです。

日本政策金融公庫|新創業融資制度

※上記URLをクリックすると、日本政策金融公庫の公式ページにリンクします

 

さらに、創業後2期以内であれば「新創業融資制度」という2%前後の低金利な貸付金を利用できます。日本政策金融公庫で借りるメリットは他にも、長期返済という点があります。

不動産プロジェクト資金として融資を受けた場合は、1年後に一括返済することが一般的です。しかし、新創業融資制度で借りた運転資金は5年程度と長期でコツコツと返済することができるのです。

「創業しちゃったから、もう借りられない?」そんなことはありません!

事業開始後、年数が経てば経つほど融資は難しくなります。なぜなら、2~3年後にはもう事業が傾いている方も多いからです。起業後、1年~1年半程度の今ならまだ、日本政策金融公庫で借りやすい時期です。

まとめ

不動産業での運転資金が借りにくい理由は、不動産業では仕入れをせず現金が手に入るまで長期間かかるため、そして借主とのトラブルによる踏み倒し防止とみられています。

業界によって融資の受けやすさに違いがあるのは事実です。

もしあなたが起業後2期以内なのであれば、日本政策金融公庫での融資をぜひご検討ください。

 

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株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。